去年のGWでの一人旅のお話
Part8かすみ「え?」
つい思ったことが口に出てしまっていた
焦ったね
焦ったよ
俺「あ、いや、うん。え?」
かすみ「・・・・・」
俺「・・・・・」
かすみ「聞こえなかったよ」
俺「あ、じゃいいんだw」
かすみ「もう一回」
俺「え?」
かすみ「聞こえなかったからもう一回言って・・・」
152 :1 ◆WRZgIaOVGE :2014/04/29(火) 02:48:06.76 ID:vUl2AkCi0
この時はずっと敬語だったかすみは普通に話していた
俺「いや・・・」
かすみ「もう一回」
俺「・・・・・」
かすみ「・・・・・」
俺「・・・好き、みたいなんだよね」
かすみ「・・・・・」
俺「かすみちゃんのことが」
かすみ「・・・・・」
俺「会ってから全然経ってないけどさ。何ていうか、帰りたくないって思ったんだ」
俺「だから・・・付き合って欲しい」
かすみは何も言わず、黙って聞いていた
時が止まったかのように沈黙が続く
俺の中では時間が停止していたので正確な時間は分からないが、恐らく数分?いや数十秒?か経った頃
かすみがゆっくりと口を開き始める
かすみ「・・・私も」
153 :1 ◆WRZgIaOVGE :2014/04/29(火) 02:49:19.87 ID:vUl2AkCi0
俺「え?」
かすみ「私も」
俺「・・・・・?」
俺はさっき自分が何を言ったのか忘れていた
かすみ「私も、好き・・・かも」
俺「え、あぁ・・・そっか。・・・え!?」
かすみ「確かに知り合ってそんなに経ってないけど」
かすみ「私もなんか・・・そう思う。好き」
そこからかすみは何かを言っていたが、全く聞こえてこなかった
154 :1 ◆WRZgIaOVGE :2014/04/29(火) 02:50:05.91 ID:vUl2AkCi0
口だけが動いている
何を言ってるのか聞こえない
分からない、聞き取れない
ここは本当に分からないんだ、ごめん
ボーっとしていて、何も考えていなかった
後から聞くと、なんでかすみが俺のことを好きだと思ったのかとか
俺のどういうところが好きになったとか
自分もこのまま終わりたくなかったこととか話してくれてたみたい
混乱して聞こえてなかったって言っても残念ながら詳しく内容は教えてはくれなかった
かすみ「ねぇ・・・。ねぇってば!」
俺「・・・え?」
155 :1 ◆WRZgIaOVGE :2014/04/29(火) 02:51:18.22 ID:vUl2AkCi0
かすみ「聞いてる?」
俺「あ、うん、え?」
かすみ「よろしくお願いします」
俺「・・・え?」
かすみ「だから!よろしくお願いしますってばw」
俺「・・・・・」
かすみ「・・・・・」
俺「ん?」
かすみ「もう一回言う?w」
俺「いや・・・え?」
かすみ「もう!w 私も好きだから、よろしくお願いしますw」
俺「あぁ・・・うん、え?俺?」
かすみ「ふふっ」
指で自分を指し、かすみを指し、行ったり来たり
俺「あ、俺、うん。え?付き・・・合う?」
かすみ「うん、よろしくお願いします」
俺「あ、うん。え?」
俺「彼氏?」
かすみ「うん」
俺「彼女?」
かすみ「うん」
俺「付き合う?」
かすみ「うん」
俺「・・・マジか」
かすみ「うん」
俺「ほんとに!?」
かすみ「ふふっ、うんw」
俺氏、長すぎるパニックを経て、ようやく理解する
158 :1 ◆WRZgIaOVGE :2014/04/29(火) 02:55:15.58 ID:vUl2AkCi0
俺「そっかぁ・・・あ、よろしくお願いします」
かすみ「ふふっ」
俺「何かこんなとこで・・・こんな格好でごめんね」
かすみ「ムードも何もないよねw」
俺「ははっ・・・(苦笑い」
かすみ「・・・・・」
俺「・・・・・」
どちらからともなく、顔を近付ける
ちゅ
