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魔女「果ても無き世界の果てならば」
Part4


115 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/08/24(金) 23:10:55 ID:PC8NHMLA
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魔女「とまぁ、僧侶とは少し打ち解けたんだろうな」
 遠くを見つめ、懐かしそうに目を細める魔女。
 寂しそうですが、幸せそうでもあります。
少年「僧侶さんは良い人なんだろうね」
 魔女の言葉から優しさが滲んでいますし、きっと良い人なんでしょう。
魔女「あれは、馬鹿っていうんだ」
 それより気になったことがあります。
 魔女って、胸の大きさを気にしているのかな?
 聞いたらひどい目に遭いそうですし、聞きませんけど。

116 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/08/24(金) 23:11:10 ID:PC8NHMLA
少年「でも勇者と戦士とはまだ打ち解けてないよね?」
 安楽椅子の揺れが止まりました。
魔女「勇者とはその後打ち解けたよ。 彼も言うなれば馬鹿、かな?」
 魔女の頬がゆるんでます。
 なんだか不愉快……。
 いや、嫉妬なんてしてません。
魔女「妖精の村で、勇者の能力を開花させる為の修行をしたんだ」
魔女「あの時は大変だったんだよ?」
 うん、嫉妬なんてしてないです。 ほんとです。
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117 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/08/24(金) 23:21:12 ID:PC8NHMLA
今回の更新は以上となります

118 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/08/24(金) 23:26:17 ID:HqINbPq2
更新乙!
魔法使いちゃん可愛いなあ

119 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/08/25(土) 02:20:37 ID:VjA/9hm6
更新乙!
少年よ、聞け聞くんだ!

120 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/08/25(土) 04:32:37 ID:Lxcr3Ypg
乳袋とか辛辣すぎるw

121 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/08/26(日) 21:33:06 ID:NPckAhWs
更新します。 一つ一つのエピソードを詳しく描写した方がよいでしょうか?

122 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/08/26(日) 21:34:34 ID:NPckAhWs
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 なんでこんな事になってしまったのだろうか……
勇者「浮かない顔すんなって! なんとかなるさ」
 現在、僕はこの脳天気な勇者と二人で妖精の祠にいる。
 妖精の王が、勇者の魂を呼び起こして真の力を目覚めさせるとかなんとか。
 その試練には魔に通ずる者が同伴しなければならないらしく、僕もついて行かなければならなくなった。
 それはまだいい。
 ただ、聞いてない。
ゴーレムの群れ「グゴゴゴ」
魔法使い「なる訳ないだろ!」

123 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/08/26(日) 21:35:27 ID:NPckAhWs
 神代の時代の兵器の群に囲まれるなんて。
 あーもう! 馬鹿じゃないの?
勇者「任せろ、魔法使いに怪我なんかさせないからな」
 どこからこの自信が出てくるんだろう。
 とりあえず向こうから攻撃してくることはないみたいだし、ゆっくりと作戦を練る時間は……
勇者「うおおおりゃああ」
 駄目だ、この人は本気で馬鹿らしい。 僧侶並の馬鹿だ。

124 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/08/26(日) 21:36:07 ID:NPckAhWs
勇者「〜〜」
 小さな閃光の呪文をゴーレムの顔面に向け放つ。
 それと同時に、低い姿勢から足を狙った一閃。
 自分より強大な物と戦う事に慣れているようだ。
 そう感じ取れる程、その動きは滑らかで自然だった。
ゴーレム「グゴー」
勇者「ふぎゃっ」
 あ、蹴られた。
 んー格好悪い。
ゴーレム「グゴー」
勇者「待って、いったんタイムで」
ゴーレム「グゴー?」
 ゴーレムは理解したようで、その場で停止。
 勇者が戻ってきた。

125 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/08/26(日) 21:37:20 ID:NPckAhWs
勇者「アイツ堅すぎるんだけど!?」
魔法使い「君も馬鹿なの?」
勇者「え?」
魔法使い「あのゴーレムは神代の時代の遺物だ。 魔法に対する耐性と物理耐性はそこらの魔物なんかと比べものにならない」
勇者「うん、それから?」
魔法使い「魂のない自立駆動兵器だから、僕の魔法で即死させる事もできない」
勇者「ずいぶん詳しいんだな」
魔法使い「まぁね」
勇者「魔法使いと一緒でよかった」
 随分とまぁ、まっすぐ笑う人間だ。

