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三蔵「…岩から尻が生えている」
[8] -25 -50 

1: ヨシュア ◆.frSdr10QQ:2013/6/28(金) 01:13:20 ID:clfaSnFbdM
尻「…はっ!!誰か居るのですか!?」

三蔵「見たところ20代そこらか。いや、肌の張りからすると、17、8かな」

尻「ああ…こんな人里どころか鳥の声さえ聞こえない不毛の地に、とうとう人が…!しかも声から察するに殿方…!」

三蔵「しかし無駄に毛深いな」

尻「ついに…ついにメチャクチャにされちゃうんですね…!この通りすがりの名も知らぬ殿方に性の捌け口にされちゃうんですね私のお尻…!あと毛深いとかヒドイ」

三蔵「うるさい尻だな…いくら仏の教えとはいえ、こんなのも助けるべきなのか…?」

尻「仏の教え…?僧侶さま…なのですか?」

三蔵「うむ。僧だよ。玄奘三蔵。…それにしても毛深いな…特に尻のあ」

尻「やめて!!…こ、これは失礼をしました…!仏に仕えるお方は、そのような煩悩は無いのですね!」

三蔵「いや俺ロリコンだから。女は10歳以下しか認めない」

尻「おい」

三蔵「下の毛とか意味わかんない」

尻「おいこら」


897: ヨシュア ◆.frSdr10QQ:2014/12/19(金) 17:35:17 ID:BME.DcoF6E
悟空「さてと。だいじょーぶ?お姉さ……およ、お姉さんじゃないや、よく見るとまだ幼いっぽい」

女騎士「…………」

三蔵「待て悟空。見たとこ14、5歳くらいじゃんか。このくらいで幼い、ってのは」

悟空「あ、そうですね失礼ですよね」

三蔵「そうだ幼女に失礼だ」

悟空「別に幼女全般に気遣う義理無いですし私」

女騎士「………お……」

沙悟浄「どしたんだいアンタ、呆けちまって。そんなに怖かったのかい?」

八戒「大層な鎧姿しとるクセに、見かけ倒しじゃの。……と、足を挫いておるか。小龍、膏薬はあったかの?ワシが塗る」

小龍「…はい。確かまだ残って……」

女騎士「………王子っ!!」

八戒「むおっ!?」

女騎士「王子!!御無事でおられたのですね、王子っ!!」

小龍「…ええと、ああ、やはりだいぶ減って………はい?」

女騎士「このフローレ、王子は必ずや生きていらっしゃると、ずっと、ずっと……!!」

三蔵「おい王子、女の子泣かすなよ」

悟空「ダメだよ王子、そんなとこまでご主人様に似ちゃ」

小龍「…よく即座にイジれますね。……あの、人違いでは?あと肩を揺すらないで欲し」

フローレ「どうなされたのです王子!?……まさか御記憶が……!?ワタシです!フローレです!王子っ!!」

沙悟浄「なんだいスミに置けないねぇシャオ。昔のコレかい?」

小龍「…私は下界に落ちてから、ずっと悟能様と一緒ですよ。他に知り合いなど」

八戒「ズルいぞ小龍、ワシを差し置いて金髪碧眼をモノにするじゃなんて。よし寄越せ」

小龍「…はい、どうぞ悟能様」

三蔵「うんごめん勝手に他人をどうぞしちゃダメー。どんだけイエスマンだお前」
898: ヨシュア ◆.frSdr10QQ:2014/12/19(金) 17:36:55 ID:BME.DcoF6E
フローレ「…なんだ貴様らは。王子に先程から気安く……無礼な!そこになおれ!」

悟空「むっ。助けてあげたのにその態度は良くないですね。うん良くない!」

フローレ「ふん、助けてくれと頼んだ覚えは無い!王子、御下がりを!この無礼者どもを斬り捨て、すぐさま城へとお連れ致します!」

小龍「…ですから人違いだと」

沙悟浄「龍王の息子だから、王子は王子だけどねぇ」

三蔵「お、確かに」

小龍「…あの、それは良いですから。……悟能様、どうしましょうか、これ」

八戒「………ふむ。姉者、まあ許してやれい。おい娘子、『この者』が王子とな?」

フローレ「娘子では無い!我が名はフローレ、誉れ高き騎士だ!……この者、だと?我らがローウン王子に対して、なんと言う口の聞き方……!!」

八戒「ほ、間違いじゃのにちょっと名前似とるのう……ではなく。おおお、そうであったか。これは知らぬ事とは言え、無礼をした。いや、フローレ殿の仰る通り、この者……や、この方は記憶を失っておってのう。ワシらが世話をしておったのじゃよ」

