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僧侶「ひのきのぼう……?」
Part7


238 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/26(月) 23:42:34.82 ID:JOtdaiZe0
大男「――始めっ!」
戦士「これはどうだ!」 ダッ
師範「そう。刺突ならば、線ではなく点の攻撃。ゆえに容易に捉えられることもない……」
師範「だが、及び腰だ! 慣れない攻め方に、身体が怖がっている!」 バキッッ
戦士「うっ……」
師範「そんな腑抜けた突きなど、余裕でかわして仕留められる」
戦士「俺が……腑抜けているだと? 笑止な!」
戦士「俺などより、あの勇者の方がどれほど温いか」
戦士「あの小娘がこの場に立てば、お前から一本取るなど、永劫叶わぬだろうよ」
師範「そうかな。勇者の本領は勇気であると聞く」
師範「私の予測では、この戦いでお前と同じように『突き』まで辿りつき」
師範「それと同時に一本取ってしまうような気がするのだが。勇気ある突きをもってな」
戦士「……ほざけ。もう一勝負だ!」
戦士は 木刀を 装備した! ▼
師範「ふっ。その姿勢は果たして不屈か、はたまた意固地か――」

239 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/26(月) 23:43:15.51 ID:JOtdaiZe0
大男「始めっ!」
戦士「うおおおおっ!!」
師範「凝りもせず分かりやすい袈裟斬りか。こんなもの――」
ガララッ
幼児「パパー!」
師範「!?」
弟子「こ、こら、いま入ってきちゃダメだ!」
戦士の こうげき!
師範は 大ダメージを うけた! ▼
師範「ぐああああああっ!!」
弟子「師範!」
弟子「師ハーンッ!!」
幼児「パパ!!」
戦士(……ふん。俺の木刀を折れば、その刀身が飛んで危険だったということか?)
戦士(軟弱に極まる!)

241 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/26(月) 23:43:52.85 ID:JOtdaiZe0
戦士「いかなる事情であれ、真剣勝負に気を逸らすなど言語道断」
戦士「今のは瞭然たる一本。『伝説の剣』は渡してもらおう」
弟子「貴様ァ! それでも漢かァ!」 ブーブー
弟子「詫びの一つもなしに、何だその言い方はァ!!」 ブーブー
幼児「パパ、だいじょうぶ!?」
師範「ああ……」
師範「……みんなよく聞け。戦士殿の言い分は正しい」
師範「真剣勝負の場に、私情を持ち込んだほうが負けなのだ。改めて肝に銘じよ」
弟子「師範……」
師範「戦士殿。これが伝説の剣だ。勇者様に渡してくれ」
戦士「うむ」
師範「この剣は……私の命より大切なものだ。くれぐれも大切に扱ってくれ」
戦士「分かった」
幼児「ダメーッ!」
戦士「!?」

242 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/26(月) 23:44:00.57 ID:A5NtD7bp0
せこいよーせこいよ戦死さーん

243 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/26(月) 23:44:30.90 ID:JOtdaiZe0
幼児「だってそれ……ママが大事にしてた……」
師範「こら。大人しくしてなさい」
戦士「ふっ、なるほど。お前の妻の、忘れ形見といったところか」
戦士「何やら事情があるようだが、そんなことに興味はない」
戦士「俺はこの剣さえ手に入れれば、それで良いのだからな」
師範「! な、何を……」
戦士「真の勇者のみ抜き放つことができるという剣……」
戦士「俺にその価値があるかどうか、確かめさせてもらう!!」
戦士は 伝説の剣を 装備した!
しかし ひきぬけなかった! ▼
戦士「ぬ……抜けん……!?」 グッ グッ
師範「無理だ。……その剣は、誰にも抜くことはできない」
戦士「なぜだ。なぜ俺に抜けんのだ!? 俺が一番」 ググッ
戦士「俺がこの国で一番、魔王を討ちたいと思っているのだ!!」 グググッ
師範「戦士殿! ……もうここに用はないはずだ。お引き取り願おう……」

