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キモオタ「我輩がおとぎ話の世界に行くですとwww」ティンカーベル「そう」
Part75


673 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/05/17(日)23:34:55 ID:YS4
人魚王子「邪魔なものは消し、利用できるものは利用する……全ては国の繁栄、国民の幸せの為だ…!フハハハハ!」
・・・
それから時は流れ 十数年前
・・・
部下「国王様!六人目のお子さま、無事に生まれたようです!おめでとうございます!」
人魚王「当然……女だな?」
部下「えっ、はい、かわいらしい姫様です!よくお泣きになって母子ともに…」
人魚王「そのような事はどうでも良い。王族の娘ならば歌声を持っているだろう、その特性を教えろ。産婆は産声から判断できるのだ、当然伝え聞いているな?」
部下「は、はい!確か、人間を操れる歌声であると……産婆もこのような歌声は初めてだと……」
人魚王「……ほう、次の兵器は人間を操れると……!」ガタッ
人魚王「遂に、遂に手に入れた!この兵器が育てば……人間共を消し去れば領土の拡大が出来る、更なる繁栄が約束される!」フハハハハ

674 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/05/17(日)23:48:05 ID:YS4
そして現在
・・・
・・

人魚王「……たしは……ない……」
鬼神赤鬼「あぁ?なんだって?聞こえねぇぞ?」
人魚王「私は間違ってなどいない……!」
人魚王「実際、私の策で人魚は団結し平和は手に入ったのだ!これ以上に何がある!人間を憎んで何の問題がある!」
人魚王「共存?笑わせるな、同じ種族ですらいさかいが起きるというのに別の種族と共存だと?」
人魚王「全く持って不可能だ!つまり、私の策は……私の王としての行動は間違ってなど……」
シュッ ドゴォ
人魚王「げは……っ!」ドサッ
鬼神赤鬼「共存が馬鹿馬鹿しいというのには同意だがな……貴様の行動が正しいか間違ってたかなんざでかい声で喚くもんじゃねぇだろうが、そんなこと喚く時点で自分自身どこか納得してねぇんだろ」
鬼神赤鬼「正しいと思うなら黙って進んでりゃあいいだろうが。もっとも俺には貴様の王としての行動など興味がないがな」

675 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/05/17(日)23:53:02 ID:YS4
今日はここまでです。いつもレスサンクス
曜日の目安はあれど基本出来たら投稿って感じです
先週は忙しくて遅くなったけどもう佳境だし頑張る
人魚姫編、次回に続きます

676 :名無しさん@おーぷん :2015/05/17(日)23:53:41 ID:fBc
乙です
鬼神さんかっけえ・・・

677 :名無しさん@おーぷん :2015/05/18(月)00:08:23 ID:tvf
>>1さん乙です!
>>676さんに同じく、鬼神さまがカッコ良すぎでした…
ナルトの九尾みたいに上手くコントロールができたら何人力になるのか?本当にすごいです…
人魚王戦も決着が付きそうで、あとは人魚王の改心、傍観しているであろうドロシー達を何とかして、王子と人魚姫のやり取り、雪の女王との面会?、魔導具の話題と続くのでしょうが、無理なく書き切って下さい!!
次回も楽しみにしています!!

690 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/05/24(日)22:13:36 ID:eXh
人魚王「……」ゼェゼェ
鬼神赤鬼「もうグダグダと喚く力も残ってねぇか。まあ良い、準備運動にもならなかったが……多少は体が温まったようだ」
グイッ
鬼神赤鬼「その礼だ、痛みすら感じぬよう俺が息の根を止めてやろう」ググッ
人魚王「ぐぐっ……」ゼェゼェ
髪の短い人魚「お父様……!」
ズダーン ズダーン
鬼神赤鬼「……チッ」パシッパシッ
赤ずきん「……銃弾を掴むなんて、随分と優れた胴体視力ね」ガチャッ
鬼神赤鬼「……どういうつもりだ小娘?」ギロリ
赤ずきん「やめなさい、王を殺すことは私たちの目的ではないわ。それに…罪のない人魚を殺していた彼を裁くのは私たちではないもの」
鬼神赤鬼「思い上がるなよ小娘……!」ギロリ

