Part13
552 :
以下、名無しが深夜にお送りします:2013/05/13(月) 12:09:02 ID:
tDlbi7FQ
触手が僧侶を包み込む。
絡み合い、混じり合い、粘性の水音を立てながら、別の形に成っていく。
勇者「お……おい、どーいう事なんだよこれ?」
戦士「なんと禍しき……」
形成されていく、肉色の大樹。
その頂には出来の良い胸像のように、僧侶の胸から上が露出している。
553 :
以下、名無しが深夜にお送りします:2013/05/13(月) 12:09:51 ID:
tDlbi7FQ
そして、僧侶が笑った。
まるで天使のような笑み。
魔法使い「僧……侶?」
僧侶「……」
もう一度、僧侶が笑う。 いや、嗤う。
僧侶「〜〜、〜」
悪魔のような笑みを浮かべて彼女は言った。
呪文に使われている高位精霊言語で。
聞き取れた言葉は。
まるで何かお願いするみたいな軽い口調で。
ーーじゃあ、みんな死んでね?ーー
止めてよ、僧侶の顔と声で……。
554 :
以下、名無しが深夜にお送りします:2013/05/13(月) 12:11:49 ID:
tDlbi7FQ
今回の更新は以上になります。
僕は、巨乳で、むっちりとしたお尻が好きです。
555 :
以下、名無しが深夜にお送りします:2013/05/13(月) 12:33:58 ID:gdO8163E
>>554
そっちに魔法使いが助走をつけて走って行ったぞ
556 :
以下、名無しが深夜にお送りします:2013/05/13(月) 13:28:46 ID:nvsej3Hw
>>554が少年のセリフの代弁だったなら、二人まとめて地獄を見るな・・・・
557 :
以下、名無しが深夜にお送りします:2013/05/13(月) 19:50:15 ID:
tDlbi7FQ
また更新します。
今月中に終わらせる!
おっぱい!
558 :
以下、名無しが深夜にお送りします:2013/05/13(月) 19:51:25 ID:
tDlbi7FQ
肉色の大樹の枝が、螺旋状に絡まり、その先端に魔力の塊が形成されていく。
僧侶「〜〜〜〜〜〜〜〜ぎゃは、アハはハハハは」
僧侶の声で下品な笑い声をあげるなよ。
心はまだ折れていないんだ、まだやれるんだ。
なのに、立ち上がれない。
なぜか、視界が歪む。
もう戻せない。 そんな不安がよぎる。
僧侶「〜〜〜〜。 シネ」
枝先から絶望的な威力を持った魔力の塊が放たれた。
559 :
以下、名無しが深夜にお送りします:2013/05/13(月) 19:52:52 ID:
tDlbi7FQ
ゆっくりと、しかし回避できないほどの大きさの閃光。
せめて、戻せないなら一緒に。
少女から聞いた三つの禁術の一つ。
魔法使い「〜〜〜〜〜〜っ」
魂に宿る魔力を一滴残さず使い切る事で全てを破壊する禁術。
魔法使い「せめて、一緒に逝ってあげ……きゃっ!?」
頭に鈍い衝撃。
勇者「そんな事しなくたって良い」
僕の魔法を妨害したのは勇者。
閃光を真っ直ぐ見据えて。
最上段に剣を構え、僕の前に立っている。
560 :
以下、名無しが深夜にお送りします:2013/05/13(月) 19:53:49 ID:
tDlbi7FQ
勇者「誰一人だって救いもらさねぇぞ、俺は」
あぁ、この男はこんな時まで。
だからこそ、勇者なんだろうな。
幾千、幾万の諦観や絶望を斬り伏せ、その先を見据え続ける。
勇者「本当は、やりたかねぇけど。 僧侶、痛かったらごめんな」
勇者の剣が軋むような音をたてて淡い光を纏う。
少女「待て!! 今ソレを使っては魔王がーー」
勇者「何とかするから心配すんな」
勇者はそう言って、剣を振るった。
561 :
以下、名無しが深夜にお送りします:2013/05/13(月) 19:54:19 ID:
tDlbi7FQ
閃光を切り裂いて、肉色の大樹に真っ直ぐに飛ぶ一刃。
少女「馬鹿者が!!」
彼が使った剣技。
