Part13
218 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/11/13(日) 16:45:00.93 ID:
WpcBWA3KO
清掃「なーんだ、だったらイイヨ! 気になるならココに言ってみればおけーよ!」ピッピッ
男「どれどれ、…あ、そうか」
神社
男(繁華街の近くに神社があったなんて…)キョロキョロ
男(44号室の幽霊騒動の時も、現職巫女さんだって言ってたし、確かにココに来れば…)
男「……。今更だけど、なんでラブホで受付やってんだあの人」
巫女「お参りですか?」
男「ひゃいっ!? え、あっ、はいっ!」
巫女「でしたらこのまま真っ直ぐ向かって本堂の方へ」
巫女「くじを引かられるのなら本堂手前で販売しております」
男「ど、どうも…」ペコリ
巫女「いえ」スタスタ
男(びっくりしたぁー、まったく気配が感じなかった)
男「そりゃそうだよな、受付さん意外にも巫女さんはいるか」スタスタ
男(今日が休みとかじゃなかったら良いんだけど、無事に会えるかな)
クジ売り場
受付「くじは一回百円になります。…お」
男「あ!」
219 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/11/13(日) 16:45:42.77 ID:
WpcBWA3KO
受付「なになに、その行動力は。まさか君が来るなんてさ。オーナーに頼まれて監視にでも来たの?」
男「受付さん…! その格好…!」
受付「おや? もしかしてぇ? お姉さんの巫女姿見に来ちゃった感じ?」ウフ
男「本当に巫女の格好してる…! おしぼりで身体拭いてた人が…!」ワナワナ
受付「君、本当になにしに来たの」
男「ご、ごめんなさい衝撃が凄くて…少し落ち着きます…」
受付「まあこの時期なら人いないし別いいけどね。今日は単なるお参り?」
男「え? いや、その…」
受付「だったら本堂でお金ポーンしてきちゃいな。縁ありで五円とかなしで千円ぐらい」
男「んな余裕あるわけないでしょう! こっちも切り詰めて日々過ごしてるんですから」
受付「くふふ。お家お金持ちのクセしてね、そーゆうところ好印象よ? お姉さん的に」
男「物は言いようですね…自分でもけち臭いって思ってますよ…」
受付「あ、そうだ。参拝の仕方わかる? 教えてあげよっか?」
男「うっ、実はちょっと不安があって。でも仕事中なんじゃ無いんですか?」
受付「巫女だぞ巫女! 参拝者に説法説いて何が悪いのかね?」
〜〜
220 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/11/13(日) 16:46:10.77 ID:
WpcBWA3KO
受付「御手洗で手を洗ってね。あ、口はゆすがなくていいよばっちいから」
男「えらくぶっちゃけますね…」
受付「手を洗うだけでも意味あるし、最近はなしの方向も全然ありだよ」
受付「んでもって本題の参拝方法だ。まずは一礼」スッ
男「は、はい!」スッ
受付「次にお賽銭ぶっこんで、鈴を鳴らす。そして二礼二拍一礼、この時に願い事!」ムムム
男(願い事…! なんだっ、覚悟せず来たから願い事考えてなかった! どうしよう!?)