沙悟浄「ちょいと八戒姐さん?」

フローレ「な、なんと……!そうだったのか……それならば此方こそ非礼を詫びなくてはなりません。よくぞ、よくぞ王子を助けて下さった…!!」

悟空「あ、多分この子バカだ」

三蔵「お前がそれ言っちゃうか。おい八戒、なんの悪ふざけだよ」ヒソッ

八戒「良いではないか、なんか面白そうじゃし。それに恐らく、この流れじゃと…」ヒソッ

フローレ「それでは皆様も城へと御案内致します!さ、王子、あちらに馬を繋いで居りますので!」

小龍「…………はい。よろしくお願いします。申し訳ありません、貴女の事も覚えておらず……」

フローレ「そんな……フローレは、王子が生きて居られる、それだけで……!城に戻れば何か思い出されるかもしれません!ささ、此方です!」

八戒「ほれ、食事と宿が確保出来たぞい」

三蔵「いいのかなぁ」

悟空「……てかシャオくんって凄いよね……可哀想なくらい従順だよね……」

沙悟浄「……こんなムチャ振りにも、ちゃあんと対応するしねぇ……ひっどい教育だよ……」

八戒「お主らも実はノリ気なクセしおってからに、なんじゃその言い種は」
899: ヨシュア ◆.frSdr10QQ:2014/12/21(日) 17:16:11 ID:5n7RT7yJ56

悟空「わー、やっぱり町並みがこう、違いますねお師匠さま!」

三蔵「だな。なんつーか、ものっそメルヘンなー。いつかの遊園地みてーだ」

沙悟浄「遊園地と言えば……ねぇ、あそこのコンビニ……」

三蔵「………この辺って確か、天界ですらあんま把握してない地域なんだよな」

悟空「どこに行ってもキツネのマークから逃げられないとか、もうホラーだよ……」

八戒「……しかしまだ夕刻じゃと言うに、人通りが皆無に等しいのはどういう事じゃ?……まさか、戦時か?」

フローレ「……ハッカイ殿、でしたか。いいえ、我が国は中央から遠く離れた小国。戦らしい戦は、何十年とありませぬ。………先程、ワタシを襲った怪物を覚えておいでか」

八戒「おお、あの緑色の妖か」

沙悟浄「そういやアタイ、裏の商人から聞いたことあったよ。アレが『おーく』ってヤツかい?中華じゃ見ないよね、あんなん」

フローレ「チューカ………なるほど、遥か東国の方々でしたか。へえ、そちらにはオーク族は居ないのですね。いえ、確かにオーク族も粗暴で、ワタシたちヒューマン族に比べると多少知恵の足りないところはありますが……あのような理性の無いバケモノではありません。我が城にも近衛として数名、仕えておりますよ」

八戒「ほほう。西国は人も妖も、単なる種族の違いと見るか。風土の違いじゃのう」

悟空「あっちだと人間じゃなきゃ妖怪!って感じだもんね。考えてみたら乱暴だよねー」

フローレ「一年ほど前から、あれらが現れ始めたのです。街すぐ近くにて狼藉を働く事も……領民も怯えており、日中ですら人通りは疎ら、この時間では出歩く者は居なくなってしまいました」

沙悟浄「……騎士、ってのはつまり、城付きの武将だろうアンタ?言いたかないけど、城下の治安も守れないのかい、この国は」

フローレ「……言い訳にしかなりませんが………前述の通り、戦も知らぬ我が国、常備の兵も少なく……それに、一年前と言えば……」

小龍「……?」

フローレ「…いえ!それも今日までのこと!王子が帰ってきて下さったのです!暗く沈んだ我が国にも、きっと光が射しましょう!」

小龍「……はあ」

フローレ「……っ!もも、申し訳ありません!このような往来で、お手を、お手を握ってしまうなどと……!」

八戒「でも手ぇ離さんのじゃな」

沙悟浄「は、乙女だねぇ」

悟空「ラヴコメの香りがするなぁ痒いなぁ」

三蔵「毛ジラミか」

悟空「それ毛の濃さ関係ない!……か、関係ないよね?」
900: ヨシュア ◆.frSdr10QQ:2014/12/22(月) 21:35:58 ID:wrako9Kb/.
フローレ「おーい!ワタシだ!門を開けてくれ!そして皆の者聞いてくれ!なんと王子が」

