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勇者「幼女大好き」
Part15


336 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) :2012/09/27(木) 21:22:59.53 ID:oyEfLeJ60



勇者「ただいま」
伍歩兵「遅過ぎじゃないですか? もうすぐ日が落ち始めますよ」
勇者「国中で聴き込みをしていた」
伍歩兵「……は?」
勇者「連れがいると全速力で移動ができないから、都合が良かった」
伍歩兵「……はあ、そっすか」
勇者「ここ数年、政府軍と反政府集団との大きな紛争は勃発していないらしい。
あの三下の他にも多くの者に訊いたがそう答えた。この情報は本当か?」
伍歩兵「そうですね。小競り合いはちょくちょく起きてますが」
勇者「そしてその時期は指導者の元准将が亡くなったとされる時期と同じで合っているか」
伍歩兵「ええ、おそらくは」
勇者「組織は今も確実に拡大しているはずだ」
伍歩兵「……ええ、おそらくは」
勇者「しかし、貰った資料内ではむしろ縮小化している」
伍歩兵「…………」

337 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) :2012/09/27(木) 21:26:02.64 ID:oyEfLeJ60
伍歩兵「分かりました。……あの、明日は暇を貰えませんかね。ちょっと野暮用が有るんです」
勇者「分かった」
伍歩兵「あんたに賭けてみたくなった。今更、俺が詳細を話す必要も無いようですが」
勇者「……お前は」
伍歩兵「……じゃあな嬢ちゃんたち。綺麗な歌声を聴けたし良い日だった」
黒「ばいばい」
伍少女「さよなら……。おいしいごはんありがとうございました」



勇者「君は帰らなくて良いのか? 兄がいるらしいけれど」
伍少女「……あっ、そろそろかえります」
勇者「防犯の為に送って行こう。黒もついてきて」
黒「うん」

338 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) :2012/09/27(木) 21:28:57.04 ID:oyEfLeJ60
伍青年「お前! どこに行ってたんだ!? 心配してたんだぞ」
伍少女「ご、ごめんなさい」
伍青年「……はー、ぶじで良かった。……ごめんな、いつも側にいられなくて」
伍少女「ううん。あっ、きょうはパンをもらったんだ!
それに、おみせでごはんをたべさせてもらったんだ!」
伍青年「おおっ、良かったな!」
伍少女「あっ。……ごめんね。わたしだけごはんたべて」
伍青年「気にすんなよ。しかし、ほんと無事で良かった」
伍少女「あの人たちのおかげなんだ」
伍青年「ん? ……あんたは昨日の」
勇者「どうも」

339 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) :2012/09/27(木) 21:34:05.06 ID:oyEfLeJ60



黒「これが、『あ』」カキカキ
伍少女「……」カキカキ
黒「これが、『い』」カキカキ
伍少女「……」カキカキ
勇者「あまり目を離さない方が良い。治安の悪さは現地人のお前の方が身に染みているはずだ」
伍青年「……分かってるよ。でも仕方ねえだろ。俺はあいつを幸せにしなきゃいけねえんだ。
そのためには、あいつの側にばかり居るわけにもいかねえ」
勇者「…………」
勇者「お前にとっての幸せとは何だ?」
伍青年「ああ? そりゃ、妹とウマいメシをたらふく食って、でけえ家に住むことだろ。後は良いオンナを抱くことだな」
勇者「その為に麻薬と関係を持っているのか」
伍青年「だったら何なんだよ」
勇者「人を殺した事は有るか?」
伍青年「いったい何なんだってんだよ。……無えよ。
あまりに金が無くて追い剥ぎをしたことは有るけどな」
勇者「そうか。……もしも治安が良くなって、普通に働けば生活できる金を稼げるようになれば真面目に働くか?」
伍青年「そりゃあな。今はそんな事有り得ねえけどよ」
勇者「そうか。酌量の余地は有るな」
伍青年「はあ?」
勇者「気にするな。……黒、帰ろう」
黒「ん、分かった」
伍少女「あしたもおしえてね」
黒「うん。ばいばい」
伍少女「またね」

340 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) :2012/09/27(木) 21:35:43.27 ID:oyEfLeJ60
ーーーー伍の国・二番街・宿屋ーーーー
黒「いっしょにねるのもなれた?」
勇者「ああ。しかし黒がよく眠れているかが心配だ」
黒「グッスリだよ」
勇者「それなら良い」
黒「……ねえ、勇者」
勇者「何だ?」
黒「あなたの幸せはなに?」
勇者「……聞いていたのか」
黒「うん」
勇者「勿論、美幼女とイチャイチャすること。ふひひ」
黒「……ほんとに?」
勇者「…………」

