少女「君は爆弾に恋をした」
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92 : ◆J9pjHtW.ylNB :2014/11/02(日) 19:55:50.88 ID:xWg9ImGAO
その日の放課後、僕らはいつものように女の家で勉強会を開く
女「じゃあこのあたりは分かるんだね」
銀髪「うん、俺は文系も理系も好きだし、基礎は大丈夫」
女友「転入試験良かったらしいし〜」
委員長「しかし初めて来たけど女さんの家は大きいね」
女「あれ、そうだっけ?」
男「中学から一緒だったのに知らなかったのか?」
委員長「俺は道場があるから毎日すぐに帰っていたからね」
女友「今日は大丈夫なの〜?」
委員長「期末試験が近いから勉強会なら構わないって……弟もしっかりしてきたしね」
男「じゃあ合宿も通いなら大丈夫か」
委員長「合宿? 本格的だね」
女「まあ少女ちゃんがお泊まりする口実だけどね」
少女「違う」
男「それでもいいけど」
友「まあ女子の方が多いから男子が増えて助かった」
銀髪「俺なんかがお邪魔して良いのかな……?」
どうも追跡者では無さそうな雰囲気だ
僕は少し気を許していた
男「まあ男子二人だとつまらないし、僕は構わないよ」
男「布団が足りるかな……」
女「少女ちゃんと男が同じ布団で寝たら」
男「寝ません」
93 : ◆J9pjHtW.ylNB :2014/11/02(日) 19:57:28.72 ID:xWg9ImGAO
帰りにいつものように彼女を送る
途中で公園に寄るのも習慣になっていた
寒いが握っている手は温かい
公園に入るといつものベンチに知らない男性と博士が座っていた
男「博士、その人は?」
博士「今日転校生が来ただろ?」
博士「その父親をやってる研究者だ」
博士と彼の父親は知り合いだったのか
それなら銀髪の彼は敵対者では無い
僕はようやく安心した
研究者「何かあればあの子を頼るといい、戦力になる」
味方が増えたんだ
助かる
博士「おっと、二人の邪魔になるから私らは帰るか」
研究者「そうだな」
男「あ、いや、二人で何か話が有ったんじゃ?」
博士「だいたい終わった」
研究者「君も遺伝子強化してみるか?」
みません
話の内容は聞かない方が良さそうだ
二人を見送り僕らはしばらくそこで抱き合っていた
軽くキスをして見つめ合う
いつもこうしてるのに飽きないと言うか
ドキドキするのが変わらない
少女「二人の時間……」
男「そうだね……」
少女「みんなといるのも楽しいけど」
男「二人の時間もないとだよね」
ベンチに座っていると公園の前を見知った銀髪の少年が通る
94 : ◆J9pjHtW.ylNB :2014/11/02(日) 19:59:13.78 ID:xWg9ImGAO
銀髪「ん?」
銀髪「あれ、君たち……」
銀髪「あ、悪い、邪魔しちゃって」
男「いや、いいよ」
男「こんな時間にどうかした?」
銀髪「ん、研究者……父親を迎えに」
男「今帰ったみたいだよ?」
銀髪「そうか、行き違いになったみたいだな」
銀髪「俺の父親を知ってるって事は、じゃあ俺が何故この街に来たかも……」
男「彼女を守ってくれるんだろう?」
銀髪「と、言うか、機密をね」
銀髪「君はどこまで知ってるんだ?」
男「だいたい全部」
銀髪「信頼されてるわけだ」
男「まあ……ね」
少女「せっかく自分たちで人造遺伝子の秘密を隠蔽したのに私たちの方から漏れたら困るってことだろう?」
銀髪「そう言うこと」
なるほど、そちらの方が信頼できる
彼らもまた自分たちの研究を隠し通すのが目的なんだ
男「じゃあ君も軍用に開発されたんだね」
銀髪「ああ、だが父も博士も情が移ったようだね」
