毒男の怖い話とか音楽とか雑談とか 2018/07 スレ
Part1
608: 毒男 ◆B.DOLL/gBI :2018/07/08(日) 23:26:42
俺、昔からサーフィンにはまってて平日でも時間があれば海に行っている。
今から5年ほど前、すごい勢いで波乗りにはまった時期があって、その頃は定職にも就かず、ひたすら毎日海にいっていた。
ある日、久しぶりに俺に波乗りを教えてくれた先輩から連絡があって夜二人で飲みに行った。先輩は相変わらずで、最近体験したことを面白おかしく語ってくれた。
先輩「そういや最近○○(ポイント名)で入ったか?」
俺「いや、あそこ最近あんまり良くないんでいってないっすよ」
先輩「俺、一昨日そこで入ったんだが、なんか気持ち悪りーかんじがすんだよな。波待ちしてて嫌な感じがしてすぐあがったんだけどさ。お前、もし入るんなら気をつけろよ…。」
俺「……………ギャグっすか?」
先輩「…うん」
そこで二人で爆笑。
俺はこのときの話は、すぐに忘れてしまっていた。
数日後、当時付き合っていた女が仕事が休みだったので、一緒に雑貨屋に行った。
買い物に付き合わされた。その子は、ネックレスが欲しいらしくて、いろいろ悩みながら選んでいた。俺は、暇だったんで店の中をぶらぶらと眺めていた。
ふとひとつのブレス?に目が留まった。
それはブレスというより、「数珠みたいなもの」で色々な文字が刻まれた木製の珠が革紐に通してあるものだった。値段も安かったし、日雇いのバイトで金が少しあったんでそれを買って左足首につけてみた。
「また変なの買ってるし…。」
…言われるだろうと思ってた事を言われた。
彼女は、お気に入りのものがなかったらしく、俺達は店を出た。
その後二人で飯を食っていたら、連れから連絡があった。
明日の早朝、5時に集合。海の誘いだった。
610: 毒男 ◆B.DOLL/gBI :2018/07/08(日) 23:27:04
翌朝5時、連れが来た。
こいつとは随分前からよく一緒に海にいっている。
荷物は全部車の中に乗せっぱなしなんで、水だけタンクにいれて速攻出発した。
季節は7月の終わりくらいだったと思う。
5時とはいえ、まだ少しだけ薄暗い。
「今朝は、風がねーし、面はよさそうだな。」
「あとは、うねりだな。」
俺達二人はそんな話をしながら、ポイントを見て回った。
しかし、どこもダメだった。
サイズがない。
膝程度のウネリが入ってきているところがほとんどで、俺達は正直がっかりした。
そんなとき、ふと助手席のS(その連れ)が、
「○○に行ってみっか?」
Sが言ったそのポイントこそ、数日前、先輩が言っていた場所だった。
「…そうすっか。」
しばらく考えた後、俺もそう答えた。先輩の話はネタだと思ったからだ。
しばらくして、俺達はそのポイントについた。
波のサイズは腰はあった。風はまったくなく、岸から沖を見ると、霞がかっていた。
正直俺はこの時、嫌な感じがあった。
だけど、コンディション的には最高。
誘惑に耐え切れず、俺もSの後を追って、すぐに沖に出た。
そのポイントは向かって左に堤防があり、堤防の突端からうねりが左方向(グーフィー)に崩れる。
堤防の先は、川の河口になっていて、沖への流れ(カレント)が強いため、俺達は、気をつけながら、最高のコンディションでグーフィーの波を満喫した。
611: 毒男 ◆B.DOLL/gBI :2018/07/08(日) 23:27:30
しばらくして、俺はSの姿が見えないことに気がついた。
というより、半径2〜3m以上向こうがまったく見えない。
深い霧がかかっていた。
「やべぇな…。いっぺんあがるか…。」
そう思い始めた時にはもう遅かった。
どっちが岸で、どっちが沖なのか分からない。
俺は、波待ちしながら途方にくれていた。
ふと霧がかった向こうで、手招きしているのが見えた。
Sがあんなとこにいる。
俺は、そこに向かってパドルしはじめた。自分の漕ぐ水の音しか聞こえない。
辺りはひたすら静かだった。
パドルしながらふと気づいた。
手招きしているのがやけに離れていっている気がする。
いくらパドルしても追いつけない。
それに、なにか妙にその手が白い。
毎日海に行く、Sの真っ黒な腕とは正反対だ。
っていうか…あれなんだ?
