Part17
287 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/02/05(日) 05:39:54.23 ID:
+UB8et70O
〜〜〜
男(スィートランドホテルにはケル君と、タンコブ出来た受付さんだけだった)
男「すると、居るのはここだよな…」スッ
ぴんぽーん
叔母「はい」ガチャ
男「…敢えて言いますけど、まずインターフォンで相手を確認しドア開けてください。不用心ですよ」
叔母「お、男くんっ? なぜここに…! あっ! 一緒に住むの…?」
男「違います。探してここまで来たんですよ、叔母さんに用事があって」
叔母「…………………」
男「上がってもいいですか?」
叔母「え? あ、うん、いや! 待って、五時間後になら…」
男「五時間後!?」
叔母「三時間後?」
男「たいして変わらない! なんでそんな時間を、あっ!? まさか、嘘、また…!?」
叔母「えぇえ〜…? なんのコトだろう〜…?」ソローリ
男「そっとドアを閉じようとするなーッ! アンタっ、部屋がまた汚くなってるんでしょうが…!?」ガッ
叔母「暴れるとご近所に迷惑だから…顔を覚えられたら今後一緒に住みにくくなっちゃうから…っ」ギリギリギリ
男「先の心配より今の心配でしょうが! 大家にバレたら叔母さんが住めなくなるんですけど!?」
288 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/02/05(日) 05:40:28.78 ID:
+UB8et70O
室内
ゴチャーッ
男「……なんたる、惨状……」ゴゴゴゴゴ
叔母「言うほど汚れてないと思うけど…」
男「片付けた以前ぐらい元通りなんですけど…!?」
叔母「スミマセン」
男「ハァ〜…ホテル掃除の前に、ここを片付けなきゃダメじゃ無いですか…」
叔母「そう、思ったから一人でやってたんだ」スッ
男「え? あ、ゴミ袋に…金鋏? 金鋏!?」
叔母「ああ。キッチン用」ガッチンガッチン
男「イヤァッ! 聞きたくなァいッ! 水場周りで金鋏を使用しなきゃ駄目な状況なんて聞きたくなァい!」
叔母(これが受付が言ってた乙女系反応…)ぽやぽや
男「うぐぐッ、こうだと知ってれば除菌殺菌抗菌道具一式持ってくれば良かった…っ」
叔母「それで用事って何?」
男「当の本人がこれだもんなァ…! くッ、良いですよ! 掃除は今度にします、先に用事を済ませてたいですし!」
男「ーーはぁ、それで質問があるんですよ。叔母さんに」ジッ
叔母「質問?」
男「…………、なんで最近俺のことみてるんですか?」
289 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/02/05(日) 05:41:47.51 ID:
+UB8et70O
叔母「ミテナイヨ」
男「やっぱ血筋って重要ですね。下手くそすぎますよ、嘘が」
叔母「うっ…」
男「教えてください。なにか、俺しましたか? 問題あるならちゃんと聞きますから、きちんと言ってください」
叔母「………」ダラダラ
男「言い辛い、ことなんですか?」
叔母「少し、そうかも」
男「……」
男「そう、なんですか。なら別に、無理して言わなくて良いです」フィ
叔母「あ…」
男「すみません。なら用事は終わりです、もう帰りますね、俺」
叔母「ま、待って。そうじゃない、違うんだよ男くん!」
男「……」
叔母「違う…と言っても…本当にただ、私から言っていいものなのかわからなくて…」
男「俺、信用できませんか。叔母さんにとって、信頼できないですか」
叔母「…っ」
男「前にじ、自慢の甥っ子だって言ってくれたこと、凄く嬉しかった。だから…」
男「……やっぱり忘れてください。変なこといってすみません、俺もう帰ります」
がしっ ぐいー!
290 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/02/05(日) 05:42:23.47 ID:
+UB8et70O
男「わあっ!?」
叔母「わ、私にとって君は大事な家族だと…! 大切に思ってることは事実だから!」
男「えっ? あっ、ハイ…!!」
叔母「勘違いしないで、君は大切な家族だということ。預かった時から心に決めてるし、三年間責任もって見届けようと思ってる」
男「あ、ありがとうございます…!」
叔母「でも」
男(でも?)
叔母「ーー君がっ、私のことを家族としてみてないじゃないか…!!」くっ…
男「……」
男(んーっ?)