受付「──なんでもいいよ。君が思ったように、好きに願えばいいから」
男(なんでも、良い。俺が叶えて欲しい、いや…)
男「──……」スッ
受付「終わった?」じー
男「うぇっ? あ、はい…!」
受付「ずいぶんと真剣に願ってたから、お姉さんじっくり観察しちゃったよ」
男「…た、大したこと願ってませんよ別に…」フィ
男(少しびっくりした。受付さんの雰囲気、がらりと変わったような気がする)
男(参拝の教え方はざっくばらんだったけど、きちんと教えてくれたし。普段からこうだったら良いのに)
221 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/11/13(日) 16:46:50.89 ID:
WpcBWA3KO
受付「じゃあ最後に小さく一礼して、はい、これで参拝方法しゅうりょー」ワー
男「なんだか凄い緊張しました…! ヘンですよね、日本人なら手慣れてきゃいけないのに」
受付「いや普通知らないデショ。知ってても忘れるし。行く度にケータイで調べ直してるんじゃない?」
男「そ、そういうモンなんですかね?」
受付「だって私がそうだもの。ウィキペディアって便利よね」ピッ
男「今のところ見た目だけっすね、巫女さん要素」
受付「にしてもびっくりした、急にくるんだもん。前もって言ってくれれば色々用意したのに」
男「いやいや、参拝客に何を用意するんですか」
受付「定番なのは甘酒とか? あとはーそうそう! 特別に大吉引かせてあげたりとか!」
男「有り難み一切無し!」
受付「Twitterで拡散していいよ? ここの神社は大吉超当たるって」ケラケラー
男(まったくもって巫女さんがいうことじゃない…)
受付「あ。そうだそうだ」ポン
受付「そろそろお姉さんも仕事終わりだし、帰りに商店街に寄ってシャンプー買っちゃおっか」
男「え、憶えてたんですか? 俺の約束…」
受付「君、たまに本気でお姉さん事アホだと思ってない?」
222 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/11/13(日) 16:47:26.85 ID:
WpcBWA3KO
男「ち、違いますよ! どーでもいいことだと思われたかなって!」
「──受付さん…」カタン
受付「む?」
巫女「………」ワナワナ
受付「なんだミコ。変な顔して」
男「あ。さきほどはどうも…」ペコリ
巫女「……。これは、どういうことなのです、か?」
受付「どーもこーも巫女として仕事全うしただけじゃんか、何か問題あった?」
巫女「……」ちょいちょい
受付「? どったの?」スタスタ
ガシィイイイイ!!
受付「ごぇっ!?」
巫女(いつの間に年場もいかない子供に手を? なぜそれを私に黙って?)
受付(ちょ、タンマタンマ閉まってるから首…ッ!)
巫女(ああ…っ)ぱっ
巫女(なんとうことでしょう。私という友人を持っていながらなんたる意地悪)ヨヨヨ
巫女(しゃんぷーを買いに手を繋いで仲良くお帰りデートなんて、なんてもう羨ましい)
受付「うん、アンタがウチらの会話聞いてないのよくわかった」
223 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/11/13(日) 16:52:47.97 ID:
WpcBWA3KO
巫女(これは罰としてお聞かせ願わないと駄目でしょう)
巫女(──やはり、性を知ったばかりの少年は毎夜毎夜と求められますか? 一夜で何回ほど…?)キラキラ
受付「口閉じろ変態巫女。今から紹介するから」
〜〜〜
巫女「はじめまして。わたくしこの神社の巫女を務めさせて頂いております」
男「はじめまして! その、俺は男といいます…!」ペコペコ
受付「あとバイト先のオーナーの甥っ子ね」
巫女「まああの方の甥っ子…」
男(なにげに有名だな、叔母さん)
巫女「それはそれはあの方に似て聡明なのでしょうね、何処か雰囲気も似てらっしゃる」
男「そうでしょうかっ?」テレ
巫女「…ところで、今年でお幾つで?」
男「こ、高校一年になります!」
巫女「まあ。見た目以上に大人なのですね、すみません。勝手に中学生辺りかと…」
男「あはは。よく言われます、はやく立派な雰囲気を持ちたいですけどね」
巫女「……もったいないこと仰る……」ボソリ
男「はい?」
巫女「いえ。独り言です、お気になさらず」
224 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/11/13(日) 16:59:13.59 ID:
WpcBWA3KO