そう思ったとき、ドンって勢いでいきなり海底に引きずり込まれた。
最初、何が起こったか分からなかった。
ただ、鼻や口に水が入って、急激に苦しくなりそれで俺が海中にいるのが分かった。
波に巻かれた時は、冷静に海面に上がる。
パニくると体力を消耗してやばいから。
俺も、びっくりしたが、普通に上がろうとした。
でも上がれない。
それどころか更に沈んでいこうとしている。なんだこれ?
ふと海底を見た。
そこで初めて、全身が凍りつくくらいの恐怖を感じた。しばらくして、俺はSの姿が見えないことに気がついた。
というより、半径2〜3m以上向こうがまったく見えない。
深い霧がかかっていた。
「やべぇな…。いっぺんあがるか…。」
そう思い始めた時にはもう遅かった。
どっちが岸で、どっちが沖なのか分からない。
俺は、波待ちしながら途方にくれていた。
ふと霧がかった向こうで、手招きしているのが見えた。
Sがあんなとこにいる。
俺は、そこに向かってパドルしはじめた。自分の漕ぐ水の音しか聞こえない。
辺りはひたすら静かだった。
パドルしながらふと気づいた。
手招きしているのがやけに離れていっている気がする。
いくらパドルしても追いつけない。
それに、なにか妙にその手が白い。
毎日海に行く、Sの真っ黒な腕とは正反対だ。
っていうか…あれなんだ?
そう思ったとき、ドンって勢いでいきなり海底に引きずり込まれた。
最初、何が起こったか分からなかった。
ただ、鼻や口に水が入って、急激に苦しくなりそれで俺が海中にいるのが分かった。
波に巻かれた時は、冷静に海面に上がる。
パニくると体力を消耗してやばいから。
俺も、びっくりしたが、普通に上がろうとした。
でも上がれない。
それどころか更に沈んでいこうとしている。なんだこれ?
ふと海底を見た。
そこで初めて、全身が凍りつくくらいの恐怖を感じた。
612: 毒男 ◆B.DOLL/gBI :2018/07/08(日) 23:27:51
最初は、海底にワカメがゆらいでいるのかと思った。
白いワカメ?あるのかそんなん?
手だった。
海底一面にすごい数の手が一斉に伸びて、俺の左足を底に引きずり込もうとしている。
パニックだった。
死がこれほど身近に感じたことはなかった。
意識がなくなりそうな感覚がきた。最後に思いっきり左足をひっぱった。
バシッと何かではじかれたような感覚があった。
その瞬間俺の体が海面に向かって浮き始めた。
助かった。
上にあがると思いっきりむせて、げほげほ言いながら周りを見渡した。
霧はどこにもなく、辺りはひたすら静かだった。
波はサイズも下がり、日は少し高く上っていた。
俺は思いっきり沖にでていたみたいで、岸に戻るのが辛かった。
岸にもどって、崩れるように腰を下ろした。
あれは何だったんだ一体。
ふと左足を見ると、全身が再び硬直するのが分かった。
左足は、真っ白に鬱血していて、手形のような青あざが無数についていた。
そしてそこにあるはずの、数日前に買ってつけた数珠が消えていた。
俺は今でも、そのポイントに入るときには、数珠をつける。そして…
台風で海が大荒れのときよりも、静かで、風が無く、薄暗い朝や夕方に入るときのほうが怖い。
PS
Sは、俺の姿が見えないから先に上がったのかと思ったらしく車にいた。
のん気に缶コーヒーを片手に一服していて、俺を見るなり、
「あれ?まだ入ってたんか?おつかれ〜」
などと言いおった。
頭にきて、奴のパンツを投げ捨てた。
617: 毒男 ◆B.DOLL/gBI :2018/07/08(日) 23:35:08
俺が知ってる実話怪談で一番怖いヤツを…知ってる人は知ってるだろうが、あの海難事故『良栄丸事件』を…