叔母「悩んでいるんだろう…私としたことが、責任者として十代の性欲を軽んじたばかりに…無防備な姿をさらし続けた…」
男「待って、オイ、待て」
叔母「良いんだ、嘘をつかなくても私は知ってるから。君がちくいち胸を見てるって」
男「それはちょっと否定できませんけど本当に待って!?」
叔母「認められない相手を好きになるぐらい…君のセクシャリティを歪ませた叔母を許してくれ…」サメザメ
男「ラブホテルに住まわせてる人のセリフじゃ無いなあ!?」
291 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/02/05(日) 05:42:53.51 ID:
+UB8et70O
男「叔母さん本気でなに言ってるんです!? お、俺が貴女を家族としてみてないって…一体どういう…!?」
叔母「えっ? 毎夜と私でこう…」シュッシュッ
男「してないわッ!!!」
叔母「え、嘘、じゃあネタはなに?」キョトン
男「今話すことでもないッ! 叔母さん、そっちこそ勘違いしないで下さいよ!?」
男「俺はまったく貴女を家族以外で見たことありません! さっき言ってくれた、そのっ、大切な家族…的な…感じですから!」
叔母「だからこそ燃える的な…」
男「まったく隙がねえ勘違いだよ!」
叔母「え、え、じゃあ違う? 私の勘違い? 全然いっしょ住めるぐらい普通?」
男「標準が分かりづらいですけど、まあ、余裕で住めるでしょうね…」
叔母「ーーー………」
男「お、叔母さん? わかってくれましたか?」
叔母「…ああ、そう。うん、わかった」
男「本当ですか? まったくも〜突然変なこと言わないで下さいよ、びっくりした」
叔母「そう、か。ごめん、君によからぬ疑惑を抱いてしまって。すっごい胸見るからもう我慢の限界だと思ってて…」
男「それはもう今後気をつけますッ!」
292 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/02/05(日) 05:43:23.73 ID:
+UB8et70O
叔母「うん。そういうことなら素直に言えるね、ごめんね。でも…」
叔母「…良かった、君が家族のままで」
男「………」チク
男(ん? あれ? なんだ今、一瞬…変な感じが…)サワサワ
叔母「どうして乳首触ってるの?」
男「触るかばっきゃろいッッ!」
叔母(ばっきゃろい……)
男「ご、ごほん。しかし誤解が解けたようでなによりです! …あ、でも、そういやケル君も変な誤解してたけど…」
男「どうして俺が『認められない相手』が居ると勘違いを?」
叔母「ん。その言葉で全て納得がいった、もうクビにするか」
男「……その言葉で俺も全ての原因を察したんですが、待って下さい、勘違いしたのは叔母さん達ですし」
叔母「でも君に迷惑が…」
男「い、いやいや。誤解が解けたなら問題なしですって!」
叔母「そう。君がそういうのなら」
男「………」
叔母「………」
シーン
293 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/02/05(日) 05:43:54.21 ID:
+UB8et70O
男「あ、えーっと! あはは、じゃあ俺はそろそろ…!」
叔母「帰るの?」
男「え、ええ、晩ご飯の準備もありますし、だから、そのっ、えっとー…」
叔母「ん」
男「…腕を放してもらえないと、帰られないんですけど…?」
叔母「………」ぱっ
男「あ、ありがとうございます」
男「うっ、それと叔母さんの分も用意してますから、後で食べに来て下さいね…! 受付さんのこと怒りすぎないように、あとそれとっ、」
叔母「男くん」スッ
男「掃除もあとでやりにきまーーー」グイッ
ぎゅっ
男「ーーえ?」
叔母「………」ぎゅうう
男「なんっ、ですか、コレ急に…?」
叔母「黙ってて」
男「は、はひっ!」
叔母「…………」ぎゅっ
チッチッチッチッチッ… カチン チッチッチッチッ…
294 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/02/05(日) 05:44:21.61 ID:
+UB8et70O
叔母「ん」スッ
男「…今の、なんですか…?」
叔母「え、ハグ? 知らない?」シュボッ
男「ご存じですけど…」
叔母「親愛を込めてハグらせてもらった。君が嫌がるか、性癖歪ませちゃうかもと、今までやらなかったんだ」
男「もっと他の躊躇う理由ありませんでした?」
叔母「今ではどうでもいい。…見た感じ、悪い気はしてなさそうだから」ニッ
男「うッ!? 嫌がるなんて、別に、俺は特になにも…」フィッ
叔母「嬉しかったよ」フゥー
男「えっ?」
叔母「君が『大切な家族』だって、私のことを言ってくれて。私は本当に嬉しかった」
男「……じ、事実ですからっ」
叔母「ん。だからハグした、これからもして良い?」
男「えっ!?」
叔母「了承得られなくてもするけど。私はよく兄貴にしてたよ、クッソ嫌がられてたけど無理矢理してた」
男「ぜ、全然想像できない…あの親父が…」
叔母「くっく。それにもう一人のほうも、」
男「もう一人?」
叔母「……。いや、なんでもない」
295 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/02/05(日) 05:44:47.57 ID:
+UB8et70O
叔母「さて。そろそろ日も暮れるし、帰った方が良いよ。それともやっぱりここに居る?」
男「か、帰りますって。あとでご飯食べに来て下さいね、…あ!!!!」