249 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/26(月) 23:45:45.81 ID:JOtdaiZe0
【西の町>宿屋】
商人「ただいま戻りましたぞ」
勇者「あ……おかえりなさい、商人さん!」
商人「おお勇者様、もう容態はよろしいので?」
勇者「うん、賢者さんのおかげですっかり治っちゃった! 迷惑かけてごめんね」
賢者「……商人殿、どちらに? 伝説の剣は手に入りましたか?」
商人「いやあ、見つけたには見つけたのですがね」
商人「どうにも所有者の融通がきかなくて、商談にも持ち込めなかったんですよ」
勇者「ええっ。商人さんの交渉が通じないなんて……」
商人「戦士殿と勝負して、勝ったら譲るという話ではありますが……」
商人「いやはやその師範がべらぼうに強くて! 戦士殿じゃ相手にならないくらいです」
賢者「なんと。それは始末に終えませんね……」
商人「ワシはこりゃダメだ、他の方法を考えようと、途中で抜け出してきましたわ」
戦士「ふん。愛想をつかされる体たらくで悪かったな」 ガチャ
商人「!? あわわわ戦士殿!」

253 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/26(月) 23:46:28.82 ID:JOtdaiZe0
戦士「待たせたな。これが『伝説の剣』だ」
商人「おおっ!!」
勇者「わぁ! 戦士さん、ありがとう!」
賢者「さすがは百戦錬磨の雄。お見事です」
商人「ちょ、ちょっと確認させてくだされ」
商人「ふむ……ふむふむ。うーむ、ワシは現物を手に取るのは初めてですが」
商人「本物で間違い無さそうですな。収拾した情報とほぼ一致しております」
商人「後は刀身を見せてもらえば、確信に至れるのですが……」
戦士「!」
賢者「では勇者様、さっそくお手を」
勇者「ボ、ボクがこれを抜くの? 緊張するなぁ」
勇者は 伝説の剣を 手に取った! ▼
勇者「……なんだか、不思議な力を感じる。ちょっと冷たいけど。それじゃあ……」
戦士「待て!!」
勇/商/賢「!?」

259 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/26(月) 23:48:22.60 ID:JOtdaiZe0
勇者「な、なに? 戦士さん」
戦士「その剣を抜くのは、別の機会にしてもらいたい」
商人「な……何故ですかな?」
戦士「仮にも伝説と称される武器だ。簡単に抜いていいものではなかろう」
戦士「どうしても抜く必要に迫られたときに、初めて抜剣すべきだ」
賢者「……ですが、早いうちに手に馴染ませておくという必要性が、既にありませんか?」
戦士「最初から頼ってしまっては、もしその剣が使えなくなったときに困るだろう」
戦士「ここはいざというときまで温存し、必要が迫るまでは、現状の装備を保つべきだ」
賢者「偽物だったらどうするのです。確認するくらいは良いでしょう」
戦士「ならば天下の大商人を目指す男の目が、曇っていたということだ」
商人「ワ、ワシの目利きは偽物などに誤魔化されたことはありませんぞ!」
戦士「ならば本物と断定できるのだな」
商人「少なくとも、外見を見る限りは! ええ、刀身など確認せずとも!」
賢者「……どうされますか? 勇者様。決めるのは貴方です」
勇者「……う〜ん。それじゃあ……」

262 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/26(月) 23:49:12.20 ID:JOtdaiZe0
勇者「とりあえず戦士さんの言うとおりにしよう」
戦士「!」
勇者「戦士さんがいなければ、この剣は手に入らなかったもん」
勇者「だから今回は、戦士さんの言い分を尊重したいな」
賢者「……勇者様がそう仰られるのであれば」
戦士「ならばその日が来るまで、この剣は俺が預かっておこう。構わんな?」
勇者「うん、構わない」
賢者「勇者様、それはさすがにどうかと。商人殿に預かってもらうべきです」
商人「ワ、ワシがですか」
勇者「ううん、いいよ。この剣はそもそも、戦士さんが手に入れたものでしょ」
勇者「何だかボクがそれをほいほい受け取っちゃうと悪いし、すっきりしないんだ。ね?」
賢者「……勇者様がそう仰られるのであれば」
戦士「勇者よ。感謝する」
勇者「そんな、お礼を言われるようなことは何にもないよ」
賢者「……」

