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少女「おにぎり食べる?」勇者の剣「食えん」
Part5


103 :以下、名無しが深夜にお送りします:2016/03/02(水) 20:37:10 ID:MiWglOQI
少年「あの」
商人「なんだ?」
少年「なんですかこれ」
商人「メイド服だ」
少年「おかしいですよね……?少女ちゃんが前に着てたやつですよねこれ……?」
商人「そんなことはないぞ。パーティに行ってみろ。メイドさんがいっぱいいるはずだ」パシャパシャ
少年「撮らないでください!!!」
少女「でも、かわいいよ?」
少年「えっほんと?……じゃないです!これは恥ずかしいですよ!というかメイドさんと紛らわしいですよ!」
商人「ちぇーっ。わかったよ。タキシードとかあったかなぁ……」

104 :以下、名無しが深夜にお送りします:2016/03/02(水) 20:47:57 ID:MiWglOQI
…………
少女「ということでパーティのために商人さんにドレスを借りたんです!」
鍛冶屋「そっか。……似合ってるな」
少女「えへへ、ほんとですか?えっと、さくらんぼは今持ってないや……」
鍛冶屋「さくらんぼを配ってるのか?……俺のやったリボンも着けてるんだな。よく似合ってる。いつかドレスも作ってみたいな」
少女「マゼンタ色の、ですか?」
鍛冶屋「いや、あの色はアクセントに使うから良いんだ。全体としては淡い寒色でまとめて……白も混ぜ込むといいかもしれないな。それに胸の部分のリボンにマゼンタを使ってアクセントにする……あたりがいいんじゃないか?」
少女「……見てみたいです!……いや、着てみたいです!」
鍛冶屋「ははっ。最初のドレスは少女に着せてやるよ」
…………
眼鏡「……会話が、きらきらしてる」
少年「混ざり……にくいね……ドレスやタキシードで踊れるか見て貰いに来たのに……すごく言い出しづらい……」

105 :以下、名無しが深夜にお送りします:2016/03/02(水) 20:56:01 ID:MiWglOQI
…………
鍛冶屋「うん、まぁ恥はかかないんじゃないか?パーティには初心者もそれなりにはいるだろうしな。なにより、上手いやつが相手ならある程度エスコートしてくれるさ」
少年「ダンスって……見た目より体力使うよね……」ハァハァ
少女「これも……勇者になるためだよ……」ハァハァ
少年「ぼくは……別に勇者を目指してるわけじゃないんだけどね……」ハァハァ
眼鏡「…………」
少年「眼鏡ちゃんは余裕そうだね……」ハァハァ
眼鏡「……プファッ……だめ。疲れた」ハァハァ
少年「……息を我慢してごまかしてたんだね…………」ハァハァ
少女「みんな……明日は!がんばろー!」
少年「回復が早い……元気だね……」ハァハァ
少女「そこはおー、だよ!おー!」
眼鏡「……おー」ハァ

106 :以下、名無しが深夜にお送りします:2016/03/02(水) 22:30:18 ID:85Aw8r6w
少女「わぁ……なんというか……すごい人達ばっかりだよ!」
少年「うん、なんというか、今までで一番の場違い感だね……」
眼鏡「……大丈夫」
ドンッ
女「きゃっ」
少女「わっ」
女「いてて……ごめんなさい。大丈夫?」
少女「いえ。こちらこそ。大丈夫です。大丈夫ですか?」
女「ふふっ、大丈夫。お嬢さん、かわいいドレスね」
少女「ありがとうございます!お姉さんのドレスも綺麗ですよ」
女「君たちはお友達かな?今日は楽しんでいってね」
少年「は、はい!」
眼鏡「……」ペコリ

107 :以下、名無しが深夜にお送りします:2016/03/02(水) 22:36:44 ID:85Aw8r6w
女「えっと、ところで君たちが少女ちゃんとそのお友達かな?」
少女「はい!そうです!」
女「そう!あなた達が!ずっとずっと、一度会ってみたかったの!思ってたよりずっとかわいいわ!」ギュー
少女「え?そ、そうですか?えへ、えへへ」
女「だって……そう!お姫様みたい!」
少女「えへへ……お姫様もいいかなぁ……」
少年「少女ちゃんの信念が揺らぎつつあるよ……」
眼鏡「……お姫様はロマン」
女「ふふっ。君たちも面白いね。お名前は?」
眼鏡「……眼鏡」
少年「少年です!よろしくお願いします」

