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姫「私が姫になった理由は勇者のことが好きだからだ!文句あるのか!?」
Part6


99 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/05/31(土) 20:02:21.94 ID:lSIrsjNpo
資料室
兵士長「これか」
兵士「はい。しかし、隊長。あの教育係のことは既に調べ上げていますが?」
兵士長「んなことぁ、俺が1番わかってる。おかしな奴を姫様につけるわけにはいかないからな」
兵士「では、何故今更……」
兵士長「まぁまぁ、いいから。お前は立哨でもしてろ」
兵士「は、はい。申し訳ありませんでした」
兵士長「……」ゴソゴソ
兵士「隊長。資料室は禁煙です」
兵士長「すまんな。……さてと」
兵士長(先生のことはよぉーく調べたはずだった。生まれ、家族、経歴、人柄……。全てをクリアにしたからこそ、雇ったわけだしな)
兵士長(だが、考えてみれば一つだけ調べてなかったことがあった。調べる必要がなかったといってもいいが)
兵士長(どうして隣国で王族の教育係をしていながら、辞めちまったのか)
兵士長(資料には任期満了のためとあるが、優秀なら普通は再契約の交渉をするだろうし、名誉ある職から降りる理由なんて中々ないはずだ。わけぇしな)
兵士長(何か問題があったのか、それとも隣国で教育係をやる意味がなくなったか。いずれにしても訊いておくべきか、元の雇い主に勤務態度のほどを……)

100 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/05/31(土) 20:09:57.63 ID:lSIrsjNpo
夜 中庭
姫「どうしたらいいと思う?」
狼「クゥーン……」
姫「どうしたらいいんだろうな。あいつは私に惚れてるのは間違いないけど、ナンパとか行くからなぁ。もっと私に惚れさせたほうがいいのは分かるけど……」
勇者「なんの話だ?」
姫「……お前には関係ない」
狼「ガウッ!」ペロペロ
勇者「くっせぇ舌で舐めるんじゃねえよ。しっしっ」
狼「ガウー」
姫「何か用か?」
勇者「また遠征だ。今度はかなり遠い場所まで行ってくるから、戻ってくるのはいつになるかわからない」
姫「ふぅーん。そうか。大変だな」
勇者「そうなんだよ。大変なんだよ。お前がしっかりした女王になればもう少しマシになるはずなんだけどなぁ」
姫「鞭で叩いてやろうか?」
勇者「お前じゃ似合わねえよ。……って、それ恋愛マニュアルの後ろに書いてあるやつだろ。姫様がやるには10年、いや15年は早いな」

101 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/05/31(土) 20:19:51.06 ID:lSIrsjNpo
姫「でも、あれ嘘ばっかりらしいな」
勇者「どこ情報だよ?」
姫「あの変人が言ってたぞ。あれに書いてあることを実践しても成功はしないって」
勇者「そうかぁ。あの先生はあの秘伝の書を読んだことがあったのか。だから俺の戦略、戦術もお見通しだったんだな。失敗したぜ」
勇者「本なんだし他に見ている人がいてもおかしくないよなぁ。こりゃ、新しいのを買うか。まぁ、あれも3年前に買ったやつだけど」
姫「なんだ古い方法なのか。だったら上手くいかなくて当然だな。おい、新しいの買ってこい」
勇者「なんだとぉ? なんでてめぇが必要なんだよ。ああ、そうか。この前のお遊戯会でステキな王子様を見つけたとか言ってたな。そのためか?」
姫「まぁ、そんなところだ」
勇者「わかった、わかった。お前の分も買ってきてやるよ。任せろ」
姫「頼むぞ。よし、そろそろ寝るか」
勇者「そうか。もっと話していかないのか?」
姫「うん。もういい。おやすみなさい、勇者様」
勇者「おう、姫様も夜更かしはしないように。ナイスバディな女王になれませんよ」
姫「……がんばれよ」
勇者「当然よ。今回の俺は一味違うぜ? 何せ婚約者がいるからなっ。フフフハハハハハ」

102 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/05/31(土) 20:25:51.40 ID:lSIrsjNpo
姫「……」
勇者「なんだよ? はやくいけ」
姫「その婚約者って……」
勇者「先生のことに決まってるだろ? 他に誰がいるよ」
姫「むぅ……!! バーカッ!! アホーっ!! まーぬーけー!!」
勇者「な!?」
姫「お前なんて途中でこけて頭打って苦しめ!!」
勇者「てめぇ!? なんだそのいいぐさぁ!!!」
姫「わぁぁー」テテテッ
勇者「あんにゃろぉ……」
狼「グルルル……!!」
勇者「あ? なに唸ってんだ、狼畜生め」
狼「ガァァァァウ!!!!!」
勇者「あ!? おまえが噛み付いたらマズい!!」
狼「ガァァウ!!!」ガブッ!!!!