銀髪「俺たちは本来彼女のような爆弾にせずとも十分な戦闘力があるんだ」
銀髪「機密が漏れれば、また悲劇の子供が生まれてくるだろう……」
男「それは阻止したい……か」
95 : ◆J9pjHtW.ylNB :2014/11/02(日) 20:01:12.37 ID:xWg9ImGAO
銀髪「そもそも無人兵器の研究もされているらしいから、俺たちなんかいらないだろう、と」
銀髪「俺は戦争の力を蓄えるのに反対はしない」
銀髪「自分が駒にされるのが嫌なだけさ」
確かに自分の命を賭ける事を他人任せにしたくはない
自分の信念の為に賭けたいな
銀髪「おっと、お邪魔なようだから行くよ?」
男「あ、連絡先貰っとこう」
銀髪「ああ、そうだね」
男「僕の家の場所も教えておくよ」
銀髪「ああ、合宿するんだったか」
銀髪「君たちのグループは仲が良いんだな」
男「まあね、これからは君も仲間だ」
銀髪「なんだかワクワクするよ」
銀髪「前の学校でも友達はいたが、その時はずいぶんズレてたみたいで不思議君って呼ばれてた……」
男「彼女は今も不思議ちゃんだよ」
少女「ひどいな、ちょっとはマシになっただろ!」
男「まあそう言うとこ好きなんだけど」
少女「も、もうっ」
銀髪「見せつけるね〜、俺もう帰るわ」
男「あ、すまない、またね!」
銀髪「ああ」
銀髪「……」
彼は何を考えたか、バック転から、トイレの屋根に飛び乗った
見事な身体能力だ
銀髪「じゃあね!」
96 : ◆J9pjHtW.ylNB :2014/11/02(日) 20:04:17.55 ID:xWg9ImGAO
少女「う〜ん、派手だな」
男「一応信頼してくれたのかな?」
少女「味方だと思えば頼もしいな」
男「でも博士と研究者さんはどうやって連絡を取り合ったんだろうな?」
少女「足がつかないようにはしているはず」
男「だよね」
男「あ、僕ももう帰るよ」
少女「あ……、寂しいなあ」
男「また明日もあるよ!」
少女「ふふっ」
少女「また明日!」
桃色の頬で手を振る彼女に見送られて、僕はジョギング代わりにダッシュで帰った
体力をつけても流石に彼らには負けるだろうけど
やがて合宿の日が訪れる
放課後それぞれ荷物を取りに帰ってから夜に僕の家に集合
僕は家で合宿に必要な物をチェック
していると、みんな来たらしい
僕は玄関まで急いで出て行く
97 : ◆J9pjHtW.ylNB :2014/11/02(日) 20:06:30.38 ID:xWg9ImGAO
委員長「お邪魔します」
男「構わず上がってくれよ」
友「夏休み以来かぁ?」
男「そうだな」
女友「あの時はジュースこぼしたり男の本引っ張り出したり……」
男「今回はあんまり散らかさないでくれよ?」
女「ふんふん、やっぱりこの家はいいね」
男「狭いだろ?」
銀髪「お邪魔するよ」
男「ああ、気にせず上がってくれ」
眼鏡「男の家……男子の家に初めて訪れた……孕む……」
男「孕まねえよ!」
少女「こんばんは……」
少女「この家はいつも暖かい雰囲気……」
男「……いらっしゃい」
人数が増えたとは言え、委員長は通いだし、他のメンバーも着替えを取りに帰ったりする
合宿のメリットは遅くまで勉強できる点だ
だが
女「せっかくだしこのグループの団結を高めるために遊ぼうか!」
委員長「いきなり遊ぶのか……」
男「あ、飲み物がいったら持ってくる、何がいい?」
女「紅茶」
女友「炭酸ある?」
友「俺コーヒー」
委員長「俺はブラックで、悪いな」
銀髪「なんでも好きだが紅茶で」
眼鏡「普通に緑茶」
少女「私も」
男「よし、誰か手伝ってよ」
女「はいよ」
98 : ◆J9pjHtW.ylNB :2014/11/02(日) 20:08:25.56 ID:xWg9ImGAO
