魔法使い「え、えろ魔道士です…」
Part10


260 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2016/09/08(木) 02:15:09.95 ID:FheXZRzS0
…………
勇者「今日はここで野宿する」
魔法使い「あれ?確かにもう夕方ですけどまだ日も沈みきってないのに…珍しく足止めが早いですね」
ねこ「え!?なんでにゃす?もっと進むにゃ!」
ねこ(にゃーが生きてたら魔王がどんどん強くなっちゃうにゃす。だから少しでも早く魔王城に行って魔王を倒さないといけないのに…)

261 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2016/09/08(木) 02:15:49.68 ID:FheXZRzS0
勇者「落ち着け。…なんか最近のお前は変だぞ」
ねこ「にゃ…」
勇者「前にも言ったが、一度肩の力も抜け。今の狂戦士のような闘い方を続けていると近いうちに身体を壊すぞ」
ねこ「でも…だってにゃーは!」
勇者「?」
ねこ「分かった…にゃす…」
ねこ(にゃーが魔王の残党って言ったら…もう二人と一緒にいられなくなるにゃ。それだけは絶対に嫌にゃす)
勇者「しっかり休め。…俺はお前が心配なんだ」
ねこ「勇者様…」
魔法使い「わっ、私だって心配してますよ!」
勇者「そういうわけだ。今日は早めに休んで明日の朝早く起きればそれでいい」
ねこ「にゅん…」

262 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2016/09/08(木) 02:16:28.25 ID:FheXZRzS0
その日、保存食による晩飯を取った俺たちは日が沈みきるとすぐに寝た。
ねこ「にゃ…にゃ…」
ねこ「フッー!フッー!」
ねこ「にゅっ、にゅん…やぁ…」
ねこ(最近にゃーの中の魔王の魔力がどんどん強くなってるにゃ…このままじゃ本当に魔王がどんどん強くなっちゃうにゃ…なんとかして力の昇華を止めないとっ!)

263 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2016/09/08(木) 02:17:10.84 ID:FheXZRzS0
<嫉妬の原因を無くせばいいのにゃ>
ねこ(それは…そうにゃんだけど…)
<あの女を消せばいいのにゃ>
ねこ(なっ!?やめっ!やめるにゃあ!)
<あの女を消せば>

264 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2016/09/08(木) 02:17:48.23 ID:FheXZRzS0
ねこ(にゃ…?身体が…勝手に…魔法使いちゃんの方に)
魔法使い「ん〜…ゆーしゃさまぁ…いけません…むにゃ」
ねこ「にゃ、にゃ、にゃ」
ねこ(手が…魔法使いちゃんの首に…)
ねこ「ケス…ケス…ケス…」
ねこ「コロス…コロス…」
魔法使い「んにゅ…あれ…?ねこちゃん…?どうしたの…?」
ねこ(逃げ…て…)
ねこ「にゃあああああ!!!!」

265 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2016/09/08(木) 02:18:23.04 ID:FheXZRzS0
勇者「んっ…なんだ…?」

266 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2016/09/08(木) 02:19:23.96 ID:FheXZRzS0
魔法使い「んぐぁ…!?ね…ご…ちゃ…ん…??」
ねこ「にゃ…にゃ…」
魔法使い「ぐ…ぐる…じぃよぉ…やめ、で…やめで…よぉ…」

267 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2016/09/08(木) 02:19:57.25 ID:FheXZRzS0
ねこ「にゃにゃにゃ」
勇者「ねこ!」
魔法使いの首を絞めているねこを発見し体当たりをした。
ひとまず魔法使いからねこを離す。
ねこ「にゅんっ!」
魔法使い「ゲホッ!ゲホッ!うっ…おぇぇ…」
勇者「どうしたんだねこ!返事をしろ!」

268 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2016/09/08(木) 02:20:32.36 ID:FheXZRzS0
ねこ「…ユウシャサマ?」
勇者「っ!?」
勇者「お前…本当にねこなのか?」
鞘から剣を抜きねこに向けて構える。
魔法使い「!?ゆう、じゃざまっ!なにっ、やっでるんですがぁ!ごほっ…そこにいるのはねごちゃんなんでずよ!?」
勇者「分かっている!分かってはいるが…」
ねこ「フシュー!」
勇者(なんだこの尋常じゃない魔力…そして殺意は!?まるで…残党の連中みたいだ)
ねこ「フニャー!」
勇者(どうする!?どうすれば)

