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叔母「今日からココに住んで」男「ラブホテルで?」
Part19


320 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/03/22(水) 22:35:52.30 ID:ZJk9iEXnO
女姉(断りなさいよ! このいくじなし! 二人で行きたいって言いなさいよ!)
男(睨まれてる…すっごい睨まれてるよ…)ドッドッドッ…
女「もーう、素直じゃないんだから。こんな参考書じゃなくて、ちゃーんと一緒に送別会って奴をやりましょ!」
ぐいっ
女姉「…貴女ねえ…!」
女「来て。お姉ちゃん」ボソ
女姉「…え?」
ブルル…ブルッ…
女姉(この子、震えてる?)
女「ーーお願い、来て…ください…」
女姉「……。バカね、本当に」ギュッ
男「? あのー…?」
女姉「良いわ。じゃあ行ってあげるけれど、必ず九時前には帰宅させる。姉では無く教師として付き添ってあげるわ」
女「来てくれるの?」パァァ
女姉「もちろん。そして貴方も、今回だけ私が急遽時間を作ってあげたのですからーー」
女姉「ーー一人の男子生徒として、立派に最後まで突き通しなさい」
男「わ、わかってますとも! ええ、心からやり遂げるつもりです!」
女姉「……いくじなし」ボソッ
男「うッ」

321 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/03/22(水) 22:36:37.04 ID:ZJk9iEXnO
女「? じゃあ早速行こうじゃない! どうする? カラオケでも行く?」ワクワク
男「そうだなぁ。そういや、前に点数負けしたままだったっけ」
女「ほほう。……上等ッ! 勝負ってワケね受けて立つわッ!」
女姉(…しょうがない子ね、まったく)
女姉(こうなれば仕方ない。ここは大人として、姉として、一人の女として)
女姉(影ながらフォローしてあげましょう。ふふん、任せなさい…)
〜ラブホテル・スタッフルーム〜
『明日の天気は晴れ、のちに雨が降るでしょう』
叔母「…おっと」ピク
叔母(もう九時か。今日は客がやけに少なくて暇だった)シュボッ
叔母(ん? そういえばまだ帰ってきてないような…)
フゥー…
叔母「………」チラ
叔母「まあチンすれば食べれる、と思う。多分」
『取りあえず卵焼きぐらいフツーに作ろうッス』
『きっとオトコもよろこぶですよ! キットキット!』
叔母「ハッ」
叔母(私も随分とほだされた。義姉さんにもそう言われても仕方ない)

322 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/03/22(水) 22:37:34.17 ID:ZJk9iEXnO
叔母「……藪を突くな、か…」
prrrrrrrr
叔母「はい。もしもし?」ガチャ
『あ! 良かった叔母さんでしたか、男です! すみません!』
叔母「? 唐突に謝ってどうしたの?」
『こんな時間まで連絡無しだったので…』
叔母「いや構わないよ。高校生らしくて素晴らしいじゃないか」グリグリ
『そう、ですかね。えっと! それでですね、実はーー』
『うぇぇぇ! せんぱぃー! わたひっ、わたしぃいいいい〜〜〜…っ!』
叔母「この声って…」
『お、落ち着いて下さい先せエムホォン! お姉さん! こんなところで騒いだらダメです!』
叔母「状況がよくわからないんだが…」
『じ、実はですね! 今はファミレスなんですが、店員の間違いでワインを飲んでしまって…!』
叔母「なにやってんだアイツは…」ガタリ
『あ! だ、大丈夫ですよ! 偶然にも受付さんが近くに居て、こっちでなんとかできますから!』
叔母「そ、そうなの?」
『ええ、なのでまだ少し帰るのが遅れるかも知れません。だからその後報告をしようと思って』
叔母「そっか。…気をつけるんだよ」

