Part8
290 :
以下、名無しが深夜にお送りします:2013/01/09(水) 00:47:03 ID:
Y3goLB3Q
少し更新します
291 :
以下、名無しが深夜にお送りします:2013/01/09(水) 00:48:23 ID:
Y3goLB3Q
少女に触れようとして手を伸ばす。
しかし、少女に手が触れる事はなかった。 代わりにそよ風が少女の髪を揺らす。
さわった感覚はあるのに実体がない。
少女「君は今この世界そのものだ。 しっかりと自分をイメージしないとこの世界に個として存在することすらできないよ?」
なる程。
魔法使い「こういう事か」
自分自身を想像して創造するのが思ったより難しい。
少女「さすが希代の魔法使い、想像力が違うね。でも」
魔法使い「なに?」
少女「少し胸部に脂肪を付け過ぎているんじゃないかい?」
うん、一度こいつは死ねばいい。
292 :
以下、名無しが深夜にお送りします:2013/01/09(水) 00:48:47 ID:
Y3goLB3Q
少女「ここからが本番だ。 自分の中の最深部に向かうよ」
魔法使い「どうやって?」
少女「君の世界だ、君しかわからないよ」
少女の言う事は正しい。
だが、分からないから訪ねたという事を少しは考えて欲しい。
少女「なんだ、不服そうだね」
魔法使い「そりゃあね、こうなれば手当たり次第かい?」
見渡す限りの乳白色の霧の中で、いったい何が見つかるのかは、分からないけど。
293 :
以下、名無しが深夜にお送りします:2013/01/09(水) 00:49:32 ID:
Y3goLB3Q
なるべく更新できるようがんばります
297 :
以下、名無しが深夜にお送りします:2013/01/15(火) 10:13:17 ID:DhBwZHr.
素敵な物語をありがとう! 頑張ってください …支援
303 :
以下、名無しが深夜にお送りします:2013/01/21(月) 23:10:45 ID:
fQWwhiOE
更新します。
304 :
以下、名無しが深夜にお送りします:2013/01/21(月) 23:12:11 ID:
fQWwhiOE
靄の中をひたすらに歩く。
もう何時間も歩いているような気もするし、まだ30分も歩いていないような気もする。
どこまで行ってもこの乳白色の靄がとぎれない為に辟易した頃。
少女「待ちなよ」
呼び止める声が聞こえた。
振り返ると、少女はまっすぐ僕を見つめている。
何もかも見通すような不愉快な深紫色の瞳だった。
305 :
以下、名無しが深夜にお送りします:2013/01/21(月) 23:13:13 ID:
fQWwhiOE
少女「君は随分と物事を難しく考える」
少女は言葉を続けた。
まるで幼子をあやすかのような口調は、瞳以上に不愉快だ。
なのにすんなりと入ってくる。
少女「この靄は君の迷いの象徴だよ。 君は自らの心の中で迷子になっている」
魔法使い「そんな事は」
そんな事はない。
そう否定したいのに、出来なかった。
306 :
以下、名無しが深夜にお送りします:2013/01/21(月) 23:13:30 ID:
fQWwhiOE
少女「自分の心に嘘はつけない、この靄は君の迷いそのものだ」
心当たりが在りすぎて、原因すら分からないや。
魔法使い「ああ、きっとそうなんだろうね」
なぜだか、それをすんなりと認めることができた。
少女「一歩前進だね」
この少女のしたり顔は気にくわないのは相変わらずだけど。
307 :
以下、名無しが深夜にお送りします:2013/01/21(月) 23:14:26 ID:
fQWwhiOE
できれば明日も更新したいと思います。
308 :
以下、名無しが深夜にお送りします:2013/01/21(月) 23:22:11 ID:3vDw6KsU
がんばれ支援
309 :
以下、名無しが深夜にお送りします:2013/01/21(月) 23:27:14 ID:t5oV1Rk.