巫女「では。唐突で恐縮なのですが、よろしければライン交換などしませんか?」スッ カチャアアッ
受付「はいはーい! じゃ紹介は済ませたから帰ろっか男くん!」バッ
男「でも巫女さんが何か今…」
巫女「受付さん」
受付「な、なによ?」
巫女「………」じぃー
男「っ? …っ??」テレテレ
巫女「……むしろ美味しい時期、でしょうか……」ホウ…
受付「うん。すまんかったよ、出来れば早急に写メ等送るべきだった。唐突な出会いにタガ外れてるね?」
巫女「ええ、あなたの言う通り貴女とは親密関係ではないご様子。むしろ経験すら感じられない無垢さ加減ーー」
巫女「──もしや我が神社への貢物ですか?」ハッ
受付「その突発具合、嫌いじゃないがどうにかならないかなあ!? あと会話全然繋がってない!」
男「あ、あのさっきからなんのお話を…?」
巫女「失礼しました。わたくし、受付さんとは大学生からの付き合いなのですよ」
受付「そうそう、だからたまーに二人の世界に入っちゃんだよねー!」
男「え、あっ、なるほど…大学生からの友達の方でしたか…」
巫女「? なにか?」
男「あ、いえ! すると巫女さんからの紹介でここで働いてる感じ何ですか?」
受付「えらい詮索するね、お姉さんのこと」キョトン
男「いえ別にぃ!?」
225 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/11/13(日) 16:59:42.09 ID:
WpcBWA3KO
巫女「すみません、わたくしのことは『巫女おねえちゃん』と呼んでくださいませんか?」
受付「突然なに言い出したこの娘!?」
男「えっ、あ〜〜…巫女おねえちゃん…?」
受付「君も人当たりの良さ加減考えたらどうかなあ!?」
巫女「……なんて尊い……」フルフル
受付「待って、本当にこのまま私が突っ込み続けるの!?」
〜〜〜
巫女「こちらが我が神社のご神木になります。樹齢百年以上、正確な数字は分かっておりません」
男「へえ…」
受付「君も物好きだね、ほんっと。わざわざ付き合わなくてもいいのに、こんなの興味ないデショ」
男「そん、なことありませんよ!」
巫女「申し訳ありません。刺激満たす程の派手なものなど無い殺風景な神社でして」
男「文句なんてこれっぽっちも! 全然かまいませんよ俺!」
巫女「まあ…」
巫女「ならば本堂の裏手にこぢんまりとした畳部屋がありまして、そこをご見学されては如何でしょう」
男「そこには何があるんですか?」
巫女「もちろん楽しいひと時を過ごせるものが…貴方はなにもしなくてもよいのです…全てお姉ちゃんにおまかせを…」ススス
226 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/11/13(日) 17:00:15.53 ID:
WpcBWA3KO
受付「がっつき過ぎだからね、アンタ」グイッ
巫女「妬かなくても参加ご自由なのですが?」
受付「それが何の言い訳になるとお思いなのかな?」
男「あはは。仲いいですねお二人とも」
受付「普段のキレのいい察しの良さはどこ行った!」
男「え? ええ?」キョトン
受付(この子本当にわかってないのか。こいつのヤバさを…)チラ
巫女「フーッ フーッ」キラキラ
受付(あんなんだけど、見た目と雰囲気はお上品だからなあ。それに知り合いじゃないと深くつっこめないか)
受付(ここはいっちょ知り合いとして頑張るか)グイッ
男「うわっとと!」
受付「ごめん、ミコ。ああはいったけどこの子、ウチがツバつけてるから」
男「は? ちょっとやめてもらいます? そういう冗談好きじゃないんで」
受付「逆に知り合いだと容赦ないね君!」
巫女「やはり手を出してたのですね…」
受付「アンタも一切疑わないのもどうなの?!」
巫女「しかし受付さん。私は思うのです」
受付「な、なにがどうしたって?」
巫女「それは…それで…良くも悪くもあり…多数でも案外イケるかなって」
受付「守備範囲おっそろしいなあお前っ!?」
227 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/11/13(日) 17:00:42.79 ID:
WpcBWA3KO
巫女「先ほどの招待、ご冗談だと思ってました? 友の痴態を知っておきたい。友ならば当然の帰結では? ねえ?」
男「エッ…!」
受付「この子に振るなよ馬鹿か!」バッ
巫女「ふふ…年上女性が高校生男子を庇う姿…ふふふ…」
受付(し、しまった! コイツ他人のシチュでイケる口だった! いかがわしい妄想の肥やしにされる…!)