103 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/05/31(土) 20:30:10.56 ID:lSIrsjNpo
翌朝 城門
門兵「勇者殿。その傷は……?」
勇者「名誉の負傷です」
門兵「そ、そうですか。道中、お気をつけて」
勇者「うぃーっす」
兵士長「待ってくれ!!」
勇者「先輩。どうしたっすか?」
兵士長「これ、持っていってくれねえか?」
勇者「ラブレターっすか?」
兵士長「似たようなもんだ。国境になら隣国の兵士も立ってるだろうしな」
勇者「まさか、国境まで行けっていうんすか!?」
兵士長「頼む。大事なことだからよ」
勇者「……」
兵士長「怖い顔すんな。また奢ってやっから」
勇者「約束っすよ!! では、行ってきます!!!」

104 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/05/31(土) 20:35:08.17 ID:lSIrsjNpo
姫「あいつ、行ったのか?」
兵士長「ええ。今し方」
姫「そうか……」
兵士長「そうだ、姫様。例のお遊戯会ですけど、第二回、第三回は決定しましたから」
姫「ホントかぁ!?」
兵士長「第二回の予定は四日後。第三回はまだ未定ですけど、まぁ近いうちにはやるでしょう」
姫「そうか! ありがとな!」
兵士長「ハハッ、もったないお言葉です」
姫「たのしみだ!」
兵士長「ま、お勉強のほうはしっかりやってもらいますけどね」
姫「分かってる!!」
教師「プリンセス、ここにいたのデスか。探しましたよ」
姫「……別に私は逃げない。今から行く」
教師「オーケー。ハジメましょうネ」
兵士長「……」

105 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/05/31(土) 20:42:36.44 ID:lSIrsjNpo
通路
戦士「あーん。また勇者様、一人で任務に行っちゃうなんて……。あたし、どうして避けられてるのかしらぁ? こんなに愛してるのに」
兵士長「愛し方が間違ってるからじゃねえか?」
戦士「なによ! この方法しか知らないんだから、仕方ないでしょ!」
兵士長「お前はもう少し女がどんな生き物なのか学んだほうがいいかもな」
戦士「十分、女なんですけどぉー?」
兵士長「ほらよ。丁度いい仕事がある」
戦士「なにこれ?」
兵士長「声を出さずに読め」
戦士「……なんであたしに?」
兵士長「傭兵は自由に動ける。何時どこに居ても怪しまれない。だからだ」
戦士「まぁ、いいけど。何かあるわけ?」
兵士長「それを調べるのが、お前さんの仕事だ」
戦士「りょーかい。仕事ならやるわ。しっかりとね」
兵士長「報酬は弾んでやるから安心しな」

106 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/05/31(土) 20:53:09.17 ID:lSIrsjNpo
姫の自室
姫「とけたー」
教師「採点シマスねー」
姫「ど、どうだ?」
教師「んー。ザンネン」
姫「なに!? どこを間違えた!?」
教師「パーフェクト、100点デス」
姫「紛らわしいことするな!!」
教師「ウフフフ。テストの点数はいいデスけど、もう一つの答えはどうでしょうか?」
姫「親のことは言わないぞ」
教師「どうしてですかぁ? ここに勇者サマを落とす100の方法がアリますよー。欲しくないんデスかー?」
姫「うっ……。だ、だって、あいつは私のことが好きなんだ。そんなものに頼らなくてもいい!!」
教師「プリンセス、それは違いマスね。勇者サマは私との結婚を望んでいる状態デスよ?」
姫「ぐっ……。そ、それは、気の迷いとかいうやつで……」
教師「勇者サマがプリンセスを好きなんじゃなくて、プリンセスが勇者サマのことを好きなだけ、デス」