番兵「……フローレ様…?フローレ様!すぐに大臣様に報せねば!フローレ様、御無事であらせられたぞ!門を開けろ!フローレ様だ!」

フローレ「おお、で、王子がだな?」

番兵「大臣様!ラーツ様!フローレ様御帰還にござります!ラーツ大臣さまーっ!」

フローレ「……おーい」

八戒「なんでお主が帰ってきて騒がれるんじゃ」

フローレ「…えっと……たぶん……」

片眼鏡の男「姫ぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇえっっ!!!」

フローレ「おおラーツ!喜べ、なんとだな」

ラーツ「何が喜べですか!こんな物騒な時に御一人でフラフラと!メイドだけに言伝て『森へ行く』って森ってどこですか東西南北どこ進んでもそのうち森ですよ!こっちはもう捜索隊の準備すら」

フローレ「そ、そんな一気に色々言われてもだな、うう」

沙悟浄「それより、姫ってなんだい姫って。将じゃ無いのかい?」

ラーツ「本当に貴女は御身をどう考えて……おや、こちらの方々は……もしや姫を保護して下さったので?このような甲冑姿の怪しい者を姫と信じて送ってきて下さるとは、なんとお礼を申し上げてよいか…」

フローレ「怪しくないぞ!」

悟空「え?お姫様なの?」

ラーツ「馬車用の白馬まで持ち出してまったく……ってうおおおおお王子ぃぃぃい!!?えっ幽霊!!?いや足ある!!うええええ!!?」

フローレ「そうなのだ王子なのだ!しかし御記憶が……って驚いてないで聞いてくれラーツ!」

沙悟浄「……ところでシャオ、あんた角隠せるんだね」ボソッ

小龍「…変化の応用です。とりあえず成り済ます流れなんでしょう?」ボソッ

悟空「ねえお姫様なの?ねえってば!」

三蔵「……八戒、今回ちゃんと責任持ってオチをつけろよ」

八戒「えー?ワシぃ?」

三蔵「お前さすがにコレで投げっ放しやがったら次の衣装バンソーコー三枚だかんな」

八戒「おっほ、目がマジじゃこの僧侶」
901: 名無しさん@読者の声:2014/12/22(月) 22:38:44 ID:jwxjZ82e3c
続きが気になるー

902: 名無しさん@読者の声:2014/12/22(月) 23:29:02 ID:KhzwrMS1JU
そういえばお師匠様僧侶だった素で忘れてた
903: ヨシュア ◆.frSdr10QQ:2014/12/24(水) 15:33:07 ID:UUg2hnHlnA
ラーツ「と、とりあえず落ち着かなくては……よし。まず姫はお着替えを!城内でまでそのような格好、神が許そうともこのラーツめが許しません!メイドさんたち、連れてっちゃって!」

メイド「はい〜♪」

フローレ「ちょっ!えっ!待ってワタシは王子のそばにっ!やーっ!」

ラーツ「……はあ。あ、ここではなんですし、広間へどうぞ、皆様……と、王子……なのですね…!」

小龍「……ええと、だそうで。なにぶん記憶喪失なので、申し訳ありませんが貴方のことも」

ラーツ「なんと……ああすみません、まだ混乱しておりまして……とりあえず、広間へ……」

小龍「………」




沙悟浄「国王の弟の娘、って……なんだいバリバリの王族じゃないのさ。そりゃ姫様だねぇ」

八戒「つまり、小……ローウン王子殿とは、イトコ同士か」

悟空「え、でもあの感じは完全にラヴコメだったよ」

ラーツ「ええ、ラヴコメやむなしでございます。なんせフローレ姫は、ローウン王子の許嫁でございますから」

三蔵「ほー。ずいぶん近いとこから嫁さん取るんすね」

ラーツ「我が国は政略結婚の必要も無い、田舎の小国にございます。国王の弟君とその御夫人……フローレ様の父母は、流行り病で若くしてお亡くなりに。不憫なフローレ姫を、ローウン王子は幼き頃より慰め、愛を持って接しておりました。恋仲になるのは自然な事かと」

