Part29
375 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2013/03/25(月) 23:50:45.09 ID:
Wujau2/v0
---海---
ザザー ザザー
??「お〜い!!ボートが遭難してるぞ!!」
??「どこだぁ!!?」
??「あそこだ!!」
??「人は乗ってそうか!?」
??「見えねぇな・・」
??「お〜い!!誰か居るかぁ!?」
??「もっと寄せろぉ!!」
??「ボートに何か乗ってるぞ!?」
??「停船してくれぇ!!小船出せるか!?」
??「おぅ!準備する!!」
376 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2013/03/25(月) 23:51:24.33 ID:
Wujau2/v0
---小船---
??「お〜い!!大丈夫かぁ?」
??「うわぁ!!・・」
??「こ、こりゃひでぇ・・海鳥に突かれまくってる」
??「亡くなって大分立ってるな」
??「・・でも肌はまだ白いぜ?」
??「こっちのデカイ遺体は・・うわ・・焼け死んでるのか」
??「金目の物だけもらって・・うぉ!!」
??「どうした?」
??「デカイ方はまだ息があるぞ!!」
??「おい!!おい!!だめだ・・」
??「とりあえずデカイ方は連れて行こう」
??「白い方はどうする?」
??「・・・まぁ連れて帰って海葬してやるか」
??「この白い方は女だな」
??「海鳥も女を食うってか?」
??「おい!いたずらするなよ」
377 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2013/03/25(月) 23:52:01.20 ID:
Wujau2/v0
---船---
??「どうだった!?」
??「2人居たが1人は死んでる・・もう一人は虫の息だ」
??「小船を上げてくれぇ!!」
??「生きてる方はひどい火傷だ・・海水に漬けて置いた方が良さそうだ」
??「何か持ってるか?」
??「いや・・まだ見てない」
??「死んでる方は後で海葬しよう」
??「お〜い!!引き上げるの手伝ってくれぇ!!」
??「がっちりしてるな・・重い・・」
??「白い方は食い荒らされ方がひどいな・・おえぇぇ」
??「でもふにゃふにゃだな・・血抜きが終わった後みてぇだ」
??「だめだ・・先に海葬しよう・・飯がまずくなる
378 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2013/03/25(月) 23:52:46.78 ID:
Wujau2/v0
---
ボチャーン
??「黙祷!!」
??「よし!!デカイのはどうだ?」
??「息はしてる・・」
??「持ち物を確認してくれ」
??「何も持ってねぇなぁ・・お!?金貨が少し・・と」
??「おい!これ何だ?」
??「見せて見ろ!!」
??「・・・これって勇者の証じゃねぇか?」
??「えええええええ!!?」
??「おいおいおいおいおい・・・こ、こりゃえらい物見つけたぞ」
??「・・・って事はさっきの白いのは勇者の仲間か?」
??「うっわ・・・船止めろおぉぉぉぉ!!」
??「さっきの白い遺体何処行ったかわかるか!!?」
??「・・わかんねぇよ・・もう沈んでるよ」
??「いいから探せええ!!」
??「薬草無ぇか!?水も持って来い!!つぶした果物も用意してくれぇ!」
380 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2013/03/26(火) 21:50:03.15 ID:
iZ+L5GR80
---
騎士「ぐが・ががが」
漁師「お!?お〜い!!だれか来てくれぇ!!目ぇ覚ましたぞぉ〜!!」
騎士「あがが」---ここはどこだ?---
船乗り「水持ってきたぞ!!飲めるか?」
騎士「・・・」---まだ生きている---
漁師「体起こせるか?」グイ
騎士「ぐあ!!」---全身ボロボロだ・・なんで死なない?---
船乗り「うお!!・・変な方向に曲がってる・・背骨あたりが折れてそうだ」
漁師「動かさない方が良いな」
船乗り「話は出来そうか?」
