俺は中学時代、陸上部に入っていた。家が貧乏だったから、スパイクは親が昔使っていた古いものを譲り受けた。みんなの前で履くのが恥ずかしくて、練習中はいつも人目を避けるようにしていた。ある日、そのボロいスパイクを履いているところを陰湿な奴に見つかってしまった。「貧乏人のくせに陸上なんかやってんじゃねーよ」とか「恥ずかしくないの?」とか言われ、みんなの前で笑われた。それから奴らのいじめは続いた。練習中もわざとぶつかってきたり、ロッカーに嫌がらせの手紙を入れたり。でも、俺は陸上が好きだったから我慢して耐えていた。県大会の予選が近づいた頃、奴らのいじめはエスカレートした。大事な試合前日、ロッカーに忍び込まれ、スパイクを切り裂かれてしまったんだ。もう走れないと思った。でも、監督が俺の状況を知って、新しいスパイクをくれたんだ。「お前の力を信じている」と。その言葉で自信を取り戻した俺は、県大会で自己ベストを更新した。表彰式で監督から新しいスパイクを受け取った時、奴らは俯いていた。スパイクなんて関係ない、大事なのは努力と根性だってことを証明できた瞬間だった。その後、奴らは俺に謝罪してきた。許すことはできないけど、もう恨みには思わない。むしろ、あの経験があったから今の自分があるんだ。貧乏だろうが何だろうが、努力する者が最後に勝つことを教えてくれた。
3.06 KBytes
[4]最25 [5]最50 [6]最75
[*]前20 [0]戻る [#]次20
【うpろだ】
【スレ機能】【顔文字】