受付「おい、ミコ。煩悩塗れやがって、神様に使える身として恥ずかしくないのっ?」
巫女「姿とはまさに一見の美。体裁のみ整えれば、煩悩など些細な誤差ですよ」
受付(ぐ…! 中身が変態クセして完璧主義者だったなそういや…! 自堕落な私じゃ言い分に欠ける…っ)
男「う、受付さん! もしかしてあの人って…」
受付「っ! 気づいた男くん!? そう言ってやってよズッバりと! 何時ものように切れ味ある突っ込みでさ!」
男「ええっでも、いいんですか? こんな事を言ったら失礼になるんじゃ」
巫女「私に不備はありません、完璧なのです、だからこそ好きなものを好きといえるのです!」ぺかー
受付「変態なのにぃ…変態なのに神々しさでそうは見えないぃ〜…っ!」
男「言ってる意味まったくわかりませんが覚悟を決めました!」ビシッ
巫女「ふふふ。貴方のような少年に何がわかるとでも?」
228 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/11/13(日) 17:03:29.45 ID:
WpcBWA3KO
男「せ、世間知らずの俺だって間違ってることぐらいわかってるんですよーーー」
受付(一体どんな言葉で突っ込みするつもり…っ!?)ゴクリ
男「ーー貴女が着ている巫女服、襟が左右反対だって!」
巫女「……」チラ
巫女「……お見事……」ガッ
受付「真正面から正当に心をブチ折ったァー!」
男「巫女さん!? 急に座り込んでいったい…!?」
巫女「完敗ですわ…知らぬうちにわたくしは身も心も煩悩塗れとなっていたのですね…」
受付「いや、全然いつもどおりだったから」
巫女「有り難うございます。貴方の言葉で無事、元のわたくしへと戻るきっかけを得ることができました」
男「感謝なんてそんな…」
巫女「このご恩は生涯忘れません…ところでこのご恩をお返ししたいのですが、現住所はどちらに…?」ワクワク
受付「復活はえーなアンタ、口閉じてなさい」
男「その先を真っすぐ行って、繁華街辺りの…」
受付「君もだよお人好し小僧!」
〜〜〜
229 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/11/13(日) 17:06:10.73 ID:
WpcBWA3KO
男「なんだか面白い方でしたね」
受付「疲れたよ…君はもう今後、ここには来ない方が身のためだよきっと…」
男「やっぱりお邪魔でしたか…?」
受付「あん? いや、別に邪魔だとは言わないよ。ただ君の貞操がヤバイって話で…」
受付(人生経験としては重要か? いやでもなあ、うーん、まあラブホに住んでる時点で経験値ヤバそうだけど)
男「今日は来れてよかったです」
受付「……。まあ顔だけは良いしね、アイツ」
男「え? いやいや、そうじゃなくて…」スッ
受付「ん? わたし?」
男「言い忘れてましたけど、今日ここに来たのって受付さんに会う為なんです」
男「ほら、ホテルじゃよく会うのに普段の姿見たことないなぁーっと、ふと思いまして」
受付「変なこと考えるのね、君」
男「あはは。叔母さんとケル君にも言われましたよ、それ」
受付(でも会いに来たんだ、わざわざ)
男「俺思うんです。知らない方が良いことが多い、でも、知ってる方がもっと楽しくなるんだって」
男「受付さん。そーいうの共感できません?」
受付「……、わかるけど、そーゆうことはお姉さん相手にすることじゃないと思う」
230 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/11/13(日) 17:07:12.15 ID:
WpcBWA3KO
男「? どうしてですか?」
受付「はぁ〜、君がたまにみせるそーゆうユルいところ。一体誰に似たんだろうね、まったく」ガシガシ
男「?」
受付「取り敢えずシャンプー、買いに行こっか」
男「え、あ、はい! 行きましょうか!」
受付(……こわいなあ、この子。家族でもない奴にそこまで近づこうとしてさ)
受付(ラブホテルで寝泊まりなんてどうかと思ってたけど、案外、知り合いに囲まれた生活が嵌ってるのかも)
受付「でもその知り合いがお姉さんだよ君、アハハ」
『言い忘れてましたけど、今日ここに来たのって受付さんに会う為なんです』
受付「……そんなん言われたの初めてだよ」クス
男「受付さーん!」
受付「はいはーい、今すぐ行くってば」
受付(ま。そこまで私はやさしーお姉さんじゃないけどねー)