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【参加自由】1レス勝負【2章】
[8] -25 -50 

1: 脳田林 ◆N6kHDvcQjc:2014/10/16(木) 20:04:50 ID:7lTINYd4eE
日程
月…題目候補をあげてもらう
火…題目投票と題目決定
水、木(20時まで)…参加募集、参加発表
金、土(20時まで)…レス投下
土、日…投票
ルール(暫定)
月…題目候補の日
火…題目決定投票(20時締切1人1票です)
水、木…木曜の20時までに参加表明を、時間過ぎたら参加不可。参加表明は匿名でも作者名でも作品名でも可
木の20時過ぎに参加者発表します
金、土…出来た人から順次レス投下。名前のとこに参加レス番号が有ると嬉しい。土曜の20時までに投下する。過ぎたら失格。
土、日…投票はレス番のみ、それ以外は無効票になります。
月曜日に結果発表。
>>2に続きます


107: 時期が早いってレベルじゃない:2014/11/8(土) 16:26:36 ID:c91a3AtrBo
ぷしゅっ、という缶が開く音。
子どもの頃によく感じたとてつもない高揚感をこの歳になってまた感じることがあるとは思いもしなかった。
俗に言うホームレスになって、今日で3年目。
いい残飯が捨てられる場所や中高生やサラリーマンが雑誌をよく捨てていく無人駅も把握し、ここのところ生活にも余裕が出てきた。
最初の2年は記念日にお祝いだなんてやってる暇はないほどに毎日が苦痛だったが、3年目の今年はショートケーキ1切れにスーパーの3割引きの鶏のから揚げ、そしてこの少し高いビールで乾杯だ。
計らずも今日はクリスマスイブ。
3年前の今日、私は絶望の淵に立っていた。
だが、今は違う。
家を持っていた頃にはこのような小規模なお祝いではむしろ落胆していただろうが、今の私にとっては今日の夕飯はご馳走だ。
ビールをちびちび飲みながらショートケーキとから揚げを平らげ一息ついた時だった。
テントの外に人の気配がする。
クリスマスイブだからこんな時間まで出歩くのはさしておかしいことではないだろう。
そして、公園でパーティの熱を冷ますというのもさほど珍しいことでもない。
妙な点は感じた気配が1人だということだ。
偏見かもしれないが、クリスマスというのは基本的に恋人、家族、友人と過ごすものなのではないかと思っている。
仮に1人で楽しむにしても数多くのカップルが闊歩している中、たった1人でクリスマスの街並みを見て回るものなのだろうか。
ホームレス仲間か路上生活者を襲いに来た若者だろうか。
後者だとしたら大変だ。
アルコールの入った脳で正常な判断ができるだろうか。
私は缶をその場に置き、思い切って外を見る。
そこに居たのはまだ年端もいかない少女だった。
ボロボロの服を着て、足取りもふらふらしている。
「……どうしたんだい」
思わず声をかけてからしまったと思う。
今の私は立派な社会人ではなく、ただの浮浪者である。
いたずらに話しかけても少女の警戒心を高めるだけだろう。
「お腹……空いた……」
それだけ言うと、少女は倒れこんでしまった。
「おい! キミ、大丈夫か?」
私は慌てて少女に駆け寄る。
気絶しているのかそれとも死んでしまったのか、とにかく何か食べさせなければ。
しかし、今日のお祝いのためにお金を使ってしまい、残念ながらうまい棒1本買う金すら手元には残っていなかった。
どうしようかと思案していると、飲みかけのビールが目に入った。


「もう来るんじゃないぞ」
警察官は私に定番の文句を聞かせ、見送る。
満10歳の少女の空腹を満たすために自分のビールを飲ませたところまでは良かったが、その最中によりにもよって警察官が通りがかった。
それから暫く私は食事には困らない生活をしていた。
そのお陰で少女の両親が少女を虐待していたことが発覚し、少女は両親の下から離れることができたということを刑務所内で聞いた。
だが、仮に私があの時、少女をそのまま見過ごしていても通りがかった警察官は少女に事情を聞いただろうし、私の行動は結局は無駄なものだったのだ。
久しぶりに戻った我が家は他のホームレスか近所の子供たちの仕業かは分からないが、荒れ果てていた。
その荒れ果てたテントの中に1本のビールと差出人の名前も宛名も無い小さな可愛らしいピンクの封筒が1封。
私はそれでまた子供の頃のように気分を高揚させ、明日からも生きていくことができるだろう
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