Part15
192 :
◆e5RobaASduyx :2013/12/22(日) 01:21:24.15 ID:qVSpI1Ak0
ーーーー
わたしは後に一本の小説を世に出すことになる。
異世界からやってきた少女が見知らぬ世界で生きていく話。
人と出会い、成長していく、どこにでもありそうな物語。
その小説は数百万という売り上げをこの先残してくれたらしい。
だが、誰一人として知ることはない。
その物語が実際あったことを元に本人が書き記したものだと言う事に…。
でも、それでもいいと思う。
これはわたしを知らない人にこういう話もあるのだと知ってほしかった。
例え作り話だと思ってても…ね。
あの人とその他の人達に捧ぐ物語でもあった。
さすがに見られると恥ずかしいけど。
これぐらいしか残せなかったけどいいよね?
そうそう…忘れてた。
その本のタイトルは、
193 :
◆e5RobaASduyx :2013/12/22(日) 01:23:19.58 ID:qVSpI1Ak0
『異世界の迷子と素敵な君達』
魔王SIDE END
194 :
◆e5RobaASduyx :2013/12/22(日) 01:31:02.26 ID:qVSpI1Ak0
次から勇者SIDEになります。
時系列は勇者が移動してきたところからになります。
こちらは魔王SIDEの方と交わって構成しているので、
内容を見て『大体この辺りかな〜』って感じで見ていくといいでしょう。
次回の更新から始まります。
195 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2013/12/22(日) 05:22:44.70 ID:SuXWNQ0x0
魔王SIDEお疲れさまです。勇者SIDEも更新楽しみにしてます!
196 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2013/12/22(日) 06:29:15.87 ID:DiRsMNxAo
お疲れ様
次も待ってる
197 :
◆e5RobaASduyx :2013/12/22(日) 21:41:39.76 ID:qVSpI1Ak0
勇者SIDE 勇者「ここはどこ?」
198 :
◆e5RobaASduyx :2013/12/22(日) 21:42:32.07 ID:qVSpI1Ak0
勇者「ちょ…何よここ…」
勇者「こんな所に本当に魔王は逃げてきたっていうの?」
勇者「うちの知ってる世界じゃない…」
勇者「建物も人も空気すらも違う」
勇者「どうしよう…」
勇者「下手に動き回るのは危険よね」
勇者「ちょっと考えよう」
………
勇者「そういえば、あの2人がいない…」
勇者「転送先って微妙に違うのかしら…」
勇者「あの変態はどこでも生きていけそうだけど」
勇者「魔術師は…」
勇者「くっ…心配になるじゃない!!」グッ
勇者「やっぱり動こう」
勇者「じゃないと何も分からないままよ!!」テクテク
199 :
◆e5RobaASduyx :2013/12/22(日) 22:05:16.57 ID:qVSpI1Ak0
勇者「…」
勇者「あの子いないわね…」
うわぁぁぁん!!
勇者「ん?」
勇者「子供の泣き声?」
勇者「知らない子の声か…でも放っておけないね」
勇者「どこからかな…」テクテク
ー公園ー
勇者「この辺からだと思うんだけど…」
幼女「うわぁぁぁん!!いたいよぉぉぉぉ!!」
勇者「いた」タタタッ
勇者「お嬢ちゃんどうしたの?」
幼女「ひっぐひっぐ…ころんだのぉ…」
勇者「膝擦りむいたのか、動かないで」
勇者「回復魔法(小)」ポォォォ
幼女「ひっく…いたいのなくなった」
勇者「もう大丈夫だよ」
幼女「すごぉい」
幼女「ねぇねぇ、さっきのなに?」
勇者「えっと、魔法だよ」
幼女「まほ…?おまじない?」
勇者「うーん、おまじない…かな」
勇者(さっきから気づいていたが…)
勇者(どうもこの世界には魔法が存在しないらしい)
勇者(魔力が感じられないのだ)
200 :
◆e5RobaASduyx :2013/12/22(日) 22:24:26.44 ID:qVSpI1Ak0
幼女「おねぇちゃん、ありがとぉ」ニー
勇者「どういたしまして」ニコ
幼女「ぶーん」パタパタ
勇者「子供は元気だなぁ」
??「ホントそうですね」