269 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2016/09/08(木) 02:21:13.01 ID:FheXZRzS0
ねこ「やめ、るにゃ」
ねこ「にゃはは…もう…だめみたいにゃすね…」
勇者「!?」
殺意に満ちた狂人のような顔から一瞬、いつもの穏やかで頼りになる俺たちの仲間、そんな、俺の知っている彼女の…哀しそうな微笑みが見えた。

270 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2016/09/08(木) 02:21:53.02 ID:FheXZRzS0
ねこ「ごめんにゃさい…」
ねこは俺に物凄い速度で接近する。
俺は反応できなかったわけではないが相手があのねこだったので剣を振ることができなかった。
ねこ「ちょっと借りるにゃす」
勇者「なっ!」
ねこは俺から剣を奪い取ると…
ねこ「にゃんっ!ぐっ…にゃ…ん…」
自らの腹にそれを突き刺した。

271 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2016/09/08(木) 02:22:28.14 ID:FheXZRzS0
魔法使い「ねこちゃん!?」
ねこ「ハァ…ハァ…ハァ…」
勇者「お前…一体何をしているんだ?説明してくれ!頼むっ!」
ねこ腹から剣を引き抜き倒れるねこを受け止め支える。
俺には何もかも突然なことで訳がわからない。
なぜねこは魔法使いの首を絞めていたのか。
なぜねこは自らの腹に剣を刺したのか。

272 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2016/09/08(木) 02:23:02.77 ID:FheXZRzS0
勇者「とりあえず回復魔法を使うぞ!話しはその後で聞かせてもらう!ヒー…んぐっ!」
何処にまだそんな力が残っているのか、ねこにかなりの力の手で口を抑えられた。
ねこ「ハァ…にゃーね…実は魔王の残党なんだにゃ…」
勇者「!?」
魔法使い「はぁ…はぁ…えっ…えぇ…!?ごほっ…」

273 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2016/09/08(木) 02:23:37.26 ID:FheXZRzS0
ねこ「にゃー…は…ゴホッ…!ゆーしゃ、さまと…魔法使い…ちゃんの…ことが…だいす…き…だから…ゴホッ!ゴホッ!ずっと一緒に…いたい…のにゃ…」
ねこ「で、も…だめなの…にゃ…たぶ、ん。ここからさき…も、きっ、とにゃーは魔法使いちゃんのこと…を…殺そうとしてしまうにゃ」
ねこ「うけいれたくにゃい…けど…きっと、それもにゃーの心の一部なのにゃ…にゃーは…そういうやつ…だから…だからまおうに、選ばれちゃった、のにゃ」
ねこ「にゃーは…みんなとずっと一緒に…いたいから…ずっと一緒にいるために…体はここに置いていくことにするにゃ…にゃーが死んでも…心はずっと繋がってるから…にゃーを許して欲しいのにゃ…」

274 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2016/09/08(木) 02:24:16.13 ID:FheXZRzS0
勇者(ふざけるなっ)
俺の口を塞ぐ手の力が緩んできた。
それを機に口から手を離せたがそれは同時にねこがもう危ない状態にあることを意味していた。
勇者「ふざけるなよねこぉ!ヒー…んむっ!?」
今度は手ではなく口で塞がれた。
ねこ「んっ…んちゅ…ちゅっ…」
鉄っぽい味が口の中いっぱいに広がる。
それはねこの…命の味…。

275 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2016/09/08(木) 02:25:05.99 ID:FheXZRzS0
勇者「んはっ…ね、こ?」
ねこ「にゅふふ…スキンシップは…」
ねこ「た、い、せ…つ…にゃ…」
俺に抱きついていた腕はスルリと力なく落ちた。

276 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2016/09/08(木) 02:25:34.52 ID:FheXZRzS0
勇者「ね…こ…嘘だろ?」
魔法使い「ごほっ…ねこ…ちゃん…?」
勇者「ヒール!ヒール!」
何度も回復魔法を使った。
使えなくなるまで使った。
俺の精神が擦り切れそうになるまで。
しかしもう、俺の腕の中で安らかに眠る彼女から生命の鼓動は感じられなくて…