691 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/05/24(日)22:15:54 ID:eXh
ヒュン
赤ずきん「一瞬で距離を……!」
グイッ
鬼神赤鬼「いいか?俺にとって貴様は邪魔だ、だが殺せばあの小僧が何をするか解らん……最悪、俺諸共命を絶つ可能性もある。故に貴様は生かしてやっている」シュバッ
ガシッ
赤ずきん「……ぐっ、離しなさい……!」
鬼神赤鬼「だが貴様を殺すなど容易いという事を忘れるな。この細い首に爪を這わせれば事足りる……あまりでかい態度を取るんじゃねぇぞ、小娘」ギロリ
赤ずきん「……あなたこそ、思い上がらないで」キッ
鬼神赤鬼「あぁ?」
赤ずきん「今回あなたを外に出したのは、あのままだと赤鬼が殺されそうだったからよ」キッ
赤ずきん「だから私は彼を助けるために気絶させた。赤鬼は鬼神のあなたなら何とか出来ると思っていたようだけど、私はあなたを信用なんかしていないの…!」
鬼神赤鬼「信用などいらん、人間である貴様と協力するつもりなど毛頭無いからな。更に言えば今はこの肉体の主導権は俺にある、俺がどう動こうと誰を殺そうと勝手だ。指図をするな、人間風情が」ブオンッ
ドサッ!
赤ずきん「ゲホッ……!随分と……手荒じゃないの、鬼神…!」ゲホゲホ
鬼神赤鬼「フン……王の息の根を止めようと思っていたが興が冷めた。だが思い出したぞ……この場にはもう一人目障りなガキが居たじゃねぇか」ザッ
鬼神赤鬼「出てきやがれ小娘、どうせ見物しているんだろう?モドキの人魚王を殺すよりも貴様の方が殺しがいがありそうだ」

692 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/05/24(日)22:18:33 ID:eXh
ヒョコ
ドロシー「んー?私は今回見学のつもりだったんだけどー?」
鬼神赤鬼「そんな言い分が通用すると思っているのか?俺は人間が殺せれば相手は誰だって構わねぇ…!日ノ本の人間だろうが余所の人間だろうがな」
赤ずきん「鬼神、やめなさいと言っているでしょう、今はドロシーを相手にする時じゃあないのよ。あなたはもうその肉体を赤鬼に返して頂戴」
鬼神赤鬼「断る。まだ俺は実体を保っていられるようだ、時間一杯は俺の自由に暴れ思うがままに殺す。それよりも小娘……」
鬼神赤鬼「指図をするなと言うのが聞こえなかったか……?」ギロリ
赤ずきん「……っ!」ゾクッ
鬼神赤鬼「この小僧に乗り移ってからというもの……一人の人間も殺せず苛立ちが募っていたが、ようやく…ようやく人間への復讐が叶う」
ドロシー「殺す?えっ?私を?アハハー!冗談キツいよー」ケラケラ シュッ
鬼神赤鬼「フン、貴様は随分と楽観的だな?状況の解らぬ馬鹿か、あるいは死を恐れてねぇのか……どっちにしろ」バッ
ヒュッ
鬼神赤鬼「俺はあの小僧のように甘くねぇぞ」グググッ
ドロシー「速っ!でもあんたじゃ私は殺せないよん♪殺すって言う時はね、ちゃんと殺せそうな相手に言わなきゃ失敗したとき顔真っ赤だよー?」クスクス
ドロシー「ってわけで、ドロシーちゃんは鬼神ちゃんを殺しまーす♪」ケラケラ