ポットとコーヒーや紅茶、砂糖などを部屋に持ち込んで自分の好きな物を飲めるようにした
部屋に冷蔵庫があればジュースも置けるのだが
女友「私のわがままで男くんに苦労を……死んで詫びる〜」
生きろ
飲み物が揃った所でみんなで芋チップなどをつつきながらカードゲームをする
八人もいると色々ゲームできるし、すぐに終わる
委員長がそろそろ、と声をかけて
僕らは勉強を始めた
少女「カモノハシは哺乳類に分類されるがクチバシがあり卵生で、オスは爪に毒を持ち……」
銀髪「電子はマイナスの電荷を持っているから電子を受け取ると陰イオンに……」
眼鏡「超質量の恒星が超新星爆発を起こした後中性子星やブラックホールが……」
女友「つまりこの例文だと過去完了になり私が〜時には〜していた……」
女「千四百六十七年に始まった応仁の乱は約十年続いて……」
男「ここの文を現代語訳すると神々しく高く貴い……」
委員長「……みんな結構真面目にやってるじゃないか」
友「わからねえ……」
八人の勉強は滞りなく進んでいく
効率が良いのも確かだが楽しい雰囲気がいい
やがて女子たちは晩御飯を作るために部屋を出た
99 : ◆J9pjHtW.ylNB :2014/11/02(日) 20:11:13.19 ID:xWg9ImGAO
食材は予め話し合って各々が持ち寄っていた
今日は親子丼らしい
委員長もご飯を食べてしばらく勉強してから帰宅する
委員長が帰るとまたカードゲームが始まった
オセロの駒を賭けて大富豪したり、色々楽しんだ後お風呂に順番に入って三室に別れて眠る
翌朝僕は早めに起きて台所でコーヒーを飲んでいた
彼女が降りてくる
少女「おはよー」
男「おはよう」
少女「朝早いんだな?」
男「君が来る前は遅刻魔だったんだけどね」
少女「そうなのか?」
男「ドキドキして早く目が覚めちゃうんだよね」
少女「うふふ……」
そこに女が降りてくる
女「あー、朝からいちゃいちゃ……」
男「してない……ことはないか」
女「くそう、友起こしてくる」
男「銀を起こさないようにな〜」
僕らは合宿中に銀髪の少年を銀と呼ぶようになっていた
少女「さて、朝ご飯の準備するか」
男「手伝うよ、焼き鮭で良いよね」
少女「大好き!」
良かった
合宿が始まってからは学校でもグループが固まり、朝から晩までとても賑やかだ
二人の時間が作れないのは寂しいが、楽しい
100 : ◆J9pjHtW.ylNB :2014/11/02(日) 20:12:59.14 ID:xWg9ImGAO
委員長「なんだか楽しいよ……こんな気分になるのは初めてかも知れない」
男「委員長は真面目すぎたんだよ」
委員長「そうかも知れない、やっぱり息抜きは重要だな」
男「委員長がいないと息抜きが骨抜きになるのは困るかな」
委員長「上手いな、ははは」
友「勉強できる俺ってどうよ」
男「いいんじゃね?」
友「反応薄い!」
男「俺が反応してどうする」
女「まだまだだけどね」
少女「みんなレベル上がってるからな」
女友「テスト終わんないと上がってるか分かんないけど〜」
銀髪「俺もついていけてるか心配だな」
女友「銀ちゃんはもうちょっと英語頑張ろうか〜」
銀髪「面目ない」
女「他はできてるけどね」
男「銀も彼女も頭は良いからなあ……」
女「委員長を除けば一番レベル高いもんね」
男「頑張ってるんだけどなあ」
眼鏡「ダントツ最下位でないだけいいだろう」
友「うう……」
ダントツ最下位が泣いている
僕らの一週間の合宿も、もうすぐ終わりだ
一週間って短い
そして期末試験が始まった
期末試験の結果は中間と違い、上位五十位まで掲示板に張り出される
頑張るぞ!