ありがとうございます! 病が楽になりました またよろしくお願いします
310 :
以下、名無しが深夜にお送りします:2013/01/22(火) 23:56:46 ID:
rCY1figA
歩いているうちに何となくわかってきた。
僕が向かっている先が正しい方向だと。
理由は無いけど確信できた。
徐々に濃くなっていく霧。
その出所は意外なものだった。
魔法使い「これは、僕の村?」
少女「みたいだね」
なんだか、拍子抜けしてしまう。 片田舎の寂れた村。
僕の心の奥がこうなっているなんて。
311 :
以下、名無しが深夜にお送りします:2013/01/22(火) 23:57:01 ID:
rCY1figA
「おい!わたちのむらになんのよう!」
声を聞いて振り返る。
魔法使い「あーそうきたか」
少女「くっくっく、これはまた可愛らしいな」
視線の先には幼女。
肩に届くかどうかの濃い金髪。
生意気そうな瞳。
幼女「なによ!」
これ、僕の小さい頃だよ……。
312 :
以下、名無しが深夜にお送りします:2013/01/23(水) 00:03:52 ID:vINGGDMg
少なくてごめんなさい
313 :
以下、名無しが深夜にお送りします:2013/01/23(水) 00:05:26 ID:yep84BwI
小さい頃は僕じゃなかったんだね
314 :
以下、名無しが深夜にお送りします:2013/01/23(水) 02:14:20 ID:TZuVSbrM
乙
315 :
以下、名無しが深夜にお送りします:2013/01/23(水) 17:36:09 ID:0cgolqZ6
乙
魔女の幼少期を知った少年の反応が楽しみだww
316 :
以下、名無しが深夜にお送りします:2013/01/25(金) 00:18:58 ID:W04O/8vs
きちんと読んでるよ
やっぱり面白いね
319 :
以下、名無しが深夜にお送りします:2013/02/03(日) 02:22:03 ID:
UBixgMNA
少し更新します。
320 :
以下、名無しが深夜にお送りします:2013/02/03(日) 02:23:19 ID:
UBixgMNA
少女「君の迷いはどうやら幼児期の出来事のようだね」
魔法使い「良く覚えてないんだよね小さい頃って」
幼女「むつかしそうなはなし、きらい! あんたたちなんなのよ!」
これはなんていうか、うん
魔法使い「えいっ」
幼女「ふぎゅ!?」
恥をばらまいているみたいですごく恥ずかしい。 デコピンで黙らそう、うん。
幼女「うわぁ〜〜ん、ぱぱぁっ!!」
行っちゃったよ……。
321 :
以下、名無しが深夜にお送りします:2013/02/03(日) 02:24:51 ID:
UBixgMNA
少女「追わないのかい?」
魔法使い「追わなきゃ駄目、かな?」
魔法使い「はぁ」
やっぱり僕の家だよなぁ。
こらえきれずにため息をつく。
少女「なぁ魔法使い。 君の父上と母上はどんな人なんだい?」
家の前で立ち止まる。
魔法使い「ん〜実はよく覚えてないんだよね」
少女「ご息災ではない、と?」
遠慮なく聞くね。
322 :
以下、名無しが深夜にお送りします:2013/02/03(日) 02:25:14 ID:
UBixgMNA
魔法使い「ママは死んじゃったみたい。 パパは物心ついた頃には居なかったしなぁ」
少女「君も知らない過去か」
魔法使い「そーいうこと」
ほんとはパパの事はぼんやり覚えてるんだ。
眼鏡をかけた優しげな人だった。
323 :
以下、名無しが深夜にお送りします:2013/02/03(日) 04:09:41 ID:
UBixgMNA
仕事の都合上どうしても更新が少なくなりますが、頑張るのでお付き合い頂ければと思います。
324 :
以下、名無しが深夜にお送りします:2013/02/03(日) 11:50:10 ID:Mm/EUUDE
おおつ
329 :
以下、名無しが深夜にお送りします:2013/02/08(金) 21:54:09 ID:
kzuAr8sI
更新します
330 :
以下、名無しが深夜にお送りします:2013/02/08(金) 21:55:24 ID:
kzuAr8sI
少女「案外簡素な住まいだな」
魔法使い「豪華絢爛は趣味でもないしね」
手入れもそこそこな小さな一軒家の前で、少しの間それを眺める。
壁や柵に絡んだ蔦は最近まで僕が住んでいた家に比べると幾分か少ない。
よく見ると少し新しい。
覚えていないのにこんなにも鮮明に再現されているのが不思議に思える。
少女「記憶というのは無くならない、思い出し方を忘れるだけだ」
魔法使い「御高説どうも、だけど人の心を見透かすような真似はやめてくれない?」
なんでもお見通しみたいで嫌な奴だ。 魔女って皆こうなんだろうか?
