百物語2012
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90 :代理投稿 ◆nqnJikEPbM.8 :2012/08/18(土) 22:50:10.70 ID:HvFrBJMW0
コッソリ ◆.PiLQRq.0A 様 『受付嬢の話』
(1/2)
知り合いに、あるデパートで働いている女性がいる。
彼女は今年の夏、働いているデパートで催されたお化け屋敷の受け付けに抜擢された。
そのお化け屋敷と言うのは、有名なお化け屋敷デザイナーが考えたものらしく、毎年色々なところで開かれているものらしい。
今年は彼女のデパートの4階の1フロアを使い、マネキンをテーマにして開催されている。
通常のお化け屋敷とは違い、中に入ってから課せられた目的をこなしつつゴールまで行かなければならないそうだ。
そのミッションと注意事項の説明は、彼女が受け付けた時に同時に説明することになっていた。
スタッフである彼女から見てもかなり良い出来らしく、開催してから今日まで悲鳴が途絶えることはないと言う。
オフの日にはわざわざ友達と出かけて実際に体験したが、半泣きになったそうだ。
「そんなお化け屋敷の受け付けだから、毎日悲鳴が聴くの。なんかそれが耳に染み付いちゃって……」
「帰って家に一人で居る時にそれが蘇ってさ。結構、怖い」
眉をしかめながらも、そう楽しそうに話していた。
そんな彼女と先日、ばったり道端で出くわした。
ちょうどお化け屋敷の受け付けは休みだったそうだが、平日で遊ぶ相手もいなくて暇を持て余していたそうだ。
「面白い話があるから」
コーヒー一杯と外回りの仕事を1時間ほど放棄することを条件に、その話を教えてもらうことになった。
「なんか、最近どうも気になってることがあるのね?」
初めに違和感に気が付いたのは、あるカップルだったそうだ。
20代後半の仲の良さそうなカップルで、直前までは楽しそうにはしゃいでいたが、
いざ彼女が説明を始めると、思わず笑いたくなるほど顔を引きつらせていたのが印象的だったので覚えていたらしい。
91 :代理投稿 ◆ztxSLaq9Ok :2012/08/18(土) 22:52:38.15 ID:YriqamUu0
(2/2)
カップルを見送って、中で後続のお客さんと出会わないように、しばらく時間を置いてから次のお客さんへ説明を始める。
説明している途中から、お化け屋敷の中からは先ほどのカップルと思しき悲鳴が聞こえてきていた。
「ぎゃあああああ!!」「のわあああああああ!!」「やだあああああ!!」
想像したとおり、かなりの大音量だった。
そろそろ出てくるかな、と出口付近を何気なく見る。どんな憔悴した顔をして出てくるのか、見たかったらしい。
「それで、見覚えのある顔が出てきたから、『あ、あれだ』と思って、見たんだけど……」
カップルの女性が変わっていたと言う。
雰囲気とか、恐怖によって顔が引きつっているとかそういうレベルではなく、全くの別人になっていた。
ショートだったはずの黒髪は、緩く巻いた茶色のセミロングに。
ふくよかだったはずの体型は、スリムに。
来ている服もデート服らしいフリフリとした物から普段着に……。
しかし、男の方はどう見ても先ほどのカップルだった。
お化け屋敷を無事に終え、しきりに傍らの女性に話しかけている。
その女性も男性の話に応じて頷いたり、笑ったりしながらその横を歩いている。
まるで最初からその二人がカップルだったように、仲睦まじく帰って行ったそうだ。
「最初はそりゃ見間違えたと思ったよ? お化け屋敷の受け付けだから、薄暗いし……」
それでもなんとなく気になって、その後に続くお客さんの顔を出来る限り覚えて、出てくるお客さんと照らし合わせていたと言う。
「だから、そっちに気をとられて、説明トチるわミスるわでさ……」
そんな彼女の努力も虚しく、その日は何事も無かったそうだ。
次の日も、その次の日も、彼女は受け付けに立ちながら、出入りするお客さんの顔を照らし合わせていた。
