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【閲覧注意】一つの村が消えた話をする(障芽池)

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Part3
62 :伝者:2014/12/19(金) 18:49:56.08 ID:Q9WITJsub
神主一族の長老によれば、この小屋の名前は鬼小屋だが、中に住んでいるのは鬼でも幽霊でも無いそうだ。
この小屋の中で見た黒い何かと言うのは、この小屋に住む「障者」と呼ばれる存在との事で、この小屋には二体の障者が住んでおり、男性と女性の障者が住んでいる。
そして、男性と女性の障者は元は男性と女性の人間であったそうだ。

63 :伝者:2014/12/19(金) 18:58:12.32 ID:Q9WITJsub
説明が長くなると思います。
申し訳ない。
村の伝承によれば、
数百年前に村と町の道が土石流によって数kmに渡り寸断され、
村の農作物が豪雨による小川の増水、水系の崩壊等の自然災害によって駄目になり、村が飢饉に陥った時がある。
飢餓状態となった村人が作物を探す中、
ある日、一人の村の男性が、村の女性を村奥の森の中の小屋に監禁した。
男性は飢餓の極限状態により、監禁している女性を強姦し、
奴隷のような状態にした。
簡単に言えば、女を使って遊んだとの事。
女性は飢餓による栄養失調や体力の減少で餓死してしまった。
肉に飢えていた男性は、その女性を解体し、食べた。
男性はその時に得た食人の快楽を求め、次々と村の女性を殺し、食べだしたと言う。
中には、生きたまま解体され、食人された女性もいた。
女性ばかりを狙うのは、彼が根本的に男性であるからだそうだ。

64 :伝者:2014/12/19(金) 19:03:56.03 ID:Q9WITJsub
この男性の情報は村に広がったが、
村人の男達はこの男性を捕える所か、同じように村人の女性を殺し、共食いしだしたのだ。
殺し合い、食べていく内に人は狂って行き、
最初は殺される側だった村人の女性が村人の男性を殺した。
そして、それを見た他の女性も人を殺し、食べだすようになった。
数百人いた村人は数十人から数人へと減り、最後の村人の女性を食べた男は、森の中の小屋で自殺したと言う。

65 :伝者:2014/12/19(金) 19:06:01.39 ID:Q9WITJsub
この自殺した男こそが鬼小屋の男性障者であり、
最初に強姦され、殺され、食べられた女性が女性障者である、
と伝承の伝説には存在する。
俺とBに憑いていたのは、この障者の両方の力であるそうで、
Bには男性障者の力が、俺には女性障者の力が憑いていたそうだ。

66 :伝者:2014/12/19(金) 19:10:11.16 ID:Q9WITJsub
村人が消滅したこの村には、後に現在の神主一族の先祖「初代神主」の一家が引っ越し、村復興の始めに村の守り神となる神社を立てた。
家や道に残された村人の骨を村奥の池に水葬した後、
村奥の池に集まった、村人の怨念を封印し、名前を障芽池と名付け、
池自体を名前で縛った。
後世にも自分の力が村を守るようにと、自分の力を封印した石と、
その石を祭る祠を村奥の森の中に立てた。
強い怨念が留まり続ける、村奥の森の小屋の二階の扉を封印し、
小屋自体を人の認識外へと封印した。
初代神主の力では認識外への封印が限界で、
それが招かれれば行けると言う隙を作る結果となってしまった。
初代神主は子孫達に、この小屋を鬼小屋と語り、中に住む者を障者と呼んでいたそうだ。


67 :伝者:2014/12/19(金) 19:11:44.93 ID:Q9WITJsub
初代神主は、この村で死んだ村人を弔う為、
この村に生きる村人を村の鬼から守る為、
この村で生まれた鬼を外界に出さない為、八月十五日に神社で行う村全体での祭り、即ち辿静祭、鬼無し踊り、浄縁神楽を残した。
村の伝承を残す用意をした過程で生まれた、幾つかの綻びを繕う為に、初代神主は最低限の三つの禁を残した。
初代神主は村に引っ越してきた者達、即ち今の村人の先祖達に、永久に村を守れるようにと、この村の伝承を受け継がせた。

68 :伝者:2014/12/19(金) 19:17:30.59 ID:Q9WITJsub
長きに渡り、村の伝承は受け継がれてきたが、ある年、村の伝承を知ったある一族が森の祠へ行き、初代神主の力を得ようとする事態が起きた。
何故か森の祠にある石を壊せば、自分達にも力が宿ると思っていたらしい。
一族の企みを知った村人が神主一族に報告した事により、一族の行いは未然に防がれることとなった。
力を得ようとした一族は、村八分の後に村を追放された後、
人間関係で失敗し多額の借金を背負い、遂には一族で投身自殺した。