・発見されたミイラ船
1927年10月31日、カナダ西海岸バンクーバー島。
ワシントンのシアトル港への帰路についていたアメリカの貨物船「マーガレット・ダラー」号は、行方不明になっていた小型漁船「良栄丸」を発見した。
ボロボロに朽ち果てた船体、ミイラの転がる甲板、激しい死臭、白骨体、足の無い死体。
船室には、頭蓋骨を砕かれた白骨体とミイラがあった。
船室奥の部屋には、おびただしい血痕が染み付いていた。
船尾の司厨室では、海鳥の白い羽が至るところに散らばっており、コンロの上にあった石油缶の中には、人の腕が入っていた。
船内には食物も飲料水も無く、エンジン機関部は全て破損していた。
ところが、船長室から見つかった3冊のノートには、信じられない惨状が書かれていたのだった。
そのノートによると、良栄丸の情報は以下の通りだ。
重量は19tで1本マスト
船主は和歌山県の藤井三四郎
船長は三鬼時蔵
機関長は細井伝次郎
乗組員は12名
神奈川県の三崎港を出港したのは1926年12月5日
約1年間漂流していた
ここで疑問が浮かぶ。
発見された死体は9体、記録には12名とある。
3名はどうなったのだろうか。
618: 毒男 ◆B.DOLL/gBI :2018/07/08(日) 23:35:37
・不幸な漁船
1926年12月5日、神奈川県の三崎港を出港した良栄丸は、千葉県銚子沖にマグロを求めて進んでいた。
天候も思わしくなく、エンジンが調子の悪い排気音を立てていたため、翌12月6日に銚子港に寄港した。
しかし、エンジンに故障はなく、銚子の沖合いで大量のマグロを水揚げした。
が、暴風に見舞われて航行不能に陥ってしまった。
そして12月15日、銚子の東方沖合い1000マイルほど流された時、紀州船によく似た船が現れたので、信号を送ったり船員が叫んだりしたのに、応答も無く通り過ぎてしまったという。
三鬼船長は漂流を決意、記録には
「4ヶ月間は食べられる」
と書いてあった。
12月16日にも「東洋汽船」と書かれた船が近くを通ったが、応答はなかったという。
なんとか日本へ戻ろうと努力したが、どうやっても逆に流されていった。
記録にはこう書かれている。
「どう工夫しても西北へ船は走らず絶望。ただ汽船を待つばかり。反対にアメリカへ漂着することに決定。帆に風を七三にうけて北東に進む…。しかし、漁船で米国にたどりつこうとするは、コロンブスのアメリカ大陸発見より困難なりと心得るべし」
619: 毒男 ◆B.DOLL/gBI :2018/07/08(日) 23:36:02
・恐怖の記録
ここからは説明は要らないだろう。
記録文のみで充分に迫力が伝わってくる。
「12月27日。カツオ10本つる」
「1月27日。外国船を発見。応答なし。雨が降るとオケに雨水をため、これを飲料水とした」
「2月17日。いよいよ食料少なし」
「3月6日。魚一匹もとれず。食料はひとつのこらず底をついた。恐ろしい飢えと死神がじょじょにやってきた」
「3月7日。最初の犠牲者がでた。機関長・細井伝次郎は、「ひとめ見たい…日本の土を一足ふみたい」とうめきながら死んでいった。全員で水葬にする」
「3月9日。サメの大きなやつが一本つれたが、直江常次は食べる気力もなく、やせおとろえて死亡。水葬に処す」
「3月15日。それまで航海日誌をつけていた井沢捨次が病死。かわって松本源之助が筆をとる。井沢の遺体を水葬にするのに、やっとのありさま。全員、顔は青白くヤマアラシのごとくヒゲがのび、ふらふらと亡霊そっくりの歩きざまは悲し」