「2,3日に1組か、多くて2組……」
今も入れ替わりは続いているらしい。
【了】
コッソリ ◆.PiLQRq.0A 様 『受付嬢の話』
(1/2)
知り合いに、あるデパートで働いている女性がいる。
彼女は今年の夏、働いているデパートで催されたお化け屋敷の受け付けに抜擢された。
そのお化け屋敷と言うのは、有名なお化け屋敷デザイナーが考えたものらしく、毎年色々なところで開かれているものらしい。
今年は彼女のデパートの4階の1フロアを使い、マネキンをテーマにして開催されている。
通常のお化け屋敷とは違い、中に入ってから課せられた目的をこなしつつゴールまで行かなければならないそうだ。
そのミッションと注意事項の説明は、彼女が受け付けた時に同時に説明することになっていた。
スタッフである彼女から見てもかなり良い出来らしく、開催してから今日まで悲鳴が途絶えることはないと言う。
オフの日にはわざわざ友達と出かけて実際に体験したが、半泣きになったそうだ。
「そんなお化け屋敷の受け付けだから、毎日悲鳴が聴くの。なんかそれが耳に染み付いちゃって……」
「帰って家に一人で居る時にそれが蘇ってさ。結構、怖い」
眉をしかめながらも、そう楽しそうに話していた。
そんな彼女と先日、ばったり道端で出くわした。
ちょうどお化け屋敷の受け付けは休みだったそうだが、平日で遊ぶ相手もいなくて暇を持て余していたそうだ。
「面白い話があるから」
コーヒー一杯と外回りの仕事を1時間ほど放棄することを条件に、その話を教えてもらうことになった。
「なんか、最近どうも気になってることがあるのね?」
初めに違和感に気が付いたのは、あるカップルだったそうだ。
20代後半の仲の良さそうなカップルで、直前までは楽しそうにはしゃいでいたが、
いざ彼女が説明を始めると、思わず笑いたくなるほど顔を引きつらせていたのが印象的だったので覚えていたらしい。
91 :代理投稿 ◆ztxSLaq9Ok :2012/08/18(土) 22:52:38.15 ID:YriqamUu0
(2/2)
カップルを見送って、中で後続のお客さんと出会わないように、しばらく時間を置いてから次のお客さんへ説明を始める。
説明している途中から、お化け屋敷の中からは先ほどのカップルと思しき悲鳴が聞こえてきていた。
「ぎゃあああああ!!」「のわあああああああ!!」「やだあああああ!!」
想像したとおり、かなりの大音量だった。
そろそろ出てくるかな、と出口付近を何気なく見る。どんな憔悴した顔をして出てくるのか、見たかったらしい。
「それで、見覚えのある顔が出てきたから、『あ、あれだ』と思って、見たんだけど……」
カップルの女性が変わっていたと言う。
雰囲気とか、恐怖によって顔が引きつっているとかそういうレベルではなく、全くの別人になっていた。
ショートだったはずの黒髪は、緩く巻いた茶色のセミロングに。
ふくよかだったはずの体型は、スリムに。
来ている服もデート服らしいフリフリとした物から普段着に……。
しかし、男の方はどう見ても先ほどのカップルだった。
お化け屋敷を無事に終え、しきりに傍らの女性に話しかけている。
その女性も男性の話に応じて頷いたり、笑ったりしながらその横を歩いている。
まるで最初からその二人がカップルだったように、仲睦まじく帰って行ったそうだ。
「最初はそりゃ見間違えたと思ったよ? お化け屋敷の受け付けだから、薄暗いし……」
それでもなんとなく気になって、その後に続くお客さんの顔を出来る限り覚えて、出てくるお客さんと照らし合わせていたと言う。
「だから、そっちに気をとられて、説明トチるわミスるわでさ……」
そんな彼女の努力も虚しく、その日は何事も無かったそうだ。
次の日も、その次の日も、彼女は受け付けに立ちながら、出入りするお客さんの顔を照らし合わせていた。
「2,3日に1組か、多くて2組……」
今も入れ替わりは続いているらしい。
【了】
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