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少女「おにぎり食べる?」勇者の剣「食えん」
Part4


75 :以下、名無しが深夜にお送りします:2016/03/01(火) 20:31:52 ID:c08EA3Aw
怪盗「さぁて、じゃあフェンリルにしようか。一番かわいいと思うよ。せめてもの情けだ。感謝しなよ」カチャッ
盗賊「ヒィッ……親分!」
親分「…………仕方あるまい」
怪盗「覚悟はできたみたいだね。それじゃあ……」キィッ
眼鏡「ダメ」パシッ
怪盗「……ジャマしないでおくれよ」
眼鏡「……この辺りの魔力の均衡は魔族がいない状態で保たれている。召喚魔法は容易に使うべきじゃない。それに……」チラッ
盗賊「……なるほどね。確かにあの子の前でこんなことはできないな」
眼鏡「……」スッ
盗賊「……なーんてね」パァン!パァン!
眼鏡「……!」

76 :以下、名無しが深夜にお送りします:2016/03/01(火) 20:36:47 ID:c08EA3Aw
…………
親分&盗賊「……スゥ……スゥ」
少女「怪盗さんが銃を撃ったときはびっくりしたよぉ」
少年「心臓が止まるかと思った……」
怪盗「元から睡眠針しか撃つつもりはなかったんだけどね……いてて」
眼鏡「……驚かせる方が悪い」
少年「あの後怪盗さん、眼鏡ちゃんにタコ殴りにされてましたもんね」
怪盗「……ほら、敵を欺くならまずなんとやらってゲフッやめて眼鏡ちゃんもう殴らなゲフッ」
眼鏡「……」バスッバスッ
少年「眼鏡ちゃん……ぼく達はもう大丈夫だからその辺りでやめてあげて……」
眼鏡「……私が一番びっくりした」バスッバスッ
怪盗「ゲフッ……ゲフッ……」

77 :以下、名無しが深夜にお送りします:2016/03/01(火) 22:37:43 ID:c08EA3Aw
【第8話】
少年「パーティの招待状?」
少女「お城の騎士の人が私のおうちに来て渡してくれたんだ」
剣「少女は王族に知り合いがいるのか?」
少女「うーん。いないと思うけど」
少年「ほら、この前に盗賊を捕まえたでしょ。それが王様の耳に届いたんじゃないかな」
剣「そういえばあの盗賊らは少女の手柄になっているのだったか」
少年「流石に怪盗さんが堂々と手柄を打ち立てるわけにもいかないからね」
眼鏡「……これ、"友達も是非"と書いてある」
少女「そう!それなんだ!私、一人じゃ心細いからみんな来てくれないかなぁって!」
剣「私は行かんぞ」
少女「えーっ。おにぎりとかいっぱいあるよ?たぶん」
剣「食えん」

78 :以下、名無しが深夜にお送りします:2016/03/01(火) 22:43:02 ID:c08EA3Aw
少年「少女ちゃんっていつも何か食べてるよね」
少女「今はなにも食べてないよ!」
眼鏡「……その小脇に抱えてるものはなに?」
少女「さくらんぼ!あっ食べる?」
少年「八百屋さん……旬の果物も変わったのかな」
眼鏡「……もう夏」
少女「暑いのはやだなぁ。でもスイカとか美味しいし、海にも行きたいね!……じゃなくて!パーティだよ!」
少年「お城のパーティ、ぼくは行ったことないんだけどダンスとかないのかな?ぼくは踊れないよ?」
眼鏡「……私も無理」
少女「仕方ないね……これも勇者になるための修行だよ……」
少年「もうダンスを練習していくのは決定なんだね……」

79 :以下、名無しが深夜にお送りします:2016/03/01(火) 22:45:02 ID:c08EA3Aw
少年「そもそもぼくら誰も踊れないわけだけど……どうやって練習するの?」
少女「ツルギさん」
剣「踊れん」
少女「だよねぇ」
少年「商人さんはどうかな」
眼鏡「……踊っているところは、見たことない」
少年「期待薄かぁ」
少女「当たって、砕けろだよ!聞いてみよう!」
剣「砕けてはいけないのだがな」

80 :以下、名無しが深夜にお送りします:2016/03/01(火) 22:49:03 ID:c08EA3Aw
…………
商人「へ?ダンス?ムリムリ」
眼鏡「……やっぱり」
商人「はいそこ、やっぱりとか言わないの」
少年「全滅じゃない?」
少女「怪盗さんはどうかな!?なんか踊れそうじゃない!?」
眼鏡「……最近、見ない」
少年「そういえばそうだね。どこかに行っちゃったのかな」
商人「眼鏡がタコ殴りにしたはらひゃにゃいひゃ?……いはいいはい!やめへ!」
眼鏡「……」ムニムニ
少年「眼鏡ちゃん、商人さんのほっぺたをつまむのはやめてあげて……」

