姫「私が姫になった理由は勇者のことが好きだからだ!文句あるのか!?」
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Part11
194 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/06/06(金) 20:38:55.40 ID:
kmiQV9Sao
城門
勇者「でひゃひゃひゃひゃ!!」
騎士「勇者様!! お招き頂き感謝します!!」
勇者「愛した相手との約束は絶対に守るんです。俺、勇者ですから」
騎士「流石ですね」
王子「ーー君が噂に名高い勇者殿か。お会いできて光栄の極みですよ」
勇者「誰ですか、こいつ?」
騎士「わ、我が国の王子です!! こいつとか言わないでください!!」
勇者「おっと……。大変失礼いたしました、王子。ようこそお越しくださいました」
王子「よろしくお願いします」
勇者「こちらこそ」
騎士「はぁ……。ところで早速ではありますが魔女の身柄を……」
兵士長「魔女はここに」
教師「ハーイ。プリンス、オヒサシブリー」
王子「本当にな。魔女め」
195 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/06/06(金) 20:47:54.80 ID:
kmiQV9Sao
兵士長「これは書類だ。確認してくれ」
騎士「……確かに。これで身柄の引渡しは完了です」
王子「貴様のことはたっぷりと可愛がってやるからな」
魔女「楽しみです」
勇者「いいなぁー」
兵士長「おい、何言ってんだよ」
勇者「そうだったぁ!! あの、今日は、今日こそは一泊、いや、二泊はしていきますよね?」
騎士「え、ええ……。ここまで長旅でしたので……王子にも休んでいただかなくてはなりませんし……」
王子「ご迷惑でなければ、この街に二、三日ほど滞在してもよろしいですか?」
兵士長「何をなさるおつもりで?」
団員「おい。王子に向かってその口の利き方はなんだ。無礼だぞ」
王子「やめろ。神経質になるのも仕方が無い。ちょっとした諍いも大きな戦争になる」
団員「は、はい。申し訳ありません」
王子「失礼。少しばかり街の見学をさせてください。それだけで十分ですから。私は他国へ出向くことがないものでして、求知心や好奇心を煽られてしまうんです」
兵士長「まぁ、そういうことでしたら、どうぞ。食事の用意もさせますよ」
196 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/06/06(金) 20:48:27.04 ID:
kmiQV9Sao
>>195
魔女「楽しみです」
↓
教師「楽しみです」
197 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/06/06(金) 21:14:26.41 ID:
kmiQV9Sao
通路
王子「ほう……。素晴らしい造形ですね。歴史ある城であることは知っていましたが、まさかここまでとは」
兵士長「そんなに褒めないでください」
王子「しかし、こんなにも美しい城であるにも関わらず、国自体は様々な問題を抱えているようですね」
兵士長「恥ずかしい限りですよ。あんなことがあったからなんて言い訳にしかなりませんが」
王子「治安維持にはかなり苦労されているのですね。騎士隊から話は伺っています」
兵士長「各地に駐在している兵だけでは手が回らなくて、大変なご迷惑をおかけしたこと改めて謝罪するとともにお礼を……」
王子「やめてください。私たちは人間として当たり前のことをしただけですから」
兵士長「ありがとうございます」
王子「それ故に、この国を危機を見過ごせはしないと、父上も言っているのです」
王子「王の不在では国民も不安に思うことでしょう。民は象徴が無ければ途方にくれる。いや、路頭に迷い、犯罪に手を染めてしまうかもしれない」
兵士長「そんな大袈裟な……」
王子「大袈裟ではありませんよ。それだけ国の象徴たる王は大事なもの。助けをもとめ、すがる人物がいるだけで大きな悩みは解消する。……そこで話があります」
兵士長「なんでしょうか?」
王子「我が国と同盟を結びませんか?」
198 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/06/06(金) 21:19:50.11 ID:
kmiQV9Sao
中庭
勇者「今度、俺の妹と会ってくれませんか? 貴方のことを紹介したいんです」
騎士「でも、いきなりでは妹さんも驚くのでは?」
勇者「そんなことはありませんよ。俺の妹は心が広いですから」
騎士「……あのぉ」
勇者「はい?」
騎士「私のことを本気で……その……」
勇者「今更ですね」ギュッ
騎士「あ……」
勇者「今の俺には君しか見えません。先生、いや、あの魔女との関係もスパっと切りました」
騎士「……」
勇者「今日、ホテルの予約しています。この部屋に来てください」
騎士「そ、そんな……私、まだ心の整理が……それにお友達からって……」
勇者「俺と貴方の間に友情はない。あるのは愛情です」
騎士「勇者様……」
199 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/06/06(金) 21:25:48.66 ID:
kmiQV9Sao
勇者「それでは」
騎士「あ……」
勇者「ふっ……」
勇者(俺、ちょーかっこいい……!! 彼女のハートに俺の愛が響きまくったはず。今までありがとう、恋愛マニュアル。お前のおかげで俺は強くなれた)
騎士「はぁ……」
戦士「ーーちょっとぉ?」
騎士「うわぁ!? な、なんですか!?」
戦士「あんた、勇者様をどうしようとっていうわけぇ?」
騎士「ゆ、勇者様が……その……」
戦士「なんでよぉ。あたしには見向きもしてくれないのにぃ!! おかしいわ!!!」
騎士「それは性格の問題……とか……」
戦士「なによ!!! あんたよりもあたしのほうがよっぽど乙女よぉ!!!! ふざけたことぬかすんじゃねえやぁい!!!」
騎士「ひぃ……」
戦士「まだ時間はある。さっさと勇者様に処女捧げるかぁ」
騎士(大変……!! 勇者様は私が守らないと……!!)