叔母「わ! どうしたの?」
男「叔母さんが兄貴って言って思い出しました…!」
男「ーーて、手紙ですよ手紙! 俺の親父から手紙届いてませんか!?」
叔母「兄貴から? え、えっと、来てたかな…?」クル
ゴチャーッ
叔母「来てると思う?」
男「もういいです…今度と言いましたけど、今から掃除しましょうか…」トホホ
叔母「お礼にハグするから」スッ
男「お礼も何も挨拶代わりしようと考えてるでしょうが…!」ググググ
叔母「おー、その嫌がり方すごく兄貴に似てる」マジマジ
男「と、とっとと探しますよ!!」
〜〜〜
296 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/02/05(日) 05:45:16.57 ID:
+UB8et70O
手紙は案外、すぐに見つかった。
底の見えぬ汚部屋で絶望に染まった俺と叔母さんだったのだが、
途中で参加した受付さんとケル君のお陰で迅速に片付いたのだ。
男「えっと、なになに?」ガサガサ
見慣れたシンプルな封筒を開封し、これまた質素な手紙を取り出す。
合理的な性格の親父らしいと、半ば懐かしく思いながら文面に目を通していく。
叔母「なんて書いてあった?」
しばし斜め読みを続けたところで、ふと、気になる単語に目がとまった。
堅苦しい几帳面な筆質に埋もれた一つの言葉。
なかば理解できず、何度も何度も、視線を往復さえ脳が把握するのを促すがーー
清掃「オトコ?」
受付「どったの?」
297 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/02/05(日) 05:46:31.19 ID:
+UB8et70O
ーーついぞ手紙の意味を理解し終わっても、俺の口は開かなかった。
そんな俺の頭の中では彼女の、俺の母親である親の言葉が回り続けていた。
『ーーあんま馴染みすぎると、後が辛いぞ。ほどほどにしとけ』
この助言を今になって痛感する。
俺はきっと優しくなりすぎた。だからこんなにも苦しくなっている。
分かっていたのに、こんなこと嫌だって知っていたのに。
『この手紙が届いた一週間後、離婚調停が済む。アメリカに来い』
もはや俺には辛いことしか残っていない。
第八話 終
298 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/02/05(日) 05:47:26.73 ID:
+UB8et70O
できるだけ早く来ます ノシ
299 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/02/05(日) 12:48:59.00 ID:iSsZpQ8i0
楽しみにしてるが無理せんといて
300 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/02/05(日) 16:01:18.23 ID:UoWoG2XA0
舞ってる
301 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/02/05(日) 16:51:48.38 ID:Snb+A6f2O
>男「ラブホテルに住まわせてる人のセリフじゃ無いなあ!?」
確かにww
アメリカにこいってことはパスポートやら色々手続きしたあとか?
302 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/02/09(木) 03:17:37.20 ID:Xa+/2vcUo
よくいる自己主張のみ無能主人公なら保護者に逆らってんじゃねぇと思うが
自活出来る高校生(+養育実績がある親類が居る)なんだから
糞親なんかガン無視でおk
303 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/02/13(月) 03:43:10.21 ID:Nb1J8qxwO
それができるなら主人公もここまでショック受けんだろ
法律に載っとりやってきたらラブホテルに住ませてる以上勝ち目ねーべ
305 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2017/03/22(水) 22:20:38.14 ID:
qigM/ANOO
『ーーしてやられた』
『私が有利だと高をくくってた。まさか、ババアの遺言を引っ張ってくるとは』
叔母「遺言?」
『そう。私の母親のやつ』
『目敏いったらありゃしない、ふつうそんなの把握してるか? …するか、アイツなら』
叔母「義姉さん。要約すると、つまり…」
『ああ、アメリカで愛人と住んでる馬鹿に親権取られた。『婿養子が育て親に」ってチンケな遺言程度で』
叔母「親からの信頼度なさ過ぎませんか…」
『親の会社を独断で奪った時点で見限られてるよ。んで期限はどれくらいよ、妹ちゃん』
叔母「……、四日です」
『は〜あ、うん。なるほど、手早く引っ張り込みてーようで』
叔母「せっかちな兄貴らしい魂胆ですね」
『そいでアイツは受け止め切れてんの?』
叔母「私が見る限りでは。彼は問題なく準備を進めてるようです」
『カカッ! そうかい、最近ふぬけたとばっかり思ったけどよ。なら安心だ』
叔母「………」
『じゃあさ、こっちの国で最後のアイツを見届けてやってよ、妹ちゃん』
叔母「見送りには来ないんですか?」
『雰囲気しらけちゃう気がするし、仕事でもやって慰謝料頑張って稼いどく』