108 :以下、名無しが深夜にお送りします:2016/03/02(水) 22:50:09 ID:85Aw8r6w
女「えっと……お薬のときも、このティアラのときも、街の盗賊を捕まえたときも君たちが頑張ってくれたんだよね。お城でも噂はよく聞いたよ。そうだ、私はーー
司会「レディイィィィイイイイスエェェェエエンジェェェエエエントルメェェエエエン……今日はさらにさらにぃ!!!!ボォォオオイズエェェエエエン!!!!!!ガァアアアアアルゥズ!!!!アーユゥレディッ?開会式を始めるぜぇぇぇ!!!!イェエアアアア!!!」スポットライトパシャアアアア
女「ふふっ、少し待った方が良いみたいね」
少年「司会さん、テンション高いね……」
司会「イェエアアアア!!!イェエアアアア!!!さぁて!まずは!!!!我が街の王からの挨拶だ!イェエアアアア!!!」
王「ふぉっふぉっふぉっ……今日は皆のもの、集まっていただいて、ありがとうの。例を言うぞ」スポットライトパシャアアアア
パチパチパチパチ……
女「お父さん、もう何年も同じ挨拶なのよ」コソコソ
少女「……え?」
司会「そしてぇぇぇえええ!!!今日はなんとなんとぉ!!!お姫様も来てくださっているぜぇぇええええ!!!!イェエアアアア!!!」
スポットライトパシャアアアア
姫「ふふっ……」ペコリ
パチパチパチパチ……
「「……え?」」

109 :以下、名無しが深夜にお送りします:2016/03/02(水) 22:58:16 ID:85Aw8r6w
…………
少女「お姉さん、お姫さまだったんですね!かわいい!かっこいい!」
姫「ふふっ、ありがとう。私、魔法を習いたくて、いつもは北の方の学校に引き込もってこっちにいないんだけどね。たまたま城に帰ってきたら兵士のみんながあなたたちの話題で持ちきりで!興味が止まらなくてつい招待状を出しちゃった」テヘペロ
少女「え?じゃあ私たちを招待してくれたのは……」
姫「うん、私。今日は来てくれてありがとう!」ギューッ
少女「うぇへへ……」
少年「僕たち、お姫様とこんなにフレンドリーに話してて大丈夫なんですか……?」
姫「ふふっ。大丈夫だよ。お話がしたくて呼んだんだからね」

110 :以下、名無しが深夜にお送りします:2016/03/02(水) 22:59:07 ID:85Aw8r6w
司会のやつ……テンション上げすぎてエクスクラメーションマークが……文字化けしてやがるぜ……。

111 :以下、名無しが深夜にお送りします:2016/03/02(水) 23:06:05 ID:85Aw8r6w
姫「唐突だったと思うけれど、いきなり招待しても大丈夫だったかな?」
少女「大丈夫です!ダンスの練習もばっちりです!」
姫「……へ?ダンス?練習したの?あははっ。いいね」
少年「……もしかしてこのパーティ、ダンスないんですか?」
姫「あはは、あることにはあるよ。任意参加だけどね。練習までしてくれるとは思わなかったや。お手紙でも添えておけばよかったかなぁ。ごめんね」
眼鏡「……任意……参加……」
少女「練習は楽しかったから……大丈夫だよ……良い経験だよ……勇者には近づいてるよ……」
少年「近づいてかなぁ?」
姫「ふふふっ、やっぱり君たち面白いね!せっかく練習してきてくれたのなら私、みんなのダンス見てみたいな。……でも三人かぁ。ええと……そうだ!私と一緒に踊らない?」
少女「えっ……!」チラッ
少年「……」コクッ
眼鏡「……」コクッ
少女「それじゃあ、お願いします!」

