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人形

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だめ。人形怖い。。。これ見て人形が恐怖になってきた。・゚・(ノД`)・゚・。 説明になってませんが人形苦手な人は見ない方がいいかと。
Part1
170 :本当にあった怖い名無し:2007/08/14(火) 21:10:20 ID:w/XDX/SXO
去年の夏の約一ヶ月の事を書くから少し長くなる
気の長い、ヒマなヤツだけ聞いてくれ、信じる信じないも読む人の自由だ
だけど、この話はオレが去年の夏、確かに経験した事だ
(い)
去年の夏、姉の旦那の実家に遊びに行った
海も近いし、静かないい所だった。
旦那はと言えば三ヶ月の単身赴任で、その夏も御盆の時に帰ってきただけだという。
義父母と義兄夫婦の住む母屋は別にあり
だからオレにとっては、姉と、それぞれ8歳と5歳になる姉の息子と娘だけの、いわば気楽な夏だった。
ある日の夕方、廊下で姪とすれ違った。
よく見ると胸に一体の見慣れない人形を抱いている。
日本の抱き人形で、少し色が褪せてはいるが、まだ充分、遊べそうな人形だった。
母屋からでも持ち出してきたのだろうか、オレは軽い気持ちで聞いてみた。
けれどそれには答えずに、姪はとっとと自分の部屋に入ってしまった。
いつもは素直ないい子なのに、なにかイケナイ事を聞いただろうか、オレは。

171 :本当にあった怖い名無し:2007/08/14(火) 21:13:20 ID:w/XDX/SXO
(ろ)
夕食の後、先の気まずさを取りなそうと、またあの人形を話題にあげて誉めあげた。
すると流しで洗い物をしていた姉が耳ざとく聞きとがめて、改めて娘に問い質した。
一瞬しまったかな、と思ったが、どこかで拾ってきたのならダニでもついてたら大変だ
バツの悪さをそう思いこむことにして、オレも姉と一緒になって問いかけた。
しかし姪は、がんとして口を割ろうとしない
そこへ傍でテレビゲームをしていた甥が会話に入ってきた。
その人形、近くの○○神社から持ってきたものだと言う。
丁度その時、甥は神社の奥の森で友達と虫を捕まえていたので、一部始終を見ていたのだと得意気に言う。
そこで甥はしまった、という顔をした。
なんでも神社の奥というものは神様が住むところだから入ってはいけないものだと言う、まして生き物を捕るなどは、ということらしい。
特にあの神社は地元に古くからあるものだから、と姉は付け加えた。

172 :本当にあった怖い名無し:2007/08/14(火) 21:16:19 ID:w/XDX/SXO
(は)
その神社は姉の家から子供の足で20分くらいの山の中にある。
山の中と言っても斜面を石段が続いており、中腹の辺りに神社の境内が開けている
相当古くからあるらしく、姉の義父母が子供の頃からすでにあったそうで、いつからあるのかはよく知らないということだ。
なにやら由緒ありげな神社だが、神主、管理者は常駐しておらず
普段は町の方に住んでいるそうで、何かの行事のときにだけ上がってくるらしい。
その神社、オレもここへ来た最初の日に散歩がてら散策してみた。
境内のの右手を入った所に、左右と背面を板、全面を木で出来た格子でかこった、幅120?、高さにして160?くらいの物置みたいなものがある。
格子の上部は40?程開いていて、そこから破魔矢やウチワ、御札、注連縄、それから人形、ヌイグルミと、普段ゴミと一緒に捨てるには、なんとなくはばかられるような物が入れられている
おそらく、ある決まった日に神主の立ち会いの元、処分されるのだろう。
どうやら姪は、そこからあの人形を持ち出したらしい。
神事に疎いオレも姉と顔を見合わせて、ヤレヤレ困った事をしてくれた、と思った。

173 :本当にあった怖い名無し:2007/08/14(火) 21:20:24 ID:w/XDX/SXO
(に)
すぐに神社に返さなければ、とは思ったが既に日は落ちている
田舎の夜は暗い。
それに石段の登り口までは街灯もなく、車一台がやっと通れるような道だった。
だから翌朝、朝食を食べる前に、姉とオレ、そして姪と三人で行こうという事になった。
その間、姪は始終無言だったと記憶している。
夜中、姉に割り振られた部屋でオレは寝るでもなく、起きるでもなくうつらうつらと天井を見ていた
するとスーッと襖の開く音がした
さすがに田舎の夜の静かさの中で弛緩していたオレはビクっとした。
襖の方を見ると、小さな黒い影が立っていた
甥だった。