勇者「えっと、どちらさまで?」
??「あの子の母親です」
??「あやしてくれたみたいで、ありがとうございます」ペコ
勇者「いえ、これも勇者の仕事のようなものですし」
??「勇者?」
勇者「やば…」
勇者(ここじゃ勇者と言っても通じないか…)
??「あらあら、勇者さんでしたか」ニッコリ
勇者「あれ?」
??「ここに来たのは初めて?」
勇者「え、えぇ…」
??「じゃあ何も分からないでしょうね」
勇者「あの…」
??「はい?」
勇者「うちの事…分かるんですか?」
??「正直言うと分からないわ」
??「でも身近にそういう所から来たっていう人いるから」
??「そうかなと思って」
勇者「!?」
201 :
◆e5RobaASduyx :2013/12/22(日) 22:51:01.81 ID:qVSpI1Ak0
勇者「そ、その人ってどういう人ですか!?」
??「女性よ、すごく綺麗な人でね」
??「もうかれこれ一年ぐらいになるかな、来たの」
勇者「違うか…」ガクリ
??「あら、知らない人だった?」
??「と、いう事は他にも同じ境遇の人いるのかしら?」
勇者「はい…探してました」
??「うーん」
??「とりあえずうちにいらっしゃいな」
??「行く所ないのでしょう?」
勇者「はい…すみません」
??「幼女ー帰るわよー」
幼女「はぁい」ポテポテ
??「このお姉ちゃんの手をぎゅってしててね」
幼女「わかったー」ギュ
勇者「へ?」
??「この辺交通量多いから危ないのよ」
??「お願いできるかしら?」
勇者「えっと、この子と離れないようにすればいいんですか?」
??「そういうことよ」
勇者「分かりました」ギュ
幼女「えへへぇ」ニコニコ
202 :
◆e5RobaASduyx :2013/12/22(日) 23:14:56.94 ID:qVSpI1Ak0
ーアパート前ー
??「ここよ」
勇者「これが家…ですか」
勇者(向こうにはこんな変わった形の建物はなかった…)
??「正確には複数の人が住む家、アパートって呼ばれるものだけどね」
勇者「へぇ…」
??「私はここの大家…管理者なの」
勇者「そうなんですか」
大家「とりあえず中に入って頂戴」カチャ
大家「中でお話は伺うわ」
勇者「お邪魔します…」
203 :
◆e5RobaASduyx :2013/12/22(日) 23:30:38.46 ID:qVSpI1Ak0
ー大家の部屋ー
大家「そう…それは大変だったわねぇ」
勇者「信じてくれるんですか?」
大家「えぇ」
勇者「普通おかしいと思いますけど…」
大家「目の前で一度不可思議なもの見てるしねぇ…」
勇者「もしかしてさっき言ってた…」
大家「えぇ、賢者さんがいきなり現れてね」
コンコン
大家「あら、お客さんかしら」
大家「どうぞー」
ガチャ
賢者「どうもー」
勇者「…」
賢者「知り合いからいただいたものですがよかったらどうぞー」
大家「あら、悪いわね」
賢者「いえいえ、いつもお世話になってますしっ」
幼女「けんじゃおねぇちゃーん」
賢者「幼女ー元気だったかーい?」
幼女「うんー」
勇者「…」
勇者(この人が賢者って人か…)
204 :
◆e5RobaASduyx :2013/12/22(日) 23:54:12.37 ID:qVSpI1Ak0
賢者「ありゃ、お客さんですかい?」
大家「あぁ、ちょうどよかったわ」
大家「ちょっとお話を聞いてあげてくれないかしら?」
大家「また異世界から来たって子らしくて」
賢者「うは、マジですかぁ…」
勇者「ど、どうも…」
賢者「うほ、いいおっぱい!!」
勇者「いきなりそこか!?」
勇者「あ…」
勇者(騎士と一緒のノリでついツッコんじゃった…)
賢者「いいね、迷いなくツッコミくると嬉しくなっちゃう」
勇者「は、はぁ…」
大家「ノリのいい子好きなのね?」
賢者「そりゃ楽しい子は大好きですよ」
賢者「っと、じゃあちょっとお邪魔しますね」ゴソゴソ
大家「はい、どうぞ〜」
賢者「やぁ、賢者さんだよ」
勇者「勇者です、よろしくお願いします」
賢者「ふーむ…」
賢者「お姉ちゃんは…『勇者』か」
勇者「え!?」
賢者「何で分かったんだって顔してる」
賢者「魔力とその手さ」
勇者「手…ですか」スッ
賢者「普段から剣を握ってる手だよそれは」
賢者「マメとかそういう部分から判断できる」
賢者「それを見るからして努力の桁が普通の人と違う」