騎士「あぐぐ・・」---声が出ない---
漁師「駄目そうだ・・つぶした果物だ・・口に流し込むぞ」グイ
騎士「んぐ・・んぐ・・んぐ」
漁師「こりゃ看護で一人付けた方が良いな」
船乗り「漁師村まであと3日だ・・辛抱してくれ」
381 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2013/03/26(火) 21:50:34.09 ID:
iZ+L5GR80
---翌日---
漁師「お〜い!あれを見ろぉ〜!!」
船乗り「おぉ!!軍船だ・・でもこんな所に居るのはおかしくないか?」
漁師「・・・まさか幽霊船!?」
船乗り「逃げろ逃げろ逃げろ逃げろおぉぉぉ」
漁師「どどどどんどん近づいて来る」
船乗り「方向変える!!」
漁師「あわわわ・・早く曲がれ早く曲がれ・・」
船乗り「ゴクリ・・」
漁師「甲板に誰も乗ってねぇ・・」
船乗り「ギリギリぶつかる進路は避けた・・ヒヤー」
ギシギシ ザブーン ギシギシ ザブーン
漁師「うはぁ・・気味悪りぃ」
船乗り「なんまんだぶなんまんだぶ・・」
382 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2013/03/26(火) 21:51:10.44 ID:
iZ+L5GR80
---漁師村---
漁師「・・・なんか様子がおかしいぞ?」
船乗り「漁船がみんな離岸してる・・何かあったのか?」
漁師「あの漁船に聞いてみよう」
船乗り「寄るぞ」
漁師「お〜い!!何かあったのかぁ〜?・・・うお!何だお前ら漁船に何人乗ってる!?」
避難民「漁師村に魔物が現れてみんな避難しちょる〜〜!!」
漁師「なにーーー!!?みんなは無事なんか〜!?」
避難民「全員無事や〜〜!!」
漁師「陸に上がれんのかぁ〜〜?」
避難民「今はやめといた方がええ〜〜!!」
漁師「こっちは遭難者乗せてるんだ!そっちに乗せれるか〜!?」
避難民「無理や〜〜!!こっちも人乗せすぎや〜〜!!」
漁師「なら遭難者の面倒見れる人2〜3人こっちに寄こせんかぁ〜?」
避難民「そら助かる〜!!」
船乗り「接舷するぞ〜!!」
ドッスン
漁師「薬草と水があると助かる」
避難民「たんまり有るけぇ持ってけぇ〜」
漁師「遭難者の状態が酷いんだ・・治療できそうな奴は居るか?」
薬剤師「あたしが行こうか?」
漁師「おうネーチャン頼む・・あと料理できるのも居た方が良い」
調理人「わかった!!そっちに移る」
383 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2013/03/26(火) 21:51:47.80 ID:
iZ+L5GR80
---
薬剤師「・・・・・」
漁師「・・言葉も出んか・・」
薬剤師「これは漁師村で手当ては無理だと思う」
漁師「こまったなぁ・・」
薬剤師「どうしてこんな風になったんだろう・・・うぇっぷ」
漁師「・・これを見ろ・・この遭難者は勇者だ・・恐らく魔物にでも・・」
薬剤師「え!!?それは大変!!早く治療の出来る町まで・・」
漁師「この漁船だと一番近い始まりの国の港町まで1ヶ月は掛かる」
船乗り「ダメだ・・こんな小さな漁船じゃこっちが遭難する」
薬剤師「半月待てば連絡用の商船が来る筈・・それに乗せるのが良いと思う」
漁師「半月この状態で持たせれるか?」
薬剤師「やるしかないよね?」
漁師「せめて陸に上がれれば良いのにな・・」
船乗り「しばらくは上がれそうに無いんだろう?」
薬剤師「調理人に言って包丁を持って来てもらえる?」
漁師「何するんだ?」
薬剤師「皮膚に張り付いた衣類を剥がさないと手当ても何も・・」
漁師「包丁で剥がすのか!?」
薬剤師「他になにか良い物ある?」
漁師「・・・」
薬剤師「あと調理師にお豆腐作らせておいて」
漁師「はぁ??豆腐??」
薬剤師「火傷には冷やしたお豆腐が薬の変わりになると思うの」
漁師「へいへい」
384 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2013/03/26(火) 23:31:20.41 ID:
iZ+L5GR80
---数日後---
船乗り「・・・まだ陸に上がれねぇのか・・」
