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昔々、廃墟に探検に行くと本を読んでいる女性がいました

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Part2
60 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/04(水) 01:53:15.46 ID:RydKMt3+O
その日は夕方から雨になった。
「傘、もってきた?」
「持って来てないです」
それを聞くと紗奈さんは奥に歩いていき、物影からひょいと傘を取り出した。
「一本しかないけど、大丈夫だね」
相合い傘というやつなんでしょうかこれは。
二人で一つの傘というのはかなり狭かった。悪いけどママチャリには濡れてもらった。
「あのお弁当は紗奈さんが作ったんですか?」
「うん。あ、敬語じゃなくていいよ。紗奈、で呼んで」
「え、いや、年上ですから」
「お願い」
「はあ」
後から聞いた話では、紗奈さんは名前で呼ばれたことがほとんどなかったらしい。俺は初めてできたまともな友達だったから他人行儀な喋り方は嫌だったそうだ。
「じゃあ今度からそうする」
このあたりは小学生、順応も早い。
送るという紗奈を何とか諦めさせて、俺はママチャリをかっ飛ばして帰った。

61 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/04(水) 01:57:39.11 ID:Iy2I11krO
一方その頃
俺「キテレツ大百科おもしれー」

62 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/04(水) 02:02:46.41 ID:a1FlMV7SO
>>61
悪い、俺もキテレツ好きは共感出来るけど今はこの話に浸りたいだ頼むわ

63 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/04(水) 02:03:09.70 ID:RydKMt3+O
それからはずっと二人でいるようになった。
公園まで散歩したり、入って来た紋白蝶を眺めたり、高台まで登って夜景を見たり。
わりと放任的だったうちの親にも感謝した。
そうして夏が過ぎ、秋が去り、冬が終わった。

65 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/04(水) 02:07:23.57 ID:dkJSoweIO
追い付いた
俺もこんな学生時代が欲しかったな…


66 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/04(水) 02:10:35.48 ID:Sg7fMWpPO
俺の中で紗奈さんが
夜は短し歩けよ乙女の女の子で脳内再生されて面白い  
支援

75 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/04(水) 02:22:08.13 ID:RydKMt3+O
中学に入学しても友達らしい友達は増えなかった。半分は新しい人だけど、人見知りな俺はそれが苦痛だった。会話はするけど二言三言。それも数人。K介はクラスが違った。
別に友達が出来ないこと自体が辛いんじゃなかった。学校に居場所がない気が、した。
初めて制服を着ていつもの場所に行くと紗奈は楽しそうだった。
「カッコイイ」
「いや、変でしょ」
「見慣れてないからそう感じるだけだよ」
「そうかな…」
「どうする?今度からは学校から一緒にここまでくる?」
「いや、それは」
変な噂がたったりもしかしたらつけられたりするかもしれない。ただでさえクラスで可愛い先輩がいる、という話題に紗奈が出て来たりするのだから。
「そだね」
紗奈も意図をわかったらしくそれ以上は言わなかった。ただ、少しだけ、残念そうな顔をした。

80 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/04(水) 02:24:40.38 ID:v8QCzgVr0
話題になるほど可愛かったのか・・・

81 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/04(水) 02:25:04.58 ID:z11sqoyUO
羨ましか!羨ましか!

92 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/04(水) 02:38:09.34 ID:RydKMt3+O
紗奈の見た目はあんまり女を意識しない(関わる機会がない)俺から見ても可愛かった。
中学時のスペックとしては
細い。胸ほぼ無し。髪は背中辺りまで、吸い込まれるような黒(まぁ中学だから黒で当たり前か) 俺よりでかかったから152、3センチくらい 病的なくらい色白。目がでかい、睫毛長い なんかふわふわしたオーラがでてる
ってな感じだったんだけど、廊下ですれ違ったときは違った。
いつもの優しい笑顔は想像できないくらいぴりぴりした雰囲気だった。
学校では別人のようだった。ああでもしないと居辛さに耐えられなかったのかもしれない。