174 :本当にあった怖い名無し:2007/08/14(火) 21:24:00 ID:w/XDX/SXO
(ほ)
甥は枕元で、隣の部屋で話し声がする、お母さんを起こしても起きないという、妹がいないとも。
姪は自分の部屋は持っていたが、夜は母親の部屋で共に寝る
その部屋に姪がいない、真夜中だぞ?
オレと甥は隣の部屋、つまり姪の部屋へ様子を見に行った。
部屋の前に来て耳をそばだてると確かに話し声がする
腰にしがみつく甥が妹の名を呼んだ
とたん話し声がピタリととまった
そーっと襖を開けた
姪が真っ暗な中、膝に何かを置いていた。
入り口の電灯のスイッチを入れた
膝に置いていたのは、あの人形だった。
姪は眩しそうに、半ば呆けた顔をしてこっちを見ていた。
オレと甥は、しばし呆然と立っていたが、とにかく姪を姉の部屋に送る事にした。
姪の布団をめくり、姪をその上に寝かせると、さすがに姉も目を覚ました。
オレも気が付かなかったが、姪はあの人形を持っていた
その髪の毛の感触に吃驚したのだろうと思う
姉は小さく悲鳴を上げると、姪の手から人形を取り上げると、放り投げた
人形は壁に当たりボタッと落ちた。
オレのいる角度から見ると、落ちた人形は姉の事を睨んでいるように見えた。


175 :本当にあった怖い名無し:2007/08/14(火) 21:26:07 ID:w/XDX/SXO
(へ)
怪談噺が好きで、いろいろ聞きかじったし、あちこち凸もした
だから虚実含めて大抵の事には驚かないつもりだったけど
その時は、何かホントにヤバいんじゃないかと思った、 何かほんとに良くないことが起こるんじゃないか、と。
正直、怖かった、出来れば荷物まとめて東京に帰りたいほどに。

190 :本当にあった怖い名無し:2007/08/15(水) 11:08:53 ID:5YLV1F5lO
(と)
あまり寝付けないまま夜を過ごし、翌朝起きると昨夜の計画通りにオレ達は神社に向かった
例の箱の前に立ち、姉は姪を促した
意外にも姪はすんなりそれに従った、多少は抵抗するとも思ったのだが
その前で手を合わせ、社の前でまた手を合わせて、オレ達は神社を後にした。
その日姉は、明日は姪の幼稚園でお泊まり保育があるというので、町まで新しいパジャマを買いに姪と出掛けていった
オレと甥は二人でテレビゲームをして過ごした
姉が用意しておいてくれた昼食を食べた後、オレ達は再びゲームに興じた。
と、突然、二階のトイレで水を流す音がした(その家は一階と二階それぞれにトイレがあった)
姉と姪は出掛けている、甥は今、目の前でゲームをしている
オレは甥をそこに残して二階へ様子を見に行った
トイレのドアは少し開いていた、だが中には誰もいない
念のため他の部屋も調べてみたが、やはり誰もいない
あるいは前に入った時に、水洗のコックが不完全に戻っていたか
昨夜の事があったから、妙に神経質になっている
こういう時こそ判断を誤る、まず第一に合理的、科学的に考える事、直感で物事を判断してはいけない

191 :本当にあった怖い名無し:2007/08/15(水) 11:11:08 ID:5YLV1F5lO
(ち)
やがて夕方になり姉と姪が帰ってきた、二人とも別段変わった様子はない
夕食の際、姪は妙に口数が少なく、また姉も姪も少し食欲が無いようだった
その事を問うと、なんでも二人とも口内炎ができていて沁みるんだそうな。
姪の口を開けさせて見てみるとなる程、咥内に赤い血膨れのようなものがいくつか見受けられた
昼に何か刺激物でも食べたのかと重ねて問うと、ざる蕎麦だと言う
夏の疲れが出たのだろうと姉は言うが、二人同時にとは、何か釈然としないものを感じながら、その日は終わった。

192 :本当にあった怖い名無し:2007/08/15(水) 11:12:53 ID:5YLV1F5lO
(り)
翌朝、朝食の折りに姉の顔を見ると、首の下、鎖骨の辺りに赤い斑点が幾つもあった、毛細血管が浮き上がったような、小さな蜘蛛の巣のような斑紋だ
さらによく見ると、袖無しのブラウスから覗く二の腕にも同じ様な斑紋がある。
オレは結構な酒飲みで、健康診断の際にはいつも肝臓を指摘されるので知っている
蜘蛛状血管腫、血管の塊である肝臓が詰まることで、血液が他の経路へバイパスするためにおこる症状らしい
しかし姉は酒は一滴も飲めない
また、これまでに一度も肝炎などを指摘された事はないはずだし、輸血をしたこともないと言う
姪は今朝は大人しく食べ物を口に運んでいた、口内炎はもうひけたと言う