81 :以下、名無しが深夜にお送りします:2016/03/01(火) 22:56:09 ID:c08EA3Aw
少女「もういっそ私達の躍りを作り出していけばいいんじゃないかな」
少年「少女ちゃんはいったいどこを迷走してるの」
眼鏡「……八刀流ほどでは、ない」
少年「それはやけでやってるわけじゃないからね」
商人「もう街ではすっかり曲芸師の坊やで伝わるようになってるがな」
少年「えっ……さっ、最近では浮遊魔法で八本の剣をある程度自由に動かせるようになってるんですからね!」
眼鏡「……八本持つ意味は?」
少年「……強そうでしょ?」
商人「やっぱり曲芸だな」

82 :以下、名無しが深夜にお送りします:2016/03/01(火) 23:00:22 ID:c08EA3Aw
商人「さてと、ダンスだっけか?確か薬屋のおじさんの息子が踊れると聞いた気がするな」
少女「薬屋さん……?息子さんいたんだ!」
商人「あんまり仲良くはないらしいけどな」
少年「引き受けてもらえるのかなぁ?」
商人「アテがないよりはマシじゃないか?」
少年「まぁ、確かに」
眼鏡「……もう少女は行っちゃったよ」
少年「えっ!?ほんとだ、いない!」

83 :以下、名無しが深夜にお送りします:2016/03/01(火) 23:08:32 ID:c08EA3Aw
…………
薬屋「おう、少女じゃないか。……それに少年……と、そこのお嬢さんは見ない顔だな」
眼鏡「……眼鏡」クイッ
薬屋「おう、よろしくな。で、何の用だ?」
…………
薬屋「ははぁ。パーティか。それで息子に、ねぇ」
少年「厚かましいお話ですが……」
薬屋「まぁこの街は少女に助けられてるからな。それくらいはどうということもないさ。ただ……」
…………

84 :以下、名無しが深夜にお送りします:2016/03/01(火) 23:11:32 ID:c08EA3Aw
…………
カキィンッ!……カキィンッ!……
少年「"息子の居場所は教えてやるが、話までは通せない"ってことで地図だけ貰ってきたけど……ほんとにここ?」
眼鏡「……街の隅の隅の、隅」
少女「なんだかすごい音がするね」
少年「これは……剣を打つ音じゃないかな……」
少女「失礼します!」ガチャッ
少年「戸惑いがないね」
眼鏡「……流石」

85 :以下、名無しが深夜にお送りします:2016/03/01(火) 23:16:35 ID:c08EA3Aw
鍛冶屋「ちょっと待ってろ…………いらっしゃい。武具でもご所望か?そこに並んでるのはEランクからCランクのものばかりだが……」
少年(わっ……剣だけじゃなくて……武具がいっぱい……)
少女「い、いえ!私達、ダンスを教えてほしくて……!」
鍛冶屋「ダンス?」
少女「ダンスです!」
鍛冶屋「ダンスってフォークダンス?」
少女「お城のパーティで踊るようなダンスです!」
鍛冶屋「ふむ。なるほど」

86 :以下、名無しが深夜にお送りします:2016/03/01(火) 23:24:59 ID:c08EA3Aw
鍛冶屋「結論から言うと、確かに踊れる」
少女「……!だったら!」
鍛冶屋「だが人に教えたことがない。それに……俺はこっちで忙しいんだ。そろそろ新しい染料も必要で採りに行かなくちゃならなくてな」
少女「……?武器に染料、ですか?」
鍛冶屋「おかしいか?でも俺は握りの部分の布地や、剣穂。……それだけじゃなくて装飾に使う布地全部にこだわってるんだ。いや、違うな。全てにこだわっている」
少女「は、はぁ」
鍛冶屋「武具ってのは命を預ける相棒だ。そんな相棒を作るのが俺達なんだ。そんな相棒なんだから少しでも使ってもらう人に愛着を持ってほしい。全てに全力を込めたくて、そういうところもこだわってる」
少女「……なるほど」
少年(だめだ……絶対少女ちゃん話についていけてない!)