693 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/05/24(日)22:21:14 ID:eXh
鬼神赤鬼「面白い冗談だ小娘、人間を殺せると思うと愉快で仕方ねぇなぁ!」シュッ
ブオォンッ!
ドロシーの幻「クスクス、さすがは鬼神ちゃん!見事命中したね!」ファサァァ
鬼神赤鬼「チッ、幻像を交えるとは……小賢しいッ!」ギロリ
ドロシー「そいつは残像だ!……って一回言ってみたかったんだよねー!残像って言うかマッチの幻覚だけどね♪」ケラケラ
ヒュッ
鬼神赤鬼「…なに余裕面で無駄口叩いてんだ?」グググッ
ドロシー「うわっ、もう目の前!?鬼神ちゃんデカい図体なのに速いなぁ!」カツンカツン
ヒュッ
ドロシー「でも速さならちょーっとは自信あるけどねー?」ケラケラ
・・・
ロバ「赤ずきんちゃん!こりゃあまずいんじゃないかね?黒い鬼君は見たところ相当強い、あのお嬢さんもただ者じゃあない!我々音楽隊が巻き添えになるのは避けたいんだが」トコトコ
ネコ「そうにゃん!あれって熱狂的なんて次元を越えてるにゃん!」
赤ずきん「ええ、あなた達は倒れている人魚王とあの姉を少し離れた場所へ、巻き込まれたら命の保証が出来ないものね」
赤ずきん「人魚姫は私の後ろに居なさい。鬼神にはきっと活動限界が存在する、それまで待ちましょう。もうこうなればこちらからは手出しできない」
人魚姫『オッケー!とりあえずあの二人にちょっかい出されないようにしなきゃマジでマズいね……次元が違うって感じするし……』
赤ずきん「鬼神が負けるなんて無いでしょうけど……鬼神が死ねば赤鬼も死んでしまうから、不本意だけど鬼神を援護する形になるかしらね」
赤ずきん「けれどそれもあくまで緊急時だけ、時間が来て赤鬼の人格が戻ったらすぐに逃げましょう。繰り返しになるけどドロシーを相手にしている状態じゃないもの、今はね」

694 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/05/24(日)22:25:37 ID:eXh
鬼神赤鬼「素早さには自信ありか、ならば避けてみろ小娘!」ブオン
ヒュッ
ドロシー「クスクス、私の武器は魔法の靴だからね!流石にシンデレラのガラスの靴程じゃあないけど速度を上げる魔法くらいはお手の物だよん♪」ヒュッ
鬼神赤鬼「魔法だの呪術だのばかりに頼っているような小娘が俺を殺すとは笑わせる!」ヒュッ
ブオンッ チッ
ドロシー「わわっ!今のはやばかったよ!金棒の先っちょがおさげに当たっちゃってた!ちょっと舐めすぎてたかもしれないなー」ヒュッ
鬼神赤鬼「フン、その小賢しい魔法具がなければ貴様などとうの昔に肉塊だ」
ドロシー「それはちょっと困るなー、たかが挽肉でも私みたいな美少女だとグラムいくらになるかわかんないしね」クスクス
鬼神赤鬼「無駄口が多い小娘め、どうせ軽口を叩くのなら遺言の一つでも残した方が有意義ってもんだぞ」ググッ
ブオンッ
ドロシー「うーん、避けてばっかりじゃつまんないし、勿体無いけどちょびっとだけ手の内見せてあげようかな♪」ヒュッ
赤ずきん「まさか、また新たな魔法具を……!」
ドロシー「鬼神ちゃん相手じゃ時間稼ぎにもなんないかな?でもちょびっとだけ動きとめるくらいはできるかもねー」クスクス
ドロシー「枯れ木は無いけど花よ咲け!無数のつたで鬼神ちゃんを縛りつけちゃえ!」カツンカツン
ファサー