193 :本当にあった怖い名無し:2007/08/15(水) 11:14:53 ID:5YLV1F5lO
(ぬ)
昼近くになり、しきりに体のダルさを訴える姉は、姪を幼稚園に送りに出た
姉達を玄関で見送った後、オレは甥とブラリとその辺りへ散歩に出掛けた
まだ暑い陽の盛りだったが、太陽の下を、雑貨屋で買ったアイスなどを頬張りながら歩いていると、まさに日本の夏休みという感じだ
水田に広がる青い稲穂が風に揺れて涼しげだったと覚えている
何の気なしに足があの神社の方に向いた
長い石段を登り、社の前に立つとオレは小銭入れから五円玉を出し、甥にも渡して賽銭箱に入れると手を合わせた
その後、あの箱に向かった
人形がなかった
様々な物が捨てられた、その一番上に置いたあの人形がどこを見ても無い。

198 :本当にあった怖い名無し:2007/08/15(水) 18:55:50 ID:5YLV1F5lO
(る)
オレは甥を連れて家に戻ることにした
帰ると姉は既に戻っており、日当たりををしたと言って、茶の間で横になっていた。
姉の家と言っても、主のいない部屋を他人が勝手に覗くのも気が咎める
オレは甥に頼んで姪の部屋を調べてもらう事にした、あの人形がないかどうかを。
15分程で甥は戻ってきたが、オモチャ箱から押入まで探したけど、人形など無いと言う
それならばそれでいい
だいたい、昨日は町へ買い物、今日は幼稚園なのだから神社に行く時間などあるわけないのだ
それよりも今考えなくてはならないのは姉の事だ、オレは人形の事は考えない事にした
姉のところへ行くと自室で休んでいるよう促し、明日にでも病院に行くことを提案した
それでオレの出来る事は全てだった
料理も洗濯も家事は何も出来ないに等しい
結局その日の夕飯は甥と店屋物をつつく事になった。

199 :本当にあった怖い名無し:2007/08/15(水) 18:57:53 ID:5YLV1F5lO
(を)
夕食を食べ終わると程なくして電話が鳴った、出ると姉の旦那だった
彼は三日おきに電話を掛ける事にしている
オレは一瞬、姉の事を言おうか迷ったが、出先の相手に心配を掛けるのも悪い
夫婦の間で必要な事なら、姉自身が話すだろう
姉に替わると互いの近況報告が始まったようだ
受話器置いて、姉は再び自室に戻って行った
漏れ聞こえてきた会話の様子から自身の身体の事を話した様子は無いようだった。

200 :本当にあった怖い名無し:2007/08/15(水) 18:59:52 ID:5YLV1F5lO
(わ)
翌日、朝食を取ったらすぐにオレの運転で病院に行くことにした
そして診察を終えたら、その足で姪を幼稚園へ迎えに行く、そんな段取りだった
しかし病院では意外と待たされた
総合病院という大きな病院はこの辺りではここしかないからだろう、最初に通された内科では結構な人が待っていた。
姉は電話機の所へ行くと、幼稚園に掛け事情を話し、少し迎えの時間が遅れる事、それまで少し預かっていて欲しい旨を伝えた。
ようやく姉の名前が呼ばれ、彼女は診察室に入って行った
20分程で出てきたが、今度は検査室で採血とエコーだと言う
ほんとは採血から触診、心電〜CTと一通りのコースになっているらしいのだが、事情を話し少し巻きを入れてもらったそうだ。
やはり疑われるのは肝臓だそうだ、それと何らかのアレルギー、肝臓の持病の有無と最近の食事をまず聞かれたそうだ。
採血はともかく、エコーは時間が掛かった、念入りに、ということたろう。
検査が終わり、薬局で何かの薬を貰うと、オレ達は急いで幼稚園に向かった。
検査の結果は週明けということだ、たしかその日は週の中頃だったと思う。