87 :以下、名無しが深夜にお送りします:2016/03/01(火) 23:34:57 ID:c08EA3Aw
鍛冶屋「ともかく。俺はこっちで手が離せないんだ」
少女「だったら、その染料を私達が採ってきます!それで!」
鍛冶屋「どうしてそこまでして踊れるようになりたいんだ?」
少女「私、勇者になりたいんです。それで、守りたいものを考えてみました。最初に"世界"が思いついて……でも、"世界"はちょっと実感が湧かなくて。それでも考えて、この街を守りたいと思いました。でも、私はきっとこの街のことをちょっとしかわかっていません。だから、この街のことをもっと知りたいんです。パーティでもっと色々な人と会ってみたいんです。」
鍛冶屋「……そうか、でも
少女「それに!……鍛冶屋さんも私も、目指しているものは別でも一生懸命に、夢に向かって目指していると感じました。協力したいなって思いました。……だめ、ですか?」

88 :以下、名無しが深夜にお送りします:2016/03/01(火) 23:40:23 ID:c08EA3Aw
…………
少年「それで、この地図かぁ」
少女「そこに染料のきのみがあるらしいよ。マゼンタベリーっていう綺麗な青色のきのみなんだって」
少年「なんだかレッドハーブのことを思い出すけど崖は流石にないよね?」
眼鏡「……少年は崖を気にしすぎ」
少年「崖を登るのは人生に一度で十分だよ……」
少女「流石にそうそう崖を登る機会があるわけないよ」

89 :以下、名無しが深夜にお送りします:2016/03/01(火) 23:43:45 ID:c08EA3Aw
少女「崖と湖どっちがいい?」
少年「いやだぁぁあ……崖はいやだぁぁあ……」
眼鏡「……ほんとにあるとは」
少年「そもそも今回は崖登りの道具はないよね!?無理だよ!」
少女「えー……」
少年「なんでちょっと残念そうなの!」
少女「ここ登ったらすぐそこなんだよー。あとはこの湖を渡るしか……」
少年「どこかに山道があるはずだよ!」
眼鏡「……仕方ない。私だけ、行く。待ってて」
少年「それはそれで前回もそれでよかったんじゃないかと思えてくるよ」

90 :以下、名無しが深夜にお送りします:2016/03/01(火) 23:49:45 ID:c08EA3Aw
…………
「「「どうぞ!」」」
鍛冶屋「ほんとに採ってくるとは……待ってろ」
…………
コポコポコポコポ…………
少女「わぁ……綺麗な赤色……ピンクかな?」
鍛冶屋「この色はマゼンタって言うんだよ。木の実の名前もマゼンタベリーだったろ?」
少女「木の実は青色だったのに。不思議です」
鍛冶屋「スイカだって外は緑だが中は赤だろ?これもそうなんだよ。身の中身は鮮やかな赤色をしていて、煮込んで染料にするとこんな感じでマゼンタ色になる。だからマゼンタベリーっていうんだ。まぁ元々は染料じゃなく薬として使われていたらしいが」

91 :以下、名無しが深夜にお送りします:2016/03/02(水) 00:11:05 ID:umNKORT6
…………
鍛冶屋「ありがとう。おかげでいい剣が作れそうだ。……約束をしていた訳じゃないがダンスの練習、付き合ってやってもいい」
少女「いいんですか!?」
鍛冶屋「まず、このきのみをマジで採りに行ったんだ。根性は認めてやれる。それに、ええと。そういえば名前をまだ聞いてなかったな」
少女「わ、忘れてました!すみません!少女、少女です。それに少年と、眼鏡です」ペコリ
鍛冶屋「少女。……少女か。ふむ。いいや、気にしなくていいさ。俺も名乗ってなかったろ?鍛冶屋だ。よろしく。とりあえず、そうだな。少女はマゼンタベリーの色を"綺麗"と言った。マゼンタベリーの色は俺が一番好きな色なんだ。その色を好きだと言う少女のことは"信じて"みたい」
少女「あっ……ありがとうございます!」
鍛冶屋「まぁそもそも俺は少女のこと、知ってたんだ。薬が足りなかったとき、ルビーハーブを採りに行ったの、少女なんだろう?父さんが俺の家に薬を届けに来たときに話を聞いたよ。あのときはありがとうな。名前だけしか聞いてなかったから、最初は誰かわからなかったよ」
少女「えっ……えっと……ありがとう、ございます」テレテレ
鍛冶屋「ははっ、さてと。ダンスはいつまでに仕上げるんだ?」
少女「ちょっと待ってください…………えぇと……一週間……くらい……」
少年「そんなに時間なかったっけ」
鍛冶屋「…………スパルタになるぞ」
…………
「「「はい!!!」」」

92 :以下、名無しが深夜にお送りします:2016/03/02(水) 00:16:29 ID:umNKORT6
第9話!!だった!!!ごめん!!!!
全12話程度の予定です!!!
あと3話!!!
お話を思いついたらがりがり進めてるので拙いところもあると思いますが、優しい目で見守ってやってください!!!
あと三話、よろしくお願いします!!!
それではおやすみなさい!!!