159 :1 ◆WRZgIaOVGE :2014/04/29(火) 02:56:05.18 ID:vUl2AkCi0
唇がほんの少し、一瞬だけ触れるキス
俺「・・・・・」
かすみ「・・・・・」
ちゅ
唇が触れるだけの長めのキス
ここからは正直あまり覚えていない
この後はお互いを抱き寄せ、随分長いことキスをしていたと思う
結果から言えば、俺はこの日から童貞ではなくなった
160 :1 ◆WRZgIaOVGE :2014/04/29(火) 02:57:10.51 ID:vUl2AkCi0
朝、目を覚ますと目の前20cm程にかすみの顔がある
かすみはこっちを見ていて、先に目が覚めていたようだった
寝起きでいきなり人が現れたので、俺はちょっとびっくりしちゃった
俺「ん、おぉ・・・!」
かすみ「ふふっ、おはよ」
俺「あ、おはよう」
かすみ「・・・・・」
俺「ん?どしたの?」
かすみ「ううん、寝顔見てたw」
俺「いやもう・・・いいよーw」
やめてくれよー的な感じで俺はガバッと起き上がる
かすみ「あっ」
161 :1 ◆WRZgIaOVGE :2014/04/29(火) 02:58:24.43 ID:vUl2AkCi0
起きると2人とも裸で、かすみは布団を胸元に寄せて「ふふっ」と笑った
俺「あ、ごめん」
俺はまた横になり、天井を見つめる
昨日のことが夢じゃなかったんだと改めて思い知る
またお互いに見つめ合い、かすみは俺の肩に頭を乗せるようにしてくっついてくる
俺はそのままかすみの頭を抱き、しばらくその姿勢のままで時間が過ぎていく
この後、かすみとは別々で風呂に入った
何か今思えばここって一緒に入るとこだったんじゃないかなって思うけど、結局俺のヘタレ癖は抜けていなかった
精算を済ませ、車に戻る
俺「よし、行こっか」
かすみ「うん!」
162 :1 ◆WRZgIaOVGE :2014/04/29(火) 02:59:34.35 ID:vUl2AkCi0
明らかに昨日までの空気とは違っていた
恋人同士になったからといって何が変わったとはうまく言えないけど、やっぱり何か違った
確実に変わっていたのは、かすみが敬語じゃなくなったことかな
かすみ「今日何時くらいに着くかな?」
俺「んー、昼の3時くらい?夕方になる前には着くと思うよ」
かすみ「そっかぁ」
俺「何か予定ある?」
かすみ「ううん、じゃ夕ご飯食べてから帰りたい」
俺「ん、じゃどっかで買い物とかして夕飯食べて帰ろっか」
かすみ「そうしよ!」
気まずくなるようなこともなく、車の中は昨日のように楽しい空気が流れていた
163 :1 ◆WRZgIaOVGE :2014/04/29(火) 03:01:34.98 ID:vUl2AkCi0
海沿いの道を走っていると右側に海が見える
かすみはずっと海を見つめていた
つまり俺の方側を見ていたんだ
なんだか俺が見られているような気がしてそわそわした
朝食はまたコンビニで済ませ、昼食はかすみが見つけた和食屋に入った
それ以外はどこにも寄ることはなく、16時頃に富山に到着した
とあるショッピングモールに立ち寄り、色々と見て回った
何か形になるようなものが欲しくて、お互いに色違いでお揃いのスマホカバーを買うことにしたんだ
安いものだけど、これだけで充分幸せだったなぁ
せっかく旅に行ってたんだから、旅先で何か買う方が良かったかもしれないけど、何しろもう旅は終盤だったからね
164 :1 ◆WRZgIaOVGE :2014/04/29(火) 03:03:12.36 ID:vUl2AkCi0
夕食はかすみの家の近くの定食屋さん
かすみはここのてんぷら定食が好きでよく来るようで、俺にも食べてみて欲しいとのことだった
すごくおいしかったよ
漬物も、お茶も、茶碗蒸しも味噌汁も全部おいしかった
なんかね、こういうことだけでもすごい幸せだった