八戒「見た目が小龍くらいじゃとすると、明らかにあの娘のが年上じゃよな。姉萌えの結果か、あの娘のショタ趣味か」ボソッ

悟空「うん八戒ちゃん、私それなりに『純愛っぽいなあ』とか感じてるんだからそのゲス話を振られても困るよ?」

ラーツ「……しかし、一年前のあの日……全てが引き裂かれました……!」

悟空「でも私的にはショタ好きに一票」

八戒「結局ノってくれるから好きじゃぞ姉者。うむワシもそう思う」

沙悟浄「ほら姐さん達、回想シーン始まるからお口にチャックだよ」

三蔵「あ、すんません気にせず続けてください」

ラーツ「は、はあ……」
904: ヨシュア ◆.frSdr10QQ:2014/12/24(水) 15:34:35 ID:UUg2hnHlnA


フローレ『王子、剣のお稽古の時間ですよ!さあ、先生もお待ちです!』

ローウン『……ボクは良いよ。フローレはそんなに剣術やら弓術やら頑張って何になりたいの?アマゾネスの戦士?』

フローレ『そんなムキムキではありません!しかし王子はもっと身体を鍛えるべきです!そんなんだから背も伸びないんですよ!』

ローウン『いや成長期に筋肉つけたらマズイんじゃなかったっけ。それにほらボクのルックスだとさ、ちょっと線が細い方が女の子ウケも良いと思うんだ』

フローレ『一国の王子なのですから、女の子ウケより領民への威厳を優先してください!さ、行きますよ……はっ!?すすすすみません!殿方のお手を引くだなんてはしたないコトをっ!』

ローウン『とか言いながら手ぇ離さないんだよね、あはは』



ラーツ「……当時、ワタクシはお二人の教育係を担う、一介の文官でございました。王の善政は国を守り、王妃の慈愛が王室を包む。平和で、穏やかな時でした……ですが、あのドラゴンが、平穏を奪ったのです……!」

悟空「どらごん……」



衛兵『ぐはっ……!!』

黒龍『……ゥルルルルル……!!』

フローレ『黒い……ドラゴン……!』

王『…くっ……一体どこからこの玉座の間に……!!周りは炎に囲まれ、大事な臣下は悉く倒れて行く……無念だ……!!』

王妃『……フローレ。貴女は隠れなさい。ここ……玉座の下に、昔、抜け道を埋め立てた穴があります。人ひとりは収まるでしょう』

フローレ『馬鹿な!王と王妃を置いて、ワタシが逃げるなど!』

王『…あのバカ息子め。このような時に遠乗りとは……よくやった!隠れろフローレ!!お主とローウンが居れば、我が王家は潰えぬ!』

王妃『衛兵達が、その命をかけて戦ってくれています。今ならば、あのドラゴンめに気付かれず隠れられましょう。さあ、早く!』

フローレ『でも、でもっ!』

王『そなたも王族ならば、兵たちの命を無駄にしてはならぬ!国の未来を……』

王妃『……そして、あの子を。頼みましたよ……』

バタン……

フローレ『王……っ!!叔父上っっ!!叔母上ぇぇえっっ!!』

黒龍『グルァァァァァァァァァァァアッッッ!!!』
905: ヨシュア ◆.frSdr10QQ:2014/12/24(水) 15:35:36 ID:UUg2hnHlnA



ラーツ「………しかし、王子は戻らず……我々も探しましたが、なにぶん犠牲者が多く、国の建て直しこそ急務。あの飄々とはしていましたが、お優しい王子が逃げたとは思えず………誰もあえて口にはしませぬが、死んだものと考えておりました……」

沙悟浄「……なるほどね。ん、てことは今この国、王様居ないのかい?」

ラーツ「……本来ならば、唯一残られたフローレ姫が王位を継がれるのが一番なのですが……如何せんまだ若く未熟。それに、まだあの忌まわしき日より一年余り……気丈に振る舞っては居られますが、痩せ我慢が見え透いております。……しかし、王子!」