112 :以下、名無しが深夜にお送りします:2016/03/02(水) 23:11:43 ID:85Aw8r6w
…………
姫「えっほんとに一時間であそこまで踊れるようになったの?」
少女「がんばりまひた!」パクパク
少年「少女ちゃん……食べながら喋るのはダメだよ……」
少女「ひょーねんくんもひゃへてみなよ!すっほくほいひいよ!!!」パクパク
姫「あはは、練習すごく頑張ったんだね。とても上手だったよ。私はそんなに上手じゃないから、すぐに追い抜かれちゃいそう」
眼鏡「……お姫様も、綺麗だった」
姫「そう言ってくれるのは素直に嬉しいなぁありがとう!」ギューッ
眼鏡「……えへへ」
少年「みんながお姫様のハグに懐柔されていく……」

113 :以下、名無しが深夜にお送りします:2016/03/02(水) 23:20:18 ID:85Aw8r6w
…………
姫「ところで少女ちゃん、勇者を目指してるの?」
少女「はい!」
姫「ふぅーん……勇者かぁ……。うちの街、今年は……今年も、かな。まだ一人も冒険者申請していないはずから少女ちゃんを推薦してもいいよ?」
少年「えっ、冒険者申請!?」
少女「冒険者?」
少年「街は毎年、魔王に対抗する部隊として何人かを冒険者として認可することができるんだ」
少女「えぇと?」
少年「つまりね、冒険者になれば世界中どの街にも出入りできるようになる証明書を貰えるんだよ!いろんな街が冒険できるようになるんだ!」
少女「えっと……なんか、スケールが大きい!」
姫「あはは、うちの街は魔界から遠いぶん魔物の被害も少なくてあんまり冒険者は生まれないからほとんど名ばかりの制度なんだけどね」

114 :以下、名無しが深夜にお送りします:2016/03/02(水) 23:26:18 ID:85Aw8r6w
眼鏡「……勇者に冒険者証明は必須」
少女「へぇ……冒険者……」
姫「どうする?お父さんに話を通しておこうか?」
少女「えっと……少し、待ってもらっていいですか?」
少年「えっ」
姫「あはは。そうだよね。すぐには決められないよね。」
少女「明日!明日、また返事をします!」
姫「うん、待ってるよ。門番には話を通しておくね」

115 :以下、名無しが深夜にお送りします:2016/03/02(水) 23:31:44 ID:85Aw8r6w
……
…………
〜夜、丘にて〜
剣「……む。どうしたのだ、少女。こんな時間にこんなところに。危ないぞ」
少女「えへへ……パーティも終わったから……来ちゃった」
剣「……楽しかったか?」
少女「うん。とっても、とってもとってもとっても、楽しかった。お姫様とも仲良くなれたんだよ。一緒に踊ったんだ」
剣「それは、よかったな」
少女「ツルギさんも来ればよかったのにぃ」
剣「私はここから動けないからなぁ」
少女「……嘘つき」
剣「本当だ」

116 :以下、名無しが深夜にお送りします:2016/03/02(水) 23:39:21 ID:85Aw8r6w
少女「私、ツルギさんと会って勇者になりたいと思ったんだ」
剣「知っておる」
少女「ツルギさんと会って、勇者になりたいと思った。勇者になるために剣が強くなりたいと思ったから、少年くんと知り合って。勇者になるために魔法が使えるようになりたいと思ったから眼鏡ちゃんや商人さんと出会った。……きっと、全部全部私とツルギさんが出会ったから出会えたと思うの」
剣「それは違うぞ、少女が少女だから、会えたんだ」
少女「ううん。やっぱり、私はツルギさんと出会えたからここまで色々な人と出会えたんだよ。それだけじゃないよ。今日のパーティもそうだし、街でもそう。いろんな人が私に話しかけてくれるんだよ。私ね、それがとってもとってもとっても、嬉しいんだ。私は全部、全部ツルギさんのおかげだと……ツルギさんとの出会いのおかげだと思うの」
剣「そうか……なんというか、こそばゆいな……」
少女「……ねぇ、ツルギさん」
剣「どうした?」
少女「星、綺麗だね」
剣「うむ。ここは街より灯りが少ないからな」