「3月27日。寺田初造と横田良之助のふたりは、突然うわごとを発し、「おーい富士山だ。アメリカにつきやがった。ああ、にじが見える…。」などと狂気を発して、左舷の板にがりがりと歯をくいこませて悶死する。いよいよ地獄の底も近い」
「3月29日。メバチ一匹を吉田藤吉がつりあげたるを見て、三谷寅吉は突然として逆上し、オノを振りあげるや、吉田藤吉の頭をめった打ちにする。その恐ろしき光景にも、みな立ち上がる気力もなく、しばしぼう然。
のこる者は野菜の不足から、壊血病となりて歯という歯から血液したたるは、みな妖怪変化のすさまじき様相となる。ああ、仏様よ」
「4月4日。三鬼船長は甲板上を低く飛びかすめる大鳥を、ヘビのごとき速さで手づかみにとらえる。全員、人食いアリのごとくむらがり、羽をむしりとって、生きたままの大鳥をむさぼる。血がしたたる生肉をくらうは、これほどの美味なるものはなしと心得たい。これもみな、餓鬼畜生となせる業か」
「4月6日。辻門良治、血へどを吐きて死亡」
「4月14日。沢山勘十郎、船室にて不意に狂暴と化して発狂し死骸を切り刻む姿は地獄か。人肉食べる気力あれば、まだ救いあり」
「4月19日。富山和男、沢村勘十郎の二名、料理室にて人肉を争う。地獄の鬼と化すも、ただ、ただ生きて日本に帰りたき一心のみなり。同夜、二名とも血だるまにて、ころげまわり死亡」
「5月6日。三鬼船長、ついに一歩も動けず。乗組員十二名のうち残るは船長と日記記録係の私のみ。ふたりとも重いカッケ病で小便、大便にも動けず、そのままたれ流すはしかたなし」
「5月11日。曇り。北西の風やや強し。南に西に、船はただ風のままに流れる。山影も見えず、陸地も見えず。船影はなし。あまいサトウ粒ひとつなめて死にたし。友の死骸は肉がどろどろに腐り、溶けて流れた血肉の死臭のみがあり。白骨のぞきて、この世の終わりとするや…」
620: 毒男 ◆B.DOLL/gBI :2018/07/08(日) 23:36:21
奇妙な事実
しかし、記録を調べるうちに、奇怪な事実が浮かびあがった。
数十回に渡って他の船にであっていながら、救助に応答する船は一隻としてなかったことだ。
そして、吉栄丸は太平洋横断の途中、たった一つの島さえも発見できなかったのである。
しかし、アメリカの貨物船「ウエスト・アイソン」号のリチャード・ヒーリィ船長は、次のように述べている。
「1926年12月23日、シアトルから約1000キロの太平洋上で波間に漂う木造船を発見したが、救助信号を送っても返事が無いので近づきました。
しかし、吉栄丸の船窓や甲板に立ってこっちを見ていた10人ほどの船員は、誰一人として応えず、馬鹿らしくなって引き上げたのです」
だが吉栄丸の記録にこのことは書かれていない。
一体、彼らにはなにが起こっていたというのだろうか。
621: 秋山 ◆MIO/.JGsks :2018/07/08(日) 23:38:29
>>620
これは見た事あるぞ・・・
人間怖い。
622: 毒男 ◆B.DOLL/gBI :2018/07/08(日) 23:40:33
>>621
|A-) 記録の矛盾が怖いよね
623: 秋山 ◆MIO/.JGsks :2018/07/08(日) 23:41:48
>>622
死神に愛された12人だったのかもねぇ・・・
怖い怖い
624: 毒男 ◆B.DOLL/gBI :2018/07/08(日) 23:43:14
>>623
|A-) かもしれない…
これは俺的にけっこう怖い…
625: cat ◆TUKUMO3rAI :2018/07/08(日) 23:43:54
|ω・` ) 海には行かない…!
