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【参加自由】1レス勝負【2章】
[8] -25 -50 

1: 脳田林 ◆N6kHDvcQjc:2014/10/16(木) 20:04:50 ID:7lTINYd4eE
日程
月…題目候補をあげてもらう
火…題目投票と題目決定
水、木(20時まで)…参加募集、参加発表
金、土(20時まで)…レス投下
土、日…投票
ルール(暫定)
月…題目候補の日
火…題目決定投票(20時締切1人1票です)
水、木…木曜の20時までに参加表明を、時間過ぎたら参加不可。参加表明は匿名でも作者名でも作品名でも可
木の20時過ぎに参加者発表します
金、土…出来た人から順次レス投下。名前のとこに参加レス番号が有ると嬉しい。土曜の20時までに投下する。過ぎたら失格。
土、日…投票はレス番のみ、それ以外は無効票になります。
月曜日に結果発表。
>>2に続きます


807: 名無しさん@読者の声:2015/12/19(土) 10:29:15 ID:ie2wBqiYqA
『よいしょっと』

 立ち読みしている彼の背後から忍び寄り、右肩にそっとあごをのせた。

 サラサラヘアーの男の子は手に持った本に夢中で、密着する私に気づく気配もない。

 彼が読むライトノベルに視線を注ぐ。
『ふむふむなるほど、最近はこういうのが流行りなのか』
 つぶやく私にかまわず、カシミヤコートをおしゃれに着こなした青年はぺらり、とページをめくった。
『いいね君。私と読むスピードがほとんど一緒』
 これはひょっとすると最後まで読めるかもしれない。期待に胸が躍る。

 しかしそのとき。パサッ、パサッという乾いた音が、悪魔の到来を告げた。
「失礼いたしまーす」
 筋肉質な腕に握られたはたきが、男の子の目の前で力強く振られる。
 まるで「お前がホコリだ」とでも言わんばかりの猛攻撃に、彼のハートはポキリと折れてしまったようだ。
 そそくさと本を戻し足早に去っていく姿を見つめ、私はため息をついた。
『あーあ、せっかく面白そうだったのにな……』

 私は小さな書店に取り憑いた幽霊だ。生前満足に本を読めなかった私の夢は、浴びるほどの本を読むこと。 
 誤算だったのは、霊体では本をすり抜けてしまうことだ。
『げっ、読めないじゃん!』
 けれど一度取り憑いた以上、もうここから動くことはできない。
 私に残された手段は一つ。
 立ち読みしているお客の背後から盗み見ること、それだけだった。
 
「……残念だったな」
 聞こえるか聞こえないかの小さな声。けれど私の心に火をつけるには十分だった。
『んのやろ〜』
 鼻息荒くカウンターに突進した私は、レジをすり抜けて店主の隣に仁王立ちした。
『ちょっと、どういうつもり!?』
 整った眉をぴくりともさせず、店主は涼しい顔で新聞を読んでいる。パイプ椅子で優雅に足を組む姿が憎らしい。
『なんでいつも邪魔するのよ、私に恨みでもあるわけ?』
 長い沈黙のあと、ぼそりとつぶやいた。
「……むかつくんだよ」
『えっ』
 まさか本当に恨まれていたとは。ひそかに動揺する私を見て、店主がため息をつく。
「別にあんたに恨みはない」
『じゃ、どうして?』
「……あんたが他の男にくっついてんのが、すげーいやだ」
 太い指でガシガシと短髪をかきながら、めんどくさそうに言った。

『……』
 幽霊でよかった。もし生きてたら、私の顔は真っ赤だろうから。
 固まる私をちらりと見て、店主が低い声でつぶやいた。
「……来いよ」
『えっ』
「くっつくのは俺だけにしとけよな」
 新聞をばさりと広げ直してそっぽを向く彼の耳は、朱に染まっていた。 
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