伝承にのみある記され、実在しないと言われた幻の剣技。
勇者のみが使えると言われ、悪しき物を切り裂く聖なる一刃。
その名を形容する物はなく、その剣技はただーー。
<強き一裂き>
そう呼ばれていた。
562 :
以下、名無しが深夜にお送りします:2013/05/13(月) 19:54:51 ID:
tDlbi7FQ
それは、肉色の大樹に触れるやいなや、金属の共振音に似た、澄んだ音をたてて消えた。
呆気ない幕切れだった。
大樹は枝先から光の花びらとなって消えていく。
全て消えるとそこには意識を失った僧侶が倒れていた。
563 :
以下、名無しが深夜にお送りします:2013/05/13(月) 19:56:03 ID:
tDlbi7FQ
今回の更新はおっぱいになります。
564 :
以下、名無しが深夜にお送りします:2013/05/13(月) 20:15:57 ID:/85SKqZI
おつぱい
565 :
以下、名無しが深夜にお送りします:2013/05/13(月) 20:48:18 ID:yo0nyEuc
おっぱい
566 :
以下、名無しが深夜にお送りします:2013/05/13(月) 21:17:25 ID:6MBIHl3g
乙ぱい
571 :
以下、名無しが深夜にお送りします:2013/05/17(金) 00:34:07 ID:
kJFMtZTo
ちょっと更新します。
もうちょいで終わります。
おっぱい
572 :
以下、名無しが深夜にお送りします:2013/05/17(金) 00:35:40 ID:
kJFMtZTo
今すぐ駆けつけたい。
地に伏した僧侶を抱きしめたい。
謝りたい、叱りたい。
でもそれはーー。
魔法使い「君の役目だ、勇者」
勇者「あぁ、分かってる」
勇者が僧侶の下へ駆け寄っていく。
573 :
以下、名無しが深夜にお送りします:2013/05/17(金) 00:36:17 ID:
kJFMtZTo
少女「まったく、彼は後先という物をもう少し考えるべきだ」
戦士「あの技にはそこまでの代償があるのか?」
少女「とびきり大きい代償だ、ほかに方法が無かったから仕方ないかもしれないが……」
こちらでは不満げな顔をした少女と、深刻な顔をした戦士が話し込んでいる。
僕は。
何だか居心地が悪いので、その辺をふらつく事にした。
574 :
以下、名無しが深夜にお送りします:2013/05/17(金) 00:37:03 ID:
kJFMtZTo
魔法使い「結局僕はまた何にもできなかったな」
居心地の悪さの正体は自己嫌悪。
仲間を助ける為に張り切ったは良いけど、結局失敗したのと変わらない。
勇者の‘アレ’も、少女の反応からすると、大きな代償を必要としたのだろう。
僕に邪精をどうにかできる力があれば使わなくて良かった物なのに……。
575 :
以下、名無しが深夜にお送りします:2013/05/17(金) 00:37:42 ID:
kJFMtZTo
ある程度歩くと、大きな樹木があった。
木の幹に寄りかかると、枝の合間から蒼い空が見える。
魔法使い「僧侶に謝らなきゃな」
そんな事を考えている内に、段々と微睡んでいく。
色々あったしな。 駄目だ、疲れてうまく考えられないや。
576 :
以下、名無しが深夜にお送りします:2013/05/17(金) 00:39:15 ID:
kJFMtZTo
「起きて? 風邪引いちゃうよ?」
優しげな声が聞こえる。
どうやら結構寝ちゃったみたいだ。
この声は……。
魔法使い「僧侶?」
僧侶「えへへ、おはようございます」
なんか可愛い生き物がこっちを見て照れ笑いしてるや。
577 :
以下、名無しが深夜にお送りします:2013/05/17(金) 00:40:29 ID:
kJFMtZTo
僧侶「みんななんか優しすぎて居づらくてね、逃げてきちゃった」
何だか落ち着きがないな。
いや、落ち着きがないのはいつも通りか?