69 :伝者:2014/12/19(金) 19:21:04.33 ID:Q9WITJsub
この事から、森の祠や、村の伝承の大半を村人に残さない方針に変わり、
この世代から神主一族にのみ管理が任せられ、森の祠の周囲にも封印がなされる事となった。
この当時のB一族は、この方針を無視し、一族内で森の祠の存在を伝えていたらしく、Bは両親の会話からその存在を知る事となった。
森の祠になされた封印は、八月十四日に弱まる為、その封印の組み直しを当代神主は、毎年一人で行う。
神主によれば、組み直された封印は、
来年の八月十四日まで弱まる事はないが、強い悪意の絡んだ何らかの手段で、この封印を破壊し、初代神主の力を得る事が可能だそうだ。

70 :伝者:2014/12/19(金) 19:22:55.88 ID:Q9WITJsub
神主「この事態を機に、我々一族が隠していた秘密は村人に知られてしまった事になる」
神主「B一族は本来ならば村を追放されるべきだが、今は構ってられん」
神主一族「Aの囚われた小屋へ行く用意が出来たぞ」
神主「分かった。
俺君、B君、私は一族全員でAを救いに行く。
我々にも、初代神主が小屋に施した認識外の封印の解き方は知らされていない。
小屋から呼ばれている君達しか、もう一度小屋に行く事は出来ないのだよ。
正直、娘が今も生きているという保証はどこにもない。
既に遅いかもしれないが、協力してくれ」

71 :伝者:2014/12/19(金) 19:24:44.47 ID:Q9WITJsub
俺「Aは必ず、この場所に連れ戻して来ます、任せて下さい」
B「禁を犯した自分が言うのもなんですが、これは自分に下された天命だと思っています」
神主一族「我々は途中まで君達に付いて行く。
Aを見つけたら直ぐにこの清めの水を飲ませ、背中にこのお札を張りなさい。
そして、清めの塩をAの身体全体に掛け、障者が現れたら○○○〜と真言を唱えなさい」
神主「真言で障者を数秒止める事が出来ると思うが、止められなかった場合はひたすら走り、我々の下へ来るのだよ。
立ち止まって行けない事を忘れずに」
俺とB「はい」
俺とBは覚悟を決めた。

73 :伝者:2014/12/19(金) 19:28:37.24 ID:Q9WITJsub
八月十五日 辿静祭当日 午前一時
俺とB、そして神主と神主一族は、障芽池へと続く獣道の途中にいる。
神主一族の人数は数十人で、頼もしいと思った。
俺「この辺りから、二人で行きます」
B「必ず、Aを助けて来ます」
神主一族「頼んだぞ」
神主「教えた事を忘れずにな」
俺とB「はい」

74 :伝者:2014/12/19(金) 19:29:27.83 ID:Q9WITJsub
俺とBは一本の獣道を進む。
途中から、山の獣の声が聞こえなくなってきた。
俺「そろそろか」
B「だな」
暗がりを抜けた先には、小屋があった。
俺とBは、無言で道具の最終確認を行った。
俺「あれ」
B「どうした?」
俺「いや、鋏なんて入れたっけなって思ってさ」
B「裁断鋏か、何かの役に立つんじゃないか?」
俺「そっか」
俺とBは作戦の最終確認をした。

75 :伝者:2014/12/19(金) 19:32:11.66 ID:Q9WITJsub
作戦はこうだ、
俺とBで小屋に一気に入る。
下の部屋に障者がいた場合、Bが相手する。
その隙に俺が二階へ行き、Aを助ける。
二階に障者がいた場合、障者を足止めし、Aを連れて一階へ降り、BとAを守りながら、神主一族の下へと走り抜ける。
作戦と言うような作戦ではないが、この方法で行くしかないと思った。
俺「行くぞ」
B「ああ」
俺とB「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」
二人で突進するように、さながらアニメの様に小屋に入った。
下の部屋に障者はいなかったので、下はBに任せ、俺は階段を駆け上がった。
二階の扉を思いっ切り蹴破った。
「ドン!!!!」
俺「A!!」
俺はAの名前を叫び、中に居るであろう障者を威嚇した。
部屋の中には・・・・・・・