201 :本当にあった怖い名無し:2007/08/15(水) 19:01:45 ID:5YLV1F5lO
(か)
幼稚園に着き教室に入ると姪が先生に本を読んでもらいながら昼寝をしていた
姉を見て二人は立ち上がると互いに挨拶を交わし、姉は遅れた事を詫び、先生は昨日の姪の様子を報告した。
その中で気になる事があった
先生が夜中、見回りのために起きると姪の布団が空だったそうだ
驚いて他の先生方を起こしてトイレや他の教室を探したが見当たらない、全員青くなったそうだ、それはそうだろう
結局、姪は見つかった、幼稚園の門の所に一人でボーっと立っていたそうだ
先生は詫びるとともに、きっと寝ぼけたんでしょう、と笑いながら言ってはくれたが
オレには姉が眉を顰めるのがわかった。
帰りの車内では姉も姪も口数が少なかった。
徘徊癖でもあるのだろうか、この子は
幼い子が自立するとき、一時オネショをしたり、そんな癖が出るという事を何かの本で読んだことがある
同時にオレが離婚する前(実はバツイチ)、娘がちょうど姪と同じくらいの歳の時、義父が死んで丁度四十九日になる日の夜中、やはり同じ様な事があったのを思い出した
その時は2DKの狭いアパート、探すまでもなかったが。
娘は玄関の前に立っていた、ドアの向こうにジージが来ていると。

202 :本当にあった怖い名無し:2007/08/15(水) 19:05:55 ID:5YLV1F5lO
(よ)
家に着くと、甥は茶の間で寝ていた。
クーラーがよく効いていて、甥はゲームのコントローラーを握ったままグッスリと寝ていた
コントローラーを離し、タオルを掛けてやろうと思い甥の傍に屈み込んで気が付いた
その頬に一筋、髪の毛が張り付いていた
クセのある甥や姪の髪の毛ではない
また薄く茶色染めた姉の髪の毛でもない
ましてや短く刈り上げたオレのものではない
ショートカットくらいの黒い、太目の髪だった。
それを手ではらってやると、コントローラーを仕舞い、タオルをかけてやると、その場に座り直し再び姉と姪の事を考えた、再度頭をもたげてきた人形の事はなるべく考えずに。

204 :本当にあった怖い名無し:2007/08/15(水) 19:17:44 ID:5YLV1F5lO
(た)
しかし考えの途中で、ふと思い当たる事があった
ダニやカビの中には、アレルギーを誘発したり、内臓に損傷を与えるものがあることを思い出したのだ
それがあの人形に付着していたとすれば?
充分に考えられる事だ。
幸い学生時代の友人に芳香剤の開発室に勤めている奴がいた、かなり畑は違うが顕微鏡くらいはあるだろう、そいつに頼めば調べてくれるかもしれない。
もとから楽天的なオレは安易にそう結論付けた。
しかし、解せないのは何故、口内炎を同時に患いしかも、姪は一晩で収まり姉はまだ続いているのか
抵抗力の問題か、それなら子供の方が低い気がする
あるいは体質か。
とにかく、あの人形からサンプルを取らなくてはならない
昨日は無かったが、明日もう一度よく探してみようと思った
まずは来週の検査の結果を待って、必要ならば友人にそれを送ろう。
雑貨屋で軍手とピンセットも買った方がいいかもしれない。

207 :本当にあった怖い名無し:2007/08/15(水) 20:41:30 ID:5YLV1F5lO
(れ)
その日オレと姉は昼飯も食っていなかったが、もう陽は傾いていた
姉はダルそうであったが、強いて子供達のために夕食を作った、この余計者の為にも
肩身の狭い思いがしたが、今はこの親子の側にいた方がいい気もする
そして検査の結果次第では義兄にも話しを通した方がいいかもしれない
そこまで考えてオレはハタと気が付いた
母屋はどうした、まず姉の義父母、義兄達に相談すればいいではないか
その晩、何故か甥が一人で寝るのを非常に嫌がって、結局オレの部屋で一緒に寝ることになった。
オレにあてがわれた部屋は二階の真ん中の部屋
二階にはこの部屋の両脇に、一つは半ば納戸代わりに使われている四畳半くらいの部屋が一番奥に
もう一つは義兄が書斎として使っている部屋が階段寄りにある。
甥と姪の部屋、それから姉夫婦と姪の寝室は一階にある。
建て売りではない、設計士が義兄と相談しながら図面を引き
地元の大工が建てた割合としっかりした造りの家だ。
建ててまだ10年建っていない。
その家が微かにだが揺れだした
地震、小さいが確かに揺れている
まだ起きていた甥が布団から飛び出して、しがみついてきた。