107 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/05/31(土) 21:02:46.00 ID:lSIrsjNpo
姫「違うっていってるだろー!!」
教師「プリンセスだって気が付いているのでしょう?」
姫「何がだ!?」
教師「ただの片思いであることは」
姫「そ、れは……」
教師「だって、恋愛マニュアルを熟読されているのですから、それぐらいはワカリマスよね?」
姫「あいつは私のことを好きっていってくれたことがある!!!」
教師「ウフフフフ。愛情と好意は似て非なるもの。それも恋愛マニュアルには書いていたハズデスけどね」
姫「これは嘘しか書いてないんだろ!?」
教師「相手を落とすテクニックはそうですね。まず成功はしない。けれど、その他に関しては信じてもいいデスよ」
姫「なにぃ……」
教師「さぁ、プリンセス。貴方は自分の体でワタシのテクがどんなものか既に経験したのデスから、どれだけ使えるかも分かるでしょう?」
姫「……」
教師「この機を逃せば、勇者サマは貴方の傍から去ってしまいますよ?」
姫「あいつが……いなくなるのは……いやだ……」

108 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/05/31(土) 21:11:47.95 ID:lSIrsjNpo
国境付近 町
勇者「あぁー……やっと、ついたぁ……」
勇者(今回の任務が終わったら、一週間ぐらいは休みもらうぞ!! で、先生とイチャイチャでウフフなことをしてやるんだ!! 体と心がふやけるまでなぁ!!!)
勇者「にょほほほ。想像しただけで、元気になってきた。さぁー!! 行くぞぉ、おらぁ!!」
勇者「……あ、すみません」
衛兵「はい? なんでしょうか?」
勇者「俺、こういう者なんですけど」
衛兵「勇者様!? まさかこの町を救いにきてくれたのですか?」
勇者「助けてほしいって手紙送ってきたでしょう」
衛兵「は、はぁ……。確かにどこからか来た賊が暴れ、略奪や誘拐、果ては殺人まで繰り返していまして……」
勇者(ここも他の村と同じだな。どこの賊だよ。広域で活動でもしてんのか)
衛兵「数も多く、厄介なために我々だけではどうすることもできず、助けを求めた次第です」
勇者「わかりました。詳しい話はどこかでゆっくりと聞きます」
衛兵「あ、いえ、その賊はもう居ません。隣国の騎士団が討伐してくれまして」
勇者「隣国の騎士団?」

109 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/05/31(土) 21:25:20.45 ID:lSIrsjNpo
駐在所
兵長「勇者殿! このような僻地にまで足を運んでいただき申し訳ありません!!」
勇者「で?」ホジホジ
兵長「は、はっ! 三日前になります。いつものように賊が町を荒らしに来たのですがーー」
勇者「そんなことはどうでもいいんで。騎士団のことだけ教えてもらえません?」
兵長「はっ!!」
「(勇者様、態度悪くないか? 鼻ほじってるぞ……)」
「(ここまで三日かけて着てくれたのに、もう解決してるなんて知ったからじゃないか? きっと我々を救おうと駆けつけてくれたんだよ)」
勇者(この町で活躍できねーと美女にカッコイイアピールできねえじゃねえか。マジ糞だな、その騎士団。ぶっつぶしてやろうか)ホジホジ
兵長「偶々、騎士団一行は国境付近まで遠征中だったらしく、賊の噂はそのときに耳にしたと聞きました」
勇者「それで、お世話焼きにこっちまできたんすか? 侵略行為じゃないっすかねぇー?」
兵長「いや、しかし、勇者殿。騎士団は賊を討伐してすぐに戻っていきましたから」
勇者「どこに?」
兵長「無論、自国へです。無断で騎士隊が国境を越えるのは問題もありましょうが、あの人たちは善意で助けてくれたのですから、ここは大目に……」
勇者「マジゆるせんな。ちょっと行って注意してきますよ。丁度、用事もあったし」

110 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/05/31(土) 21:35:33.25 ID:lSIrsjNpo
国境の砦
勇者「ここかぁ……」
警備兵「何者だ!!」
勇者「こういう者だ」ペラッ
警備兵「こ、これは失礼しました!! 勇者殿!!!」
勇者「隣国の騎士団を通したって本当の話ですか?」
警備兵「はい。近くの町でのこともありまして……」
勇者「そんなこと簡単に許してどうするんですか? 武装した一団ですよ? 戦争の引き金にもなる、外交問題っすよ?」
警備兵「わかってはいましたが……。しかし、あの一件があってからは本国のことを信用はできないという民の声も無視はできず……」
勇者「……」
警備兵「実際、勇者殿がここへ来るまでにも多くの人命が失われています」
勇者「だからって……」
警備兵「結果論ではありますが、隣国の騎士団の活躍により町は救われました。今回の責任は砦の者たちで取ります」
警備兵「ですので、騎士団の方たちを不問にはできないでしょうか?」
勇者「そうだな……。できない! 通してもらうぞ!! そいつらに文句いってやるんだ!!!」

