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【参加自由】1レス勝負【2章】
[8] -25 -50 

1: 脳田林 ◆N6kHDvcQjc:2014/10/16(木) 20:04:50 ID:7lTINYd4eE
日程
月…題目候補をあげてもらう
火…題目投票と題目決定
水、木(20時まで)…参加募集、参加発表
金、土(20時まで)…レス投下
土、日…投票
ルール(暫定)
月…題目候補の日
火…題目決定投票(20時締切1人1票です)
水、木…木曜の20時までに参加表明を、時間過ぎたら参加不可。参加表明は匿名でも作者名でも作品名でも可
木の20時過ぎに参加者発表します
金、土…出来た人から順次レス投下。名前のとこに参加レス番号が有ると嬉しい。土曜の20時までに投下する。過ぎたら失格。
土、日…投票はレス番のみ、それ以外は無効票になります。
月曜日に結果発表。
>>2に続きます


692: 名無しさん@読者の声:2015/9/25(金) 09:41:02 ID:nh15amSGRE
 猫がいた。

 思わず目が釘づけになるくらい美しい、白猫だ。
 きめ細やかな毛並みは柔らかそうで、一本一本が淡く光っていた。まるで月の妖精が地上に降りてきて、猫に変身したかのよう。
 ビルとビルの隙間に佇んでいた猫はオレの視線に気づいたのか、しずしずと近づいてきた。
 手を伸ばせば触れそうな距離。その時、まるで当たり前のように白猫はしゃべりだす。
「ぼくと一緒にきて。『灰色の悪魔』の魔手から、猫の国を救って欲しいんだ」
 うるうるな目でこちらを見つめる猫。オレは一呼吸おいて、応えた。

「これから塾なんで無理」
「えええっ!?」
 そんなに驚くことだろうか。
「ちょっと待ってよ……君は小学生だよね? 見た目は子供頭脳は大人、とかじゃないよね」
 白猫は疑わしげな視線をよこした。
「失礼な。リュックについた防犯ブザーが見えないのか。これは小学生にしか支給されないんだぞ」
「うーん……」
 まだ納得いかないらしい。しかたなく背負っていたリュックから、学校でつける名札を取り出した。 
「かもめ第六小学校五年三組、中島いくと。よろしく」
「あ、ぼくはリン。こちらこそよろしく……って、そうじゃなくて」
「まだなにか問題が?」
「問題ありまくりだよ。
 猫の国に伝わる古文書によると、ショーガクセイというのは好奇心旺盛でバカで向こう見ず、生物の中でもっとも勇者にふさわしい種族だって書いてある」
「ほとんど悪口だし。ていうか、その本どっから出したの」
「冒険のにおいがしたら即座に食らいつく。それが君たち小学生だろう?」
「無視ですかそーですか」
「もう一度聞く。ぼくと一緒に灰色の悪魔を倒し、猫の国を救ってくれるよね、いくと?」
「断る」
「ええええっ、なんで!?」
 オレは一瞬目を伏せた。あまり口にしたくないけれど、リンの真剣さに応えるには事実を話す必要がある。
「そんな暇、ないんだ。
 オレは早く稼げるようにならなきゃいけない。そのためにはヘンサチの高い大学に入らなくちゃ。たくさん勉強して、お金をいっぱい稼いで……。
 働かないクソおやじの代わりに、妹を守らなくちゃいけないんだ。だから、一緒にはいけない」
 つぶらな瞳が哀しげな色を宿した。
「そ、っか……よく分からないけど、いろいろ大変なんだね。分かった。他を当たるよ」
 しょんぼりと去っていくリン。
 猫たちの危機には心が痛むけど、しょせんは他人事だ。
 自分の人生が最優先、それがこの世界のルール。みんな自分のことにしか興味がないんだ。親父もおふくろもそうやって生きてる。
(……じゃあ、オレは?)
 今猫たちを見捨てようとしてる自分はなんなんだ。自分のことしか考えない大人たちと、何が違う?
 去っていくリンに声をかけようとしたとき――妹の顔が浮かんだ。
(オレがいなくなったら、あいつは独りになる)
 塾のロゴが入ったリュックを背負い直し、すばやくきびすを返した。心の中で、猫たちに何度もあやまりながら。

 そのとき、背中に声がかかった。

「そういえば言い忘れてたけどさ……。
 猫の国を救ったあかつきには、国王から莫大な報奨金が出るんだって」

「それで、灰色の悪魔の弱点は?」

 こうしてオレと猫をめぐる、壮大な冒険がはじまったのだ。
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