100 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/04(水) 02:46:11.37 ID:RydKMt3+O
中学でも生活はあんまり変わらなかった。学校に行き、休み時間は本を読み、昼休みは図書室に篭り、放課後はいつもの場所に。
授業中喋る相手もいないから勉強はそれなりにできた。
紗奈と居るときが一番充実していた。
紅茶の味にも慣れ、本の感想を言い合うようになった。
ただ、相変わらず紗奈の料理の腕はあがらず、弁当には苦戦を強いられた。
すぐに一学期は終わり、夏休みに入った。

101 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/04(水) 02:50:35.28 ID:SmK482h50
すげぇいい
癒される

109 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/04(水) 03:02:27.21 ID:RydKMt3+O
夏休みになっても毎日いつもの場所に行った。段ボールで机を作って宿題をする。
まわりが草木に囲まれてるせいか、廃墟のなかはそんなに暑くなかった。
「あ、食べる物がない」
この人はたまにドジをやらかす。
「少しならお金あるけど」
「ん、それは本とかのためにとっておきたい」
「本は体の栄養にはなりません」
「じゃあうち行こうか」
「は?」
ちなみに俺は女子の部屋に入ったことがない。
「お腹すいたし、ね」
いつもはのんびりなくせにこういう所は強引だ。
「わかったけど…親御さんは?いるならなんか手土産…」
いつもは無関心なくせにこういう所は律義である。
「手土産あるなら今食べてるでしょう」
確かに。
「今日は平日だからいないよ。私たち夏休みなの忘れてるね?」
素直についていくことにした。

107 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/04(水) 02:57:57.69 ID:dkJSoweIO
部活やらなかったの?

120 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/04(水) 03:16:17.10 ID:RydKMt3+O
>>107
万年帰宅部
緊張。初めては何だって緊張するものだ。お使いだって、人の家にお邪魔するのだって。
鍵を取り出し、ドアを開ける紗奈。
人の気配はしなかった。
ダイニングに通され、紗奈がキッチンに行く。
嫌な予感。
「作るの?」
「うん。まだ簡単なのしか作れないからベーコンエッグでいい?」
「俺が作る」
姉に仕込まれたから料理にはそれなりに自信がある。…少なくとも紗奈よりは。
「おいしい」
「どうも」
何とか無事に腹は満たされた。

124 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/04(水) 03:29:16.37 ID:RydKMt3+O
「またあそこ戻る?」
いっぱいになった腹を抱えてこの強烈な日光の下チャリを漕ぐのは勘弁してほしかった。
「出来れば遠慮したい」
「私も」
同じ考えらしい。出無精。
「部屋行こう」
ついに紗奈の部屋。どんな感じなんだろう。やっぱいい匂いでファンシーな感じなんだろうか。
「はい、片付けてないけどどうぞー」
何と言うか。気を許してくれるのは嬉しいけど本当に全く片付けていない。
服が隅に集められてクッションが山のようにあった。机の上は教科書が乱雑に置いてあってベッドの近くには…
「あぁこれはまずい」
慌てて隠す紗奈。
「寝る時は外すから…」
えへへ、じゃない。

131 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/04(水) 03:39:57.43 ID:RydKMt3+O
とりあえずコイツには全く生活能力が無いということはわかった。
でもやっぱりいい匂いはしたし、何だか女の子の部屋という感じはした。
そして本棚だけは見事に並べられている。
「クッション多いね」
ふにょふにょだ。幾つあるんだろ。敷き詰めたら部屋が埋まりそうな気がする。
「わらび餅みたいだからわらび」
いや名前は聞いてない。
「どこでもねっころがれるようにね」
むしろ邪魔なんじゃなかろうか。
夕方頃に帰ることにした。
見送る紗奈が言う。
明日もいつもの場所で。
その一言が好きだった。
二人にしかわからない合言葉。