93 :以下、名無しが深夜にお送りします:2016/03/02(水) 00:52:00 ID:U3CaIJMs
おつ

94 :以下、名無しが深夜にお送りします:2016/03/02(水) 02:51:01 ID:8HGkUYwM
今一番楽しみにしてるスレ


95 :以下、名無しが深夜にお送りします:2016/03/02(水) 03:58:37 ID:g6nYh7z.

思い付いたらもっと書いてもいいのよ

96 :以下、名無しが深夜にお送りします:2016/03/02(水) 11:21:55 ID:GxSY37gI
乙乙

97 :以下、名無しが深夜にお送りします:2016/03/02(水) 14:42:20 ID:Ad2IS.Uo
乙乙

98 :以下、名無しが深夜にお送りします:2016/03/02(水) 19:43:55 ID:MiWglOQI
【第10話】
少年「あ、そのリボン、鍛冶屋さん?」
少女「うん!マゼンタベリーで染めたリボンだって!私のために作ってくれたの!」
眼鏡「……綺麗」
少女「えへへー、ありがとー」
剣「よく似合っているな」
少女「うへへ〜。ツルギさんもそんなに褒めてもさくらんぼしか出ませんよぅ」
剣「食えんと言っておろう」
少年「なんというか……ちょろいね……」

99 :以下、名無しが深夜にお送りします:2016/03/02(水) 19:52:08 ID:MiWglOQI
剣「こんなところでゆっくりしておってよいのか?明日はパーティに出るのであろう?」
少女「えへへ!鍛冶屋さんがもう一日あってもなくても同じだから元気にパーティに行けるように今日は休みなさいって言ってくれたんだ!」
少年「結局そんなに踊れるようにはならなかったね」
眼鏡「……こけないか心配」
少年「少女ちゃん、剣もそうだけどダンスも飲み込み早いよね」
眼鏡「……魔法もそう」
少女「ふふふ!そんなに褒めてもさくらんぼしか出ないよ!」スッスッ
眼鏡「……ちょろい」モグモグ

100 :以下、名無しが深夜にお送りします:2016/03/02(水) 20:09:52 ID:MiWglOQI
剣「この街のパーティというのはどのような人間が集まるのだ?」
少女「そういえば、私も詳しくはしらないかも。なんだか毎月やってるよね。いろんな国の人が集まって」
眼鏡「……」ジーッ
少年「眼鏡ちゃん、視線で僕に説明を促すのはやめて……。えっと、なんだかこの辺りの街の報告会?みたいなものも兼ねて毎月パーティをやってるみたいだよ。最初のこの街の王様が引きこもりがちだったからこの街に集まるようになった……とか何かの本で読んだような?」
剣「少女のように街の人間が招待されることもあるのか?」
少年「一応毎回抽選で何人かは選ばれてるみたい。だけど、少女ちゃんみたいに名指しで呼ばれるのは珍しいかなぁ?」
少女「なんで私なのかな?」
少年「少女ちゃん最近、いろいろやってるからね。わからないでもないよ」

101 :以下、名無しが深夜にお送りします:2016/03/02(水) 20:23:46 ID:MiWglOQI
商人「……おっやっぱりここか」
少女「商人さん!ここでは初めてだ!」
商人「そういやなんだかんだであんたとは初めて会うんだな、ツルギさんだっけか?」
剣「話に出てくる商人というのはお主か。少女が世話になっているようだな」
商人「あっはっは。まるで保護者だな。こちらこそ、眼鏡が良くしてもらってるみたいだな。よろしく頼むよ」
少年「商人さん、こんなところまでどうしたの……?」
商人「あぁ、そうだそうだ。私の部屋まで来てくれないか?」
少女「部屋?」

102 :以下、名無しが深夜にお送りします:2016/03/02(水) 20:33:47 ID:MiWglOQI
…………
商人「おー、似合う似合う!」
少女「ふわふわだ!」
商人「うんうん、わかってるね少女ちゃん。そのふわふわはフリルって言うんだ。かわいいだろ?……かわいいな。写真撮っていいか?」
眼鏡「……どうして私は制服なの」
商人「え?不満か?かわいくて好きなんだがな」パシャパシャ
少女「制服……?」
商人「あぁ、北の方の街に魔法学校ってのがあってな、こいつはそこに行ってたんだ」パシャパシャ
眼鏡「……一応、まだ、生徒。あと私も撮らないで」
少女「へぇー!魔法学校なんていうのもあるんだ!」
商人「まだ生徒なんだったら制服でよくないか?」パシャパシャ
眼鏡「……」ムゥ
商人「わぁーった、わかった。ドレスを出すよ。待ってな」ヤレヤレ