111 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/05/31(土) 21:45:47.63 ID:lSIrsjNpo
警備兵「な!? 勇者殿!! おやめください!! ここはいくら勇者殿でも通せません!!!」グイッ
勇者「押し通る!! どけぇ!!!」
警備兵「おい!! 勇者殿をとめろー!!!」
「おやめください!! 勇者どのー!!」
勇者「ええい!! 俺の出鼻を挫いた奴らに思い知らせてやるんだ!!! 俺の活躍の場を奪いやがってぇぇぇ!!!!」
警備兵「おさえろー!!」
「わぁぁぁ!!!」
勇者「どけこらぁ!!! 勇者様に楯突くんじゃねええ!! 俺に触っていいのは俺の嫁だけだぁぁ!!!」
警備兵「落ち着いてください!!」
勇者「騎士団はまだ近くにいるんだろ!? いないのか!?」
警備兵「二日ほど前にこの砦は超えられましたから、もう今頃は城へ戻っている途中ではないかと」
勇者「……んじゃ、向こう側にいる兵とは会えますか?」
警備兵「な、何をされるおつもりで?」
勇者「この手紙を渡すだけです。検閲してもらってもいいですから」
警備兵「わかりました。少し待っていてください」

112 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/05/31(土) 21:51:12.75 ID:lSIrsjNpo
砦内
憲兵「……なるほど」
勇者「届けてくれますか?」
憲兵「はい。責任をもって届けます」
勇者「ありがとうございます。ところで騎士団はもう戻ったんですか?」
憲兵「いえ。まだ遠征中ですので、近くにはいると思いますけど」
勇者「そうなんですか? それは都合がいい」
憲兵「はい?」
勇者「是非、会いたいんですよ。その騎士団にお礼をしたいですし」
憲兵「それは団長も喜ばれると思います。ですが、今からこちらへ戻ってくるように伝えるとして、恐らくは1日か2日程度は待ってもらうことに……」
勇者「何日でも待ちますよ」
憲兵「ほ、本当ですか?」
勇者「これでも勇者なんて。気が長いです」
憲兵「了解。それではお待ちください。必ず勇者様のことを伝えます」
勇者「お願いしますよ? 本当に」

113 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/05/31(土) 21:57:35.45 ID:lSIrsjNpo
城下町 教会
姫「……」
少女「どうしたの?」
姫「え? な、なにがだ?」
少年「今日、元気ないじゃん。なんかあったのか?」
姫「あ、うん。えっと……なんていうか……会いたいやつがいるんだけど、中々会えなくてな……」
少女「もしかして好きな人?」
姫「あ、う、うん……」
少女「どんな人なのー?」
姫「うーん……。いつもはかっこ悪いんだ。でも、すごくかっこいいんだ、あいつ。いつも大変なのに私のことは見ててくれるし……」
少女「すごーい。大人みたーい」
姫「そ、そうか? えへへ……」
少年「この町にいないのか、そいつ?」
姫「今はな。仕事してるから」
少女「えぇ!? 好きな人って大人の人なの!? すごいすごーい!」

114 :VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/05/31(土) 22:42:09.16 ID:lSIrsjNpo
少年「でも、年上との恋はすぐに終わるって聞いたことあるぞ?」
姫「え?」
少女「そんなことないよ。愛し合っていればどんなことでも乗り越えられるって」
姫「そうだよな」
少年「そんなの幻想だって。お母さんも似たような経験があるって言ってたし」
姫「そ、そうなのか……」
少女「そんなことないってー!! 私のパパとママは子どものときから好き同士だったんだからー!!」
姫「おぉ!! そうか!!」
少年「そんなの珍しいんだぞー? 知らないのかよ」
姫「えぇ……そうなのか……」
少女「そんなことないー!!」
少年「あるんだって!!」
姫「そんなことよりかくれんぼしませんこと!?」
シスター「最近の子どもって、すごいですね……。私、あんな会話したことないです……」
神父(姫様も実に楽しんでいるご様子。過去は変えられませんがこのまま真っ直ぐに成長してほしいものです」