277 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2016/09/08(木) 02:26:15.81 ID:FheXZRzS0
勇者「嘘だと…嘘だといってくれ…ねこ…」
魔法使い「そんな…そんな…うぅ…ねごちゃん…」
勇者「ねこ…ねこ…」
勇者「ねこおおおおおお!!!!!」

278 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2016/09/08(木) 08:03:23.58 ID:lnSafKZH0
ねこちゃん…

279 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2016/09/08(木) 14:53:09.90 ID:0llLLTcHO
脱皮して新しい猫ちゃん本当はいるんでしょ…
亡くなったのは脱皮の脱け殻で魔力が少し残ってたから話せてましたみたいにさ

280 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2016/09/08(木) 15:28:10.55 ID:qKB9hPJuO
普通に戦力として惜しい

281 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2016/09/12(月) 11:58:47.32 ID:OVGww3LJ0
詰んでない?

283 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2016/09/21(水) 03:51:21.55 ID:X1nbjFrK0
魔法使い「ねごちゃん…うぅ…」
勇者「くそっ…くそっ…!」
ねこが悩んでいたのに気づいてやれなかった自分への怒りか、勝手に一人でいってしまったねこに対しての怒りか、はたまたねこを悩ませる原因を作った魔王に対してのの怒りか。
何に対しての怒りなのか分からないまま行き場のない怒りが拳の先に伝うのを感じてひたすら地を殴った。

284 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2016/09/21(水) 03:52:10.96 ID:X1nbjFrK0
魔法使い「勇者様…」
魔法使い(あの勇者様が今までにないくらい取り乱してる…)
勇者「どうして…どうしてなんだねこ…俺は、どうすればよかったんだ。なんでそんな風になるまで俺に何も言ってくれなかったんだ…」
魔法使い(泣いてる場合じゃない)
魔法使い(私が、ねこちゃんの分まで勇者様を支えてあげないと)
魔法使い「勇者様」
勇者「!」
後ろから、ささやかな温もりがそっと俺を包んだ。

285 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2016/09/21(水) 03:52:49.96 ID:X1nbjFrK0
魔法使い「本当に悲しいときは…泣いてもいいんですよ?」
勇者「っ!離れろ!別に俺は悲しいわけでは…」
魔法使い「肩…震えてますよ。こんなに近くにいるんだから分かっちゃいますよ」
勇者「何をっ!」
魔法使い「悲しくないわけないじゃないですか!わだしだって…ほんどは…うそだって思いたいでずよ!」
勇者「……」
魔法使い「これは何かの悪い夢で、また目が覚めたらいつものねこちゃんがいて、三人でまた魔王城を目指して歩いてって…思いたいでずよぉ!」
魔法使い「でも…これは夢じゃないんですよね。そう、とても悲しい現実なんですよね」
勇者「やめろっ!」
魔法使い「私たちはねこちゃんの思いも背負って…前に進まないといけないんです…」
勇者「そんなことは分かっている!馬鹿にするなよクソ魔道士!」

286 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2016/09/21(水) 03:53:37.19 ID:X1nbjFrK0
魔法使い「でも今は辛いんですよね…分かります。だから辛さはここに置いて行きましょう。大丈夫です。ねこちゃんは心はずっと繋がったまんまだって言ってくれましたから…」
勇者「…どこに置けばいい」
魔法使い「私が全部受け止めてあげますよ。今だけじゃありません。これからもねこちゃんの分まで私が勇者様を支えますから」
勇者「ふっ…相変わらず笑わせる。攻撃魔法も使えないお前がか?」
魔法使い「はい。頑張ります」
魔法使い「勇者様最初に『お前を連れて行って俺に利はあるのか?』って私に聞きましたよね」
魔法使い「だから私が勇者様の隣にいて勇者様にとってプラスになることをいっぱい作りたいんです。…ありますって言っちゃいましたしね」
魔法使い「私は…勇者様のことが大好きですから…」
勇者「!!」