323 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/03/22(水) 22:38:34.48 ID:ZJk9iEXnO
『…はい、その、ありがとうございます』
叔母「ん? 感謝することあった?」
『いえ、個人的に。…心配されるの、あんまり慣れてないんで』
叔母「……」
叔母「ちなみに気をつけてとは、酔っ払うと後輩はキス魔になるから気をつけて、という意味」
『お姉ちゃん大丈ーーふむぐゅううううううううう!??!!』
『うわぁあああ!!?? と、止めてきます! じゃあまた後で! また!』ピッ
叔母「…まあ受付がいるらしいし、大丈夫か」
カタン
叔母「……」カパリ
叔母「もぐ、もぐもぐ…」
「……しょっぱ」

326 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/03/22(水) 22:49:36.82 ID:ZJk9iEXnO
【オマケ・ファミレス帰り】
受付「セイセイ。何をそこまで荒れる必要あるってんだい、先生や」
女姉「うぅうーっ…だってだって…妹ばっかりたのしそーな青春おくっててぇ〜…」エグエグ
受付「そっかー爆発しちゃったかー、うん。男くんはソッコー彼女の耳ふさいで」
男「えっ? あ、はい!」ササッ
女「?」
受付「ねえ先生? 貴女は超立派よ、多くの生徒を正しく教育していく職業に努めてる、心から尊敬しちゃうワ」
女姉「うん…」
受付「でも人間はずっと完璧で居続けるのはムリ。何処かでボロは出るし、たまにの息抜きは必ず必要なの」
女姉「つまり…?」グス
受付「飲み行こう! 貴女のグチ、その最後の最後の一滴残らず絞り聞き取ってあげる!」グッ
女姉「お、おおっ、受付さぁああ〜〜〜ん!!」ガバァッ
受付「ガハハ! まかせなさい! ドンときなさい!」
男(奢らせるんだろうなあ…)
女「ね、ねえ、ちょっと、もうっ、コラ! 離しなさいよ!」バシッ
男「ご、ごめん。えっと、何も聞こえてなかったよね?」
女「何も聞こえなかったわよ! ったく、お姉ちゃんどっかいっちゃったじゃない!」
男「そ、そうだね。じゃあもう良い時間だし、そろそろ俺らも…」
女「え? 帰るの?」
男「え?」
女「……。まだ、私は帰りたくない、ケド…」モジッ
男「………。え?」

327 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/03/22(水) 22:51:43.72 ID:ZJk9iEXnO
第九話 終
残り三話よろしくお願いします ノシ

328 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/03/23(木) 04:25:33.32 ID:GRcLFK1NO
これは男は誰のルートにもいかないbadendか?

329 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/03/23(木) 09:09:19.61 ID:dpBFrvq70
おつ

330 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/05/13(土) 00:08:34.50 ID:vMxy84eyO
男「………」
女「…ちょっと、黙ってないで何か喋りなさいよ」
男「いや、だって、あのさ本当に、来るつもり? 俺の部屋に、というかアソコに」スッ
女「……」ウッ
男「べ、別に今から帰りたいっていうのなら送るけど…」
女「…いくわよ」
男「えぇ〜…」
女「いくったら行くのよ!」
男「や、やけっぱちになってない?」
女「違う! てか、こんな時間に出歩いてたら補導されるし、都合がいい場所ったら貴方の家ぐらいしかないし!」
男(カラオケとかあるじゃん…漫喫でもいいし…でも流石にここは…)
【ラブホテル・スィートランド】
男(凄い、嫌な予感しかしない)
女「さっさと行くわよホラ!! 躊躇ってる方がなんだか恥ずかしいでしょうが!!」
ラブホテル・勝手口
男「こっちだよ。正面からはお客さんの邪魔になるから」
女「そうなの? な、なんだか普通っぽくなくてドキドキする…」ドキドキ