135 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/04(水) 03:44:12.53 ID:v8QCzgVr0
ここまで5時間か・・・ 
朝までに完結するかな

139 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/04(水) 03:48:17.53 ID:W3Gr5QEe0
普通なら書き貯めてからヤレとか思うんだが
この静かでゆっくり進む時間がなんか良いかも。

140 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/04(水) 03:49:51.78 ID:z11sqoyUO
紅茶でも飲むか


142 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/04(水) 03:52:19.75 ID:RydKMt3+O
そうして初めて遊びに行って親密度が上がった(と勝手に思った)りして夏休みは終わった。
そしてたき火をしたりまつぼっくりで置物をつくったりして秋が過ぎ、肉まんをはんぶんこしたり小さな雪だるまを作ったりして冬が過ぎ春がやってくる。俺は中2、紗奈は中3。
紗奈のクラスに転校生が来た。

143 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/04(水) 03:53:14.44 ID:FZW2yu2v0
・・・そろそろ正座して読むか。

144 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/04(水) 03:54:37.17 ID:VTso9d2BO
どうなるんだ

145 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/04(水) 03:58:16.34 ID:dsfiAufiO
これは気になる

147 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/04(水) 04:03:33.82 ID:RydKMt3+O
これが悩みの種だった。
転校生は女子だったからそこは心配なかったけど、席が紗奈の前だからすぐ振り向いて話しかけて来るらしい。
シカトしても効果無し、うるさいといえば声が小さくなるだけ。
穏やかな春の日なのに負のオーラがでている紗奈。
「…」
「…」
「…いい天気だなー」
「…うん」
「…」
やつれてる。
「…帰る?」
「やだ」
「…」
「…」
「体調悪そうだけど…」
「…」
ふるふると首を振る。学年の違う俺にはいい解決策が見つからない。教室に一緒にいるわけにもいかないし。

148 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/04(水) 04:03:44.31 ID:44eX75Y5O
ワクテカというよりむしろドギマギって感じだな

152 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/04(水) 04:15:14.37 ID:RydKMt3+O
これが一週間続いた。俺は思い付いた案が話し掛けんなと書いた紙を顔に貼り付けておく、だけだったので見守るしかなかった。
そして次の週。
事情が変わったらしい。
あまり話しかけてこず、移動教室なんかは「一緒に行こう」と一声かけるだけになったとのこと。
「それ友達になりたいんじゃないの?」
まぁ元々嫌がらせしたいわけではなかったと思うけど。
「今のままならいいけど…前みたいに話しかけて来られたら遠慮したい」
「それは相手に言わないと」
「言いづらい」
でしょうね、俺も言いづらい。
とりあえず紗奈の顔色が良くなって安心した。

161 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/04(水) 04:30:10.49 ID:RydKMt3+O
で、次の週。靴箱に手紙が入っていた。
『今日は公園で』
小さい綺麗な字で書いてある。何で公園なんだろ、と疑問に思ったけど素直に行くことにした。
公園が見えるところまで来ると中に人影が見えた。二つ。…二つ?
入っていくと紗奈ともうひとり知らない顔。
「どーもっ!」
「はぁ」
「えと、噂の詩織さん」
詩織って名前は大人しそうなイメージなんだけど。
「君が俺くん?ははぁ、優しそうな人だね」
初めて言われたよ。
「何で俺に紹介…」
「私が紗奈の友達に会いたいって言ったからねー、人見知りなんだって?大丈夫!私紗奈とも仲良くなれたし!」
「仲良くなったの?」
「それなりに…」
押しに負けたか。

163 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/04(水) 04:36:16.15 ID:z11sqoyUO
なんだこの展開…
羨ましか!羨ましか!

