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魔女「果ても無き世界の果てならば」
Part3


62 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/08/15(水) 23:50:22 ID:aD55uUOE
僧侶「これは、私の我が儘です」
魔法使い「え?」
 僧侶が呟く。
僧侶「私のせいで誰かが傷つくのが、どうしようもなく嫌なのです……」
魔法使い「傷一つ、つけられちゃい無いけど……ん?」
 僧侶は泣いていた。
 僕よりも年上の人がこんな泣き方をするなんて想定外で、どうすればよいかさっぱりだ。
魔法使い「あー、なんて言うかその、ごめん?」
 とりあえず謝ろう、うん。
 何が悪いのかはわかんないけど……。

63 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/08/15(水) 23:50:46 ID:aD55uUOE
僧侶「ん……でもソレだけじゃないんです」
魔法使い「まだあるの?」
僧侶「……死者を冒涜するような魔法を使わないで下さい」
 なんとも神の子羊らしい言い分だことで。
魔法使い「はいはい、善処するよ」
 でも分かってないね。
魔法使い「彼らはオーガに恨みをもって成仏できずにいたんだよ? それを晴らす手伝いをしてあげただけさ」
 優しいだけじゃなんにもならない事なんて、引きこもっていた僕にでも分かることなのにね。

64 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/08/15(水) 23:51:25 ID:aD55uUOE
今回の更新は以上となります。

68 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/08/16(木) 08:38:41 ID:PX597s1k
更新乙乙!

69 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/08/17(金) 10:20:39 ID:fW9mFDn2
支援

72 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/08/17(金) 22:39:51 ID:RtyLVs8A
更新します。

73 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/08/17(金) 22:42:31 ID:RtyLVs8A
僧侶「ん……でもソレだけじゃないんです」
魔法使い「まだあるの?」
僧侶「……死者を冒涜するような魔法を使わないで下さい」
 なんとも神の子羊らしい言い分だことで。
魔法使い「はいはい、善処するよ」
 でも分かってないね。
魔法使い「彼らはオーガに恨みをもって成仏できずにいたんだよ? それを晴らす手伝いをしてあげただけさ」
 優しいだけじゃなんにもならない事なんて、引きこもっていた僕にでも分かることなのにね。

74 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/08/17(金) 22:43:15 ID:RtyLVs8A
戦士「ふむ、無事なようだな」
勇者「無事、なのか?」
 被害者達の所に戻ってから程なく、二人は戻ってきた。
 無傷な戦士とは対照的に傷だらけな勇者。
魔法使い「割と無事だよ」
僧侶「えぇ、少なくとも傷ついたりはしていません」
 周りの心配をしている勇者が多分一番の重傷だ。
僧侶「〜〜」
 僧侶が勇者に回復の呪文をかける。
戦士「まさかオークの群にオーガの群まで混じっているなんてな」
魔法使い「あなたにはなんの障害にもならなかったでしょ」
 この男はオーガとは格が違いすぎる。
 例えオーガが束になって彼に襲いかかったとしても、その戦斧の餌食なった数多くの者達の末席に加わるだけだ。

75 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/08/17(金) 22:43:39 ID:RtyLVs8A
戦士「今回は勇者の手柄だ」
魔法使い「どういう事?」
僧侶「勇者さんたら、回復を施したらすぐに寝てしまいましたわ。 あれ程憔悴するなんて、いったい何があったのです?」
 戦士と話していると、勇者に回復を施した僧侶が戻ってきた。
戦士「群のボスだったオーガの変異種と一騎打ちをしたくらいだ」
 戦士の話によると、この混成群による一連の騒動は一体の強力なオーガの変異種によって引き起こされた事らしい。

76 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/08/17(金) 22:44:24 ID:RtyLVs8A
魔法使い「あなたなら労せず倒せたんじゃ?」
 勇者の実力でオーガの特殊な個体を相手にしたのなら、五体満足のあの状態でも御の字だろう。 よくやったといっても良いくらいだ。
 しかし、目の前にいるこの無骨な戦士なら何の問題もなく倒せる筈である。
 なぜ?
戦士「俺は終わった人間で、アイツはこれからの人間だ」
 戦士がぽつりと呟く。
戦士「それに、あんたが思ってるよりアイツは強い」
僧侶「えぇ、そして彼ならばきっと誰よりも強くなれる筈です」
 わからない……。
魔法使い「僕には君達がよく分かんないよ」
 なんだか居心地が悪いや。
 この人達を見てるとどうにも胸がもやもやとスッキリしないし。
 こんな時どうすればいいんだろう?
 僕には、分からないよ……。