小龍「…はい」

ラーツ「貴方は帰ってきてくれた!こんな、こんな嬉しい事はありません……!」

小龍「………」

ラーツ「今日、姫が無断で城を抜け出したのも、貴方様を森で見かけた、という噂を耳にしての事だったのですが……まさか本当に見つかるとは!御記憶なぞ問題ではございません!その御身こそが有難い…!」

小龍「…はあ……どうも……」


三蔵「おいマジどーすんだコレ。今さら嘘でしたとか言えねーぞ」ヒソヒソ

悟空「晩ごはん食べたら、シャオくん連れて逃げちゃうとかどうでしょう」ヒソヒソ

沙悟浄「王子誘拐とかで、人相書まわされないかね、それ。もう口封じ出来る状態じゃ無いよねぇ」ヒソヒソ

八戒「まあこんな小さな国じゃ。二つ三つ山を越えれば、逃げ切れるじゃろ」ヒソヒソ

三蔵「おまえら」

沙悟浄「あぁん冗談だよぅ旦那様ってばぁ♪」

八戒「チョイ悪姉妹を演出しただけじゃ、怒るな怒るな」

悟空「なんかちゃんと叱るとか、今日のお師匠さまはお師匠さまみたいですね!」

ラーツ「な、なにか揉め事ですか?」

三蔵「なんでもないです良い弟子たち過ぎて泣けるやら疲れるやらなんです」

ラーツ「?」
906: ヨシュア ◆.frSdr10QQ:2014/12/25(木) 21:24:13 ID:wrako9Kb/.


悟空「いっただっきまーっす!」

ハムハムガツガツバクバクッ!!

三蔵「悟空のスタートダッシュが普段より存外ヤバい件」

沙悟浄「ま、気持ちはわからないでは無いさね。コレとか何だろね、野苺のソースかね。洒落てるじゃないのさ」

八戒「シャ……王子殿とフローレ殿は、どちらにおわすのじゃ?夕食を御一緒できるかと思うておったのじゃが」

ラーツ「あはは、案外不粋ですね、ハッカイ殿。二人きりにしてあげようではありませんか。皆様揃えての御歓談は、また明日以降にでも。急ぐ旅では、無いのでしょう?」

八戒「……まあ、の」

悟空「はむへむほみふむ、ほなはむへ!」

三蔵「どうして口いっぱいにモノを詰めるんだお前は」

ラーツ「焦らなくとも、追加はドンドンさせますので。……と、ではすみません、ワタクシ政務が残っております故、一旦失礼致します。寝室、浴場を御所望の際は、なんなりとその辺の者に仰せください。それでは……」

バタン……

八戒「……ふむ」

三蔵「なーんか見慣れねぇモンばっかで困るな。あと俺何気にワイン初めてだ。ねーちゃんはけっこー好きで取り寄せてたけど……」

八戒「悟浄」

沙悟浄「あいよ」スッ

三蔵「………なにすんの師匠イジメ?なによグラス返せよ悟浄」

沙悟浄「飲み物なら、今からアタイが愛を込めてお茶を煎れるから、旦那様はそれで我慢しとくれよぅ♪…ええとお茶っ葉ときゅうすは……」

三蔵「なんで!?飲みの席でお茶とか拷問じゃね!?」

八戒「…大声を出すで無いわ。残念じゃが飲ませられん。この葡萄酒、毒が盛ってあるでのう」

三蔵「っ!?」
907: ヨシュア ◆.frSdr10QQ:2014/12/25(木) 21:27:03 ID:wrako9Kb/.
八戒「ま、毒と言うても……んく……ぷぁ。遅効性の痺れ薬、かの。あまり味は邪魔して居らんが、多少臭いがする。どうやら『その為』に、製造段階から薬を混ぜとるのう。こんなモノを常備しとるとは、怖い話じゃ」