101 : ◆J9pjHtW.ylNB :2014/11/02(日) 20:15:05.49 ID:xWg9ImGAO
期末試験の間も僕らは女の家に集まって次の日の試験対策をした
お陰でかつて無いくらいテストが簡単に思えた
試験最終日の午後
友「終わったーっ!」
委員長「今回トップ取れたかも知れない」
男「委員長かなりみんなに質問してたよね」
少女「委員長の質問はコアだったから私も理系は再びトップが取れそうだ」
彼女の方が頭がいい……
身体能力は百パーセント負けるのに……
友「俺も掲示板に乗れるかも」
女「友が百七十人中五十位以内と言うことか……」
友「な、ないかな?」
女「あるんじゃない?」
眼鏡「まあうちのグループは掲示板に入るだろ」
友「だよな?だよな?」
銀髪「オチとしては友君だけ入ってないのがいいな」
男「銀は分かってるな」
結果
一位・委員長
五位・少女
十位・銀髪
十八位・眼鏡
二十二位・男
二十五位・女
三十七位・女友
四十三位・友
うう……彼女と差が付きすぎ……
友「け、掲示板に乗った……」
友が掲示板に乗るより僕が彼女に勝つのがはるかに難しいだろうことが分かった
少女「文系は全く自信が無かったのだが、選択問題がたまたま当たったようだ」
その日の放課後、僕らはいつものように女の家で勉強会を開く
女「じゃあこのあたりは分かるんだね」
銀髪「うん、俺は文系も理系も好きだし、基礎は大丈夫」
女友「転入試験良かったらしいし〜」
委員長「しかし初めて来たけど女さんの家は大きいね」
女「あれ、そうだっけ?」
男「中学から一緒だったのに知らなかったのか?」
委員長「俺は道場があるから毎日すぐに帰っていたからね」
女友「今日は大丈夫なの〜?」
委員長「期末試験が近いから勉強会なら構わないって……弟もしっかりしてきたしね」
男「じゃあ合宿も通いなら大丈夫か」
委員長「合宿? 本格的だね」
女「まあ少女ちゃんがお泊まりする口実だけどね」
少女「違う」
男「それでもいいけど」
友「まあ女子の方が多いから男子が増えて助かった」
銀髪「俺なんかがお邪魔して良いのかな……?」
どうも追跡者では無さそうな雰囲気だ
僕は少し気を許していた
男「まあ男子二人だとつまらないし、僕は構わないよ」
男「布団が足りるかな……」
女「少女ちゃんと男が同じ布団で寝たら」
男「寝ません」
93 : ◆J9pjHtW.ylNB :2014/11/02(日) 19:57:28.72 ID:xWg9ImGAO
帰りにいつものように彼女を送る
途中で公園に寄るのも習慣になっていた
寒いが握っている手は温かい
公園に入るといつものベンチに知らない男性と博士が座っていた
男「博士、その人は?」
博士「今日転校生が来ただろ?」
博士「その父親をやってる研究者だ」
博士と彼の父親は知り合いだったのか
それなら銀髪の彼は敵対者では無い
僕はようやく安心した
研究者「何かあればあの子を頼るといい、戦力になる」
味方が増えたんだ
助かる
博士「おっと、二人の邪魔になるから私らは帰るか」
研究者「そうだな」
男「あ、いや、二人で何か話が有ったんじゃ?」
博士「だいたい終わった」
研究者「君も遺伝子強化してみるか?」
みません
話の内容は聞かない方が良さそうだ
二人を見送り僕らはしばらくそこで抱き合っていた
軽くキスをして見つめ合う
いつもこうしてるのに飽きないと言うか
ドキドキするのが変わらない
少女「二人の時間……」
男「そうだね……」
少女「みんなといるのも楽しいけど」
男「二人の時間もないとだよね」
ベンチに座っていると公園の前を見知った銀髪の少年が通る
94 : ◆J9pjHtW.ylNB :2014/11/02(日) 19:59:13.78 ID:xWg9ImGAO
銀髪「ん?」
銀髪「あれ、君たち……」
銀髪「あ、悪い、邪魔しちゃって」
男「いや、いいよ」
男「こんな時間にどうかした?」
銀髪「ん、研究者……父親を迎えに」
男「今帰ったみたいだよ?」
銀髪「そうか、行き違いになったみたいだな」
銀髪「俺の父親を知ってるって事は、じゃあ俺が何故この街に来たかも……」
男「彼女を守ってくれるんだろう?」
銀髪「と、言うか、機密をね」
銀髪「君はどこまで知ってるんだ?」
男「だいたい全部」
銀髪「信頼されてるわけだ」
男「まあ……ね」
少女「せっかく自分たちで人造遺伝子の秘密を隠蔽したのに私たちの方から漏れたら困るってことだろう?」