265 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/26(月) 23:49:43.83 ID:JOtdaiZe0
商人「ところで、次の目的地はどこですかな。明日の行き先は」
勇者「うん、それなんだけど、すでに賢者さんと決めてあるんだ」
賢者「はい。我々は次に、【北の城】へ向かう途中にある、雪山へ向かおうと考えています」
商人「ふむ。構いませんが、ご説明願えますかな」
賢者「はい。伝説の剣を入手してしまえば、この旅の目的は残り一つ」
賢者「すなわち、【魔王城】への侵入経路の発見です」
戦士「そういえばもうじき大陸を一周するが、結局道らしき道は見つけられず仕舞いだったな」
商人「辛うじて南の港町からの陸続きのルートがありましたが、ありゃ無理ですもんな」
賢者「どこにも道が見つからなかった場合、そのルートを使うことになりますが」
賢者「まだ足を踏み入れていない地域があります。それが次の雪山です」
賢者「万一そこにも手がかりが無かったなら、そのまま雪山を越えて【北の城】に向かいます」
賢者「大陸の王都であれば、今なら何らかの新たな情報が集まっているかもしれません」
勇者「うん、ちょうどみんなの故郷だしね! ボクも魔王と決戦の前に、一度家に帰りたいし」
商人「えっ。ああー……」
戦士「むう……それは……」

267 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/26(月) 23:50:22.16 ID:JOtdaiZe0
賢者「僧侶殿のことなら、心配いりませんよ」
商人「!? ちょ、ちょっと」
戦士「賢者、どういうつもりだ?」
勇者「?」
勇者「僧侶って、誰のこと?」
商人/戦士「!?」
賢者「あぁ勇者様、ちょっとした知人です。我々のパーティーには関係ありませんよ」
勇者「ふうん……? 誰だろ……」
戦士「……」
商人「……ほ、ほほう。さすがは賢者殿。何やらうまくやりましたな」ボソ
賢者「いえ。これは魔王打倒のためにも、必要な処置だと思ったまでです」
戦士「ふん。まぁ、確かにそうか」
賢者「とにかく、これで何の気後れもなく、北の城まで向かえるということです」
勇者「……? ねえ、何の話?」
賢者「大したことはありませんよ。それでは最後に、地図でおさらいをしましょう」

269 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/26(月) 23:51:23.18 ID:JOtdaiZe0
 
―――――――――【北の城】―――――――――
―――【雪山】―――――――――【渓谷】―――
【西の町】――――【魔王城】――――――【東の村】
―――【砂漠】―――――――――【賢者の村】―
―――――――――【南の港町】――――――――
 
賢者「我々は今まで、【北の城】からぐるりと時計回りに旅をしてきました」
賢者「もっとも私がパーティーに参入したのは【賢者の村】からですが」
勇者「今いるのがこの【西の町】でしょ。だったら雪山を越えたら、ちょうど一周するね」
商人「魔王城の周りは高い山、そして海……もはや空から乗り込むぐらいしかありませんな」
戦士「ルーラやキメラのつばさを応用して、乗り込めないのか」
賢者「不可能ですね。少なくとも、一度足を踏み入れなければ」
勇者「……うん、分かった。明日雪山に行って、そのまま北の城に行って」
勇者「いずれにも魔王城に乗り込む糸口が見つからなければ、南の港町からの陸路を使おう」

270 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/26(月) 23:51:53.14 ID:0aWeZ6Oh0
本当にクズしかいないな

271 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/26(月) 23:52:45.41 ID:JOtdaiZe0
勇者「それじゃ、今日はもう暗くなってきたし、解散――!」
――
勇者(……何だか熱を出してから、やけに胸の中がすかすかする気分。変なの……)
勇者(ううん、そんなこと気にしてる場合じゃない。明日は山越え、しっかり休まなくちゃ……)
――
戦士(この『伝説の剣』……やはり抜けぬ……)
戦士(ふん……仮に最後まで抜けなかったとしても……魔王を倒すのはこの俺だ……)
――
商人(いまの軍資金はこれだけ。魔王を倒しさえすれば、これを元手にもっと増やせる)
商人(その時の商戦はすでに考えてある……ぐふふ、世界一の大商人になる日は近いぞ……)
――
賢者(勇者様の、私を見る目が変わった……私に、確かな機会が与えられたのだ……)
賢者(あとは何があろうとも必ず勇者様を支え、お守りし、魔王を倒す)
賢者(それだけの箔がつけば、何者も口は挟めないだろう……そして、その暁には……)
――――

