勇者「俺が勇者になった理由は女の子にモテるためだ。文句あんのか」
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Part9
169 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/04/23(水) 00:09:51.20 ID:
36thv87Do
勇者「とりあえず、こいつを正気に戻すとして……。まぁ、陛下に報告しておわりっすね」
医者「そうですか。薬のほうは任せてください」
勇者「お願いするっす。ほら、これ飲め」
狼少女「なにこれ?」
勇者「薬だ。これでお前は元の女の子に戻れる」
狼少女「元の……?」
勇者「おう。それでできれば思い出して欲しいんだよ。お前の母親のことをさ」
狼少女「薬、きらいだ」
勇者「飲めって」
狼少女「いーっ」
勇者「……」グイッ
狼少女「ふぁふぇふぉー!!!」
医者「そ、そんな乱暴にしなくても……」
勇者「ほーら、のめ!!」
狼少女「ふぁにゃー!!!」
170 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/04/23(水) 00:20:56.47 ID:
36thv87Do
狼少女「うぇぇ……まずい……」
勇者「……どうだ?」
狼少女「まずいっ!!」ドガッ!!!
勇者「いって!! なにすんだこらぁ!!!」
狼少女「うまいものくわせろー!!!」
勇者「母親は!?」
狼少女「いない!!」
勇者「父親は!?」
狼少女「それは……あー……うーん……いない?」
勇者「……」
狼少女「うぅー……?」
医者「どうやらかなりの量を投与されていたのでしょう。中和できるまで時間がかかりそうです」
勇者「んだよぉ。役にたたねえなぁ。お前の母親さがせねえだろぉ」
狼少女「バカにするなぁー!!!」ガブッ
勇者「ふん。噛まれるのにはもう慣れたわ! バカめ!」
171 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/04/23(水) 00:27:53.19 ID:
36thv87Do
馬小屋
馬「ヒヒーン!!」
狼少女「おぉー! 馬だ!!」
勇者「馬だな」
狼少女「食っていいか!?」
勇者「ダメに決まってんだろ」
狼少女「いじわるか!?」
勇者「違う。そいつは食べたら腹壊すぞ。毒もってるからな」
狼少女「そうなのか!? 馬にも毒もってるやついるんだなぁ。しらなかった」
勇者「……野生的な思考は薬の所為じゃないのか?」
村娘「うふふ」
勇者「どうしたっすか?」
村娘「いえ。勇者様って、本当にお優しいんですね。みんなが懐いてるのも納得です」
勇者「懐かれるのはいいんすけどね。舐めるのはやめてほしいっすわ。臭くなるんで」
「ヒヒーン」ペロペロ
172 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/04/23(水) 00:38:42.98 ID:
36thv87Do
馬「ヒヒーン」ペロペロ
狼少女「やめろー!!」
村娘「勇者様、動物には好かれるほうですよね?」
勇者「ええ、まぁ。昔から獣にはモテるんすよ。慰めてくれるのはいつも野良犬と野良猫ばっかりで……」
村娘「心が澄んでいる証拠ですね」
勇者「心が澄んでいても女の子にはモテねーっすよねぇ……」
村娘「そんなことないですよ。勇者様ならいつかきっと素敵な女性と結ばれますよ」
勇者「……」
シスター『あなた。お疲れ様。ごはんにします? お風呂にします? それとも……わ、た、し?』
勇者『君とお風呂に入ってから君をおかずにする』
シスター『やだぁ! エッチ!! でも、そんなあなたがだーいすきっ』
勇者「のほほほほぉ」
狼少女「なんだ、お前。気色悪いな」
勇者「あぁ? しっしっ。あっちいけよ。美しい考えごとしてるんだから邪魔すんな」
173 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/04/23(水) 00:45:47.08 ID:
36thv87Do