208 :本当にあった怖い名無し:2007/08/15(水) 21:59:44 ID:5YLV1F5lO
(そ)
けっこう長く揺れが続いたような気がしたが、実際には10秒位ではなかったろうか、オレもあの地の底の唸りのような地震というものは嫌いだ
揺れが完全に収まると、オレはまた一昨日の夜と同じ様に、甥を腰にまとわりつかせて階下に姉たちの様子を見に行った
部屋の前に立ち襖を軽く叩いた、応答はない
そっと開けてみると、姉も姪も寝ていた
小さくはあったが、かなり小刻みに揺れていたはずだ
二人とも余程疲れているのか、眠りが深いのか
襖を閉めて、茶の間に入るとカーテンを開けて母屋の様子を伺った
この家と母屋の位置関係は互いの家が見えにくかったが電灯は点いていないようだ
念のため窓を開け庭に降りてみた
やはり誰も起き出してきてはいないようだ
もっとも震度2程度なら気が付かなくても無理ないか
でも毎年この時期になると毎年、東海沖地震が囁かれる中、静岡に住んでるならもう少しデリケートであって欲しいとも思う。
振り返って家の方を見る
甥が窓際でこちらを見てる、逆光で表情は見えない
茶の間に戻り甥を二階に促す、瞬きが妙に少ない
まだ怯えていた、甥もオレも。
とたん東京に帰りたくなった、娘と、二人の息子に会いたくなった。

209 :本当にあった怖い名無し:2007/08/15(水) 23:39:55 ID:5YLV1F5lO
(つ)
甥と二人、再び布団の上に横になった
昼間の事がまだ頭の中に残っていて、念の為、甥に聞いてみた
あの人形の事、何か知らないか
あるいは、あの人形、どこかに移動しなかったか
甥を疑っているわけではなかった、ただ念の為
昼間、頬にあの髪の毛が張り付いていたのが気になっていたから
あるいは人形の件は甥の質の悪い悪戯か
みんなが、いやこの時点ではオレと甥だけだったか、疑心暗鬼になっていた気がした
甥は、知らないと言った、あの人形には触りたくないとも。
オレも同感だよ。
翌日、オレは神社に行った。
かなり探したが、やはり人形は無かった
あるいは猫がくわえて、縁の下にでも持ち込んだか
そこまで探した
シンの三柱(スマン漢字が出てこない)、この下にもあったのかどうか、そこまで確かめる余裕はなかった
ただ帰り際に古びだ板に書かれた、この神社の祭神を読んだ
素戔嗚尊、櫛稲田姫尊、それともう一つ、読みがまったくワカラン、毒蛇気神尊
ドクジャキシンノミコト!?
この読みが分からない為、オレ達は結局苦労した

239 :本当にあった怖い名無し:2007/08/17(金) 00:21:48 ID:vM+LwB6eO
(ね)
肝心の人形が見つからずオレは途方にくれた
しかし、何もあの人形でなくても、同じ場所にあった物なら同じ物が付着しているかもしれない
姪がどの辺りから、あの人形を引っ張り出したのかはしらないが、とりあえずオレは、箱の中に積まれている物から
上層部から一点
中頃から一点
それと下の方に格子からはみ出てる破魔矢の羽根に黒いシミがあったものだから、ついでにそれも
計三点それぞれの一部を切り取ってケースの中に収めた
その日、神社から帰った後、オレは母家に行った
姉の様子を少し伝えておいた方がいいと思ったからだ
ついでに、あの神社の管理者、あるいは神主の住所も尋ねてみようと思ったが説明するのが難しい
結局その日は聞かずにおいた
この家でスイカを馳走になった、身の黄色い小玉西瓜だった、種が少なく、よく冷えていて非常に美味だった
姉にとっては義姉にあたる、小柄だが気さくな奥さんが、ウチではまだ西瓜を井戸で冷やしてる、と半ば自嘲気味に
半ばは自慢げに言っていた