341 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) :2012/09/27(木) 21:39:15.60 ID:oyEfLeJ60
勇者「幸せは、生きる目的を持つ事だと思う」
黒「生きる目的?」
勇者「そうだ。吾人にとって、それは復讐のはずだった」
黒「……」
勇者「実際に復讐できる力を手に入れて、機会が訪れた。
結局、吾人はその力を振るう事ができなかったけれど」
黒「……わたしたちのせい?」
勇者「……いや、あれで良かった。どれだけ声を荒げても、心の中では幻滅している事に気付いていたから。
誰かに止めて欲しかったのだと思う」
黒「そうなんだ……」
勇者「吾人は生きる目的をごまかしていただけだった。
そして今、吾人は生きる目的をーー幸せを見失ってしまった。
正確には、もともと見えていなかったのだけれど」

342 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) :2012/09/27(木) 21:44:40.14 ID:oyEfLeJ60
黒「……」
勇者「生きる目的を失った者に、生きる価値は無い」
黒「……そんなことない。わたしだって生きる目的なんて分からないよ。
でも、勇者といるのは楽しい。こうして同じベッドでねるのも」
勇者「……そうか」
黒「うん。幸せ、だよ」ニコ
勇者「…………」ナデナデ
黒「んぅ……」
勇者「深く考える必要は無いのかもしれない。そのような事を深く考える猶予も残されていないのだから」ナデナデ
黒「……うん」
勇者「……吾人も黒といるのは楽しい。こうやって柔らかい髪の毛に指を通すのも」ナデナデ
黒「そう?」
勇者「ああ。寿命が削れても構わないと思えるくらいには」ナデナデ
黒「ふふ、なにそれ?」

343 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) :2012/09/27(木) 21:52:33.74 ID:oyEfLeJ60
ーーーー伍の国・王城ーーーー
伍宰相「勇者殿はどうだ?」
伍歩兵「どうって言われましてもね。別段、変わった様子は無いですねえ」
伍宰相「何故、彼は動き出さないのだ?」
伍歩兵「オンナとクスリを買って一日中引きこもってるようですねえ」
伍宰相「ほう? 勇者殿も中々好きものだな。まあ、そのうち倒してもらえばそれで良い。
それでは引き続き、任に当たれ」
伍歩兵「もちろんですとも」
伍宰相「お前を生かす事に反対している者は多いが、この件が終わる頃には考えを改めるだろう」
伍歩兵「そんなことを一々言わなくても仕事は果たしますよ。
伍王に見棄てられた俺に、生きる道を用意してくれた恩人の言いつけだ。
恩返しを果たせないような犬畜生では有りませんよ」
伍宰相「ふふ、流石は名誉騎士の称号の持ち主だっただけの事はある。
そろそろお前を昇格させても良いのかもな。
元近衛師団の団長に今の地位は不満だろう?」
伍歩兵「結構ですわ」
伍宰相「謙遜する必要も無いだろう」
伍歩兵「謙遜では有りませんよ。それではこれで」

348 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) :2012/09/28(金) 23:07:49.09 ID:Az6TDz9x0
ーーーー陸の国・王城・地下ーーーー
狼「お久しゅうござんす。これはこれは、可愛らしいナリで」
龍「……狼か」
狼「お機嫌はようございやすか?」
龍「悪いな。こんな薄暗くて底冷えする場所にずっといるんだぞ」
狼「姉御が考えを改めれば良い話でさあ。あっしだって姉御のそんな姿は見たくねえ」
龍「……戦わなくても平和を手にする事はできるはずだ」
狼「……あっし達にそんな小綺麗な手段は似合いやせん」
龍「そんなこと分からないだろう」
狼「とにかく。考えを改めねえならもう暫くそこにいてくだせえ。
……しかし、大人しく押し込められてとは如何な脅しをお受けに?」
龍「魔姫の生命だ。私を脅迫した時の側近の目は本気だった」
狼「……ったく。魔蟲も使いやがるし、あの野郎はどこまで汚れるつもりだ」

349 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) :2012/09/28(金) 23:14:06.84 ID:Az6TDz9x0
龍「お前が救ってくれないか」
狼「……無理でさあ。親分には遠く及ばないあっしに残された時間は僅かばかり。
願わくは、より多くの魔物の為に使いたいってえのが人心ってもんです」
龍「どういうことだ?」
狼「……げほっ」
ビチャ
龍「……」
狼「見ての通りでございやす。視界も霞み始めやがりました。
魔剣を手にしてから数年も持ち堪えた親分には到底敵わねえ」
龍「……お前もバカだ。どいつもこいつもバカばかりだ」
狼「それが男ってもんです。……これが最後のツラ合わせになるかもしれねえんで、一つ言わしてくだせえ。
汚ねえ犬っころの戯言と聞き流して結構です。
姉御、あっしはあんたに惚れてやした。あんたを抱きたかった。あんたのそばにいたかった」
龍「…………」
狼「しかし、姉御は人間に恋をしたんでしょう? 話は聞いてやしたよ」
龍「……狼」
狼「……負け犬はこれで失礼いたしやす。それでは」

350 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) :2012/09/28(金) 23:31:12.18 ID:Az6TDz9x0