漁師「漁師村の方じゃ魔物退治が大変だって聞いてる」
船乗り「どんな魔物か聞いてるか?」
漁師「粘菌みたいな奴だとよ・・強くは無いが数が多いらしい」
船乗り「ん〜む」
漁師「ところで例の勇者・・薬剤師の話聞いたか?」
船乗り「いや?」
漁師「全身の骨が折れてるらしい」
船乗り「全身?・・全身て何処の事だ?」
漁師「頭、手、足、背骨、肋骨・・全部ばらばらだそうだ」
船乗り「ひょーーーーーどうやったらそんなになる?」
漁師「さぁ?動けないのは火傷のせいじゃなく骨が折れてるせいだとよ」
船乗り「さすが勇者?・・ありえない怪我をするなヒヒヒ」
漁師「普通なら死んでる筈だと首をかしげてた」
船乗り「勇者を助けたってのは何か褒美が出るんかな?」
漁師「そりゃ王国からたんまり礼金が・・」
船乗り「船買い換えれるなヒヒヒ」
漁師「金貨一袋とか貰ったらぶっ飛ぶな!!」
385 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2013/03/26(火) 23:31:46.72 ID:
iZ+L5GR80
---2週間後---
漁師「よ〜し商船が入港した・・これで」
船乗り「おい!見てみろ・・傭兵達が降りて行く」
漁師「助かったな・・魔物退治がこれで終わると良い」
船乗り「お前は商船に乗るのか?」
漁師「そうだな・・あの勇者を王国に届けて礼金を貰いにいく」
船乗り「俺も行きてぇなぁ・・」
漁師「まぁ・・礼金が入ればしばらく休暇でも良いが・・一緒にいくか?」
船乗り「おおぅ・・勇者を担ぐ手伝いくらいするぜヒヒヒ」
薬剤師「あたしも一緒に行って良いかな?あの勇者の容体が気になるの」
漁師「おう・・そのかわり商船で面倒みるのはネーチャン・・お前がやれよ?」
薬剤師「あの勇者がどうして生きてるのか不思議なの・・皮膚の下にウロコみたいのもあるし・・」
漁師「ウロコだと!?」
薬剤師「ウロコかどうか分からないけど焼けてるのは皮膚だけでその下の筋肉はほとんど無傷・・」
漁師「へぇ〜たまげた話もあるもんだ」
薬剤師「それよりも頭の骨が鈍器かなにかで殴られてバラバラなのに生きてるのが不思議で」
漁師「頭の中にも筋肉が入ってたりしてな!?うはは」
386 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2013/03/26(火) 23:32:14.05 ID:
iZ+L5GR80
---商船---
船長「・・・始まりの国の港町まで4人乗せて欲しいと?」
漁師「頼む・・重症の怪我人を港町まで送りたいんだ」
船長「ふむ・・仕方が無いな積荷室の開いてるスペースで良いなら乗せてやる」
漁師「よしきた!出航はいつになる?」
船長「明日傭兵達が戻って来たら出航する」
船乗り「じゃぁ必要な積荷を乗せるよ〜」
387 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2013/03/26(火) 23:32:46.13 ID:
iZ+L5GR80
---
わっせ わっせ わっせ
漁師「おい!起きてるか?これから治療の出来るところに運んでやる」
騎士「・・・」
船乗り「おい・・目が虚ろだぞ?」
薬剤師「仕方が無いと思う・・かなりの痛みにこらえてるからそっとしておいた方が・・」
漁師「背骨を折るとか考えられんな・・全身麻痺状態か?」
薬剤師「運ぶときは振動を与えないようにゆっくり運んであげて」
漁師「おおぅそりゃ気が付かなかった・・そりゃ痛むわなぁ・・」
船乗り「どこに運ぶ?」
漁師「そうだな・・壁際で動かないように固定しよう」
船乗り「こっちで良いか?風通しも良さそうだ」
漁師「いや・・窓が見える所にしよう・・こっちだ・・ゆっくり降ろすぞ」
薬剤師「水と薬草も近くに置いて」
船乗り「わーってるよ!!」
薬剤師「到着するまでどれくらいかな?」
船乗り「この船なら2〜3週間か?良い風が吹けば2週間だ」
388 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2013/03/26(火) 23:33:59.02 ID:
iZ+L5GR80
---翌日---