626: 秋山 ◆MIO/.JGsks :2018/07/08(日) 23:44:30
>>624
こういう記録系のって地味にくるよね・・・
俺、昔からサーフィンにはまってて平日でも時間があれば海に行っている。
今から5年ほど前、すごい勢いで波乗りにはまった時期があって、その頃は定職にも就かず、ひたすら毎日海にいっていた。
ある日、久しぶりに俺に波乗りを教えてくれた先輩から連絡があって夜二人で飲みに行った。先輩は相変わらずで、最近体験したことを面白おかしく語ってくれた。
先輩「そういや最近○○(ポイント名)で入ったか?」
俺「いや、あそこ最近あんまり良くないんでいってないっすよ」
先輩「俺、一昨日そこで入ったんだが、なんか気持ち悪りーかんじがすんだよな。波待ちしてて嫌な感じがしてすぐあがったんだけどさ。お前、もし入るんなら気をつけろよ…。」
俺「……………ギャグっすか?」
先輩「…うん」
そこで二人で爆笑。
俺はこのときの話は、すぐに忘れてしまっていた。
数日後、当時付き合っていた女が仕事が休みだったので、一緒に雑貨屋に行った。
買い物に付き合わされた。その子は、ネックレスが欲しいらしくて、いろいろ悩みながら選んでいた。俺は、暇だったんで店の中をぶらぶらと眺めていた。
ふとひとつのブレス?に目が留まった。
それはブレスというより、「数珠みたいなもの」で色々な文字が刻まれた木製の珠が革紐に通してあるものだった。値段も安かったし、日雇いのバイトで金が少しあったんでそれを買って左足首につけてみた。
「また変なの買ってるし…。」
…言われるだろうと思ってた事を言われた。
彼女は、お気に入りのものがなかったらしく、俺達は店を出た。
その後二人で飯を食っていたら、連れから連絡があった。
明日の早朝、5時に集合。海の誘いだった。
610: 毒男 ◆B.DOLL/gBI :2018/07/08(日) 23:27:04
翌朝5時、連れが来た。
こいつとは随分前からよく一緒に海にいっている。
荷物は全部車の中に乗せっぱなしなんで、水だけタンクにいれて速攻出発した。
季節は7月の終わりくらいだったと思う。
5時とはいえ、まだ少しだけ薄暗い。
「今朝は、風がねーし、面はよさそうだな。」
「あとは、うねりだな。」
俺達二人はそんな話をしながら、ポイントを見て回った。
しかし、どこもダメだった。
サイズがない。
膝程度のウネリが入ってきているところがほとんどで、俺達は正直がっかりした。
そんなとき、ふと助手席のS(その連れ)が、
「○○に行ってみっか?」
Sが言ったそのポイントこそ、数日前、先輩が言っていた場所だった。
「…そうすっか。」
しばらく考えた後、俺もそう答えた。先輩の話はネタだと思ったからだ。
しばらくして、俺達はそのポイントについた。
波のサイズは腰はあった。風はまったくなく、岸から沖を見ると、霞がかっていた。
正直俺はこの時、嫌な感じがあった。
だけど、コンディション的には最高。
誘惑に耐え切れず、俺もSの後を追って、すぐに沖に出た。
そのポイントは向かって左に堤防があり、堤防の突端からうねりが左方向(グーフィー)に崩れる。
堤防の先は、川の河口になっていて、沖への流れ(カレント)が強いため、俺達は、気をつけながら、最高のコンディションでグーフィーの波を満喫した。
611: 毒男 ◆B.DOLL/gBI :2018/07/08(日) 23:27:30
しばらくして、俺はSの姿が見えないことに気がついた。
というより、半径2〜3m以上向こうがまったく見えない。
深い霧がかかっていた。
「やべぇな…。いっぺんあがるか…。」
そう思い始めた時にはもう遅かった。
どっちが岸で、どっちが沖なのか分からない。
俺は、波待ちしながら途方にくれていた。
ふと霧がかった向こうで、手招きしているのが見えた。
Sがあんなとこにいる。
俺は、そこに向かってパドルしはじめた。自分の漕ぐ水の音しか聞こえない。
辺りはひたすら静かだった。
パドルしながらふと気づいた。
手招きしているのがやけに離れていっている気がする。
いくらパドルしても追いつけない。
それに、なにか妙にその手が白い。
毎日海に行く、Sの真っ黒な腕とは正反対だ。
っていうか…あれなんだ?