骸「浮かない顔してどうした? まるで女に振られたような顔だぜ」
狼「……うるせえ」
骸「え? マジで振られたの? うは、愉快だわー」
狼「……」
ミキミキ
骸「あ、タンマタンマ! それ多分不死の俺でも死ぬわ!」
狼「……」
スウッ
骸「ふう。まあ、あれだ。飲んで忘れようぜ。
明日からは本格的な人間征圧だしよ」
狼「そうだな。凶行軍の準備は良いのか?」
骸「経路は完璧だぜ。死体の鮮度もまあまあだ」
狼「そうかい」

351 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) :2012/09/28(金) 23:35:53.61 ID:Az6TDz9x0
骸「まあ、取り敢えず行こうぜ」
狼「ああ。……しかし、この国の人間は全員死に絶えたみてえだな」
骸「多分な。まあ、元々魔物の土地だ。問題はねえよ。
それになんたって魔物を一番多く殺したのは間違いなくこの国の人間だ。宗教で魔物殺しを正当化してたんだぜ。許せないわ」
狼「そうだな。……っ」
フラッ
骸「おい大丈夫かよ」ガシッ
狼「ごふっ……げほっ……」
ビチャビチャ
骸「おいおい死ぬなよ。むしろ俺がいい加減死にたいっての」
狼「阿呆……」

352 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) :2012/09/28(金) 23:39:26.38 ID:Az6TDz9x0
ーーーー伍の国・修道院ーーーー
勇者「やっほー」
伍元大佐「……っ!? 侵入者だ! 包囲しろ!」
チャキチャキチャキチャキッ
勇者「中々統率が取れている。流石は革命軍筆頭の武闘派たちだ」
伍元大佐「何者だ?」
勇者「お前たちを殺す命を受けた男だ」
伍元大佐「……ふむ。この状況で大言壮語を吐くとは凄まじい胆力だ」
伍青年「……あんたどうして」
勇者「……何故ここにいる?」
伍青年「クスリを運びこんでたんだよ。どうしてこんな……」
伍元大佐「そこの下っ端、こいつを知ってるのか?」
伍青年「あ、え、えっと、クスリを売った事が有るだけっス」

353 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) :2012/09/28(金) 23:43:27.57 ID:Az6TDz9x0
勇者「一つ、お前たちに伝えておこう」
伍元大佐「……ほう? 何だね?」
勇者「お前たちはトカゲの尻尾だ。母体の存亡の為ではなく、利益の為に切り捨てられた哀れな部位だ」
伍元大佐「どういうことだ」
勇者「これ以上お前たちに言うことは何も無い。
煉獄で苦しみ、浄められると良い」
ズルッ
伍元大佐「っ!? 撃てぇええ!!」
勇者「ていっ」ブンッ
プシャァァアアッ!
ボトボトボトボトッ
伍青年「…………え?」
勇者「……お前を生かすのは贔屓だ。運命に感謝すると良い」ズブッ
伍青年「は……は……?」

354 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) :2012/09/28(金) 23:51:11.26 ID:Az6TDz9x0
ドンッ
ドタドタドタドタッ
勇者「……伍軍の兵士たちか」
伍将軍「……これはこれは。首を一様に落としなさるとは、素晴らしいお手前でございますな」
勇者「どうも。因みに報告をしておく。
資料にあった他の反政府集団のメンバー及び麻薬栽培地と麻薬保管庫も全て片付けてきた」
伍将軍「……それはそれは。ならば反政府集団は完全に潰滅しました。甚謝いたします」
伍青年「……何だよこれ? 何なんだよ……!」
伍将軍「……おやおや。一匹残しておりますよ」チャキッ
伍青年「ひっ……」
勇者「撃つな」
伍将軍「罪深い輩は殺すべきでしょう」
勇者「……国中で聴き込みをした時に、常備軍の兵士が罪の無い国民を殺していると多くの者が証言した」
伍将軍「……左様ですか」
勇者「おそらく書類上では反政府集団の一員として処理しているのだろう。
きっとこの中にも罪の無い人間を殺した者がいるのだろう」
伍将軍「……仮にそうだとしても、勇者殿には関係有りませんよ」
勇者「そうだ。しかし、お前たちだって罪深い。それを自覚しろ」
伍将軍「……貴方は?」
勇者「罪深い。自覚している」

355 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) :2012/09/28(金) 23:53:26.25 ID:Az6TDz9x0
伍青年「……っ」ダッ
伍将軍「……」グッ
勇者「撃つな。彼はーー」
パアンッ
伍青年「ーーーー」
ドシャッ

356 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(チベット自治区) :2012/09/28(金) 23:55:53.47 ID:Az6TDz9x0
勇者「…………」
伍兵士「見事に頭が吹き飛びましたね」
伍将軍「申し訳有りません。ついクセで」
勇者「……お前には、家族がいるか」
伍将軍「ええ。息子が二人おります。上のは最近士官になりました。下のも将来は軍人になるでしょう。二人とも私の誇りです」
勇者「……彼には妹がいた」
伍将軍「ふむ、平民に生きる価値など有りませぬ」
勇者「……度し難い」
伍将軍「とにかく、城においでください。祝杯をあげましょう」