銀髪「そう言うこと」
なるほど、そちらの方が信頼できる
彼らもまた自分たちの研究を隠し通すのが目的なんだ
男「じゃあ君も軍用に開発されたんだね」
銀髪「ああ、だが父も博士も情が移ったようだね」
銀髪「俺たちは本来彼女のような爆弾にせずとも十分な戦闘力があるんだ」
銀髪「機密が漏れれば、また悲劇の子供が生まれてくるだろう……」
男「それは阻止したい……か」
95 : ◆J9pjHtW.ylNB :2014/11/02(日) 20:01:12.37 ID:xWg9ImGAO
銀髪「そもそも無人兵器の研究もされているらしいから、俺たちなんかいらないだろう、と」
銀髪「俺は戦争の力を蓄えるのに反対はしない」
銀髪「自分が駒にされるのが嫌なだけさ」
確かに自分の命を賭ける事を他人任せにしたくはない
自分の信念の為に賭けたいな
銀髪「おっと、お邪魔なようだから行くよ?」
男「あ、連絡先貰っとこう」
銀髪「ああ、そうだね」
男「僕の家の場所も教えておくよ」
銀髪「ああ、合宿するんだったか」
銀髪「君たちのグループは仲が良いんだな」
男「まあね、これからは君も仲間だ」
銀髪「なんだかワクワクするよ」
銀髪「前の学校でも友達はいたが、その時はずいぶんズレてたみたいで不思議君って呼ばれてた……」
男「彼女は今も不思議ちゃんだよ」
少女「ひどいな、ちょっとはマシになっただろ!」
男「まあそう言うとこ好きなんだけど」
少女「も、もうっ」
銀髪「見せつけるね〜、俺もう帰るわ」
男「あ、すまない、またね!」
銀髪「ああ」
銀髪「……」
彼は何を考えたか、バック転から、トイレの屋根に飛び乗った
見事な身体能力だ
銀髪「じゃあね!」
96 : ◆J9pjHtW.ylNB :2014/11/02(日) 20:04:17.55 ID:xWg9ImGAO
少女「う〜ん、派手だな」
男「一応信頼してくれたのかな?」
少女「味方だと思えば頼もしいな」
男「でも博士と研究者さんはどうやって連絡を取り合ったんだろうな?」
少女「足がつかないようにはしているはず」
男「だよね」
男「あ、僕ももう帰るよ」
少女「あ……、寂しいなあ」
男「また明日もあるよ!」
少女「ふふっ」
少女「また明日!」
桃色の頬で手を振る彼女に見送られて、僕はジョギング代わりにダッシュで帰った
体力をつけても流石に彼らには負けるだろうけど
やがて合宿の日が訪れる
放課後それぞれ荷物を取りに帰ってから夜に僕の家に集合
僕は家で合宿に必要な物をチェック
していると、みんな来たらしい
僕は玄関まで急いで出て行く
委員長「お邪魔します」
男「構わず上がってくれよ」
友「夏休み以来かぁ?」
男「そうだな」
女友「あの時はジュースこぼしたり男の本引っ張り出したり……」
男「今回はあんまり散らかさないでくれよ?」
女「ふんふん、やっぱりこの家はいいね」
男「狭いだろ?」
銀髪「お邪魔するよ」
男「ああ、気にせず上がってくれ」
眼鏡「男の家……男子の家に初めて訪れた……孕む……」
男「孕まねえよ!」
少女「こんばんは……」
少女「この家はいつも暖かい雰囲気……」
男「……いらっしゃい」
人数が増えたとは言え、委員長は通いだし、他のメンバーも着替えを取りに帰ったりする
合宿のメリットは遅くまで勉強できる点だ
だが
女「せっかくだしこのグループの団結を高めるために遊ぼうか!」
委員長「いきなり遊ぶのか……」
男「あ、飲み物がいったら持ってくる、何がいい?」
女「紅茶」
女友「炭酸ある?」
友「俺コーヒー」
委員長「俺はブラックで、悪いな」
銀髪「なんでも好きだが紅茶で」
眼鏡「普通に緑茶」
少女「私も」
男「よし、誰か手伝ってよ」
女「はいよ」
98 : ◆J9pjHtW.ylNB :2014/11/02(日) 20:08:25.56 ID:xWg9ImGAO
ポットとコーヒーや紅茶、砂糖などを部屋に持ち込んで自分の好きな物を飲めるようにした
部屋に冷蔵庫があればジュースも置けるのだが
女友「私のわがままで男くんに苦労を……死んで詫びる〜」
生きろ
飲み物が揃った所でみんなで芋チップなどをつつきながらカードゲームをする
八人もいると色々ゲームできるし、すぐに終わる
委員長がそろそろ、と声をかけて
僕らは勉強を始めた
少女「カモノハシは哺乳類に分類されるがクチバシがあり卵生で、オスは爪に毒を持ち……」
銀髪「電子はマイナスの電荷を持っているから電子を受け取ると陰イオンに……」