76 :伝者:2014/12/19(金) 19:34:18.76 ID:Q9WITJsub
全裸の状態で手を天井から吊るされた紐で縛られ、足を紐で床に固定されたAがいた。
が、中に障者はいなかった。
A「俺君」
俺「A!!!」
俺はAが縛られている事よりも、単純に生きていた事に喜び、Aを縛っている紐を鞄に入っていた裁断鋏で切り、清めの水を口に含ませて、飲ませ、背中にそのままお札を張り付けた。
そして、塩を身体に振りかけた。

77 :伝者:2014/12/19(金) 19:43:20.67 ID:Q9WITJsub
俺はAを抱え、二階の階段を降りる直前、
A「俺君!、後ろ!!」
俺は後ろを向いた。
男性障者「OmyいえkrOOOOOOsrあcjんじcjぞscjじおn」
後ろには、首を吊ったままこちらを見つめる黒い何か、
いや、男性障者が俺には聞き取る事の出来ない言葉を発している。
俺「○○○〜!!!」
俺は神主から教わっていた真言を唱えた。
だが、男性障者はこっちに近づいてくる。
俺「何だよ!!!!!」
俺はAを抱えたまま、後ろに下がって行く。
A「△△△〜!!!」
その時、Aが俺の知らない真言を唱えた。
男性障者「んこvそkvmぢんヴぉzm???????」
男性障者の身体が痙攣しているように見える、
俺はAを抱えたまま、階段を駆け下りた。
そして俺達は小屋を抜け出した。

78 :伝者:2014/12/19(金) 19:44:32.45 ID:Q9WITJsub
B「おい俺!!!速く行くぞ!!!」
俺「ああ!」
俺達は獣道を走っている、
女性障者「あああああああああああああああ・・ああああああああああああ」
俺「来たか」
B「○○○〜!!!」
女性障者「あああああ・・・・・ああ・・あ・・・・・・・・・・」
Bが教わった真言を唱えると、
女性障者は姿を消した。
女性の方には効くようだ。

79 :伝者:2014/12/19(金) 19:45:19.89 ID:Q9WITJsub
B「効いたみたいだな」
?「ポーン・・・・・・・・・・ポーン」
聞いた覚えのある音、嫌な予感がする。
女性障者「あああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ」
突然、女性障者が雄たけびをあげながらBの足元から出現し、Bの脚を掴んだ。

80 :伝者:2014/12/19(金) 19:46:31.61 ID:Q9WITJsub
俺「B!!!!!!!」
B「俺!!!!!先に行け!!」
Bはそのまま、そのまま女性障者に引きずられて行った。
Bを後で必ず助けると誓って、俺はひたすら走った。
神主一族の下へ着いた。
神主「よく戻ってきた!!、B君は?」
俺「捕まった、俺とAを逃がすために」
神主「そうか」
神主一族「Aをすぐに本殿へ!!」
俺と神主、神主一族は直ぐに村に戻った。
そこで、ある事を村人から神主へ伝えられる。

81 :伝者:2014/12/19(金) 19:47:32.92 ID:Q9WITJsub
村人「B一族が先程、この村を出て行った」
神主「!?」
神主一族「禁を破るとはな」
村人の話を纏めると、
神主一族が村から障芽池に行っている間にその隙を付いて、B一族全員が車に乗り、村の出入り口の封鎖を強行突破したそうだ。
今日は辿静祭当日であり、村から出ることは第二の禁を破った事になる。
B一族が村を出て行った理由は、恐らくは村八分による追放を恐れた為だと考えられた。

82 :伝者:2014/12/19(金) 20:00:22.68 ID:Q9WITJsub
俺は、自分の息子で跡取りでもある子孫の帰りもまたずに、この村を保身の為に逃げて行ったB一族が、正直、罰でも当たればいいのにっと思っていた。
八月十五日 辿静祭当日 午前六時
神社の本殿へと通されたAは、身体の穢れを消滅させる為の禊を行う用意がされた滝へと向かった。
禊にはAの両親が付き添うらしい。
俺はその間、本殿へともう一度呼ばれ、神主一族の方と話をする事になった。
神主一族「単刀直入に言わせて貰うが、B君についてだが、恐らくはもう手遅れだろうと思う。
Aは若い女性と言う点が障者に取っては生かす利点になった為、監禁され、遊ばれる程度で済んだかも知れないが、B君は若い男性だ。
男性障者に取って、男性は邪魔にしかならない。
その部分だけで、B君は殺されるだろうからな」
俺は助けると誓った時、薄々感じてはいた。
もうBを救う事は出来ないのでは無いかっと。
俺は分かっていながらも、親友を失った事に涙した。
神主一族「彼の魂は、あの小屋に永遠に留まり続けるだろう。
彼はあの小屋で「第二の男性障者」となる。
我々に障者はどうする事も出来ない、あの存在は既に輪から外れた存在なんだよ」
神主一族「君がまだ、あの小屋に呼ばれているのならば、もう一度小屋に行けば会えるだろうな。
だが、今度は確実に君は殺されるよ?
それに、君が死ねばAは一人になるんだよ?
その事を忘れずに」
俺は泣きながらも、泣いても済む問題では無いと分かっていた。
神主一族は、俺の聞きたかった事を全て話てくれた。
俺が死ねば、Aは一人になる。
Bには悪いが、俺は死ぬわけにはいかない、そう思った。
この時、自分が非道だと初めて認識した。