170 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/04(水) 04:44:24.11 ID:RydKMt3+O
「つれないなー、昨日は熱い夜を過ごしたじゃん」
「そうそう、昨日は熱帯夜だったね」
「あぁ、温暖化ってやつかなぁ」
紗奈が普通に話せてるって事は本当に気を許したみたいだ。すごく意外。
それから三人で過ごすことが増えた。
後から聞いた話によると詩織は生理中は誰かと話したくなるらしい。人恋しいというか。普通逆な気もするけど…
で、紗奈に話しかけた手前引っ込みがつかなくなり何とか友達になりたかったそうな。
今までは(紗奈の天然ボケを除いて)どちらかといえばツッコミ二人だったからボケが入って賑やかになった。
何故か詩織なら俺も紗奈も普通に話せた。人懐っこいからだろうか。

169 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/04(水) 04:43:29.61 ID:dkJSoweIO
保守
文章がちょっと適当になってきたな

175 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/04(水) 04:53:32.92 ID:RydKMt3+O
>>169
すまん、眠くて…
こうしてメンバーが増え、紗奈一人しかいなかった廃墟には三人の声が響くようになった。
紗奈と詩織は受験だったけど紗奈は俺と同じ理由で勉強が出来たし、詩織はやれば出来る子だから!と言って本当に出来る子だった。
二人は無事合格し、高校生になった。
また桜の季節がやってきた。
クラス替えがあって、そのメンバーの中には
「あれ、俺じゃん!久しぶり」
K介がいた。

194 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/04(水) 05:13:35.66 ID:RydKMt3+O
それからK介がよく話しかけて来るようになった。小学校の頃から変わらず人気者ではあったけどちょっとまわりと距離を置いてるような、そんな感じだった。
学校ではK介と一緒にいて、終わってからはいつもの場所へ。
少しだけ学校が楽しく感じた。
そんな日が続くようになってちょっとたってから(めんどいから漢字にする)啓介が言った。
「お前学校終わってからいっつもどこ行ってんの?」
いつも遊びの誘いを断るからだろう。
ごまかすか、教えるか。
散々悩み、とりあえず明日詩織を紹介されたみたいに公園に行くことに決めた。
「明日な」
二人に明日は公園に来てと伝えた。

205 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/04(水) 05:21:53.38 ID:RydKMt3+O
次の日の放課後。興味津々な啓介を連れて公園に向かう。夏の日差しは強く、頭がジリジリ焼けた。
「どーもっ!」
あぁ、詩織がいてくれると助かる。
「【俺】の愛人1号2号です!」
前言撤回。
「はぁ!?お前こんな美人な人…」
「嘘に決まってるだろ…」
「あ、そ…」
気のせいだろうか、紗奈がむくれている気がする。
こうしていつものメンバーは4人になった。

206 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/04(水) 05:22:25.91 ID:44eX75Y5O
そんな展開許せねぇ…

209 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/04(水) 05:25:10.77 ID:nUuD08hwO
ほのぼのとした結末で頼むわ…

211 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/04(水) 05:26:59.44 ID:Gl2XhClFO
紗奈と二人っきりがよかった…

214 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/04(水) 05:32:39.62 ID:RydKMt3+O
行動派が二人になったおかげで街に出ることも増えた。
嫌がる紗奈を無理矢理詩織が脱がし、じゃない連れ出し、街をうろちょろした。
最初は人込みが苦手だった紗奈もだんだん慣れて、誰かと一緒なら大丈夫になった。
ゲーセンで金を浪費したり、海でビーチバレーしたり(審判二人、プレイヤー二人)、罰ゲームでナンパさせられて紗奈がむくれてたり。
そうこうしてるうちに冬。一応受験前だけど先生も何とかなると言っていて割と安心していた頃。(啓介の状況は知らなかった)
啓介から報告があると言われた。

215 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/04(水) 05:33:34.80 ID:ezwc+QtK0
けいすけ紗奈に告白フラグ

216 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/04(水) 05:33:42.09 ID:irbyH93VO
いやあああああ寝取らないでぇぇえぇ

217 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2009/03/04(水) 05:34:12.37 ID:U3dd3O+b0
せめて詩織に・・・・

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