そう思ったとき、ドンって勢いでいきなり海底に引きずり込まれた。
最初、何が起こったか分からなかった。
ただ、鼻や口に水が入って、急激に苦しくなりそれで俺が海中にいるのが分かった。
波に巻かれた時は、冷静に海面に上がる。
パニくると体力を消耗してやばいから。
俺も、びっくりしたが、普通に上がろうとした。
でも上がれない。
それどころか更に沈んでいこうとしている。なんだこれ?
ふと海底を見た。
そこで初めて、全身が凍りつくくらいの恐怖を感じた。しばらくして、俺はSの姿が見えないことに気がついた。
というより、半径2〜3m以上向こうがまったく見えない。
深い霧がかかっていた。
「やべぇな…。いっぺんあがるか…。」
そう思い始めた時にはもう遅かった。
どっちが岸で、どっちが沖なのか分からない。
俺は、波待ちしながら途方にくれていた。
ふと霧がかった向こうで、手招きしているのが見えた。
Sがあんなとこにいる。
俺は、そこに向かってパドルしはじめた。自分の漕ぐ水の音しか聞こえない。
辺りはひたすら静かだった。
パドルしながらふと気づいた。
手招きしているのがやけに離れていっている気がする。
いくらパドルしても追いつけない。
それに、なにか妙にその手が白い。
毎日海に行く、Sの真っ黒な腕とは正反対だ。
っていうか…あれなんだ?
そう思ったとき、ドンって勢いでいきなり海底に引きずり込まれた。
最初、何が起こったか分からなかった。
ただ、鼻や口に水が入って、急激に苦しくなりそれで俺が海中にいるのが分かった。
波に巻かれた時は、冷静に海面に上がる。
パニくると体力を消耗してやばいから。
俺も、びっくりしたが、普通に上がろうとした。
でも上がれない。
それどころか更に沈んでいこうとしている。なんだこれ?
ふと海底を見た。
そこで初めて、全身が凍りつくくらいの恐怖を感じた。
612: 毒男 ◆B.DOLL/gBI :2018/07/08(日) 23:27:51
最初は、海底にワカメがゆらいでいるのかと思った。
白いワカメ?あるのかそんなん?
手だった。
海底一面にすごい数の手が一斉に伸びて、俺の左足を底に引きずり込もうとしている。
パニックだった。
死がこれほど身近に感じたことはなかった。
意識がなくなりそうな感覚がきた。最後に思いっきり左足をひっぱった。
バシッと何かではじかれたような感覚があった。
その瞬間俺の体が海面に向かって浮き始めた。
助かった。
上にあがると思いっきりむせて、げほげほ言いながら周りを見渡した。
霧はどこにもなく、辺りはひたすら静かだった。
波はサイズも下がり、日は少し高く上っていた。
俺は思いっきり沖にでていたみたいで、岸に戻るのが辛かった。
岸にもどって、崩れるように腰を下ろした。
あれは何だったんだ一体。
ふと左足を見ると、全身が再び硬直するのが分かった。
左足は、真っ白に鬱血していて、手形のような青あざが無数についていた。
そしてそこにあるはずの、数日前に買ってつけた数珠が消えていた。
俺は今でも、そのポイントに入るときには、数珠をつける。そして…
台風で海が大荒れのときよりも、静かで、風が無く、薄暗い朝や夕方に入るときのほうが怖い。
PS
Sは、俺の姿が見えないから先に上がったのかと思ったらしく車にいた。
のん気に缶コーヒーを片手に一服していて、俺を見るなり、
「あれ?まだ入ってたんか?おつかれ〜」
などと言いおった。
頭にきて、奴のパンツを投げ捨てた。
617: 毒男 ◆B.DOLL/gBI :2018/07/08(日) 23:35:08
俺が知ってる実話怪談で一番怖いヤツを…知ってる人は知ってるだろうが、あの海難事故『良栄丸事件』を…
