Part11
182 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/10/30(日) 20:57:05.52 ID:
2abiLlXbO
男「今から俺とラブホテル行ってもらえませんか?」
女姉「あぁなんだ、その程度なら別に構わな──」ほっ
女姉(えっ)
──ガタン ゴトン プシュウウウ…──
女姉(えっ)
ワイワイ ガヤガヤ ニイチャン ヤスクシトクヨー
女姉(えっ)
【前回までのあらすじ 男は教師をラブホに誘った。】
男「先生、この路地裏ではぐれると厄介なんで気をつけて下さいね」
スタスタ
女姉「……」ピタ
女姉(──返事に窮していたら、とんでもない所まで着いてきてしまったわ)
ブンブンブン…
女姉(しっかり気を保ちなさい女姉。なにを戸惑っているの、バカね)
183 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/10/30(日) 20:58:01.60 ID:
2abiLlXbO
女姉(私と彼は教師と生徒)
女姉(きちんと言わないと駄目よ…例え懇意にしていた生徒の願いであっても…)
女姉(で、でも、私からああまで催促して今更無しと言うのも可愛そ、ばか! 何を考えてるの!)
男「先生? 大丈夫ですか?」ヒョコ
女姉「ひゃいっ!?」
男「……本当に大丈夫ですか?」
女姉「くっ、も、もちろん大丈夫に決まってるじゃない…っ」
男「やっぱりココは慣れない雰囲気ですよね…」
女姉「──あら、大人の女性にあまり失礼なことは言わない方が身の為よ?」キリッ
男「そ、そうですよね! ごめんなさい!」ペコペコ
女姉(あ〜〜〜っ! ここに来て見栄を張ってる場合じゃないのに!あ〜〜っ!)キリリッ
男「じゃああまり遅くなるとあれなんで、急いで行きましょうか」
184 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/10/30(日) 20:58:34.21 ID:
2abiLlXbO
女姉「どこへかしら?」ニコ
男「ラブホテルです」
女姉「………………………」ダラダラダラダラダラ
〜〜〜
女姉(なんとか説得方法を考えなければ、考えろ考えろ考えろ…)ズモモモモモ
男(なにやら居心地悪そう。やっぱり生徒と一緒じゃ駄目な場所だよな)
男(まあ一応、人気少ない路地裏を選んでるつもりだけど…)スタスタ
男(──しかし、先生が知っていたとは。俺が住んでる場所がラブホテルだって)ウンウン
男(言い方マズッたかと思ったけど、案外、普通に着いてきてくれたし)
男(事前に調べてたのかな。まあ【あの部屋】ことは覚えてるか分からないけど…)
女姉「君はこの辺に随分と土地勘があるのね…」オドオド
男「え? ええ、この制服姿じゃやっぱり目立っちゃうので」
女姉「へ、へぇ〜…手慣れてるじゃない…」チ、チラ
男「頑張って探したんですよ、いつか友達を連れてきたいと思ってますので…」テレテレ
女姉「友達未満で!?」
185 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/10/30(日) 20:59:13.00 ID:
2abiLlXbO
男「えっ、あっ、それはまだ早すぎますかねっ?」ビクッ
女姉「あったり前じゃないの! 今の発言は教師として聞き逃せないわ…!」
男(やはりそうだったのか…俺も友達を家に連れていくのハードル高いと思ってたんだよな…)
女姉(嘘、この子見た目によらず肉食系なの…そう、そうよ私を連れて行こうってぐらいだもの…)
男「じゃあ先生はどれぐらいなら友達を連れても良いと思いますか?」
女姉「ええっ!?」
男「是非、先生からご教授願いたいです」キラキラ
女姉(なんて澄んだ眼をして…ううん、そうよ、教師としてやることは一つ)
女姉(この子をこっち側に引き戻すのよ、私の教えで)グッ
女姉「えっと、その…まずはお互いの気持ちを知って、分かり合ってから、きちんとした段階を踏んで…」
男「はい先生、質問です」シュバァ
女姉「はい! 男くん!」ビシィイイ
男「すると段階が一発で分かる手段はなんでしょうか?」
女姉「良い質問よ。それはもちろん──キスでしょうっ」ピッ
男「キスですか!? キスが正解ですか先生!?」
186 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/10/30(日) 21:00:26.10 ID:
2abiLlXbO
女姉「わわ私はそう思うのだけれどもっ!? ささ最近の子はそれとも違うのかしら!?」キョドキョドドド
男「俺もちょっと知らないですけどッ! キス〜〜ッ…てぇのは口、と口を…?」
女姉「く、くっつけて…そう、…互いの口を…」カァァ
女姉(わ、私は一体何を言って…でもこれで彼に清く正しい順序を教えられたはず…)
男「よし! 話を参考にして友達できそうになったら、なんとかやってみます!」
女姉「一切分かってないじゃない! 話し損よまったくッ!」
〜〜〜
男(友達作りって想像以上に大変なんだな…さらに不安になってきた…)ズーン
女姉(どうやったら清く正しい交際の仕方を教えられるのかしら…)ズーン
男「先生、どうやら俺には難しいみたいです。当分のところ諦めておきます…」
女姉「そう簡単に諦められちゃ困るのよ……!」
男「うぐッ、じゃ、じゃあ先生はどうやって(友達)作ったりしましたか?」
女姉「えっ…!? ど、どうやって(恋人)作ったか…!?」
187 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/10/30(日) 21:02:40.62 ID:
2abiLlXbO
男「関係を深めるのがどうにも苦手なんですよね…」ハァ
女姉「き、君なりの悩みがあったのね…けれど教えられるほど私も経験が…」
男「え、もしかして(友達作りの)経験ないんですかっ?」
女姉「………、ハイッ!? えっ、あっ、えっ!? ちがっ」カァアアア
男「意外ですね…そうは見えないのに…」マジマジ
女姉「いやっ…そうと決まったわけじゃ…」キョドキョド
男「あ、失礼なこと言ってすみません…経験ないとか…」ペコペコ
女姉「そんなこと謝らなくても結構よ!? ていうかそうと決めつけないで!」
男「でも経験がないってさっき…」
女姉「さ・ほ・ど、よ! さほど! まるっきり無しとは言ってないじゃない!」
男「すみません! ではご教授のほどよろしくお願いします…!」
女姉(墓穴を掘ってしまった!)
男「あの、無理して嘘をつかなくても良いんですよ…?」チラ
女姉「なによその同情した顔は…ッ! 良いわよ、大胆不敵な過去話しに震えなさい!」
188 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/10/30(日) 21:03:08.00 ID:
2abiLlXbO
女姉(こうなったら見栄っ張り上等でとことん上塗りした恋愛話をぶっちゃけて──)バッ
女「………」ヒョコ
女姉(───うん?)ダラダラダラダラ
男「先生? 後ろがどうかしましたか、ぱふぃっ!?」バチン!
女姉「絶対に、振り向いちゃ、ダメ、わかった?」ミチミチミチ
男「ふぇ、ふぇい」コクコクコク
女姉(なぜにあの子が此処にッ!? 私たちの後を着いてきてた…? 一体どこから!?)チラ
男「…っ…っ…」ドキドキ
女姉(って不味い、この距離で近づいてたらあっちに勘違いされるっ)ぱっ
男「なんですか急に…びっくりしまたよ…」チラ
女姉「──行きましょうか」
男「えっ?」
女姉「さっさと行くのラブホテルに! 速攻で誰に見つかることもなく!」
男「声量考えて先生! いくら人気無くてもヤバい内容ですから!」
女姉「ごちゃごちゃいわずにさっさと行く…!」グイグイ
男「え、ええっ…やっぱり経験ないの誤魔化しにかかってるんじゃ…」
女姉「だまらっしゃい!!」ズンズンズン
189 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/10/30(日) 21:03:57.66 ID:
2abiLlXbO
女姉(あの子が居るなら悠長にしてられない! ろくに帰宅ルート覚えず来たから戻れないし…!)
女姉(手早くホテルに向かって姿をくらます。道中で妹を巻けばいいだけっ)
女姉「ほらっ! 貴方が行きたがってるホテルはどこにあるのっ?」
男「そこの通りまっすぐですけど、あの、少し声量を落として…」
女姉「今更恥ずかしがる神経持ってないでしょ貴方は!」
ずんずん ずんずん
男「ここ、です」
女姉「ここね! じゃあ早く入店して───」
『スィートランドホテル』
女姉「──ふええ?」キョトン
女姉(ここって、確か。え、あれ、見覚えあるけど、あれっ? あれれっ?)