695 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/05/24(日)22:28:13 ID:eXh
ファサー バサササササッ
鬼神赤鬼「フン、次から次へと小細工ばかり達者な小娘だ」フンッ
赤ずきん「あの魔法具は【花咲か爺さん】の……!でもあんなに数多くのつたを出現させるなんて……!」
ドロシー「おー、驚いてる驚いてる!まぁ植物生成は元々の効果だけどさ、ドロシーちゃんが使うことによってぐーんと強化されてるわけですよ!」
赤ずきん「強化…ですって?」
ドロシー「魔法具にちょちょーっとこの靴の魔力を送り込んでやればね、元々よりグレードアップしたスペシャルな効果が期待できるんだよん♪アリスは魔力の底上げー?とかいってたけど、まぁ要するにパワーアップですよ」
ドロシー「それでも鬼神ちゃんの力なら引きちぎっちゃうかもだけど、これだけのつたが一度に襲いかかってきたら避けられないんじゃない?」クスクス
シュババー!
鬼神赤鬼「…つくづく人間は愚かで傲慢だ、小細工に頼りそれを自らの能力だと錯覚する。その上、この鬼神をねじ伏せられると信じている……」
鬼神赤鬼「実に滑稽!俺は鬼神だ、いくら数が多かろうと……たかが草木に縛られるほど軟ではないわ!」シュバッ
バササササッ ブオンブオン!
ブチブチブチー
赤ずきん「四方から襲ってくるつたを全てなぎ払ってる…やっぱりあいつはただ腕力の強いだけの鬼じゃない……!」
ブオンブオン ドスンッ
鬼神赤鬼「どうした小娘、余興は終いか?」
ドロシー「あははっ!ですよねー!でもドロシーちゃんのターンはまだまだこれからだよーん♪」カツンカツン
人魚姫『なにこれ……あの娘もなんかいきなり植物操っててヤバい感じだけど黒くなった赤鬼もそれ全部引きちぎっちゃうし……!』

696 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/05/24(日)22:30:04 ID:eXh
鬼神赤鬼「いや、小娘如きに時間を掛け過ぎた。貴様は次で仕留める」ググッ
ドロシー「次があればだけどね?私は鬼神ちゃんの弱点も知ってるんだから、いつだって倒せるんだよん?」クスクス
鬼神赤鬼「フン、貴様の減らず口に付き合う義理は無ぇな」ヒュッ
ドロシー「つれないな〜!じゃあこっちおいでよ、私に触れることなんかできないけどね!」カツンカツン
鬼神赤鬼「またお得意の魔法具か。童の玩具自慢に付き合うのは終いだ、小細工ごと叩き伏せてくれるわ!」ググッ
ドロシー「私達には優秀なスパイがついてるからねー、青い鳥が教えてくれたよ。鬼神ちゃんの弱点はひ・い・ら・ぎ・♪でしょ?」クスクス
鬼神赤鬼「ほう……読めたぞ小娘の考えがな!」ヒュッ
赤ずきん「……さっきのつたのように柊を生やすつもりね…!?」ガチャ
ドロシー「ふっふふーん♪そのとーり!苦手な柊に囲まれたら鬼神ちゃんもずいぶん弱くなっちゃうでしょ?」クスクス
ドロシー「枯れ木…はやっぱないけど、柊よ!鬼神ちゃんの周りいーっぱいに生い茂っちゃえ!」ファサー
バササササササッ
人魚姫『辺り一面にトゲトゲした植物が……!ねぇ、あれ大丈夫?あの娘が言ってる感じだと、黒い赤鬼の弱点なんでしょ?ヤバくない?』
赤ずきん「柊の薬は赤鬼の中に眠る鬼神の動きを抑える……鬼神を弱体化させることは間違いないわね、どの程度かは分からないけれど」ガチャッ

697 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/05/24(日)22:34:01 ID:eXh
バササササーッ
ドロシー「クスクス、ほらほら!トゲトゲした柊をかき分けないと私のところには来れないよ♪でも来れるわけないっか!柊を避けてここに来るなんてできっこないし!」
鬼神赤鬼「……確かに、貴様を殺すにはこの柊をかき分ける必要がある。一切触れずにたどり着くのは不可能だ」
ドロシー「柊は鬼神ちゃんの弱点だもんね♪詳しくは知らないけど力を奪われちゃうのかな?」クスクス
鬼神赤鬼「教えてやろう、柊の葉は鬼神を弱体化させ本来の実力を発揮できなくさせる」
ドロシー「ふーん、弱体化!それって残念だよね、せっかく腕力自慢の鬼神ちゃんもこーんな葉っぱに触れちゃうだけで雑魚になっちゃうんだもんねー♪」クスクス
鬼神赤鬼「……滑稽だな、小娘」
ドロシー「なになに?こっけー?かっこつけて私に一撃も入れられない鬼神ちゃんが?」クスクス
鬼神赤鬼「ガーッハッハッハ!浅はか!浅はかよ小娘ェ!」ヒュッ
バサバサバサッ
鬼神赤鬼「俺をこんな草で倒そうってのか?随分と考えが甘いみてぇだな!」ダダダッ
ドロシー「あれ……?鬼神ちゃんなんで柊かき分けて走ってくるわけ?そんな風にしたら力を奪われちゃうんじゃ…!?」
ビュッ
鬼神「ああそうだ、鬼神は柊に触れると弱体化する」ビュオッ
ヒュッ
ドロシー「……ちょっと待ってよ、こんな一瞬で目の前までは走ってこれてんのに弱体化してるって!?嘘ばっかり…!」
鬼神赤鬼「嘘じゃねぇ弱体化はする。確かにするが……少し考え違いをしてねぇか?」ググッ
鬼神赤鬼「獅子が牙を失い爪を折られようとな、そんなもんは野良猫を殺すのに必要ねぇのさ。多少力を奪われようと、鬼が人間の小娘に劣る道理なんか有るわけ無ぇ!」グググッ
ブオンッ!