126 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/08/26(日) 21:38:07 ID:NPckAhWs
魔法使い「よしてよ、なんの役にも立ってないんだし」
勇者「アレの正体が分かっただけでも十分過ぎるさ、それに」
 今では見ることのできなくなった青空のような紺碧の髪をガシガシと掻きながら勇者は続ける。
勇者「誰かと一緒の方が頑張れるんだよな、きっと」
 うわー恥ずかしいことを言う人だな。

127 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/08/26(日) 21:38:30 ID:NPckAhWs
魔法使い「せいぜい頑張りなよ。 僕は魔法が効かない相手にはなんの役にも立たないし」
 役に立てたとしても何かをする気にはならないけどね。
 それこそ、勇者なんだから一人で何とかするでしょ?
勇者「あぁ、任せとけって!」
 勇者は自信たっぷりな笑みを浮かべると親指を立てる。
 はてさて、どれくらいでどうにもならないって気づくやら。

128 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/08/26(日) 21:39:05 ID:NPckAhWs
数時間後ーーーー。
勇者「うおおおりゃああ」
魔法使い「まだやってるの?」
 勇者は先程から色々な事を試してはいるが、結局無駄に終わっている。
勇者「諦めてたら何もできないからな」
魔法使い「諦めが肝心とも言うよ?」
 諦めの悪い奴だな。
勇者「俺の敵は諦めと絶望だ! うおおお」
 懲りない奴……。

129 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/08/26(日) 21:39:36 ID:NPckAhWs
 座り心地の悪い祠の湿っぽい地面に座り込み勇者を眺める。
ゴーレム「グゴー」
勇者「剣じゃ駄目だしなぁ」
 けして業物とは言えない大量生産の長剣でゴーレムに傷が付いたらそれこそ奇跡だ。
 達人が業物の得物を使っても傷がつくかも怪しいんだもの。
勇者「んじゃ次はこれだ」
 勇者が構えを変えた。

130 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/08/26(日) 21:43:36 ID:NPckAhWs
 勇者は、最上段に剣を構えると精神を集中するように目を瞑る。
勇者「ふん!」
 地面を蹴り上げ、一気に距離を詰めると振りかぶった剣をゴーレムの頭上に振り下ろす。
 それは、金属を切り裂く為に編み出された剣技。
 普通なら刃が通らぬ堅牢な表皮を持つ魔物さえ切り裂く剛剣。
ゴーレム「グゴー」
 金属同士の衝突音が祠の中に響く。

131 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/08/26(日) 21:44:11 ID:NPckAhWs
魔法使い「うわっ!?」
 勇者とゴーレムの間に火花が散り、金属の塊が僕のすぐ脇に突き刺さった。
 金属は、折れた長剣の切っ先だ。
 僕に何か恨みでもあるのだろうか?
魔法使い「いつから目的がゴーレムじゃなくて僕を倒す事に変わったんだい?」
勇者「すまん!」
 これじゃいつまで経ってもゴーレムを倒すなんて無理だね。
 はぁ、お風呂にでも入ってゆっくりと眠りたいや。

133 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/08/26(日) 21:45:33 ID:NPckAhWs
今回の更新は以上となります。
作品に出てくる魔法、技は全てドラ○エに出てくるものです。

134 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/08/27(月) 23:48:29 ID:j/y/1npE
更新します

135 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/08/27(月) 23:49:18 ID:j/y/1npE
勇者「剣も折れたし、よし! 殴るか」
 腕を振り回しながらゴーレムに向かっていく勇者。
 剣の次は骨でも折るつもりらしい。
魔法使い「それはやめといた方が良いと思うよ? 怪我するだけだし」
 ほんとに諦め悪い奴だ。

136 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/08/27(月) 23:49:58 ID:j/y/1npE
勇者「あ〜やっぱり?」
魔法使い「じゃあどうするの?」
勇者「〜〜。 食らえ」
 勇者が呪文を唱える。
 放たれたのは小さな雷の魔法。
魔法使い「聞く訳ないじゃな……い?」
ゴーレム「グゴゴゴ? グゴー?」
 ゴーレムが明らかに反応を示している。
 効いた?
勇者「どんなもんだ!」
ゴーレム「グ……グゴァアァァァ」
魔法使い「まずい!?」