女姉「…っ…」カツン
男「──先生」がしぃっ
女姉「ひいっ!? お、男くん!?」
男「今、逃げようとしましたよね? ダメですよ、逃がしませんから」ギュウ
190 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/10/30(日) 21:04:30.23 ID:
2abiLlXbO
女姉「まっ、待ってくれない? え、どうしてこのラブホテルに…!?」
男「何を今更知らないふりをしてるんですか」
男「俺にはどうしても解決しなければならない事があるんです。ご覚悟を」
女姉「解決…なにそれ、待ってちょっと!? やだやだやだやだ! ここはやだ!」グイグイ
男「あ! やっぱり今の今まで部屋のこと忘れてたんですね!」
男「でも諦めませんよ! これが俺の願いです! しっかり解決させてもらいます!」グイグイ
女姉「やめてやめて! ほかのラブホテルだったら良いから! 着いていくからここだけはイヤ!」
男「ここまできてなに意味不明なこと言って、るんッ、ですか…っ」ギリギリギリ
女姉「いぃ〜〜〜〜やぁあ〜〜〜〜っ」ギリギリギリ
「──大声でうちのホテルを大否定するな、迷惑だろ」シュボッ
女姉「ひぃいっ!?」ビックゥウウン
叔母「ん? あれ、お前…」フゥー
女姉「あっ…あぁあ…っ…! せ、せんぱ…っ」
叔母「とうとう生徒に手を出したのか?」
男「ちがう!! もう叔母さんは黙っててください! ややこしくなるから…!」
191 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/10/30(日) 21:05:50.61 ID:
2abiLlXbO
叔母「いや普通の心配だと思うんだけど…」
女姉「叔母…さん…?」
男「と、取りあえず店に入りましょうっ? このまま目立つよりましですから!」
女姉「え、ええ…は、はい…?」ス、スタスタ
叔母「というか会うの久しぶりだな、元気してた?」チョンチョン
男「中でやってくれ中でッ!」
スタッフルーム
女姉「──先輩の甥っ子ですって?」
叔母「言っただろ、以前に。私の甥っ子がそっち入学するって」
女姉「言ってましたねえ…街角で『来月、甥っ子がお前の所向かう』と後ろから唐突に…」ピクピク
男「なんで暗殺者みたいな報告するんですか…」
叔母「面と向かえば逃げるのが目に見えてたから?」
女姉「恐ろしさに振り返ったら、誰も居ないよりマシだと思いませんか!?」
叔母「おあいこだろ」フゥー
女姉「ど・こ・が! ですか! まったく本当に昔から先輩は変わってなさ過ぎです!」
叔母「そういうお前もまったく変わってないよな、特に胸とか」
女姉「きぃーーー!!!」
192 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/10/30(日) 21:06:22.79 ID:
2abiLlXbO
男(やっぱ姉妹だなあ。女さんと怒り方が一緒だ)
男「こほん、では早速ながら先生にお願いを叶えて欲しいんです」
叔母「まさか君…44号室の謎を…?」
女姉「えっ!? ちょ、ちょっとまだあの部屋あるんですか!?」
叔母「うん。というかこの子を住まわせてる」
女姉「当時から何も変わってないなあこん人はーッ!」
女姉「っていうか、一体なにを考えてるんですかっ?! 年端もいかない子供を住まわせるなんて…!」
叔母「ここまできたやつが言うセリフじゃないぞ」
男「そういえばここが家だと知らずどう納得して来たんですか…?」
女姉「わ、わぅ忘れなさい! いいのよもうそれは…っ」
叔母(きっとエロい勘違いしてたんだろう)ひそひそ
男(じ、実はわかってますけど黙ってて下さいっ)ひそひそ
女姉「聞こえてるわよそこの一家…ッッ!」ぴくぴく
男「と、ともかく! 俺の願いを聞いて下さい! 先生!」
193 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/10/30(日) 21:06:55.58 ID:
2abiLlXbO
【一方、その頃】
女「……」ヒョコ
清掃「……」ヒョコ
女「じゃ、じゃあ本当にさっき言ってたとおりなのね…?」
清掃「うん! ボクは見た、オトコが嫌がる女性を無理やりホテル連れってたトコロ!」フンスー
女「なんて…なんて悪辣非道なやつなの…!」ワナワナ
女(この私に近づいたのは、私のお姉ちゃんを手中に収めんが為の行動だったのね…ッ!)