医者「勇者様。間に合わせですが、できました。お持ちください」
勇者「どもっす。とりあえずこれで様子を見ましょうか」
医者「1日1回ですからね。それ以上は体に毒です」
勇者「わかってるっすよ。おーい。いくぞー」
狼少女「あーい。またな!」
馬「ヒヒーン!!」
勇者「お世話になりました。これで最後になればいいんすけどね」
医者「何を仰いますか。どんなに些細なことでもお助けしますよ」
村娘「はいっ。遠慮なんてしないでください」
勇者「(あんたらを見てると死にたくなる自分がいるんすよね……)」
狼少女「なにしてんだ。はやく」
勇者「お前が仕切るなよ。どこに行くかもわかってねえくせに」
狼少女「どこいく?」
勇者「先輩と合流する。本当ならお前はここに残していきたいんだけどな……」
狼少女「お前、ついてこいっていった!! だから、ついていくからな!!」
174 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/04/23(水) 00:54:20.73 ID:
36thv87Do
南の港町 酒場
狼少女「はむっ……はむっ……」
兵士長「んで、子持ちになっちゃったわけか」
勇者「子持ちって言わないでくださいよ。母親が見つかるまでっす」
兵士長「嫁にしてやったらどうだ? こんなに懐かれたら悪い気はしねえだろ」
勇者「じょーだん。俺の理想はぁ!!」
兵士長「美人で清楚で可憐な女性だろ。耳にタコができちまうぜ」
勇者「だから、こんなガサツでしかもガキは論外っす。眼中にはいらないっす!!」
兵士長「10年後は分からんぞ? 今のうちに唾をつけとくのもアリだと思うがねぇ」
勇者「どーせ、ゴリマッチョウーマンになるだけっすよ。こんなやつ」
兵士長「んー……」
狼少女「はむっ……はむっ……ん? ガルルル……!!」
兵士長「とらねえよ。ゆっくり食べな」
狼少女「はむっ……はむっ……」
兵士長「(こいつ、絶対に美人になるなぁ。あー、もったいねぇ)」
175 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/04/23(水) 01:05:44.58 ID:
36thv87Do
勇者「そんなことより、先輩」
兵士長「魔女と会った感想は?」
勇者「誤解を恐れず言うと、俺の理想通りの人でした!」
兵士長「誤解しかうまねぇ意見、サンキュー。他には?」
勇者「狼を従えていたんで、ちょっと獣臭いとか思ったでしょう? ところがどっこい、すんげーいい香り漂わせてたっすぅ。ありゃ、魔女と呼ばれてもしかたないっすわぁ」
兵士長「ああ、そうかい。割り勘にするぞ」
勇者「ああ、すんません。魔女っつっても普通の人間でしたね。殺すだけなら簡単っすよ」
兵士長「問題は取り巻きの狼か」
狼少女「……」ピクッ
勇者「先輩」
兵士長「あ、ああ。悪いな。お嬢ちゃん」
勇者「育てられたってのは嘘でも、あいつにとっては仲間なんすよ。家族っていってもいいかもしれないっすけど」
兵士長「獣が家族ね」
勇者「先輩はペットとか飼ったことないからわかんないだけっす。動物を大切にしてる人にとってはそうなんっすよ。マジで」
兵士長「そうか。お前の惚れた相手がそんな感じだったのか?」
176 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします(SSL) :2014/04/23(水) 01:14:41.83 ID:mWrTF1r40
勇者が貰わないんだったら俺が狼少女欲しいんだけど
177 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/04/23(水) 01:15:16.28 ID:
36thv87Do
勇者「昔の女の話はやめましょうよ」
兵士長「てめぇの女じゃねえだろがよ。すっ……ぱぁー……」
狼少女「げほっ……げほっ……! ガルルル!!」
勇者「タバコはやめてくださいっす」
兵士長「かたいこというなよ」
勇者「殴られるっすよ」
兵士長「マジで? すっ……ぱぁー……」
狼少女「げほ……! ガルルル……!! ガァァウ!!!」ドガッ!!!