83 :伝者:2014/12/19(金) 20:17:46.75 ID:Q9WITJsub
八月十五日 辿静祭当日 午前十時
Aの禊が終わり、障者によって障られた部分、簡単に言えば身体全体の清めが始まった。
Aと俺は全裸に白装束を纏った状態で、祝詞の途中で何度も冷水を身に浴びる。
Aは途中で涙ぐんでいる所もあったが、三時間の清めを乗り切った。
最後、自分の身体から何かが消えていくように体全体が軽くなった。

84 :伝者:2014/12/19(金) 20:19:41.10 ID:Q9WITJsub
清めを終えた俺は、神主からAの事について教えて貰った。
神主「Aや君の穢れ障りは、これで完全に消滅した。
Aについてだが、身体の至る所から障りが抜けて行くのを私は見た。
恐らくあの小屋では監禁と同時に、強姦に近い行為を何度もさせられたのだ」
当然の事だが、神主の手は怒りに震えていた。
俺に何故、その話をしたのかを神主は語った。
神主「何れ君がAの傍に付いて、正しい判断を下す時がくるだろう。
Aは君の身を気に掛ける。
今度こそ、君が正しい判断をする事を私に誓ってくれ」
俺は神主の予言めいた言葉を聞き、今度こそAを守ると強く誓った。

85 :伝者:2014/12/19(金) 20:22:55.52 ID:Q9WITJsub
八月十五日 辿静祭当日 午前十一時
清めが終わった後、飯を食べ終わった俺とAは、神主一族の屋敷つまりAの家で寛いでいた。
Aが小屋に囚われる直前以来、俺はAと会話をしていない。
俺から話を切り出して見る事にした。
俺「あのさ、暇だから花札やろう?」
A「良いよ、こいこいね?」
俺「ああ!」
やっとまともな会話が出来た!。
この後花札をやりながら、昨日の夜、
つまり障芽池の森に入った時から、今日の清めが終わるまでの記憶が全く無かった事や、昼食を食べている時から、幽霊の様な存在が見える様になった事を聞いた。
小屋での記憶が無くとも、Aは心身ともに傷付けられたことには変わりない。
これを生涯の教訓にすると、AにそしてBに誓った。
Aは両親から、Bは家族と共に引っ越したと伝えられていた。

86 :伝者:2014/12/19(金) 20:26:25.02 ID:Q9WITJsub
八月十五日 辿静祭当日 午後三時
神社の神楽殿の前に、神主によって村人全員に召集が掛けられた。
重要な話だそうだ。
俺とAも神楽殿の前に向かった。
神主「突然だが、今年の辿静祭を中止する。
ここまで用意をしてくれた皆には感謝するが、昨日から予想外の事が多発している。
鬼小屋絡みの件、B一族の逃亡の件、森の祠の中の霊石が破壊されていた件だ。
森の祠の件についてだが、私は昨日の朝、再封印の為に森の祠に行った。
その時は、森の祠の周囲の封印は破られておらず、霊石も破壊されてはいなかった。
今日の朝、森の祠に異常が無いか確認しに行くと、封印が破られており、祠の石、初代神主の霊石が破壊されていた。
破壊された霊石からは、微塵の霊力も感じ取れなかった事から、霊力を何者かが奪った後、あの霊石を破壊したと考えられる。
初代神主の霊石は、この村のあらゆる封印を支える力であり、封印の維持が不可能になった今、全ての封印は崩れ、封印されている存在が溢れ出し、この村には災厄が訪れる」
当然の如く村人は慌て始めた。
森の祠の霊石を破壊した犯人、村人は大声で言わないだけで、B一族の仕業だと気付いていた。
神主「今より、この村での全ての禁を廃止する。
我々一族は、この村を脱出する事を決断した。
今夜にもこの村を出ていく。
以上だ」

87 :以下、VIPがお送りします:2014/12/19(金) 20:33:16.45
ゾクゾク

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