薬剤師「あ!船が動き出した・・」
漁師「じゃぁ俺達は甲板に出てるから後はよろしく」
船乗り「なにかあったら呼びに来てな」ノシ
薬剤師「ふぅ・・」
騎士「・・・」
薬剤師「まだ話は出来ないかしら?」
騎士「ガガガ」
薬剤師「ダメね・・無理はしないで・・なにかあったら少し声を出してね」
---自分がこれからどうなるか分かってきた---
---魔女の指輪は手元にある---
---火傷を負って声が出ない---
---きっと行き付く先は始まりの国だろう---
---ドラゴンに食われた囚人は多分自分だ---
---やっとすべてを理解した------
---なぜ盗賊が師匠だったのか---
---自分がなかなか死なない理由---
---師匠が言った言葉の意味---
---必ず自分を助けに来る---
---生きて必ず復讐してやる!!---
392 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2013/03/27(水) 22:51:24.20 ID:
VaSz6UdN0
---数日後---
ドタドタドタ
漁師「おい!!薬剤師のネーチャン!!船長が呼んでる」
薬剤師「え!?あたしに?」
漁師「船長室に来てくれだとよ」
薬剤師「じゃぁ勇者さんを見ててくれるかしら?」
漁師「わかった・・早く行って来い」
薬剤師「何だろう?」
漁師「なんだか薬を作って欲しいとか言ってた」
薬剤師「何の薬かな?」
漁師「どうやら傭兵達が熱を出してるらしい」
薬剤師「解熱剤かぁ・・」
漁師「詳しい話は船長に聞いてくれよ」
薬剤師「うん・・行って来る・・あとお願いね」
393 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2013/03/27(水) 22:51:52.55 ID:
VaSz6UdN0
---船長室---
コンコン
薬剤師「入ります」ガチャリ
船長「おー良く来てくれた・・実は頼みがあるのだが・・」
薬剤師「解熱剤ですか?」
船長「んむ・・傭兵達が魔物の毒に犯されている様だ・・毒消しか解熱剤を作れんか?」
薬剤師「毒消しは作れますけど解熱剤は器具が無いので難しいです」
船長「まぁ毒消しだけでも良い・・傭兵の毒が他の者に移ってる様なんだ・・」
薬剤師「移ってる?・・・それは毒消しじゃダメかも・・」
船長「なぜだ?」
薬剤師「普通は毒が他人に伝染することは無いんです・・なにかの病気が原因と思います」
船長「ん〜む・・どうすれば良いんだ?」
薬剤師「衛兵さんは何処に居るんですか?・・・隔離しないともっと広がるかも知れない」
船長「寝室で寝ているが?・・場所を移した方が良いか?」
薬剤師「はい・・空いてる場所はありますか?」
船長「ん〜む・・他の者を甲板で寝るように指示を出す」
薬剤師「それが良いです・・具合の悪くなった人は寝室で隔離するようにお願いします」
船長「薬は何とかなるか?」
薬剤師「一応毒消しを作ります・・後で持ってきます」
船長「手数かけてすまんな」
394 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2013/03/27(水) 22:52:22.20 ID:
VaSz6UdN0
---1週間後---
漁師「おい!船乗り!人手が足りんお前も手伝え!」
船乗り「うはぁーーーラクは出来んな・・」
薬剤師「病気が広がってるの?」
漁師「あぁ・・寝室に居た奴らは全員移った様だ・・働き手は俺達しかいねぇ」
薬剤師「寝室には近づかない方が良いと思う」
漁師「わかってる・・」
船乗り「食事は誰が運ぶ?」
漁師「くじ引き・・」
船乗り「息止めれば大丈夫か?」
漁師「なんとかなるだろう・・」
395 :
VIPにかわりましてNIPPERがお送りします :2013/03/27(水) 22:52:48.04 ID:
VaSz6UdN0
---
漁師「薬剤師のネーチャン!!食事何か作れるか?俺達じゃダメだ・・」
薬剤師「わかった〜勇者さんの看護お願い〜」
漁師「おう!!はぁはぁ・・」
薬剤師「!!?具合悪いの?」
漁師「いや大丈夫だ・・少し働き過ぎた・・丁度休憩したかった」
薬剤師「・・・」