331 :
以下、名無しが深夜にお送りします:2013/02/08(金) 21:56:14 ID:
kzuAr8sI
少女「じゃあいこうか、間違いなく目指す先はあの家の奥だよ」
魔法使い「はいはい」
気が乗らないなぁ。
魔法使い「お邪魔します、かな?」
少女「思い出でも君の家だし、ただいま、じゃないかな?」
簡素な扉は案外に簡単にひらいた。
幼女「はいってこないで!」
やっぱり居るよね。
魔法使い「どうしても行かなきゃならないんだ」
幼女「だめ!」
魔法使い「なぜ?」
幼女「きずつくから!」
あたりの様子がおかしい。
今までは簡素ながらも素敵な我が家、の筈だったんだけど。
332 :
以下、名無しが深夜にお送りします:2013/02/08(金) 21:56:36 ID:
kzuAr8sI
少女「記憶、魂の根元に至らんとする者を試す門」
仰々しい門以外には何もない空間。
幼女「主、貴女の意志で閉ざされた記憶を見るおつもりか」
幼女も雰囲気が変わる。
というか見た目も変わっている。
背格好こそ昔の僕と同じだけど、白銀の甲冑に突撃槍をもった姿は騎士そのものだ。
少女「よっぽど思い出したくない過去みたいだね」
少女が心配そうな顔をした。
珍しいこともあるものだ。
魔法使い「見なきゃならないからね」
幼女が風切り音を鳴らし突撃槍を向ける。
幼女「なれば覚悟をお示し下さい」
魔法使い「上等だよ」
自分に向き合うには良い機会だ。
333 :
以下、名無しが深夜にお送りします:2013/02/08(金) 21:57:28 ID:
kzuAr8sI
今回の更新は以上となります。
334 :
以下、名無しが深夜にお送りします:2013/02/08(金) 21:57:42 ID:W7nZYu2Y
おお少ないけど乙
335 :
以下、名無しが深夜にお送りします:2013/02/09(土) 08:47:14 ID:DLBCYXQ6
ここを乗り越えての魔女だったのか
メンタル強いのね
336 :
以下、名無しが深夜にお送りします:2013/02/09(土) 10:48:37 ID:4iQqRR1g
胸熱!! 頑張ってね!
338 :
以下、名無しが深夜にお送りします:2013/02/12(火) 13:06:51 ID:
k36p9WS.
更新します
339 :
以下、名無しが深夜にお送りします:2013/02/12(火) 13:08:19 ID:
k36p9WS.
幼女が鋭い踏み込みから突撃槍を振るう。
魔法使い「〜〜」
視界を奪う閃光の魔法。
距離を取り、体勢を立て直す。
肉弾戦はゴメンだ、とりあえずは相手の戦闘能力を奪うことができればそれでーー。
幼女「そんな消極的な考えだと」
ゆうに間合いの三倍はあったであろう距離を一瞬で詰められる。
まずいっ!!
幼女「死ぬぞ? 我が主」
340 :
以下、名無しが深夜にお送りします:2013/02/12(火) 13:08:59 ID:
k36p9WS.
眼前には貫く事に特化した円錐の槍の切っ先。
魔法使い「っ〜〜!!」
とっさに撃ったのは下位の氷魔法。
起死回生の一手。 とはいかず、僅かにその切っ先をずらす事で精一杯だ。
幼女「小癪!」
魔法使い「あぐぁっ」
弾かれた切っ先の軌道を強引に変え、打ち据えられる。
幼女「立つが良い、主よ。 立ち上がる強さを持たぬ者は何も掴む事などできないぞ」
見た目が幼少期の僕の癖に。
341 :
以下、名無しが深夜にお送りします:2013/02/12(火) 13:10:57 ID:
k36p9WS.
魔法使い「偉そうに! 僕の幼い頃なら大人しく花の冠でも作って遊んでろ!」
したたかに打ち据えられた後頭部の痛みを堪えつつ、杖の先に魔力を込める。
魔法使い「〜〜〜〜!!」
放つのは今の自分が使える最大級の氷の呪文。 周囲を氷棺で覆い尽くす不可避の一撃。
魔法使い「どうだ。 効いただろう?」
幼女「そうでもないな」
魔法使い「なっ!?」
氷の欠片が舞う。
その欠片を纏いながら突撃槍が迫る。
まずい、かわせないっ。
魔法使い「あ……あぁ」
悪い冗談だ。
僕の腹部にーー。
少女「魔法使いっ!?」
突撃槍が突き刺さっているなんて。
342 :
以下、名無しが深夜にお送りします:2013/02/12(火) 13:11:31 ID:
k36p9WS.
とりあえず以上になります。
343 :
以下、名無しが深夜にお送りします:2013/02/12(火) 13:50:54 ID:aWzIJqS2
乙
344 :
以下、名無しが深夜にお送りします:2013/02/12(火) 15:29:59 ID:latZiivc
昔の自分の方が強いとか・・・ドンマイ・・・
345 :
以下、名無しが深夜にお送りします:2013/02/12(火) 18:01:20 ID:ULTNiqOI
主に氷魔法が得意だったのかね