勇者「いってぇ!? ほら!!」
兵士長「狼はこの臭いダメか?」
狼少女「狼じゃなくても嫌だ」
兵士長「はいよ。おかわりしていいから、好きなの食べな」
狼少女「いいのか!?」
兵士長「俺のオゴリだ」
狼少女「あ……うー……どれに……あ、これ! これ!! ハンバーグ!!」
178 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/04/23(水) 01:29:08.43 ID:
36thv87Do
港町 宿
兵士長「何はともあれ長旅ご苦労さん。今日はしっかり休めよ」
勇者「うぃーっす」
狼少女「うぃーっす」
兵士長「魔女の行方については明日検討するから、早起きしろよ」
勇者「了解っす」
兵士長「といっても、一度戻らないといけなくなったな」
勇者「そっすね。調べてみる価値はあると思うっす」
兵士長「母親探しが魔女に繋がる……か」
勇者「だといいんすけどね」
兵士長「一つの手がかりとしてはアリだがな。この狼姫が親の顔を覚えてくれてたら楽だったんだがなぁ」
狼少女「すまん」
兵士長「ハハッ。良いって事よ。面倒ごとには慣れてる」
勇者「お疲れっす、先輩。ほら、行くぞ」
狼少女「あい」
179 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/04/23(水) 01:35:48.35 ID:
36thv87Do
廊下
勇者「お前はこの部屋な」
狼少女「お前はどの部屋だ」
勇者「隣だよ。何かあったら呼べ」
狼少女「わかった」
勇者「んじゃ、おやすみ」
狼少女「あいっ」
勇者「寝坊したら置いていくからな」
狼少女「うぇ?」
勇者「なんだよ?」
狼少女「おいて、いくのか?」
勇者「当たり前だ。人間社会ってのは厳しいもんなんだよ」
狼少女「そうか……」
勇者「すぐに寝れば寝坊しねえよ。じゃあな」ガチャ
狼少女「あ……まっ……」
180 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/04/23(水) 01:38:47.88 ID:
36thv87Do
寝室
勇者「ーーふぃー。さっぱりしたぁ。この宿は中々いいっすねぇ。シャワーの水圧が申し分ないわぁ」
勇者「はぁー。この分だと二日後には帰れるなぁ。そうなれば……クフフフ……ブフフフ……」
勇者「風呂からあがれば女の子がベッドで待っているという夢のような生活が待っているんだぁぁ!!! うらよっしゃぁぁぁ!!!!」
勇者「まぁー、今日は誰もいないベッドで我慢ーー」
狼少女「すぅ……すぅ……」
勇者「……おい」
狼少女「うぅ……なんだ?」
勇者「隣の部屋だって言っただろ」
狼少女「考えた」
勇者「何を」
狼少女「一緒に寝れば起きるときも一緒だ。寝坊するときも一緒だ。おいていかれることはない。な?」
勇者「……」
狼少女「ダメか!?」
勇者「もういいよ。寝てろ」
181 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/04/23(水) 01:49:04.55 ID:
36thv87Do
狼少女「すぅ……すぅ……」
勇者「はぁーあ。酒でも飲むか」
勇者「んぐっ……んぐっ……。ぷはぁ……」
狼少女「うぅん……」
勇者「……」
勇者「(一人になるのが、怖いのか……?)」
狼少女「すかぁー……すかぁー……」
勇者「やっぱり、捨てられたんだろうか、こいつ」
勇者「(両親がいないって、寂しいもんなぁ……)」
勇者「(嫌いじゃなかったけど親父は滅多に帰ってこなかったし、母さんは俺が小さいときに死んじまったから、一人でなんでもしてきたけど)」
勇者「(親父が任務中に死んだって聞いたときは、喪失感がすごかったもんなぁ……)」
勇者「(今でもふとしたときに寂しくなるし……。だから、早く家で待っていてくれるような可愛いお嫁さんが欲しいのに……)」
狼少女「がおー……がおー……」
勇者「……」
勇者「(さっさとこいつの親を探しださねえと。こんなやつが一緒だと幾ら広い心の修道女でも嫌がるだろうしなぁ。がんばるぞ!! 俺の幸せのために!!)」
189 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/04/23(水) 19:25:27.30 ID:
36thv87Do
翌朝
勇者「う……ん……」
勇者「朝か……」
狼少女「がぉー……がぉー……」
勇者「起きろ。朝だぞ」
狼少女「がぅー……?」
勇者「早くしろ。置いていくぞ」
狼少女「うぁーい……ふわぁぁ……」
勇者「何か思い出したことはあるか?」
狼少女「ぁえ?」
勇者「魔女のこととか母親のこととか父親のこととか」
狼少女「魔女はしらない。母親はいない。父親はよくわからない」