200 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/06/06(金) 21:35:44.94 ID:
kmiQV9Sao
会議室
兵士長「ーーつまり、同盟関係になればそちらからも兵を派遣してくれると」
王子「当然ではないですか。同盟国とは家族も同然。困窮しているなら助けます」
王子「何より、この国の民の安全も約束されます」
兵士長「……そちらの要求は?」
王子「いえ。特にありません。まぁ、本来なら政略結婚でもするのでしょうか、貴方たちの国には王族はいないとのことですし」
兵士長「まぁ……」
王子「どうですか? 話だけでもしてもらえませんか?」
兵士長「……二つ、聞かせてもらっていいですか?」
王子「どうぞ」
兵士長「王子様の秘密は真実なんですか? 婦女を誘拐しては暴行していたという……」
王子「魔女から聞いたのですか? ハハハ。そんな事実はありませんよ。と私はいうしかない。どちらの言葉を信じるかは任せますが」
兵士長「そうですね。では、教育係から外したあと、その魔女であったという事実を隠していたのは?」
王子「指名手配をしてしまえば魔女は警戒を強めどこかに身を隠してしまうか、精神的に追い詰められ自殺を図る可能性もあります。どちらにしても困りますからね」
兵士長「そうかい……」
201 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/06/06(金) 21:44:23.60 ID:
kmiQV9Sao
夜 通路
勇者「ーー今、大臣共は話合いをしてるんすか?」
兵士長「うちらにしてみれば願ってもねえ申し出だから、答えは分かりきってるが一応は会議しとかないとな」
勇者「先輩はどう思ってるんすか?」
兵士長「先生の話は信じてねえが、あの王子のことも信用できねえ」
勇者「疑り深いっすねぇ」
兵士長「姫のこともあるんだ。簡単に納得はしねえよ」
勇者「同盟国になったら、姫様はどうなるんすか?」
兵士長「存在は知られることになるだろ。そのとき形ばかりの婚約はあるかもしれねえな」
勇者「姫も遂に結婚かぁ……。いい男に巡り合えたな」
姫「ーー呼んだか?」
勇者「呼んでねえよ」
姫「そうか」
兵士長「ひーめー。どこに行く気で?」
姫「いつものところだ。いいだろ」
202 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/06/06(金) 21:49:17.37 ID:
kmiQV9Sao
兵士長「勘弁してくださいよ。まだ隣国の兵士もいるんだ」
姫「よく見ろ。教会に行くときの地味なやつだ。これなら誰が私のことを姫だと思うんだ?」
兵士長「しかし……」
勇者「いいじゃないっすか、先輩。行かせてやりましょうよ」
兵士長「お前が傍にいるなら構わねえが」
姫「一緒に来るか?」
勇者「わりぃな。今日は先約があるんだ」
兵士長「団長殿のご一泊か……」
勇者「それは分かりません。まだ迷っているようですから」
兵士長「だろうなぁ」
勇者「でも、待っておかないと。もし俺の愛に応えてくれるかもしれないんすから」
兵士長「今回は応援しねえぞ」
勇者「いつもしてないじゃないっすか!! それじゃ!! 行ってきます!!!」
兵士長「……俺でよければエスコートしますよ、姫様」
姫「うむ。頼むぞ」
203 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/06/06(金) 21:50:18.80 ID:
kmiQV9Sao
>>199
戦士「あんた、勇者様をどうしようとっていうわけぇ?」
↓
戦士「あんた、勇者様をどうしようっていうわけぇ?」
>>202
兵士長「団長殿のご一泊か……」
↓
兵士長「団長殿とご一泊か……」
204 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/06/06(金) 21:54:07.90 ID:
kmiQV9Sao
中庭
姫「おーい!!」
狼「ガウッ!!」タタタッ
姫「偉いな! ずっと隠れてたのか?」