勇者「すごいですね…それだけで分かるなんて」
賢者「人間観察が趣味だからねー」
賢者「そのぐらいは見て判断できるさ」
205 :
◆e5RobaASduyx :2013/12/23(月) 00:18:01.52 ID:h/Pl3Tvo0
賢者「で、何でここに来ちゃったんだい?」
勇者「…魔王を追ってきました」
賢者「魔王?」
勇者「はい」
賢者「まさか…ね…」
勇者「どうしました?」
賢者「いや、何でもないよ」
賢者「じゃあ魔王見つけたらどうするつもりだい?」
勇者「そりゃもちろん…」
賢者「の、前にひとつ教えてあげるわ」
賢者「気づいてないだろうから言うけど、ここで魔法はほぼ使えない」
勇者「えぇっ!?」
賢者「やっぱり知らなかったのかい」
賢者「この世界じゃ魔法は適用されないのさ」
賢者「全部じゃないみたいだけどほとんど使用できなくなる」
勇者「そんな…それじゃ…」
賢者「魔王と戦えないって?」
賢者「こんな平和な国で戦うんじゃないよ」
勇者「でも!?」
賢者「おそらく魔王も魔法をまともに使えないはずだよ」
賢者「そんなお互い弱い状態で戦うつもりかい?」
勇者「…」
賢者「それに見つけたとして終わった後どうやって帰る?」
勇者「あっ!!」
勇者(そうだ…ここに通じていた『道』は閉じてしまったんだった)
206 :
◆e5RobaASduyx :2013/12/23(月) 00:43:09.25 ID:h/Pl3Tvo0
賢者「無計画で突っ込んできたのか」
勇者「うぅっ…」ガクリ
賢者「落ち込んでるゆうちゃんかーわいいっ」
勇者「ぶふっ!!」
賢者「どうしたんだい?」
勇者「な、何でも…」
勇者(人のあだ名聞いただけで笑う癖はどうにかならないものか…)
勇者「くっ…魔王どころじゃないじゃない…」
賢者「じゃあとりあえず帰る方法見つかるまでここに住んだら?」
勇者「え?」
大家「私はかまわないわよ」
大家「ちょうど部屋だって空いてるし」
大家「もう一人同じような子住んでるしね」
勇者「そ、その人は…」
賢者「あんたと同じぐらいのかわいい女の子だよ」
勇者「じゃあ違うか…」
勇者(魔術師はもっと年下だから…)
207 :
◆e5RobaASduyx :2013/12/23(月) 01:07:33.63 ID:h/Pl3Tvo0
賢者「とりあえずゆうちゃんに必要なのは…」
賢者「ここの事を知ることかな」
賢者「勉強は苦手かい?」
勇者「いえ…」
賢者「ならこの世界の勉強しておいたほうがいいよ」
勇者「分かりました…」
勇者「しばらくここに住ませてもらいます」ペコリ
大家「了解、空き部屋掃除しておくわね」
大家「今日はここで寝泊りしなさいね」
勇者「ありがとうございます」
賢者「真上の空き部屋が部屋です?」
大家「そうよ」
賢者「なら二つ隣に住んでるから何かあったら声かけてね」
勇者「はい」
賢者「じー」
勇者「なんですか?」
賢者「そのでっかく育ったモノを触りたくて仕方ないんだ…」ワキワキ
勇者「またかっ?!」
賢者「うへへ、じゃあ今度触らせてねぇ〜」ガチャ
勇者「絶対イヤです!!」
バタン
大家「ちょっとぐらい触らせてあげたらよかったのに」クスクス
大家「女の子同士だし」
勇者「いや、そういう問題では…」
大家「とりあえずここについて簡単な事だけ教えるわ」
勇者「すいません、お願いします」
208 :
◆e5RobaASduyx :2013/12/23(月) 01:33:19.43 ID:h/Pl3Tvo0
ー翌日ー
大家「今日からここがあなたのお部屋よ」ガチャ
勇者「ここが…」
大家「ある程度家具とかもそろってるから好きに使ってね」
勇者「ありがとうございます」
大家「あ、そうだ」
勇者「はい?」
大家「これからゆ〜ちゃんって呼んでいい?」
勇者「ぶふぁ!?」
大家「あら?どうしたのゆ〜ちゃん?」
勇者「ぶふ…や…やめ…」
大家「大丈夫?ゆ〜ちゃん」
勇者「ぶ…はぁはぁ…」
大家「…変な癖ね」ニコニコ
勇者「し…知っててやったんですか…?」
大家「賢者さんと話してる時に見て気になってね」
勇者「いつからかは忘れましたがとんでもない癖なんです…」
大家「あら、面白くて可愛いと思うけどね」
勇者「うちは嫌ですよ…」
大家「まぁこれから何かあったら相談に乗るから」
勇者「はい」
大家「頑張ってね、ゆ〜ちゃん?」
勇者「ぷ…それもうやめて…」