698 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/05/24(日)22:34:11 ID:eXh
ドロシー「あっ、ダメだ」
ドロシー「これ避けれない奴だー……」フッ
フラッ
ドロシー「……うわっ、最悪。こんな時にあの目眩か……」フラッ
フラッ
ドロシー「あれ……?」キョトン
赤ずきん(……?ドロシーの雰囲気が変わった……?)
ドロシー「えっ……?あっ……私……?」オロオロ
鬼神赤鬼「終いだ。地獄で浅はかな己を恨んでいろ!」
ドロシー「えっ、えっ!?誰か……た、助けて……!」
ガキィィィンッ
鬼神「……邪魔が入ったか」ギリッ
ブリキ「……」ギギギッ

699 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/05/24(日)22:39:59 ID:eXh
ドロシー「ブリキ…!」
ブリキ「帰りが遅いと心配してきてみれば……また無茶をしたのか?」
鬼神赤鬼「ほう、俺の一撃を耐えきるか……貴様、人間じゃねぇな?」ギロリ
ブリキ「今は……な」ギギギッ
鬼神赤鬼「ああ、思い出したぞ貴様…鬼ヶ島でこの小娘と一緒にいた輩だ。邪魔をするな、その小娘は俺が殺す」
ブリキ「……お前の行動は当然ともいえる、だが断る。こいつは殺させない」ググッ
ドロシー「ブリキ……早く逃げよう、私もあなたもあんな化け物にはかなわないよ……」ガタガタ
ブリキ「ドロシー……お前、その口調……まさか薬を飲み忘れたのか?あれほど飲み忘れるなと言っただろう…!」キッ
ドロシー「ご、ごめん……私の病気を抑える薬なのに……」
ブリキ「……いや、怒鳴ってすまなかった。今は一刻も早く逃げよう」
ザザッ
鬼神赤鬼「逃がすと思うか?人間じゃねぇなら貴様に興味はないが……その小娘は俺に殺意を向けてきた、殺されても文句は言えないはずだ」
ドロシー「……」フルフル
ブリキ「俺の連れが迷惑をかけたことは謝ろう。だが怒りを鎮めてくれ、今戦うのはお互いに避けたいはずだ」
鬼神赤鬼「いや、人間を殺せるなら俺はいつだって戦いを望むがな……まぁ良い、貴様ごと潰せば済む話だ」ググッ
ピクッ
鬼神赤鬼「……チッ、時間か。しばらく眠っていればいいものをあの青二才め……!」ギリッ

700 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/05/24(日)22:43:10 ID:eXh
ブリキ「どうやらお前も時間切れのようだな」
鬼神赤鬼「……チッ、鬼神である俺が小娘ごときを殺し損ねるとは……屈辱……!」ギリッ
ブリキ「肩に乗れドロシー、すぐに離れて薬を飲まないとまずい」
ドロシー「……」スッ
赤ずきん「……」
ブリキ「……赤ずきん」
赤ずきん「あら、ブリキのきこりが私に何の用かしら?随分と大人しくなったドロシーの代わりに挑発でもしてくれるのかしら?」
ブリキ「いや、ただ一言言わせてくれ……すまない、と」
赤ずきん「……その一言ですべてを許せというの?」
ブリキ「そんなつもりでは無い。ただ……勝手な言い分ではあるが……」
赤ずきん「……」
ブリキ「……こいつを救うためにもうしばらく……苦労をかけることになるだろうからな」
ドスドスドス…
赤ずきん「ドロシーを…救う…?」
・・・