狼「クゥーン……」
姫「よしよし。今日はいいものをやるぞ。肉だー」
狼「ワオォォォォン!!!」
兵士長「静かにしろよ。バレるだろ」
狼「グルルルル……」
兵士長「唸るなよ」
姫「いつも悪いな」
兵士長「もう慣れちまったからな」
姫「こいつのことは嫌いにならないでくれ。いつかきっとお前のことも好きになってくれるはずだ」
兵士長「だと、いいんですがね」
姫「私を信じろ! 絶対に好きになってくれる!!」
205 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/06/06(金) 22:07:55.44 ID:
kmiQV9Sao
兵士長「ハハッ。姫様にそう言われたら俺もがんばるしかねえな」
姫「そうだ! がんばれよ!」
兵士長「獣は嫌いなんだがなぁ」
姫「なぁ。あの女、今はどこにいるんだ? 昼間、連れて行かれたけど」
兵士長「地下牢。悪い奴だったんでね。見に行きますか?」
姫「いやいい。それよりもこれからはまた勇者様が私の勉強に付き合ってくれますの?」
兵士長「まぁ、そうなるでしょうね」
姫「そうか。なるべく、早く次の教育係を用意してくださいましね」
兵士長「……なんで?」
姫「なんでって、あいつも色々と仕事があるだろ。だからだ」
兵士長「気なんて回す必要はないですよ。あのバカ野郎は頑丈ですから」
姫「それでもだ!! いいな!!」
兵士長「仰せのままに」
姫「よし! では寝る!! お休み!!」
兵士長「あいよぉ。姫様もゆっくり休んでください」
206 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/06/06(金) 22:16:17.88 ID:
kmiQV9Sao
地下牢
王子「面を上げろ」
教師「……」
王子「私のことをは公にしなかったようだな。根も葉もない嘘だから公表はできなかったか?」
教師「違いますデスよ。決定的な証拠がなかったからデス。状況証拠でよければたくさんあったんデスけどね」
王子「余裕だな。どちらにせよ、お前は極刑だ」
教師「……プリンス。この国にはプリンセスがいるという噂をご存知ですか?」
王子「それがなんだ?」
教師「この国を掌握しようとした魔女の娘であることも?」
王子「風聞程度にはな」
教師「もうお会いになった?」
王子「何がいいたい?」
教師「私の死刑を取り下げてくれるのなら、いいことを教えて差し上げますよ」
王子「貴様……」
教師「一国のプリンセスを落とす方法をね。ウフフフフ」
207 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/06/06(金) 22:23:58.80 ID:
kmiQV9Sao
騎士「……」ソワソワ
門兵「あの、お手洗いはあちらです」
騎士「そうではありません。約束の時間があって……」
門兵「あぁ。しかし、まだ時間はかかりそうですね」
騎士「今日は行けないかもしれませんね……。怒るでしょうか、勇者様は……」
門兵「勇者殿と?」
王子「ーー戻ったぞ」
騎士「王子!! どうでしたか?」
王子「死刑を取り下げろと言ってきた。哀れで愚昧な女よ」
騎士「魔女はなんと?」
王子「この国の姫君と話がしたいが、できるか?」
騎士「王子!! それはまだ無理です!! 同盟関係が結ばれるまで待ったほうがいいかと……!!!」
王子「姫君のことはいずれ向こうから教えてくる。今、話そうが関係はない。それに友好関係を築く上でも会うことに損はない。そうであろう?」
門兵「自分からは何も言えません」
王子「では、こちらの隊長殿に話をしてみるか」
208 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/06/06(金) 22:34:12.00 ID:
kmiQV9Sao
会議室
兵士長「姫様と……」
王子「聞きました。姫君のことは。なんともお気の毒です」
兵士長「……」
戦士(あーあ。いわんこっちゃないんだから。あんな女狐さっさと殺しちゃえばよかったのに)
王子「国を恐怖に陥れた魔女の娘。その者が女王になれば、民は不満を爆発させることでしょう。それはどうお考えですか?」