276 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/26(月) 23:53:29.11 ID:JOtdaiZe0
――――――――――――――――――――
【北の町>城下町>外れの小屋】
<夜>
僧侶「ふう……ただいま」
僧侶「おなかすいたな。パンを食べよう」
僧侶「パンふた切れにバターを塗って……あと少し野菜も」
僧侶「いただきます」
僧侶「ん……おいしい。しあわせ」
僧侶「ごちそうさま」
僧侶「さて……寝よっかな」
僧侶(……今日もたくさん特訓したぞ。僕、結構強くなったかも)
僧侶(そろそろギルドに登録してもいいかもしれない。そしたら、勇者も驚くかな)
*「――!」
僧侶「……ん? なんだろ」
僧侶(外が騒がしいな……行ってみよう)

279 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/26(月) 23:54:19.08 ID:6JxMU7Q80
魔王軍の進行で殺伐としてるだけかと
まあクズばっかだな
お前だよ賢者屑野郎てめぇぇぇ!!

280 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/26(月) 23:54:30.20 ID:HnDtwetW0
人間臭いパーティーだな

283 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/26(月) 23:54:53.21 ID:JOtdaiZe0
ガチャ
僧侶(なんの騒ぎだろう……)
盗賊「だからオレは何も盗ってねえって!」
兵士B「くそ……おかしいな、荷物には何もないぞ」
兵士A「おい、ボディチェックだ!」
盗賊「くっ……待て!」
盗賊「お前ら、そこまでオレを疑うってことは覚悟はできてるんだろうな!」
兵士B「何ぃ」
盗賊「この国は、ヨソ者の亡命にも慈悲深いと聞いてやってきたが――」
盗賊「夜中の出入りは禁止だなんて話、昨日の今日で知る機会がなかったんだ!」
兵士A「こいつ何日も隠れてた分際でよくもそんなデタラメを……」
盗賊「いいか、もしオレの身体を調べて何も出てこなかったら、お前たちを……」
盗賊「国を訴えてやる! 訴訟だ! それなりの賠償を要求してやるぞ!」
兵士B「お、おいどうする?」
兵士A「こんな露骨なその場しのぎにたじろいでお前がどうする! さぁ服を改めろ!」

285 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/26(月) 23:56:01.78 ID:JOtdaiZe0
僧侶「あのう……」
盗賊/兵士A/B「!?」
僧侶「もう夜中ですし、ケンカはやめませんか?」
兵士A「な、なんだお前は」
僧侶「僕は近くの小屋に住む者です。こんな時間に言い争うのは、つまらないからやめましょう」
盗賊「あっ! お、お前!」
兵士A「ま、待て! 逃げる気か!」
盗賊「違う! こいつだ、こいつがアレを盗んだんだ! そうに違いない!!」
僧侶「えっ?」
兵士B「何をでたらめを……」
盗賊「でたらめなんかじゃねえさ、見ろ、こいつのポケットの膨らみを」
盗賊「オレが証明してやる!!」
盗賊は 僧侶に かけよった! 
盗賊は 僧侶のポケットから オーブをとりだした! ▼
僧侶「えっ……?」

286 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/26(月) 23:56:41.87 ID:UBofX8it0
えっ……?

287 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/26(月) 23:56:42.52 ID:AFn1liMh0
またクズか

288 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/26(月) 23:57:00.88 ID:2sklbqmT0
ざけんなくずどもあああああああああ

289 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/26(月) 23:57:02.15 ID:JOtdaiZe0
兵士A「そ、それは!」
兵士B「そいつを早く渡せ!!」
盗賊「も、もちろんだ」
兵士は オーブをうけとった ▼
兵士A「間違いない……この珠の美しい色合い! 紛れもなく国宝のオーブ!」
兵士B「ああ、助かった……一時はどうなることかと思った……」
盗賊「そ、そんなにスゲーもんだったのか? お、お前もよく盗る気になったなぁ」
僧侶「えっ? 僕はそんな玉なんて知らないよ」
盗賊「嘘をつけ! 現にお前のポケットから出てきたのを、このお二人も見てたんだ!」
兵士A「うむ……まぁ、確かに」
兵士B「そこの少年、お前を城へ連行する! さぁ大人しくするんだ!」
僧侶「えっ? 今のは、そこの人がもともと持ってたのを、僕のポケットに入れたんだよ」
盗賊「出まかせを! どうせオレがヨソ者だから、濡れ衣を着せやすいって魂胆なんだろ!?」
兵士B「ええ……ど、どうする?」
兵士A「とにかく、二人ともひっ捕らえるんだ!」

290 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/11/26(月) 23:57:10.15 ID:kHaoGNpQ0
なんか腹立ってきた