・発見されたミイラ船
1927年10月31日、カナダ西海岸バンクーバー島。
ワシントンのシアトル港への帰路についていたアメリカの貨物船「マーガレット・ダラー」号は、行方不明になっていた小型漁船「良栄丸」を発見した。
ボロボロに朽ち果てた船体、ミイラの転がる甲板、激しい死臭、白骨体、足の無い死体。
船室には、頭蓋骨を砕かれた白骨体とミイラがあった。
船室奥の部屋には、おびただしい血痕が染み付いていた。
船尾の司厨室では、海鳥の白い羽が至るところに散らばっており、コンロの上にあった石油缶の中には、人の腕が入っていた。
船内には食物も飲料水も無く、エンジン機関部は全て破損していた。
ところが、船長室から見つかった3冊のノートには、信じられない惨状が書かれていたのだった。
そのノートによると、良栄丸の情報は以下の通りだ。
重量は19tで1本マスト
船主は和歌山県の藤井三四郎
船長は三鬼時蔵
機関長は細井伝次郎
乗組員は12名
神奈川県の三崎港を出港したのは1926年12月5日
約1年間漂流していた
ここで疑問が浮かぶ。
発見された死体は9体、記録には12名とある。
3名はどうなったのだろうか。
・不幸な漁船
1926年12月5日、神奈川県の三崎港を出港した良栄丸は、千葉県銚子沖にマグロを求めて進んでいた。
天候も思わしくなく、エンジンが調子の悪い排気音を立てていたため、翌12月6日に銚子港に寄港した。
しかし、エンジンに故障はなく、銚子の沖合いで大量のマグロを水揚げした。
が、暴風に見舞われて航行不能に陥ってしまった。
そして12月15日、銚子の東方沖合い1000マイルほど流された時、紀州船によく似た船が現れたので、信号を送ったり船員が叫んだりしたのに、応答も無く通り過ぎてしまったという。
三鬼船長は漂流を決意、記録には
「4ヶ月間は食べられる」
と書いてあった。
12月16日にも「東洋汽船」と書かれた船が近くを通ったが、応答はなかったという。
なんとか日本へ戻ろうと努力したが、どうやっても逆に流されていった。
記録にはこう書かれている。
「どう工夫しても西北へ船は走らず絶望。ただ汽船を待つばかり。反対にアメリカへ漂着することに決定。帆に風を七三にうけて北東に進む…。しかし、漁船で米国にたどりつこうとするは、コロンブスのアメリカ大陸発見より困難なりと心得るべし」
619: 毒男 ◆B.DOLL/gBI :2018/07/08(日) 23:36:02
・恐怖の記録
ここからは説明は要らないだろう。
記録文のみで充分に迫力が伝わってくる。
「12月27日。カツオ10本つる」
「1月27日。外国船を発見。応答なし。雨が降るとオケに雨水をため、これを飲料水とした」
「2月17日。いよいよ食料少なし」
「3月6日。魚一匹もとれず。食料はひとつのこらず底をついた。恐ろしい飢えと死神がじょじょにやってきた」
「3月7日。最初の犠牲者がでた。機関長・細井伝次郎は、「ひとめ見たい…日本の土を一足ふみたい」とうめきながら死んでいった。全員で水葬にする」
「3月9日。サメの大きなやつが一本つれたが、直江常次は食べる気力もなく、やせおとろえて死亡。水葬に処す」
「3月15日。それまで航海日誌をつけていた井沢捨次が病死。かわって松本源之助が筆をとる。井沢の遺体を水葬にするのに、やっとのありさま。全員、顔は青白くヤマアラシのごとくヒゲがのび、ふらふらと亡霊そっくりの歩きざまは悲し」
「3月27日。寺田初造と横田良之助のふたりは、突然うわごとを発し、「おーい富士山だ。アメリカにつきやがった。ああ、にじが見える…。」などと狂気を発して、左舷の板にがりがりと歯をくいこませて悶死する。いよいよ地獄の底も近い」