眼鏡「超質量の恒星が超新星爆発を起こした後中性子星やブラックホールが……」
女友「つまりこの例文だと過去完了になり私が〜時には〜していた……」
女「千四百六十七年に始まった応仁の乱は約十年続いて……」
男「ここの文を現代語訳すると神々しく高く貴い……」
委員長「……みんな結構真面目にやってるじゃないか」
友「わからねえ……」
八人の勉強は滞りなく進んでいく
効率が良いのも確かだが楽しい雰囲気がいい
やがて女子たちは晩御飯を作るために部屋を出た
99 : ◆J9pjHtW.ylNB :2014/11/02(日) 20:11:13.19 ID:xWg9ImGAO
食材は予め話し合って各々が持ち寄っていた
今日は親子丼らしい
委員長もご飯を食べてしばらく勉強してから帰宅する
委員長が帰るとまたカードゲームが始まった
オセロの駒を賭けて大富豪したり、色々楽しんだ後お風呂に順番に入って三室に別れて眠る
翌朝僕は早めに起きて台所でコーヒーを飲んでいた
彼女が降りてくる
少女「おはよー」
男「おはよう」
少女「朝早いんだな?」
男「君が来る前は遅刻魔だったんだけどね」
少女「そうなのか?」
男「ドキドキして早く目が覚めちゃうんだよね」
少女「うふふ……」
そこに女が降りてくる
女「あー、朝からいちゃいちゃ……」
男「してない……ことはないか」
女「くそう、友起こしてくる」
男「銀を起こさないようにな〜」
僕らは合宿中に銀髪の少年を銀と呼ぶようになっていた
少女「さて、朝ご飯の準備するか」
男「手伝うよ、焼き鮭で良いよね」
少女「大好き!」
良かった
合宿が始まってからは学校でもグループが固まり、朝から晩までとても賑やかだ
二人の時間が作れないのは寂しいが、楽しい
100 : ◆J9pjHtW.ylNB :2014/11/02(日) 20:12:59.14 ID:xWg9ImGAO
委員長「なんだか楽しいよ……こんな気分になるのは初めてかも知れない」
男「委員長は真面目すぎたんだよ」
委員長「そうかも知れない、やっぱり息抜きは重要だな」
男「委員長がいないと息抜きが骨抜きになるのは困るかな」
委員長「上手いな、ははは」
友「勉強できる俺ってどうよ」
男「いいんじゃね?」
友「反応薄い!」
男「俺が反応してどうする」
女「まだまだだけどね」
少女「みんなレベル上がってるからな」
女友「テスト終わんないと上がってるか分かんないけど〜」
銀髪「俺もついていけてるか心配だな」
女友「銀ちゃんはもうちょっと英語頑張ろうか〜」
銀髪「面目ない」
女「他はできてるけどね」
男「銀も彼女も頭は良いからなあ……」
女「委員長を除けば一番レベル高いもんね」
男「頑張ってるんだけどなあ」
眼鏡「ダントツ最下位でないだけいいだろう」
友「うう……」
ダントツ最下位が泣いている
僕らの一週間の合宿も、もうすぐ終わりだ
一週間って短い
そして期末試験が始まった
期末試験の結果は中間と違い、上位五十位まで掲示板に張り出される
頑張るぞ!
101 : ◆J9pjHtW.ylNB :2014/11/02(日) 20:15:05.49 ID:xWg9ImGAO
期末試験の間も僕らは女の家に集まって次の日の試験対策をした
お陰でかつて無いくらいテストが簡単に思えた
試験最終日の午後
友「終わったーっ!」
委員長「今回トップ取れたかも知れない」
男「委員長かなりみんなに質問してたよね」
少女「委員長の質問はコアだったから私も理系は再びトップが取れそうだ」
彼女の方が頭がいい……
身体能力は百パーセント負けるのに……
友「俺も掲示板に乗れるかも」
女「友が百七十人中五十位以内と言うことか……」
友「な、ないかな?」
女「あるんじゃない?」
眼鏡「まあうちのグループは掲示板に入るだろ」
友「だよな?だよな?」
銀髪「オチとしては友君だけ入ってないのがいいな」
男「銀は分かってるな」
結果
一位・委員長
五位・少女
十位・銀髪
十八位・眼鏡
二十二位・男
二十五位・女
三十七位・女友
四十三位・友
うう……彼女と差が付きすぎ……
友「け、掲示板に乗った……」
友が掲示板に乗るより僕が彼女に勝つのがはるかに難しいだろうことが分かった
少女「文系は全く自信が無かったのだが、選択問題がたまたま当たったようだ」
少女「君は爆弾に恋をした」
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