78 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/08/17(金) 23:03:25 ID:RtyLVs8A
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魔女「これが最初かな」
 魔女は苦笑いを浮かべて言いました。
 塔の窓からは夕日が射し込んでいて、安楽椅子に腰掛けた魔女の顔は優しそうに見えます。
少年「話を聞くと、魔女はなんだか子供っぽいね」
 友達を作るのが下手な子供みたい。 と言いそうになりましたが、これは言いませんし、言えません。
 言ったら怒られちゃいますからね。

79 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/08/17(金) 23:03:59 ID:RtyLVs8A
魔女「そりゃあ、その頃の僕は花も恥じらうお年頃の可憐な少女だからね、子供らしさがあって然るべきさ」
 そうです。 今の魔女は見た目こそ僕と同じくらいですが、僕のお爺さんの、そのまたお爺さんと同じくらい昔から生きているんです。 本当ならしわくちゃどころじゃないですもの。
魔女「なんだか失礼な事を考えていないかい?」
少年「ううん、僕はそんな事考えてないよ?」
 えぇ、神様に誓います。
 神様なんて居るか居ないか分からないから誓った所で問題は無いですよね?
 嘘は嫌いなんだけど、しょうがないですよね。

80 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/08/17(金) 23:05:37 ID:RtyLVs8A
少年「それより、そんな魔女がどうして仲良くなれたの?」
魔女「そんな、というのも酷い言い方だ」
 魔女が栗鼠みたいに頬を膨らませてます。 最近気づいたのですが、本気で怒ると、頬は膨らまずに眉間に皺が寄ります。
魔女「まぁいいか」
 やっぱりね。
魔女「仲が良かった、と言われると疑問だけど、彼らを認めることができたのはその後の事さ」
少年「?」
魔女「妖精の村にみんなと行った時に、色々とあったんだ」
 魔女はまた、苦笑いを浮かべました。
 すこし、嬉しそうでした。
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81 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/08/17(金) 23:06:36 ID:RtyLVs8A
今回の更新は以上となります。

82 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/08/17(金) 23:10:08 ID:Tll44e0U
まさかの少年!
更新乙乙ー!

83 :以下、名無しが深夜にお送りしますよ:2012/08/18(土) 03:19:23 ID:oFlK.ZeU
俺も魔女と暮らしたいなぁ...

84 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/08/18(土) 23:39:55 ID:4cC1kVjg
過去より大切なのは今だ。
つまり、魔法使いじゃなくて魔女と少年のイチャラブを・・・

85 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/08/19(日) 05:54:23 ID:11pAHLC.
>>84
うっせ
過去編なんだから
それを大人しく見てろや!

86 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/08/19(日) 10:05:46 ID:JnZMwNBk
>>85
ここでケンカっぽいこと(口調)は止めてください。
水を指す>>84のような発言も控えるべきです。
何をどのように書くかは書き手さんで、私たちはそれを楽しみに待っているんですから。

87 :以下、名無しが深夜にお送りしますよ:2012/08/19(日) 13:16:35 ID:hiGgaKqk
大人しく待っとこうぜ。
支援

89 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/08/23(木) 14:15:17 ID:DLjS442E
お待たせいたしました。更新しようと思います。
現代編?続編?は最後の話になりますので、それまで気長に各キャラのSSにお付き合い下されば幸いです。

90 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/08/23(木) 14:17:04 ID:DLjS442E
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 深い森を歩く。
 まるで深緑の海の底をさまよっているようだと思い、空を見上げた。
 木々の隙間からは微かに鈍色の空が見える。
魔法使い「はぁ、憂鬱だ」
 手頃な木の根に腰掛けるとため息が漏れた。

91 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/08/23(木) 14:17:37 ID:DLjS442E
 いっそこの胸に詰まっている正体不明の靄を一緒に吐き出せたらどれだけ良かった事か。
 勇者たちと離れれば治るかとも思ったのに、結局は変わらない。
 せっかく適当に理由を考えて別行動をとるようにしたというのにこれじゃあ意味がないよ。
魔女「そろそろ行かなくちゃな」
 待たせたところで変わらないし、仕方ない。
 深い森の中をまた歩き出す。
 あぁ、憂鬱だ……。