「3月29日。メバチ一匹を吉田藤吉がつりあげたるを見て、三谷寅吉は突然として逆上し、オノを振りあげるや、吉田藤吉の頭をめった打ちにする。その恐ろしき光景にも、みな立ち上がる気力もなく、しばしぼう然。
のこる者は野菜の不足から、壊血病となりて歯という歯から血液したたるは、みな妖怪変化のすさまじき様相となる。ああ、仏様よ」
「4月4日。三鬼船長は甲板上を低く飛びかすめる大鳥を、ヘビのごとき速さで手づかみにとらえる。全員、人食いアリのごとくむらがり、羽をむしりとって、生きたままの大鳥をむさぼる。血がしたたる生肉をくらうは、これほどの美味なるものはなしと心得たい。これもみな、餓鬼畜生となせる業か」
「4月6日。辻門良治、血へどを吐きて死亡」
「4月14日。沢山勘十郎、船室にて不意に狂暴と化して発狂し死骸を切り刻む姿は地獄か。人肉食べる気力あれば、まだ救いあり」
「4月19日。富山和男、沢村勘十郎の二名、料理室にて人肉を争う。地獄の鬼と化すも、ただ、ただ生きて日本に帰りたき一心のみなり。同夜、二名とも血だるまにて、ころげまわり死亡」
「5月6日。三鬼船長、ついに一歩も動けず。乗組員十二名のうち残るは船長と日記記録係の私のみ。ふたりとも重いカッケ病で小便、大便にも動けず、そのままたれ流すはしかたなし」
「5月11日。曇り。北西の風やや強し。南に西に、船はただ風のままに流れる。山影も見えず、陸地も見えず。船影はなし。あまいサトウ粒ひとつなめて死にたし。友の死骸は肉がどろどろに腐り、溶けて流れた血肉の死臭のみがあり。白骨のぞきて、この世の終わりとするや…」
620: 毒男 ◆B.DOLL/gBI :2018/07/08(日) 23:36:21
奇妙な事実
しかし、記録を調べるうちに、奇怪な事実が浮かびあがった。
数十回に渡って他の船にであっていながら、救助に応答する船は一隻としてなかったことだ。
そして、吉栄丸は太平洋横断の途中、たった一つの島さえも発見できなかったのである。
しかし、アメリカの貨物船「ウエスト・アイソン」号のリチャード・ヒーリィ船長は、次のように述べている。
「1926年12月23日、シアトルから約1000キロの太平洋上で波間に漂う木造船を発見したが、救助信号を送っても返事が無いので近づきました。
しかし、吉栄丸の船窓や甲板に立ってこっちを見ていた10人ほどの船員は、誰一人として応えず、馬鹿らしくなって引き上げたのです」
だが吉栄丸の記録にこのことは書かれていない。
一体、彼らにはなにが起こっていたというのだろうか。
621: 秋山 ◆MIO/.JGsks :2018/07/08(日) 23:38:29
>>620
これは見た事あるぞ・・・
人間怖い。
622: 毒男 ◆B.DOLL/gBI :2018/07/08(日) 23:40:33
>>621
|A-) 記録の矛盾が怖いよね
623: 秋山 ◆MIO/.JGsks :2018/07/08(日) 23:41:48
>>622
死神に愛された12人だったのかもねぇ・・・
怖い怖い
624: 毒男 ◆B.DOLL/gBI :2018/07/08(日) 23:43:14
>>623
|A-) かもしれない…
これは俺的にけっこう怖い…
625: cat ◆TUKUMO3rAI :2018/07/08(日) 23:43:54
|ω・` ) 海には行かない…!
626: 秋山 ◆MIO/.JGsks :2018/07/08(日) 23:44:30
>>624
こういう記録系のって地味にくるよね・・・
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