もうここからは話すことはないんだ
この後かすみを家まで送って、俺も家に帰った
一人の時間は少なかったけど、俺の一人旅はここで終了した
あとは普通の恋人として、普通の生活を送ってきたつもりだ
特に変わったこともない
165 :1 ◆WRZgIaOVGE :2014/04/29(火) 03:03:49.08 ID:vUl2AkCi0
ちなみに最初に出会った2人のことだけど
かすみと連絡先を交換する時にLINEを登録して、電話番号とアドレス、LINE IDを交換したんだ
で、家に帰ってからLINEで2人に連絡をすることにした
2人とも登録して、連絡をするとすぐにグループが作られた
ちょっとまだLINEをよく理解してなかったけど、2人と久々に話したよ
普通に会ってる時よりLINEのがテンション高かったけどね
あの後のことを話して、2人も無事東京に帰ったことを知った
俺も恋人が出来たことを話した
ナンパしたのかとか、手が早いとか色々言われたけど、ちゃんと祝福してくれたよ
それ以来、もうほとんど連絡は取ってないし、もちろん会ってない
166 :1 ◆WRZgIaOVGE :2014/04/29(火) 03:04:48.08 ID:vUl2AkCi0
少し後になってからだけど、かすみにも2人のことは話した
どういう経緯で同行して、どういう話をして、どこに行って、どう過ごしたか
別に怒るでも引くでもなく、すごい経験だったねと笑っていた
真意は分からないけど、多分そこは気にしてないだろう
LINEのやり取りも見せたし、会うつもりも特にないことを話した
今度私も一緒に平泉行きたいと言ってたので、俺も毛越寺はろくに見れなかったしいつか行くと思う
167 :1 ◆WRZgIaOVGE :2014/04/29(火) 03:06:14.68 ID:vUl2AkCi0
あれから1年
たまにかすみはあの夜のパニクった俺を少しからかいながら話してくるので、まだ最近のことのように思い出す
たまたま行った東北で、たまたま2人と出会い、たまたま泊まった恐山でたまたまかすみと出会い
たまたま早起きで混浴が被り、たまたま声をかけたらたまたま同行することになった
そして、口を滑らせて出た「好きなんだよなぁ」
色々なことが重なって、今はとても幸せ
あの日からもう一人旅はしていない、と言うか結果的に最後の一人旅になったんだ
今はもう、どこへ行くにも二人旅になっている
またこの連休に二人でどこかへ出かけてくる
小さな偶然が重なって、大きな幸せが転がり込んできたお話
オチがなくてごめんね
おしまい
168 :名も無き被検体774号+:2014/04/29(火) 03:07:33.57 ID:m5gkATEa0
末長く爆発!
169 :1 ◆WRZgIaOVGE :2014/04/29(火) 03:09:56.76 ID:vUl2AkCi0
途中から内容結構適当になって申し訳ない
長くなってしまったけど、見てくれた人ありがとう
171 :名も無き被検体774号+:2014/04/29(火) 03:18:03.36 ID:5r3t+I+O0
はよけっこんしろ
173 :名も無き被検体774号+:2014/04/29(火) 06:30:30.54 ID:bzz6/mBXO
あ、何か分かる
運命の人と一緒にいると、心が穏やかに、自然と告白出来ちゃうんだよね
プロポーズもすんなり言えるよ
You結婚しちゃいなよ!
ちきしょー
いい話じゃねーか
オシアワセニな
184 :名も無き被検体774号+:2014/04/29(火) 19:27:12.09 ID:AUzpnTio0
ほっこりしたぜ!ありがとう!
末永くお幸せに!!
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