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【参加自由】1レス勝負【2章】
[8] -25 -50 

1: 脳田林 ◆N6kHDvcQjc:2014/10/16(木) 20:04:50 ID:7lTINYd4eE
日程
月…題目候補をあげてもらう
火…題目投票と題目決定
水、木(20時まで)…参加募集、参加発表
金、土(20時まで)…レス投下
土、日…投票
ルール(暫定)
月…題目候補の日
火…題目決定投票(20時締切1人1票です)
水、木…木曜の20時までに参加表明を、時間過ぎたら参加不可。参加表明は匿名でも作者名でも作品名でも可
木の20時過ぎに参加者発表します
金、土…出来た人から順次レス投下。名前のとこに参加レス番号が有ると嬉しい。土曜の20時までに投下する。過ぎたら失格。
土、日…投票はレス番のみ、それ以外は無効票になります。
月曜日に結果発表。
>>2に続きます


623: 名無しさん@読者の声:2015/8/7(金) 22:29:58 ID:Ux5QSGNcGE
「サヨナラ」と「またね」は同じ意味だ。少なくとも、二度と会えない相手に使うときは。
 
 男は、女の泣きはらした目を見つめていた。
 女は、男のぎゅうと引き結んだ唇を見つめていた。

 向き合う二人はさきほどから、一言も発していない。

 周りは喧噪に包まれていたが、彼らの耳にはお互いの息づかいがはっきりと聞こえた。これが最後の逢瀬だと、どちらもよく分かっていた。
 
「……そろそろ、行かなくちゃ」

 女はぱっと顔をあげた。今日初めて聞いた彼の声は弱々しく、死刑宣告を受けたばかりの囚人を思わせる。

 これまでの人生で初めて、女は運命を呪った。最愛の人を遠くへ連れ去る運命が憎い。
 瞼を閉じ、こみ上げる涙を押し殺した。

(サヨナラ、またね……なんて言いたくないし聞きたくもない。だけど、何もいわずに別れるなんてもっといや)

 決定的な言葉が怖くて、目が開けられない。足がふるえて立っているのもままならなかった。
 
 そのとき。しゅるり、という音が聞こえた。

(何の音?)

 恐る恐る目を開けると、彼があるものを差し出してきた。ふるえる手で受け取る。

「これは……」
「ネクタイ。君に持っててほしいんだ……次に会うときまで」

 胸に熱いものがこみあげる。
 彼の言葉は気休めにすぎない。だけど「サヨナラ」も「またね」も口にしなかった。たったそれだけのことが、こんなにも嬉しくて。

「分かったわ。……次に会うときまで、大切にしてる」

 ――

 別れ際の彼女の笑顔を思いだしていると、運転手がバックミラー越しに視線を寄越した。
「……そんなに落ち込まないの。また会えるわ」
 助手席の男もうなずく。
「隣町に引っ越すだけだからな。小学校の学区は同じだよ。入学まであと一年の辛抱だ」
「知ってる? 次の幼稚園は制服ないんですって。これでもう洗濯に悩まされなくてすむわ」
「そりゃいい。うちの会社も導入して欲しいもんだ」 
 
 笑顔で言葉を交わす両親から顔をそむけ、六歳の少年は静かに目を閉じた。
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