331 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/05/13(土) 00:09:57.71 ID:vMxy84eyO
男(クラスメイトと一緒にラブホテル来てる時点で全然普通じゃないけど…)ガチャ
キィ…
女「暗いわね…」
男「普段は掃除道具入れに使ってる区間だしな」パタン
女「ふーん…」キョロキョロ
女「そういえば清掃さん? だっけ? あの人は今日は居ないの?」
男「ケル君は居ない。今日の担当は臨時の清掃員さんと、受付もバイトさんがやってる」
スタスタ
女「……ふーん、そなんだ」
男「うん」ガチャ
女「じゃ、誰も居ないのね。あたしが知ってる人、この建物内に」
男「うん? まあそうなるね、多分だけど」
女「だったら、二人っきりってワケだ。あたしたち」クル
男「えっ、あ、うん? そういったことになる、かな」
女「………」じぃー
男「な、なに? 急にどうしたっていうのさ?」
女「べつに」フィ

332 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/05/13(土) 00:10:26.72 ID:vMxy84eyO
スタスタ
女(なんだ、じゃあ来た意味ないかも)フゥ
女(それとなく周りに人たちに、貴方の詳しい転校理由とか訊きたかったのに)
44号室
女「……」チョコン
女(この前、乗り込んだ時ちゃんと見れてなかったけど)チ、チラ
女(……うん、フツーにら、ラララ! ラブホテルじゃない…)
男「どうぞお茶です…」コトリ
女「あ、ありがとう」
男「で、一体なにをするつもりなんだ。俺の部屋でさ」
女「……………」
男「あ〜〜、うん。何も考えてないワケね…」
女「う、うるさいわね」キッ
男「せいせい。なら定番に卒業アルバムでも見る? この前の荷物整理で出てきたんだけど」
女「え! みるみる! 見たい見たい!」キラキラ
男(釣れた…受付さんのアドバイス通りだな…)
受付『もしクラスメイトを部屋に連れてきたら?』
受付『ハァン、んなの卒アル見せて、さっさとしっぽりいけば良し!』グッ

333 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/05/13(土) 00:11:15.60 ID:vMxy84eyO
男(ようは捉えようなのだろう。間違ってはない、捉え方次第だ)
女「貴方はどこに写ってるの?」パラパラ
男「俺? あぁ、それならココかな」
女「ほぅ、……まったく変わってないわね、今と」
男「一年ぐらいで変わるほうがおかしいじゃないか」
女「そう? 学生なんて二週間あれば性格も変わるモンだけどね」
男「…そうなの?」
女「そうなの! んー、あたしが中学の頃に仲良かった娘が居たんだけど…」
女「夏休みは親戚のところで過ごすって聞いてて、まったく会えなかったのね」
男「う、うん」
女「それで二学期明け、その娘を教室で探したら───」
女「───親戚の人と駆け落ち同然で飛び出したって噂を聞いたの…」
男「えぇっ!?」
女「うん。当時はびっくりした、すぐに見つかってこっぴどく叱られて学校戻ってきたけどね」
男「信じて欲しい…俺はきっと外国に行っても、そんな無茶はしないと思う…」
女「もしなったら意地でも探し出しに向かうわよ、貴方の元へ」
男「よ、よろしく頼む。俺はノリで飛び出したものの、きっと近場の駅で蹲ってると思うから」
女「ヘタレ」
男「そこで文句言う? …まあ、言われ慣れてるよ。ヘタレなんて」

334 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/05/13(土) 00:11:48.42 ID:vMxy84eyO
女「へぇ〜〜、誰に?」
男「母親。そんな人なんだ、はっきり物を息子にも言う人」スッ
コポコポ…
女「…突然の転校も、親のせい?」
男「うん? 母親じゃないよ、父親の方。外国に住んでて、こっちにこいってさ」
女「……。どっちにしろ親のせいなのね」
男「あー、まあ。そうなるね、うん」
女「文句いわないの?」
男「まさか。言ってどうするんだ、なにも変わらない。……きっと変わらない」
女「ヘタレ」
男「うーーーん、ヘタレって思う? だって親だよ? 育てられてる俺が言えるわけがないじゃんか」
女「言えるわよ。文句言わないほうが、もっと不自然」
女「……特に貴方みたいな人が言わないほうが、あたしには不思議でたまらない」
男「えっと、どういう意味?」
女「……あたしみたいなのと、フツーに接してられるじゃない」
男「根拠が不十分です」
女「ぐっ!! そっ、そーーいうところよ! あ、あたしが怒るってわかる癖にどうどうと言ってくるトコロ!!」ビシッビシッ
男「痛い痛い! 座布団で殴らないで!」