清掃「ボス? どうしやすか?」わくわく
女「無論! 乗り込んでとっちめてやるわ!」
女「──大切なお姉ちゃんは私が守ってみせる! 行くわよ、手下ケルケル!」バッ
清掃「らじゃー!」ダダッ
【数十分前】
女「ひぐ、えぐ…がえりがだ…わがんばい…」ヒックヒック
女(どうしよう、このまま黒い服の人に拾われて外国に売られちゃうんだ私…っ)トボトボ
女「うぅ〜っ…これも全部、アイツのせい…あの男のせいじゃない…っ」
194 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/10/30(日) 21:07:34.86 ID:
2abiLlXbO
ごしごし
女(あ。そう考えだしたら腹が立ってきた…なによお姉ちゃんといつの間に仲良くなってたワケ!?)
女「こ、この私を弄んだ挙句にそーいうところ向かっちゃうなんて上等ねッ!」クルッ
清掃「……」じぃー
女「部屋に乗り込んでとっちめて、きゃーーーーーーーー!!??」
女(あ、あれってどう見ても以前に校門前で事故ってた外国人…!?)チラ
清掃「……」じぃーーー
女(見てる! どうしてこっち凝視してるの…!? やだ、このままじゃ本当に売られちゃう…?)
清掃「アノー?」ニコニコ
女「ひいいっ!? お、おいしくにゃいから! 食べても私おいしくない…!」ガクガクガク
清掃「もしかしてオトコのトモダチなの?」
女「…え? 友達…?」ぐす
清掃「だって同じ制服きてるから、同じかなあって、トモダチかなあって」ニコ
清掃「もしや迷子してる? ならケルケルが駅に連れてってあげ──」
女「馬鹿ねッ! アイツと友達なわけ無いじゃない! 生涯かけての敵よ、ライバルよ!」
清掃「Rival…?」キョトン
195 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/10/30(日) 21:08:05.11 ID:
2abiLlXbO
女「そう! 決して心許す友じゃない…
もっとこう複雑で、心がぽかぽかして、とにかくそんな気安い関係じゃなことは確かね!」
清掃「ほほー…凄い…トモダチなくってRival…凄い…」キラキラキラ
女「ふ、ふん! そんな敵の味方の言葉にほいほいついて行くものですか…っ」チ、チラリ
清掃「ううん、ボクはもうオトコの味方ちがう」フルフル
女「えっ!? な、なぜ…?」
清掃「ボクは見た。信じてたオトコが女性むりやりホテル連れていくトコロ!」
女「それはもしや…」
清掃「相手は大人の女性だったよ。キリリってしてCoolな人だった」
清掃「──でも、オトコはワガモノ顔で引っ張ってったの! ぶんすかだよケルケル!」プンスカプン
女(お、お姉ちゃんの事だわ! あああっ、遠くで顔が見えなかったけど嫌がってたのねお姉ちゃん…!)ポロポロ
清掃「ケルケルは裏切られた…きっとオトコは優しくて格好いい素敵なオトコ思ってた…」
女「そう、そうよ。奴は人の心を弄んで悦に浸る最低最悪の人間なの!」
清掃「くッ…なんてやつなんだオトコは…!」
女「賛同してくれて有り難いわ! よし、そうと分かれば私についてきなさい!」
清掃「ワオ! ボクもパーティ入り決定しちゃった!?」パン
女「もちのロンよ! よぉーーしッ! 悪の魔の手からお姉ちゃん奪還作戦、開始よ!」
196 :
以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします :2016/10/30(日) 21:09:37.51 ID:
2abiLlXbO
44号室前
女「覚悟して突っ込んだ割に結構、普通に入れちゃったわ…」
清掃「ケルケルここの清掃員だから! それで、オトコ達はここに居ると思うよ」
女「な、なるほど。こっ、この部屋にお姉ちゃんとアイツが…」ゴクリ
清掃「さっそく乗り込むワケですかボス?」キラキラ
女「まずは聞き耳よ! 中でどうなってるか確認しないとマズイ気がする…!」ソソソ
『──先生、覚悟は決まりましたか?』
女「こ、これって…あわわわ…」
清掃「もう始まっちゃってた?」
女「まだ…決定的な単語を聞くまではまだ…っ」ブルブル
『──ま、待って…少し準備させて、シャワーの方だってまだ…』
女「ひゃわー!?」
清掃「オトコってばせっかちさんね」ニコニコ
女「せっかちひゃん!?」
室内
男「いい加減覚悟決めて目を開けてくださいよ、先生」
女姉「いやよ…この部屋はトラウマなの、もう二度と訪れないと心誓ったのよ…」ブンブンブン