勇者「……お前の父親は狼じゃないな?」
狼少女「うーん……。きっと、多分違う」
勇者「そっか。よし、顔洗ってこい。先輩のとこに行くから」
190 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/04/23(水) 19:32:51.68 ID:
36thv87Do
食堂
兵士長「そうか。やはり姫にとって魔女はよく喋る狼なわけだ」
勇者「そうだと思うっす」
兵士長「姫から魔女を追うのは今のところ難しいか」
勇者「うっす。で、姫ってなんすか?」
兵士長「勇者様が抱くのは姫様って相場が決まってるだろ?」
勇者「はぁー? あいつが姫って」
狼少女「はらへったーはらへったー」
兵士「好きなのとって食べていいぞ」
狼少女「いいのか!? あざす!」
勇者「アーッハッハッハ!! にあわねー」
兵士長「とりあえずは姫の親探しからだな」
兵士「しかし、隊長。名前もよくわからないのでは探しようが……」
兵士長「可能性を一つ一つ潰していきゃあなんとかなるだろ。なぁ?」
勇者「時間かかるっすね、それ。まぁ、俺としては時間をかけてくれたほうが……にゅふふふ……」
191 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/04/23(水) 19:39:09.50 ID:
36thv87Do
城下町
兵士長「ーー俺は陛下に報告してくるが、お前はどうする?」
勇者「ホテルの予約にいってくるっす」
兵士長「例のシスター絡みか」
勇者「うっす!! 今回は成功率200パーセントっすね」
兵士長「まぁ、がんばれや。あとで顔出せよ」
勇者「うぃーっす。明日には俺の可愛い嫁を紹介できるっすから、期待しててください」
兵士長「おう」
勇者「さぁて、行くかぁ」ポキポキ
狼少女「あい」
勇者「……お前はこなくていい。俺の部屋にでも行ってろ。場所は覚えてるだろ?」
狼少女「お前、どこいく?」
勇者「ガキには関係ねえさ。ほら、早くいけ。俺には時間がないんだ」
狼少女「……かえってこいよ」
勇者「帰るよ。まだ俺の住まいはあの宿舎だからなぁ」
192 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/04/23(水) 19:46:57.61 ID:
36thv87Do
墓地
勇者「(スウィートルームも予約できたし……あとは……誘うだけ……。くぅー!!! ついに!! ついに!! 俺も一皮剥けるときがきたわけだぁ!!!)」
勇者「(恋愛マニュアル通りなら、女はホテルの雰囲気に呑まれて……自ら脱ぐ!! そうなっちゃえば、もうやることは一つよ!!!)」
勇者「たはー!! もうドキドキしてきちゃったよぉ!!」
勇者「さーてと、この時間ならここに……」
シスター「……」
勇者「いたいた……。ーーただいま、戻りました」
シスター「あ……。おかりなさい」
勇者「約束通り、今晩は貴女を夢の一時へ誘います」
シスター「あの、お父様に報告はされなくていいのですか?」
勇者「え?」
シスター「いつもそうしているようでしたので」
勇者「ふっ。よく見てますね。そうですね。報告しておきましょう」
勇者「父さん。俺、ついにやったよ。今晩、男になれるよ。……で、来てくれますよね?」
シスター「え? は、はい。約束ですので」
193 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/04/23(水) 19:53:20.41 ID:
36thv87Do
勇者「20時ですよ。忘れないでくださいね」
シスター「え、ええ。ところで、あの子は?」
勇者「俺の部屋でお留守番させておきます。俺たちの時間には介入してきませんよ。大丈夫です」
シスター「そ、そうですか……。そうですね。そのほうがいいかもしれません」
勇者「でしょう? ふふふ。まぁ、あんな子どもには見せられないですけど。教育上、よくないといいますか」
シスター「……あの」
勇者「はぁい?」
シスター「お父様と話したことはありますか?」
勇者「勿論です。まぁ、仕事熱心な父でしてね。あまり家には帰ってきませんでしたが」
シスター「そう……ですか……。よかった」
勇者「なにがですか?」
シスター「いえ。今晩、ゆっくりと話しましょうね」
勇者「今晩といわず、朝まで語り合ってもいいですよ」
シスター「確かに時間はいくらあっても足りないかもしれないですね……」
勇者「(この子、意外とスケベじゃん? サイコーだね)」
194 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2014/04/23(水) 20:00:03.24 ID:iTYsZo1eo
(あ、これ、あかん奴や)