287 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2016/09/21(水) 03:54:32.44 ID:X1nbjFrK0
勇者「…そう、か。ならここに全て置いて行くとしよう。前に進むために。ねこに胸を張れるように」
魔法使い「はい。どうぞ私の胸を借りて下さい」
勇者「いや…それはだな…」
魔法使い「やっぱり恥ずかしいですか?」
魔法使い「ふふっ。なら緊張を解いて差し上げましょう」
魔法使い「…テンプテーション」
勇者「!」
俺は魔法使いの方を向き彼女の胸に顔を埋めた。
勇者「これは魔法のせいだ」
魔法使い「はい」
勇者「これから起きる出来事は後で全て忘れろ。いいな」
魔法使い「はい」
勇者「本当だろうな?」
魔法使い「……」
勇者「まぁ…いい…くっ…うぅ…」
勇者「ねご…すま、なぃ…魔法使い…感謝する…」
勇者「うぅっ…」
魔法使い「……」

288 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2016/09/21(水) 03:54:59.94 ID:X1nbjFrK0
魔法使い(ねこちゃん。ごめんなさい…今の私、すごくずるいですよね)
そんなことないにゃすよ
魔法使い「!」
魔法使い(あはは…私すっごく嫌な子だな…自分を正当化するために幻聴を聞くなんて…)
魔法使い「うっ…うぅ…うぇ…」

289 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2016/09/21(水) 03:55:28.64 ID:X1nbjFrK0
ねこちゃん…ありがとう…

290 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2016/09/21(水) 03:55:58.16 ID:X1nbjFrK0
数日後、本格的に近くなってきた魔王城を前にして俺たちは魔獣にすら手こずっていた。
勇者「ハァ、ハァ…やっと片付いたか」
魔法使い「はぁ、はぁ…ただのファングもすごく強くなってますね…」
勇者「ああ」
魔法使い「あっ」
勇者「!」
突然魔法使いがふらつき前に倒れこんだ。

291 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2016/09/21(水) 03:56:48.64 ID:X1nbjFrK0
勇者「おいっ!大丈夫か!?しっかりしろ!」
魔法使い「はぁ…はぁ…はぁ…」
彼女の額に手を置くと人肌にしてはかなりの熱が伝わってくる。
勇者(ねこがいない分今まで以上に過酷な戦闘と連続の魔法詠唱に疲れたか。無理もない)
とりあえず回復魔法を使い、彼女の疲労回復を試みる

魔法使い「んっ…あぁっ…だ、めぇ…」
勇者(全く効果がないだと!?)
勇者(その上にいつものこいつよりさらに強大な魔力を感じる)

292 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2016/09/21(水) 03:57:38.56 ID:X1nbjFrK0
勇者(これはあの時のねこから感じた魔力と同じ…まさか…いや、そんな馬鹿な…)
魔法使い「はぁ…勇者様…すみません…立てそうにないです…」
勇者(ここで休んで行きたいところだがその間にまた魔獣が来ては本末転倒だ。ここでは症状の回復が見込めない以上どこか宿のある場所を探すしかない…だかこの辺りに村は…地図を見る限りではなさそうだな)
勇者(…山小屋のようなものを探すしかないか)
勇者「ここは危険だ。移動するぞ」
魔法使い「は、はぃ…がんばります…」
勇者「背負ってやる。乗れ」
魔法使い「え…でも…」
勇者「さっき立てそうにないと言ったのはお前だろう。いいから乗れ」
魔法使い「は、はい。では失礼します」
魔法使いを背に再び歩き出す。
安息の場所を求めて。

293 :以下、名無しにかわりましてSS速報Rがお送りします :2016/09/21(水) 03:58:08.37 ID:X1nbjFrK0
魔法使い「はぁ…はぁ…すみません…いっぱいいいこと作るって言ってたのに…早速迷惑かけちゃいましたね…」
魔法使い「えへへ…勇者様の背中、大きくて温かいです…」
勇者「黙っていろ。楽じゃないなら喋るな。寝ろ」
魔法使い「優しいんですね」
勇者「随分とよく喋るな。本当は大丈夫なんじゃないのか?」
魔法使い「いえ…なんだか少し…頭がふわふわしています…」
勇者(熱の症状のせいか?それともこのさらに強大になった魔力が何か関係しているのか?)

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