117 :以下、名無しが深夜にお送りします:2016/03/02(水) 23:54:47 ID:85Aw8r6w
少女「私、ツルギさんと出会っていろんなことを知ったよ。まだまだ強くないかもしれないけれど少年くんのおかげで剣が使えるようになったし、眼鏡ちゃんに教えてもらって魔法も少しは使えるようになったし、商人さんもときどき薬草の話をしてくれるんだ」
剣「いいことだな」
少女「でも、知らないこともできないこともいっぱい。この街の外のことはなんにも知らないし、まだまだ知らない魔法も薬草もいっぱい。ここから見える星空がこんなに綺麗だなんてことも知らなかった」
剣「……知らないことは恥ではない。ゆっくり知ってゆけばよい」
少女「今日、お姫様に冒険者になるかどうか、聞かれたんだ」
剣「ほう、冒険者か……」
少女「私、外に行けばもっともっといろんなことがわかるようになるのかな?いろんなものを知れるのかな?」
剣「それは、そうだろうな。外の世界は広い。……しかし勇者になるのとは別の話だ」
少女「……へ?」
剣「確かに外に出れば少女は色々なものを知ることができるだろう。確かにそうやって私を抜いた勇者も数多くいた。……しかし過去には全くなにも知らず、ただひたすらに剣術だけを磨き上げ、私を抜いたものもおる。まだつぼみであっても才覚だけを持ってして私を抜いたものもな。……一重に勇者を目指す道に正解などはない。ならば、大事なのは後悔のないように、自分の進みたい道を信じて歩んでいくことだと、私は思うぞ」
少女「……えへへ、ツルギさんの言ってることは長くてよくわかんないや」
剣「話しがいのないやつだ。……まぁ少女は難しいことを考えずに選びたい道を選ぶのがよいという話だ」
少女「はぁーい。……もう少し星見てていい?」
剣「……好きにしろ」

120 :以下、名無しが深夜にお送りします:2016/03/03(木) 00:03:49 ID:NkUAXnH2
…………
〜翌日、城にて〜
少女「おはようございます!」
姫「おっ。来たね!」
王「ふぉっふぉっふぉっ。お主が少女か」
少女「えっ!えっ!?王様!お、おはようございます!」
王「ふぉっふぉっふぉっ、かしこまらなくてよいよい。娘から話は聞いておる。ワシも興味があっての。勇者を目指しておるのじゃろう?」
少女「それなんですけど……私、嘘ついてました!!!!」
王「嘘……?」
少女「私、友だちとずっと一緒にいたいだけだったんです!……そのために勇者にならなきゃだめなんですけど!えっと……それで、勇者を目指すために色々しているうちにずっと一緒にいたい人が増えてって!……ってあれ?私、やっぱり勇者を目指してますね……えっと……」
姫「ふふっ……やっぱり少女ちゃん面白いね!」
少女「えっ?えっ?えっと!その!とりあえず!やっぱり私、この街を離れたくは、ないんです!」
王「ふむ。なるほどの」
姫「ねぇ、そのお友だちって森の方角に刺さってる剣?」
少女「えっ……」

121 :以下、名無しが深夜にお送りします:2016/03/03(木) 00:10:02 ID:NkUAXnH2
姫「ははっ、そんなに怯えなくても撤去とかはしないって。兵士達の噂で聞いたんだよ。やっぱり本当なんだ。喋る剣」
少女「えっと、はい……あ!でも他の国に言ったりとかも……」
姫「うんうん、言わない言わない!兵士にも口止めしておくよ!」
王「ふぉっふぉっふぉっ……その剣がお主の友、というわけか」
少女「おかしな話ですけど……そうなんです。友だちというか、恩人……恩剣?というか、とにかく、とてもとても、大事な友だちなんです」
姫「ふむ。なんだか興味湧いてきちゃったな。私今度会いに行ってみようかなぁ」
少女「ぜ、是非!」

122 :以下、名無しが深夜にお送りします:2016/03/03(木) 00:16:37 ID:NkUAXnH2
王「……いつか、その剣を抜いたときはお主も冒険に出るのであろう?」
少女「えっと……はい、なくした元の木勇者さんのところに届けてあげたいです!」
姫「勇者に渡すとお別れなのに?……というか抜いた時点で勇者は少女ちゃんになるんじゃ……?」
王「ふぉっふぉっふぉっ……勇者の武具と勇者は惹かれ合うのではなかったかね?ならば届けずとも自ずと出会うことになろう」
少女「えっと……勇者は私になるのかな……?えっと、とりあえず、私、いてもたってもいられなくて!できることはやってあげたくて!」
姫「あははっ、お父さん、やっぱり面白いでしょ?」
王「ふぉっふぉっふぉっ。不器用なりに一生懸命なのはよく伝わってくる。……よろしい。ならば、私らはいつでもお主が冒険者になれるよう準備はしておく。時がきたら来るがよい」
少女「えっと……ありがとうございます!」