240 :本当にあった怖い名無し:2007/08/17(金) 00:24:52 ID:vM+LwB6eO
(な)
そう、この敷地には井戸があった
この地方は海が近いが、ワサビの名産地でも知られる水の綺麗な所でもある
そして水を大切にする所だ
その井戸の傍らに木でできた小さな祠、稲荷のようなものがある
毎朝その前には白米、菓子などを供えるのがこの家の決まり事だ
何を祭っているのか、まだはっきりとは聞いたことはない
が、水を鎮る神様だと言う
昔、この地方を悪い疫病が襲い多数の死者が出たらしい
手を尽くしたあげく、原因は水から、となったらしい
それからだそうだ、どの家でも井戸の傍らに祠を置くようになったのは
母家を辞して姉の家に戻った頃は、もう昼時になっていた
ただそれがどれくらいの昔なのかはわからない
素麺のツユを垂らすなと、姉が姪を叱っている
姉の顔に、以前にはない険があるようだ、母家の奥さんの朗らかな顔を思い出しながらそう思った
午後は本屋に行くつもりだった
この時点でオレは神秘主義に陥っているつもりはなかった、ただ何となくあの神社の祭神に興味を惹かれたからだ

241 :本当にあった怖い名無し:2007/08/17(金) 00:28:36 ID:vM+LwB6eO
(ら)
日本の神々、似たような本は何冊かあった
どれも素戔嗚尊、櫛稲田姫尊の名はあるのだが、毒蛇気神尊の名はどの本にも見当たらなかった
姉の家にはパソコンがない
仕方なく予め状況を掻い摘んで報せておいた、先の友人にネットで検索してもらう事にした
素戔嗚尊、本には元々は出雲の地方神だったらしいがインドの祇園信仰と融合する事で全国で祭られるようになったらしいと書かれている
説明は省くが牛頭天王と同一と見られる事が多いそうだ
八坂神社、氷川神社に祭られる
御利益は災厄、疫病を除くと書いてあった。
櫛稲田姫の方は古事記では櫛名田比売、日本書記では奇稲田姫と書くらしい、素戔嗚尊の妻
有名な八岐大蛇退治のヒロイン
名が示す通り、稲、水田の神様
素戔嗚尊が祭られている神社には大抵一緒に祭られているらしい
他にも色々書いてあったがよく解らんし退屈だ
本を枕に寝てしまった

242 :本当にあった怖い名無し:2007/08/17(金) 00:31:25 ID:vM+LwB6eO
(む)
目を覚ますともう日が暮れかけていた
またか、と憂鬱になる
最近、夜になるのが怖いような気がするのはオレだけだろうか
とりあえず飯を食わせてもらいに階下に降りる
姉は相変わらず辛そうだったが皿を並べている、甥がそれを手伝っていた
オレも手を貸そうとしたところへポケットの中の携帯が鳴った
東京の友人からだ
オレは通話にして庭におりた
彼の話を要約すると、毒蛇気神尊の言葉にヒットするサイトは五件にも満たなかったそうだ
しかし、この同じ静岡県にあの神社とまったく同じ三柱を祭る神社があるそうだ
ただ、そちらの方は神主も常駐しており、由緒も正しいなかなかに大きな神社らしい
関係者に迷惑が掛かるのでこれ以上の事は書けない
どうも牛頭天王と婆梨妻妻女との間の子、八王子の内の誰か、あるいはその子孫の誰かのことを指すらしい
なんの神なのか、なんと読むのか、それ以上詳しい事は、その時は解らなかった。
礼を言って携帯を切った
家の方へ振り向くと窓が開けっ放しだったことに気が付いた。
うっかりしていた、蚊が入ってくる
オレは家の中に入り窓を閉めた。

245 :本当にあった怖い名無し:2007/08/17(金) 02:57:00 ID:vM+LwB6eO
(う)
その晩も甥は枕を抱いてオレの部屋にやって来た
だが昨晩よりも幾らか表情が和らいでいたので、オレも少しは緊張が解けた
同時に、姪も姉と共にやってきた
さすがに姉も気になるんだろう
もしもウツる病気ならば困るから、しばらくオレの部屋で寝かせて欲しいと。
それならば、姉が作った料理を毎日食べ、同じコップで水を飲んでいるオレ達にとっては、科学的にはあまり説得力のない提案だとは思ったが、ここは姉の言葉に従った
今ならわかる、当時離婚したばかりのオレは、小さな、頼りない命に餓えていた、誰かを、全力で守りたかった
甥が姪の布団を抱えて上がってきた
甥にとってはキャンプな気分だったのかもしれない
この二人に限らず、親類の子供達にあう度に、愚にもつかない怪談話をして、怖がらせては面白がっていたオレだった
だが、この時はそんな気分でもなかったし
また、そんな雰囲気でもなかった
で、オレはスサノオのオロチ退治の話をしてやることにした
今日買った本の内容を子供向きにして
今から思うと子供には充分コワいか
最初に甥が寝た
姪の方はまだ眼が冴え冴えと、じっと天井を見ていた
次に寝てしまったのはオレらしい

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