335 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/05/13(土) 00:12:34.25 ID:vMxy84eyO
女「なによ! そんな貴方は素じゃないって言いたいワケ!?」ブンブン
男「い、いや全然普通にしてるつもりだけど…」サッサッ
女「じゃああ文句いいなさいよ!? 親にだって誰にだって面倒背負わせるなやめろ! って!」ガーッ
男「横暴過ぎる……」
女「横暴なのはどっちよ!? 急に転校させられて、それも外国で、まったく会話が成り立たない場所で!」
女「───そんなのあたしが、経験した以上につらいことじゃない……」スッ
男「……、」
女「やりたくないことなら、きっと子供だって言っていいのよ…絶対に…っ」
男「女さん…」
男「そうなると、俺も女さんと会話しなくていいことになる?」
女「あたしの立場そんな感じだったの!?」
男「いや、要点を捉えるとそうなるのかなと」
女「ここは要点じゃないでしょがぁああああ! 気持ちを! あたしの! 想いを察しなさいよおおお!!」
男「ひぃいいい!!」
ドッタンバッタン
男「だ、だって! 別にかまわないって言ったじゃないか! 転校しても構わないって!」
女「つ、強がりに決まってるじゃにゃい!! あたしが本当にそお言ってると思ってたの!?」
男「思ってたよ!!」
女「思うなアホぉーーーー!!!!」

336 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/05/13(土) 00:13:24.30 ID:vMxy84eyO
男「……! 人ってのは正直に言われないと駄目なときもあるんだよ!」
女「にゃにおー!?」キッ
男「察し、察せ、こう思えなんて! …俺には高等技術過ぎる、出来ることなんてちっぽけだ!」バッ
男「俺はもう数日後には転校するんだよ! なのにっ、君の何を察せと言うんだ…!」
女「っ〜〜〜!!? 心配してるんじゃない!!」
男「……え?」
女「貴方が全然知らない場所に行って、誰も知り合いが居ない学校で、ちゃんと生きてられるのか…」
女「───貴方が! 全然気にしてないから、あたしは心配してんのよ! こっちは!!」
男「……俺が、気にしてないなら心配しなくていいじゃないか!!」
女「テ、テメー……乙女心なんもわかっちゃいないなんっとによォ…!?」
男「うるさいうるさい! 俺は君のペットかなにかか!? まったく余計なお世話だ!!」
女「………」しーん
男「……女さん?」
女「だァーーーー!!」ギシャー!
男「うわぁあああああ!?」
女「余計なお世話だとぉおお!? よく言ったその口よこせ! 真横に引き裂いてくれる!」ダダダダ
男「ひぃいいい!? な、なんだよ本当に!? 今日の女さんすっごく変なんだけど!?」ダダダダダ
───ドンドンドンドン!!!

337 :以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/05/13(土) 00:14:44.39 ID:vMxy84eyO
男&女「っっっ!?」
女「…今の、なに…?」ドキドキ
男「と、隣の部屋からだ…騒ぎすぎてうるさかったのかもしれない…」
しーん
女「……ごめん、騒ぎすぎた。謝るわ、本当に」ストン
男「あ、うん…別にいいけど…」ストン
女「……」
男「……心配、してくれたの?」
女「す、するわよ。…一応、あたしでも心配してる…想像したら怖いじゃない…そんなの…」
女「…例え片親が居たとしても、見知らぬ土地に行くなんて、あたしだったら耐えられない…」
男「でも、俺は平気だよ?」
女「それ、それ【が】一番こわい」
男(それが一番…?)
女「貴方は今、そう思えてるかもしれない。今、だけはきっと大丈夫かもしれない」
女「でも、あっちじゃダメかもしれない。今まではよくても、これからはダメかもしれない」
女「……それを怖がってない貴方が、一番、怖い」ギュッ
男「…ごめん」
女「わかってないクセに謝るなっ!」