兵士長「今現在、しっかりと色んなことを学ばせている最中です。女王になっても堂々と前に出られるように」
王子「それでも疑念の種は取り除けません」
兵士長「あんたの国と同盟を結べば心配はいらねえだろ」
王子「それだけでは無理です。魔女の子どもですよ? その事実を素直に受け止め、女王になることを祝福するものがどれぐらいいるのか」
兵士長「王子様には妙案でもあると?」
王子「ええ。簡単なことです。存在を消してしまえばいい」
戦士「……」
兵士長「小さな諍いが戦争になる。王子様はそう言いましたよね?」
王子「勘違いしないでください。姫君には未来永劫幸せに暮らしてもらいますよ。存在を消すというのは最初からそんな人物など存在していなかったことにすればいいということです」
209 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/06/06(金) 22:43:34.89 ID:
kmiQV9Sao
兵士長「どこかで匿うってことか」
王子「聞いたところによれば、この城の兵士も不満を持っているとか。このままでは危険ですよ」
王子「その点、我が国ならば姫君の顔は知られていませんし、陰口を言われることもない」
兵士長「そうだろうな」
王子「姫君は我が国が預かります。その代わりと言ってはなんですか、手厚い支援もさせてもらいます」
兵士長「支援? 物資の補給とかか」
王子「経済面も一緒に」
兵士長「至れり尽くせりですなぁ、王子様。姫様を預かってもらうんだから、それを申し出るのは普通俺たちのほうじゃないか?」
王子「子ども1人の未来を受け取るわけですから、それなりの対価は必要になります」
兵士長「……大臣らにも話してみるが、1番大事なのは本人の意思だ」
王子「承知していますよ。姫君が拒否するのであれば、それでいい。私とて望まぬ愛まで受け取れとは言えません」
兵士長「理解ある人でよかったぜ」
戦士「……」
騎士(うぅ……勇者様、絶対に待ってる……)ソワソワ
戦士「トイレはあっちよぉん」
210 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/06/06(金) 22:51:15.28 ID:
kmiQV9Sao
通路
王子「では、夜分遅くまで申し訳ありませんでした。おやすみなさい」
騎士「失礼します」
王子「明日のことを話そう。騎士団を集めろ」
騎士「はっ!!」
騎士(今日は行けそうにない……。勇者様……申し訳ありません……)
兵士長「ーーどう思う?」
戦士「裏はありそうね」
兵士長「子ども1人を受け取るから、金を払いますだってよ。人身売買じゃあるまいし」
戦士「でも、姫様がイヤって言えばいいんでしょ? ヨユーじゃない」
兵士長「まぁな。姫がここを離れるなんてことはちょっと考えられねえし」
戦士「でっしょー。あたしだって姫様と離れ離れになっちゃうのはイヤだもーん」
兵士長「とりあえず話すだけ話してはみるか」
戦士「ところで、勇者様はぁ?」
兵士長「さぁ、今頃いい宿の一室でむせび泣いてんじゃねえの?」
211 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/06/06(金) 22:57:32.44 ID:
kmiQV9Sao
翌朝 中庭
勇者「うぉぉぉおおおおお!!!! わぁぁぁぁぁ!!!!!」
兵士「どうしたんだ?」
門兵「どーせフラれたんだろ?」
兵士「アハハハ。そうだな」
勇者「誰だぁ!!! 俺を笑ったやつはぁ!!!!」
兵士「いえ!! 笑っていません!!!」
勇者「なんだぁ、空耳かぁ……。くそぉ……幻聴まできこえてきたのか……!! 終わりじゃねえか……おれぇ……!!!」
狼「クゥーン」ペロペロ
勇者「狼畜生の同情なんざぁ糞くらえだぁぁ!!!」
騎士「勇者様!!」
勇者「……!!」
騎士「き、昨日はも、申し訳ありません!! 仕事のほうが終わらなくて……。あの、今晩!! 今晩なら!! 絶対に時間を作れますから!!」
勇者「……わかりました。予定を空けておきます」
騎士「あぁ……よかったぁ……」