僧侶「魔法使いちゃんなら、叱ってくれるよね。 馬鹿だって、考えなしの性悪女だって」
成る程、罪悪感でみんなと居れない訳ね。
魔法使い「やれやれ、仕方ないな」
右手に力を込めて振りかぶる。
僧侶「っ」
身をすくめる僧侶。 その頭上に手刀を打ち下ろす。
僧侶「……痛いです」
魔法使い「割と本気でチョップしたからね」
こっちの手も痛い。 石頭め。
578 :
以下、名無しが深夜にお送りします:2013/05/17(金) 00:41:22 ID:
kJFMtZTo
魔法使い「次は僕にビンタなりなんなりしてくれ、僕の所為で……」
僧侶「なんのことか分かりませんが……」
両手を広げて僧侶が近づいてくる。
魔法使い「きゃっ!?」
僧侶に抱きしめられた。
579 :
以下、名無しが深夜にお送りします:2013/05/17(金) 00:42:14 ID:
kJFMtZTo
魔法使い「何?」
僧侶「失恋……しちゃってるんですよ? 私」
だからって僕の胸に顔を押しつけなくたって……。
小さいから抱き心地も、なんて頭に過ぎったので腹が立ったからもう一発チョップをお見舞いする。
僧侶「ふぎゅ!?」
魔法使い「まぁ、勇者はきっと今回の事を理解はしてないから」
たちの悪い魔物に襲われた程度の認識だろう。
僧侶「違うんです」
吐く息は震えていた。
580 :
以下、名無しが深夜にお送りします:2013/05/17(金) 00:42:59 ID:
kJFMtZTo
僧侶「先日、少女さんは勇者様は世界と同義だと仰っていました。 邪精に飲み込まれた意識の中、私にとって勇者様とは何なのか、考えました」
僧侶立ち上がりあたりを見渡しながら言葉を続ける。
僧侶「勇者様は世界と同義です」
僧侶は穏やかな笑みで言った。
581 :
以下、名無しが深夜にお送りします:2013/05/17(金) 00:43:56 ID:
kJFMtZTo
僧侶「私は、この世界が堪らなく愛おしいです。 魔法使いちゃんや、戦士さん、少女さんが居て、様々な命芽吹くこの世界が。 そして、勇者様が命を懸けて護ろうとしているこの世界が、大好きです」
夕陽の中、慈しむような微笑み。
僧侶の宗教の、運命を司る天使を思わせる。
運命を受け入れた者を祝福し、運命に抗う者を守護する慈愛の天使。
僧侶「私は、この世界を愛し続けます。 それが、私の勇者様へ対する気持ちの結論です」
魔法使い「強いね」
優しさはこうも人を強くするんだね。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
582 :
以下、名無しが深夜にお送りします:2013/05/17(金) 00:45:33 ID:
kJFMtZTo
今回の更新は以上になります。
次回は本編と塔の魔女と少年の日常、どちらにしようか悩みます。
おっぱい。
583 :
以下、名無しが深夜にお送りします:2013/05/17(金) 01:15:01 ID:CK.iZf96
おつ!日常に1票。
584 :
以下、名無しが深夜にお送りします:2013/05/17(金) 02:14:47 ID:iXtjgYaI
たまには日常がみたいかな
585 :
以下、名無しが深夜にお送りします:2013/05/17(金) 02:21:20 ID:ZAaEuWes
日常に一票!
少年と魔女のいちゃラブが見たい
586 :
以下、名無しが深夜にお送りします:2013/05/17(金) 06:29:39 ID:mICVTfv6
ん〜、本編、というより回想がもう少しで終わるというなら先に終わらせてその後少年とのイチャラブでもいいと思うよ
588 :
以下、名無しが深夜にお送りします:2013/05/19(日) 13:27:06 ID:
V4JBu9gQ
少し更新します。おっぱい。
589 :
以下、名無しが深夜にお送りします:2013/05/19(日) 13:27:39 ID:
V4JBu9gQ
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少年「…………」
魔女「ん……? どうしたんだい」
気付いていないのなら、言う必要は無いですよね。
安楽椅子に身体を預けた魔女が、今にも泣き出しそうだなんて。
590 :
以下、名無しが深夜にお送りします:2013/05/19(日) 13:28:25 ID:
V4JBu9gQ
少年「いや、なんでもないよ」
魔女「自分でも、よくここまで覚えて居るもんだと感心するよ」
塔の窓から射す夕陽が魔女を柔らかく包んでいます。
僧侶が照らされていた、ていう夕陽もこんな夕陽だったのでしょうか。
魔女「さて、僕の思い出話もそろそろ終わりだね」
少年「魔女、ごめん」
きっと、この思い出は魔女の一番奥に、大切に、傷つかないように、風化しないようにしまっていたんでしょうから。
591 :
以下、名無しが深夜にお送りします:2013/05/19(日) 13:29:19 ID:
V4JBu9gQ
魔女「少年、君が何を謝っているかはだいたい分かる、でも良いんだ」
魔女は立ち上がり僕を見ます。
魔女の、夜空みたいに深い紫色の瞳には僕が写っています。
魔女「ほら、君の瞳に僕が写っている」
魔女「僕は君の一部だ、君が僕の一部であるように」
魔女「すべてを分かち合う事に謝罪も謝礼も存在しなくて良いだろう?」
魔女の声は、優しくて。
魔女「さぁ、長い長い思い出話もそろそろ終わりだ」
少年「うん」
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592 :
以下、名無しが深夜にお送りします:2013/05/19(日) 13:30:11 ID:
V4JBu9gQ
僧侶の出来事から数日がたったある日。
それは、突然だった。
頭上に広がる美しい青空が、塗りつぶされていくみたいに鈍色の雲に覆われていく。
少女「本気みたいだね。 兄さん……いや、魔王」
あっという間に青空は消え失せた。
鈍色の空を仰いで呟いた少女の顔は、その空を映したかのように暗く曇っている。