123 :以下、名無しが深夜にお送りします:2016/03/03(木) 00:17:09 ID:NkUAXnH2
元の木勇者ってなんや……木、いらない……

124 :以下、名無しが深夜にお送りします:2016/03/03(木) 00:19:54 ID:NkUAXnH2
…………
少女「えっと、その、ありがとうございました!」
ガチャッ
姫「お父さん、少女ちゃんがほんとにあの剣を抜けると思ってるの?」
王「ふぉっふぉっふぉっ……さぁな。抜けるかもしれんし、抜けんかもしれん。……ただ、そうだな。賭けるならば私は抜ける方に賭けてみたい、といったところかの」
姫「なるほど、それならわかるかも」

125 :以下、名無しが深夜にお送りします:2016/03/03(木) 00:22:06 ID:NkUAXnH2
途中で気づいたものだけ指摘しましたが、なんだかいつもより長めになったからか誤字脱字酷そうです!ごめんなさい

129 :以下、名無しが深夜にお送りします:2016/03/03(木) 12:22:12 ID:heDqPUkY
【第11話】
ザワザワ……キャーッ……ガヤガヤ……
少年「なんだかまた騒がしいね?どうかしたの?」
商人「いつかこの日が来るんじゃないかとは思ってたんだがな」
眼鏡「……街の付近に魔物が現れたらしい」
商人「少女も危ないからしばらくはツルギさんのとこには行かない方がいいかもな」
少女「えーっ!寂しいなぁ……」

130 :以下、名無しが深夜にお送りします:2016/03/03(木) 12:25:58 ID:heDqPUkY
少女「魔物ってあんまり見たことないなぁ……あ、でもスライムは見たことあるかな?今いるのはどんなのなの?」
眼鏡「……今回目撃されたのは、ペリュトン」
少年「ペリュトン?」
商人「怪鳥だよ。シカに羽根が生えたようなやつだ」
少年「あんまり強くはなさそうですね」
商人「まぁ、単体ならそうなんだがな」
眼鏡「……ペリュトンは、群れを作る」
商人「目撃されたのは一体だけらしいが、複数うろついてると考えるのが自然だろう」

131 :以下、名無しが深夜にお送りします:2016/03/03(木) 12:30:19 ID:heDqPUkY
少年「その、ペリュトンというのは人を襲うんですか?」
商人「あぁ、襲う。あいつらは自分の影を持っていない。そこでら人を殺すことで影を得るんだ」
少年「影?ですか?」
眼鏡「……影は、魂と同義」
商人「地域によっちゃ人様の影を踏んではいけない、とか言うとこもあるしな」
少女「私の影にも魂が宿っているのかな?」
商人「宿っているのさ、きっとな」

132 :以下、名無しが深夜にお送りします:2016/03/03(木) 12:30:54 ID:heDqPUkY
そこでだ……。だ……。

133 :以下、名無しが深夜にお送りします:2016/03/03(木) 12:38:36 ID:heDqPUkY
少女「……よし!」
商人「"倒しに行こう!"とか言うんじゃないぞー」
少女「うぇ、わかっちゃう?」
眼鏡「……少女は、単純」
少女「むー。でもみんなを困らせてるんでしょ?だったら!」
商人「きっと今頃城の方で騎士隊のやつらが準備してる。こういうときのための騎士隊だろ?」
少女「むー。でもー。ほら、私だって鍛えてるし!冒険者にだってなれるんだよ!」
商人「今では魔界に近づきすぎなければ街と街の間には安全なルートも舗装されてるからな」
少女「むぅ……」
商人「まぁ、確かに少女は頑張ってるからな。ペリュトンと対峙しても勝てるだろう。少年君も剣があれば数体相手なら十分戦える。それは一対少数の話だ。今のところ何体いるかもわかっていないんだ。群れを相手にするのは危険すぎる。そういうことなんだ」
少女「うぅ……わかったよ……」