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少女「魔王さんなら、ママを生き返せるのかな…」
Part10


222:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/29(月) 19:43:01.39 ID:7BjQiiB3O
少女「その座標に到達するまで、何とか結界を保たせればいい、と」
室長「そう言うことですな。
   工作隊の制圧が早いか、座標への到着が早いか、際どい賭けになる」
侍女「その座標にはあとどれくらいで?」
特使「あと……半日ほどだ」
術師「王宮に工作隊……っぽい部隊が居た。
   あそこ……からここまで、普通……に移動したらどのくらい掛かる?」
皇帝「元々そんなには離れていない。
   半日は掛からないだろう」
魔女「てめぇーのぶっかけた呪いはどうなったんだ?」
術師「解呪はそう……難しくない。
   ちょっとした……時間稼ぎだけ」
侍女「工作隊のみなら少数でしょうし、移動も迅速かと」
特使「……どうにも、相手の油断を差し引いても部が悪いようだな」
妖精「!」グイグイ
少女「え? 何?」
侍女「妖精界の地図を出せ、と言っているようです」
少女「……地図を広げて見てください」

227:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/29(月) 20:23:19.73 ID:7BjQiiB3O
バサッ、
妖精「!」ツンツン
侍女「これは……この研究室の乗った移動地形ですね」
妖精「ーっ! ーっ!」パタパタパタッ
魔女「この移動地形の進路か?」
妖精「ッ!」ズビシッ
少女「わたし?」
妖精「!」コクコク
魔女「どう言う暗号だこりゃ」
術師「……難解」
室長「ちょっと我々にはわからないね」
特使「うむ……」
侍女「どうでしょうか?」
少女「……やってみましょう。
   室長さん、この移動地形のより詳細な地図と、
   地脈の流れや魔力的な性質をまとめた書類などがあったら見せてもらえますか?」
室長「なにやら勝算があるようだね」
魔女「よくわからんが、えらいことをやらかしそうな気配がするぞ」
術師「……わくわく」

230:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/29(月) 20:55:28.37 ID:7BjQiiB3O
少女「……」ペラ…ペラ…
侍女「……」
特使「工作隊が結界突破の準備を始め出しだぞ」
室長「まだ目標の座標に到達するまでしばらく時間が掛かる。
   このままでは間に合わないな」
少女「……大丈夫です。
   必ず間に合わせて見せますので、術式起動の用意をしてください」バサッ
特使「……わかった。
   室長、行きましょう」
室長「あぁ、任せたぞ」
……バタン。
魔女「で、どーするつもりだ?
   例の透明化で魔力すっからかんなんだろ?」
少女「いえ、術式演算能力の回復にはまだ少し時間がいりますが、
   単純な魔力ならまだまだ残ってます。
   今回必要なのは、この魔力だけですから」
術師「魔王の後継者……本領発揮」
魔女「底無しの化け物だな」
少女「では、少し行ってきますね」
侍女「わたくしもお供いたします」
妖精「!」フリフリ

231:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/29(月) 21:05:34.48 ID:7BjQiiB3O
ザッ、
少女「この地点ですね」
侍女「間違いございません」
少女「では、中のことは彼らに任せましょう。
   ……行きます」パリッ……
侍女「いつでもどうぞ」パキッ……
ーーーードゴォォォォォオオオオオオッ!!
魔女「うおぉっ!」グラッ
術師「地震……?」グラグラ
魔女「あいつら外で何やってんだ?!」
術師「とんでもない魔力……津波のような魔力の流れ……を感じる」
妖精「!」パタパタ
特使「室長、地形の移動速度が……!」
室長「うむ。術式起動用意ッ!」

233:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/29(月) 21:22:25.75 ID:7BjQiiB3O
ゴゴゴゴゴ……
特使「全員無事か?」
術師「……なんとか」
魔女「いってぇー……頭打ったぞ畜生」
室長「転移はなんとか成功した。
   強力な魔力爆発の余波で、目標からは少しだけずれてしまったがな」
特使「まさか地脈に魔力を流し込んで、強引に移動速度を上げるとは……」
室長「一個体の持つ魔力量の常識を鼻で笑うような凄まじい力業だ」
魔女「やっぱり無茶苦茶やりやがって……」
術師「さすが……コレの弟子……」
特使「それで、その魔王代理はどこに?」
侍女「ここです」
少女「……すぅ……すぅ……」
魔女「のんきな奴だなぁオイ。戦争中だぞー」
術師「魔力を全力で放出し切った……から、無意識の……安全装置が発動した」
室長「ともあれ、ここまで来ればまだしばらく妖精界の連中も手を出せまい。
   寝かせてあげよう」
特使「研究室の寝室を貸そう。こっちだ」
侍女「ありがとうございます」ペコリ
少女「……すぅ……んん……すぅ……すぅ……」

238:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/29(月) 22:20:21.70 ID:7BjQiiB3O
皇帝「さて、これからどうしたものか……」
侍女「四帝国同盟に、反王妃側の妖精族を加えれば、かなりの抑止力になるかと」
室長「暫定的にでも人間界に領土を認めてもらえればありがたいねぇ」
魔女「まぁこんだけ差し迫った状況があれば大概なんとかなるだろ」
侍女「冥王にも支援を要請してみましょう」
術師「それで向こう……と互角以上の交渉ができる」
特使「よし、ならばできるだけ早く体勢を立て直してーーーー」
……ゴゴゴゴゴ……
魔女「……なにやら不吉な予感がするんだが」
侍女「これは……強大な魔力の急速な接近を感じます」
室長「まさかこちらが体勢を整える前に、一発ぶち込んじまおうって腹か?」
特使「……間違いない、戦略魔導砲だ!
   距離500!」
魔女「てめぇーコラッ、しばらくは大丈夫だっつっただろオイ!」
室長「いやはや……弱ったね。
   どうやらいよいよ王妃の逆鱗に触れたようだ」
術師「結界は間に合わない……絶体絶命」
魔女「たッはー、なんてこったい!」
特使「距離150! これはもう……ッ」

239:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/29(月) 22:22:59.11 ID:7BjQiiB3O
魔女「こうなったら僕だけでも門で逃げる!」
術師「ずるい……連れてって」ガシッ
魔女「離せこのバカッ! お前は地獄行きたがってただろうがッ!」グイッグイッ
術師「やーだー……」グググッ
魔女「えぇい、ひっつくな気持ち悪い!
   人間諦めが肝心なんだよッ!」
特使「距離50……室長」
室長「あぁ……どうやらここまでのようだな」
皇帝「これで終わりか……」
妖精「……」
侍女「魔王様……」
少女「……魔王……さん……」
  「寝る子は育つってなぁ。
   っつーかもう私よりかなり強くなってんじゃね?」ナデナデ
少女「……ん……」

241:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/29(月) 22:24:12.13 ID:7BjQiiB3O
ヒュゥゥゥ……ゥゥゥウウウウッ
ズドンッ!!
魔女「今度はなんだ!?」
術師「……あれは、水晶……?」
特使「な、なんと巨大な……」
室長「空から降って来たぞ!」
侍女「……炎獄の水晶!
   あれならどんな巨大な魔力でも吸収できます!」
魔女「炎獄だぁッ?
   っつーことはーーーー」
ーーーーカッ!!

243:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/29(月) 22:27:58.32 ID:7BjQiiB3O
ーーーーこの後、人間界四帝国と妖精界共存派、更には冥界を加えた、
魔導史上初の異世界間大同盟が結ばれた。
妖精界純潔派は程なく降伏し、王権そのものは共存派の皇帝が握ることとなった。
皇帝はすぐさま魔王城のすぐそばに共存派、人工妖精、ホムンクルスなどが暮らす都市を建設し、
それぞれの立場や今後について対話して行く姿勢を示した。
また、四帝国の数多くの魔導師達も妖精界の魔導技術を求めて魔王城のそばに移住して来たため、
魔王城下は本当に全世界最大の魔導都市となったのだった。
ちなみに、出現位置のズレた王立第二研究室は見事に魔女の工房を踏み潰していた。
しかし、愛しの人(?)との思わぬ再会に狂喜乱舞し、
早速嬉々として殺し合いに興じる魔女は特に気に留める様子も無かったので、
術師の提案からその地区はそのまま人間界初の総合魔導研究室兼魔導教育機関にしてしまった。
人間や妖精だけでなく、魔族や竜族の留学生も徐々に増加してゆき、
ここもやはり全世界最大の施設となる。
……そんな様々なゴタゴタを経て、少女はまた少し、成長したのだった。

244:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/29(月) 22:30:20.43 ID:7BjQiiB3O
と言うわけでまさかの第三部終わり。

245:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/29(月) 22:30:53.99 ID:Jwx5L4+K0
乙!まだまだ期待!

248:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/29(月) 22:32:09.59 ID:Ae5m8RRj0
乙です! 4部も期待

252:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/29(月) 22:36:51.95 ID:l2SHbW/A0
乙です!次の冒険にも期待してます!!

256:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/29(月) 22:52:49.76 ID:zK/wzWMX0
これ書いてるの何人目?

257:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/29(月) 22:54:59.72 ID:7BjQiiB3O
四部とか、いよいよ少女の奇妙な冒険な体を成して来たぞ……
とりあえず俺は休む。まだ風邪引きだし。
色々適当な所が多かったり、描き足りない所がそこかしこにあったりするんだが、
なにはともあれ何日も何日も保守ありがとう。
ちょっとの暇潰しにでもなったのなら幸いだ。
ちなみに個人的には魔女が一番お気に入りだ。
おやすみ。
>>256
最初からずっと孤独な戦いだった。

263:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/29(月) 23:05:42.85 ID:zK/wzWMX0
>>257
まじか書き手が途中で変わってるのかと思ってたマジ乙

258:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/29(月) 22:58:14.41 ID:nZdh4PTYO
>>1ー乙うううう
魔王様まじかっけぇっ
風邪早く治して元気になってなー

259:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/11/29(月) 22:59:34.83 ID:9MSKgf9v0
風邪が早く治りますように
四部たのしみだな乙

309:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/01(水) 01:25:33.62 ID:vqYaEf/TO
室長「やはり君の受け持つ講義はずば抜けて評判がいいね。
   いやはや、感服するばかりだよ」
少女「はぁ。ありがとうございます。
   ですが、未だに自分が人にものを教えるなんて……
   わたしもまだ学ぶことだらけなのに」
室長「もし君に教授が勤まらないなら、この研究室の職員は全員クビだよ。
   ……所で、そんな君に一つ依頼があるのだが……」
少女「依頼、ですか?
   わたしにできることなら受けますが」
室長「ふむ。
   では、北の帝国の、極北限界領域に行ってもらいたい。
   そこに君を待つ、ある人物がいる」
少女「その人物と言うのは……?」
室長「例の協定によって破棄されたかの国の極秘研究施設の一つから、
   男の子が一人救出された。
   しかし色々と事情があって、ここで引き取るのが一番だろうと言うことになったのだよ」
少女「男の子……ですか」
室長「生体兵器として幾度となく改造手術を施された、
   魔族と竜族の混血児だ」

311:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/01(水) 01:45:03.61 ID:vqYaEf/TO
少女「……」
室長「ここ以外には引き取り手がない。
   更に言えば、おそらく彼とまともに対話できる者は君ぐらいしかおらんだろう。
   実験途中、しかもまだ幼く未熟だった時点での彼でさえ、
   既に各国では『極北限界領域の魔竜』として、
   その脅威がまことしやかに囁かれていたほどだ。
   私の耳にも何度か入って来ていた」
少女「……わかりました。
   すぐに北の帝国に向かいます」
室長「くれぐれも気をつけてくれたまえ。
   魔族と竜族の混血についてはどこを探してもほとんど資料が無い。
   それほど稀なケースなのだ。一体どんな魔力を秘めているか、想像もつかない。
   そんな子が軍事火力として研究、調整されていたとなると……」
少女「充分に注意して行きますのでどうかご心配無く。
   必ずその子を連れて帰って来ます」
室長「頼んだぞ……」
少女「はい。
   では、失礼します」
……バタン。

383:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/02(木) 19:25:35.17 ID:pPUpXotdO
ザザァ……ン
ザザァ……ン
船長「済まないが、案内できるのはここまでだ。
   ここから先は砕氷船でも厳しい」
少女「充分です。無理を聞いてもらって本当にありがとうございました」ペコリ
船長「いや、礼を言いたいのはこちらの方だ。
   こんなに穏やかで安全な航海は初めてだと皆言っている。
   漁まで手伝わしちまって、さすが魔法使いは何でもできるって感心してたぜ。
   あんたみたいな偉大な魔法使いを船に乗せられたことを誇りに思う」
少女「こんなわたしでもお役に立てたならよかったです。
   一応船体に嵐除けと海獣除けの結界を張って起きましたけど、
   どうか港までお気を付けて」
船長「至れり尽くせりだ。ありがとよ。
   ……それから、よかったらもう一つだけ頼みがあるんだが……」
少女「なんでしょう?」
船長「娘があんたにえらく憧れててな。
   魔法使いの才能はからっきしなんだが、何かその、
   ……土産にできるものでもあったらいいんだが」

384:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/02(木) 19:30:10.42 ID:pPUpXotdO
少女「お安いご用ですよ。
   じゃあ……これを」パキンッ
キラキラキラ……
船長「これは?」
少女「氷竜の鱗に、厄除けの魔導式を埋め込んだ御守りです。
   娘さんに喜んでもらえるといいんですが」
船長「こんな綺麗なものをもらっちまっていいのかい?
   これならあいつも大喜びするだろうよ。
   やんちゃなやつだが、これを持たせてれば俺も安心して航海に出れるな」
少女「娘さんにもよろしくお伝えください。
   いい子にしていれば、もしこの仕事が終わった後に必ず会いに行く、と」
船長「……あんたは本当に偉大な魔法使いだ」

387:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/02(木) 19:55:16.28 ID:pPUpXotdO
ドサッ
侍女「荷造りに手間取ってしまいました。
   お待せしてしまい申し訳ありません」
少女「お疲れ様です」
侍女「それから、出過ぎたこととは思いつつ、機関室の簡単な整備をさせて頂きました。
   船員の方の許可は頂いたのですが……」
船員「船長、船長! このボロ舟、帝国一番の魔導機関船に生まれ変わっちまいやしたぜ!
   これならどんな乱海流も嵐も怖くねぇや!」
船長「……あんたらには本当に世話になった。
   せめて船員一同、あんたらの旅の無事を祈らせてくれ」
少女「ありがとうございます。
   また必ずお会いしましょう」
侍女「それでは、失礼いたします」ペコリ
バキンッ!
氷竜「ヴァルルァッ!」
バサッ、バサッ、バサッ、……

391:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/02(木) 20:11:16.88 ID:pPUpXotdO
ゴォォォ……
少女「船員の人達と随分仲良くなってましたね」
侍女「4人の方に『嫁になってくれ』と懇願されてしまいました」
少女「……本当ですか?」
侍女「はい。
   もちろん全て断らせて頂きましたが、ならばせめてこれを受け取ってほしいと、
   かなり貴重な品物を渡されてしまって……」ガサゴソ
少女「……海底紅玉の大結晶、海竜の髭細工、魔導水銀時計、……これは?」
侍女「人魚の横笛だそうです」
少女「どれもこれも、凄い魔力が宿った逸品ばかりですね」
侍女「やはり遠慮させて頂いた方がよかったでしょうか?」
少女「多分、受け取った方が喜んでもらえたでしょう」
侍女「そうならばよいのですが……」