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【参加自由】1レス勝負【2章】
[8] -25 -50 

1: 脳田林 ◆N6kHDvcQjc:2014/10/16(木) 20:04:50 ID:7lTINYd4eE
日程
月…題目候補をあげてもらう
火…題目投票と題目決定
水、木(20時まで)…参加募集、参加発表
金、土(20時まで)…レス投下
土、日…投票
ルール(暫定)
月…題目候補の日
火…題目決定投票(20時締切1人1票です)
水、木…木曜の20時までに参加表明を、時間過ぎたら参加不可。参加表明は匿名でも作者名でも作品名でも可
木の20時過ぎに参加者発表します
金、土…出来た人から順次レス投下。名前のとこに参加レス番号が有ると嬉しい。土曜の20時までに投下する。過ぎたら失格。
土、日…投票はレス番のみ、それ以外は無効票になります。
月曜日に結果発表。
>>2に続きます


468: 名無しさん@読者の声:2015/5/8(金) 21:26:27 ID:zP8NC/evUI
 その声が鼓膜を震わせるまで、自分に耳があることすら忘れていた。

「ねえ。あなたって死んでるの?」
 岩のように固まった瞼をこじあける。
 月光に照らされた木々の根元。暗がりでたたずむ声の主に、寝ぼけ眼を向けた。
(……人間の女、それもガキ)
「もしもし聞いてますー?」
 おおかた親とでもはぐれて道に迷ったのだろう。
 長年の惰眠で体はひどくなまっている。追い払うためにうなり声をあげるのすら億劫だった。
(こーゆーのは無視に限るぜ。そのうち飽きてどッか行くだろ)
 確か、さっきまで鯨になった夢を見ていた気がする。
 ふたたび七つの海に繰り出そうと、一度は浮き上がった意識を沈めていった。
 刹那、そよ風のようなため息が耳をなでる。
「仕方ないよね、あれから千年も経ってるし。
 せめて亡骸は私の手で……」
 次の瞬間。
 少女がつぶやき始めた聞き覚えのある言葉が――鯨を力ずくで浮上させた。
 
『……リエンデルアの花に告ぐ。我は混沌を統べ罪と戯れる者、破壊を望む者なり。
 満月に狂喜する悪霊を侍らせ哀しみを食らう幻魔よ。我の願いを叶えたまえ。
 風の呪魔サジィーナの息吹をここに。全てを切り裂く刃をもって、古龍の骸を塵と化――』
「おい待てやこらァ!」
 勢いよく頭を跳ね上げる。積み重なっていた落ち葉がバラバラとこぼれ、少女に降り注いだ。
「死んでねッつの!」
 朽ち葉に埋もれ呆然とこちらを見上げていた彼女は、しばらくすると顔をクシャクシャにして泣きはじめた。旧友との再会を懐かしむように、か細い腕が大木のような首をぎゅっと抱きしめる。
「生きて、たんだねっ、クゼン」
「てめェこそ。「破邪の聖剣」に首斬られて、よく……」
「いつもより時間かかったし、性別も種族も変わっちゃったけど……ちゃんと転生できたよ。
 また一緒にいてくれる? クゼン。
 私、勇者族に虐められてるみんなを……助けたいの」
「ち、めんどくせぇけど仕方ねェか。
 仰せのままに、魔王サマ」
 憎まれ口とは裏腹に、体中が喜びで満たされていた。

 龍は永遠の命を持つが、ほとんどの個体は数百年でこの世を去る。独りでいる寂しさに耐え切れず、自らを食い殺してしまうのだ。
 風雨に耐えて千年ものあいだ自殺を思いとどまり続けたのは、どこかで友が戻ってくると信じていたから。

「しッかし相変わらず無茶苦茶だな。「神喰級呪文」なんて使ッたら、国が一つ滅びるだけじャ済まねェよ?」
「クゼンの供養にちょうどいいかなって」
(一体何万人殺す気だッたんだよ……)
 小さな体を背中に乗せ、満月輝く夜の空へ。
「マジで久しぶりだから、あんましスピードは出ねェよ」
「クゼン」
「ん?」
「大好きっ」
「知ッてる」
 闇夜を切り裂く風の音に混じり、少女の歓声が耳に届いた。

 ――やッぱお前の隣には、俺が必要だよな。
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