701 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/05/24(日)22:46:33 ID:eXh
港町のはずれ
ブリキ「ほらドロシー、水だ」スッ
ドロシー「うん、ありがと」スッ
ブリキ「お前に単独で行動させたのは軽率だった……やはり次からは俺が必ず付き従う」
ドロシー「……ねぇブリキ、あなたがさっき話していた女の子って誰……?」
ブリキ「少々面識がある娘。ただそれだけだ」
ドロシー「私、あの女の子にそっくりな娘の夢を見たことがあるの」
ドロシー「あの女の子の住む村を狼に襲わせる恐ろしい夢、でも恐ろしいのはその惨状よりも私なの。周りの人たちがどんどん死んでいって泣きじゃくるあの子を見て……私は笑ってた。愉快な喜劇でも見ているみたいに」
ブリキ「…ただの夢だ。そういう偶然もあるだろう」
ドロシー「……でも近頃酷い夢をよく見るの、私が楽しそうに誰かを傷つける夢。それに起きてる時の記憶がほとんど無くて……」
ブリキ「疲れているんだろう、今日は薬を飲んで休め」
ドロシー「うん、アリスちゃんが私の為に作ってくれた薬だもん、きちんと飲んで元気にならないとね」ニコッ
ゴクゴク…
ブリキ「……」
ドロシー「……ぷはっ、生き返ったー!さっきは助かったよブリキー!もうちょっとで鬼神にベッコベコに殺されるとこだった、そんなのつまんないからねー」ヘラヘラ
ブリキ「気分はどうだ?怪我はしていないな?」
ドロシー「元気元気ー!でも気分は最悪かなー?青い鳥の情報が中途半端なせいで死にかけたしね、次会ったらローストにしてやろうよ」クスクス
ブリキ「……ああ、だが程々にしておけ。辛い思いをするからな」
ドロシー「どゆこと?まぁいいや、城に戻って寝よっと、今日はちょっと疲れたしー」ヘラヘラ

702 :◆oBwZbn5S8kKC :2015/05/24(日)22:49:26 ID:eXh
しばらく後
海岸 岩場の影
・・・
・・

人魚王「……私は望んでいない。真実を知られたうえに捕えられるなど……」ギリッ
赤鬼「薬の効果は切れたみたいだが、流石に野放しにはできない。拘束されるのは少々苦しいだろうが、我慢してくれ」
人魚姫『赤鬼、そんな奴に優しくすることないって!そいつが何をやったか忘れたわけじゃないっしょ?』
赤鬼「そうだが……まぁ、やり方が間違っていたとはいえ、国の為にやったことだってんだから、どうもなぁ……」
髪の短い人魚「……随分と優しいのね、私もお父様もあなたを殺そうとしたのに。報復しないのね」
赤鬼「オイラ達は人魚姫の好きにさせてやりたいだけだ、だからお前達を殺す必要なんかないのさ」
ヒュンッ
赤ずきん「ふぅ……戻ったわよ。ようやく落ち着いたかしらね」
赤鬼「御苦労さん、ブレーメンの音楽隊には救われたな。無事に送り届けられたか?」
赤ずきん「ええ、元のおとぎ話へね。演奏が必要ならいつでも頼ってくれと言ってくれたわ。その代わり腕の立つセロ弾きに会わせろとか自我を持つハープを見たいとか注文をつけられたけれどね」フフッ
赤鬼「随分と音楽好きな連中だな」ガハハ
赤ずきん「それよりも、あなたは大丈夫なの?鬼神は……外に出せば力をつけてしまうんでしょう?今回はやむを得ないといえ、まずかったんじゃないの?」
赤鬼「まぁ、なんだ、まだオイラの意思で抑えられてはいるから急に暴れたりはしない、安心してくれ」
赤ずきん「そう、それならいいのだけど」
鬼神『安心しろ…か、よく言えたものだな?』
赤鬼「……」