92 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/08/23(木) 14:18:18 ID:DLjS442E
 結局胸の靄をどうする事もできないまま妖精の村の入り口までたどり着く。
 薄暗い不気味な森の一角に四季の花が咲き乱れている不可思議な場所だ。 迷わないように地図まで書いて渡したというのに。
僧侶「お久しぶりです、ね?」
魔法使い「何で無駄乳以外居ないのさっ!?」
僧侶「無駄乳!?」
 あ、口が滑っちゃった。
 僕とした事が失敗失敗。
魔法使い「え? 君の胸部の脂肪には有意義な使い道があるのかい? 乳牛なのかい?」
 もうめんどくさいからいいや、素で接しちゃおう。
 どーせ僧侶だし。

93 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/08/23(木) 14:18:48 ID:DLjS442E
僧侶「グスン、酷いです」
魔法使い「あぁ〜……、なんていうかごめん?」
 またその大きな垂れ目を潤ませる僧侶。
 子供? ねぇ、子供なの? この人は子供なの?
 おっぱい大きいんだからもっとしっかりしてよ。
魔法使い「勇者と戦士はどこ?」
僧侶「いやぁ〜その……迷子?」
魔法使い「はぁ!?」

94 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/08/23(木) 14:19:08 ID:DLjS442E
 僧侶のわかりにくい説明によると、なかなか来ない僕を探しに勇者が、そんな勇者が戻って来ないのを心配して戦士が探しに行ったっきり戻ってこないらしい。
 いわゆるアレだ。 あれ、ど忘れしちゃった。
僧侶「ミイラ取りがミイラになるって奴ですねっていひゃい、いひゃい」
 自慢げな僧侶の顔が腹立たしいので頬をつねってみた。
 柔らかい感触は癖になる。
 今度からちょくちょく抓るようにしよう。

95 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/08/23(木) 14:22:50 ID:DLjS442E
今回の更新は以上になります。
魔女のキャラが少し違うのは、年相応だからです。

96 :以下、名無しが深夜にお送りしますよ:2012/08/23(木) 14:47:22 ID:sqkcfpdI
待ってた。更新乙
魔法使いのキャラも魔女の若かりし頃と考えると、笑えるなw

97 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/08/23(木) 15:58:20 ID:0Xjn0u46
魔女って何年たっても容姿が変わらないんでしょ?
これは何年前の話なんだろう

98 :以下、名無しが深夜にお送りしますよ:2012/08/23(木) 16:33:07 ID:sqkcfpdI
>>97
「あなたが塔の~」で魔女が、勇者・魔王が生存していた時代を、だいたい二百年前だと言っていたから、二世紀ほど前だと思われ

99 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/08/23(木) 18:32:28 ID:AFAhIW2A
この頃から二百年全く見た目が変わらないとすると、この魔法使いさんは12〜15歳の捻くれたお嬢さんか……
かわええ

100 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/08/23(木) 19:16:39 ID:0Xjn0u46
>>98
そうか……thx

112 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/08/24(金) 23:06:44 ID:PC8NHMLA
更新しようと思ってたのですが、寝てしまいました。
更新します。

113 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/08/24(金) 23:09:17 ID:PC8NHMLA
 僧侶の頬に赤い痕ができた頃、戦士と勇者は帰ってきた。
勇者「なんだ、随分と仲良くなれたみたいだな」
戦士「あぁ、そうみたいだな」
 何を言ってるんだ?
僧侶「うふふん、魔法使いちゃんと仲良くですって」
 いつの間にかちゃん付けで呼んでるよこの乳袋。
 でもまぁ、こんなに他人と話したのは久々だし。
魔法使い「ん、まぁ、うん」
勇者「え!?」
戦士「お!?」
僧侶「へ!?」
 驚き過ぎじゃないか?
 まるで人がひねくれ者みたいじゃないか。 失礼だな。

114 :以下、名無しが深夜にお送りします:2012/08/24(金) 23:10:06 ID:PC8NHMLA
僧侶「魔法使いちゃん!」
魔法使い「うわ!?」
 隣にいた僧侶が抱きついてくる。
 顔面全体が埋もれる程豊かな胸部の感触。
 感触自体が心地よいのが非常に腹立たしい。
 だから。
魔法使い「ふん!!」
 その脂肪の塊を全力で横から叩く。
僧侶「きゃっ」
 何という手応え。 危うく手首を負傷するとこだった。
 前言撤回。
 やっぱり僕はコイツが嫌いだ。
 なのに、どうしてか頬が緩んでいくのを感じてしまう。
 よくわかんないや。