137 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/08/27(月) 23:50:25 ID:j/y/1npE
 雷に当たったゴーレムが咆哮を上げた。
 どうやら敵と認識されたらしい。
 ゴーレムの単眼が眩い閃光を放った瞬間、その視線上に有った物が蒸発した。
魔法使い「勇者!?」
勇者「大丈夫だ!! そっちは!?」
 間一髪、閃光を避けた勇者。
 数秒前まで勇者が立っていた場所は溶けたバターのように滑らかに抉られていた。
ゴーレム「グゴァアァァァ」
 数秒に一発の間隔で閃光を撃つゴーレム。
 周りのゴーレムもそれに呼応するように単眼を紅く光らせて勇者に敵意を向け始める。

138 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/08/27(月) 23:50:54 ID:j/y/1npE
勇者「〜〜」
 勇者は閃光を器用に避け続けながら雷の呪文を放つが、如何せん火力不足。 ゴーレムには微々たる損傷しか与えられない。
魔法使い「雷は効くのか……」
 勇者にしか力を貸すことがないと言われている雷の精霊はゴーレムも想定外らしい。
 嫉妬が胸の中で首を擡げる。
 僕なら、もっと上手くできるのに……

139 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/08/27(月) 23:51:08 ID:j/y/1npE
勇者「あぶねー!!」
 勇者に突き飛ばされる。
 危なかった。 僕の居た場所に閃光が走る。
魔法使い「助かったよ」
勇者「任せろって言ったろ? まぁちょっと待ってろよ。 片付けてくるから」
 虚勢? いや、この目は本気だ。
 ひたすら真っ直ぐな輝きを湛えたその瞳の前では、諦めや絶望さえ逃げ出してしまいそうだとさえ思ってしまう。
魔法使い「仕方ない、手を貸してあげよう」
 少しだけ、彼に興味がでた。

140 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/08/27(月) 23:51:41 ID:j/y/1npE
今回の更新は以上となります。

141 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/08/28(火) 00:22:42 ID:QbuKFfBc
ゴーレムが本気だしたか...
魔女の策に期待を寄せよう
?

142 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/08/28(火) 01:50:50 ID:5.BQABQ6
ちょっと更新。

143 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/08/28(火) 02:12:14 ID:5.BQABQ6
魔法使い「さて、堅牢な表面に加えて高い魔法耐性、正攻法じゃまず無理だよ。 だから君の魔法を使う」
勇者「火力が足りないぞ?」
魔法使い「僕が魔力と術式を担当するよ、君はただ雷の精霊を使役してくれればそれでいい」
 ゴーレムの閃光を避けながら説明する。
勇者「やっぱり魔法使いは頼りになるな〜」
 感心したように僕を見つめる勇者。
 あんまりみないで欲しい。

144 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/08/28(火) 02:12:40 ID:5.BQABQ6
勇者「時間もないし、サクッとやっちまおう」
 ゴーレムの閃光の間隔の間を縫って魔力を練る。
勇者「〜〜」
 勇者の手を握る。
 パパ以外の男性の手を握るのは初めてだと気付き、一瞬戸惑う。
勇者「〜〜」
 まぁいいか。
 誰か手を握ったのは久しぶりだ。
 思ったよりも大きくて、ゴツゴツと逞しい手だった。

145 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/08/28(火) 02:13:17 ID:5.BQABQ6
魔法使い「〜〜〜〜」
 勇者の魔力の流れを調整しつつ、僕の魔力を上乗せして火力を底上げする。
 更に上位の精霊を使役する為の呪文を駆使、魔法自体を高位の物に書き換える。
勇者「おぉ?」
魔法使い「集中して! 格上の精霊、しかも雷の精霊相手にしてるんだ、油断すると精神ごと灼かれるよ」
ゴーレム「グゴァアァァァ」
 感づいたゴーレム達が一斉に僕たちに紅い単眼を向ける。
勇者・魔法使い「「〜〜〜〜!!」」
 空気中の至る所で放電が起こる。
 雷雲がゴーレム達の頭上に出現。
 数瞬の後、それは空気を震わせる轟音を響かせてゴーレムを呑み込んだ。

146 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/08/28(火) 02:13:45 ID:5.BQABQ6
 見る者の魂を灼き尽くす気高き雷。
 勇者のみに与する自然界で最も鋭き刃を持つ精霊の一撃。
 それがゴーレムの堅牢な外皮を貫き内部を焼き尽くす。
勇者「すげぇ……」
魔法使い「これが本来の威力なんだ。 それより」
 ゴーレムの残骸が転がる祠の奥、台座の向こうの扉がひとりでに開いた。
勇者「ん?」
魔法使い「いつまで手を握っているのかな?」
勇者「お、悪い悪い」
 離された手を見つめる。
 悪い気は、しなかった。