三蔵「いやいや飲んでんじゃんお前ら」

八戒「ほ、ワシらにこの程度の毒は効かんわい。杯で二、三飲んだところで……お通じが良くなるくらいじゃ」

沙悟浄「食事中だよ八戒姐さん。はい旦那様、お茶♪熱いから気をつけておくれよぅ?」

三蔵「ははんグツグツ言ってるグツグツ言ってる。……待てよ、なんで俺らが毒盛られんだよ」

八戒「とりあえず飯を食え、視られとる。師匠殿は僧侶じゃからな、酒に手をつけんでも不自然で無かろ」

沙悟浄「あ、やっぱりかい。なんかウザったい感じがするとは思ってたけど、隠視術だったんだねぇ。気っ持ち悪い」

三蔵「……よくわかんねーけど、とりあえずゴタゴタに関係無い俺らは邪魔、ってとこか?」

八戒「ほほ、師匠殿は結構こーゆーの慣れとるのう」

三蔵「皇室は裏の裏まで見てるからなー。はぁ」

沙悟浄「カネと権力が集まる場所ってのは、例外無く真っ黒なもんさね。……大丈夫かね、シャオは」

八戒「そうじゃのう………こうなれば逃げても構わぬのじゃが……」

沙悟浄「……見知ったからにゃ、後味悪いもんねぇ。あの姫さんとかも」

三蔵「……ところでシリアスなところ訪ねづらい質問なんだが」

八戒「別にシリアスしとるつもりも無いわい、何じゃ?」

三蔵「そのワイン、グラス二、三杯飲んでも、お前らならちょっと腹にクるくらい、とか言ってたよな」

沙悟浄「うん。あ、アタイもう五杯は飲んでるね、そろそろ止めとくかね」

三蔵「……そこにビンで20杯は飲んでるバカが居るんだが、大丈夫なのか」

悟空「んくんくんく……ぶふぇっ!ぷはーっ!これ酸っぱいけど美味しい!お肉がすすむ!……どったの?」

八戒「……オムツとかあったかのう」

三蔵「着けさすんなら小さくしろよ見るに堪えねぇ」
908: ヨシュア ◆.frSdr10QQ:2014/12/26(金) 22:54:32 ID:SnPTb53aAE



小龍(……悟能様達の居る部屋は……ダメだ、妖気が探りにくい。この纏わりつく感覚……隠視術…その影響か)

フローレ「王子っ、食後のお茶ですっ」

小龍「………どうも、ありがとうございます」

フローレ「先程からずっとバルコニーで何をされて……あ、月を御覧に?ふふ、王子はお月様が好きでしたものね」

小龍「……そう、なんですか?」

フローレ「ええ、『太陽とかギラギラうざいよね、月明かりくらいが丁度良いよあんまボクを照らさないでよ』ってよく仰っておりました」

小龍「…引き籠りかなんかですかそれ。病んでる人の台詞ですよ?」

フローレ「ふふ、かなりのインドア派ではありましたね。……そうだ。コレ、なにか思い出しませんか?」

小龍「……ペンダント、ですか。……すみません」

フローレ「あああ、良いんです良いんです!そんな急かしてるワケじゃ無いんです!……ムーンストーンのペンダントです。……王家の慣わしで、王位継承者とその伴侶は、ひとつずつ、対となる宝石を持つんです」

小龍「…ムーンストーン……」

フローレ「はい。王子には、サンストーンの指輪が。……お持ちでは、ない、ですよね……」

小龍「………すみません……」

フローレ「………ふふっ」

小龍「?」

フローレ「うふふ、ゴメンなさい。ワタシに『スミマセン』なんて言うような王子では無かったので、そう何度も謝られると、変な感じなんです。……お気になさらないで下さい」

小龍「…はあ」

フローレ「もともと『ボクもムーンストーンが良かったなー、太陽嫌いなんだよなー』とか仰って、指輪はポケットに入れっぱなしでしたしね、王子」

小龍「…くだけた人ですね、王子とは思えない」

フローレ「あははっ。貴方のことですよ?」
909: ヨシュア ◆.frSdr10QQ:2014/12/26(金) 22:56:48 ID:SnPTb53aAE
小龍「……そうでしたね」

フローレ「……指輪なんて、無くても良いです。王子の嫌いなサンストーンなんて、無くても良いです」

小龍「……フローレさん」

フローレ「そんなもの無くても……ワタシのムーンストーンは、また輝ける。ローウン王子……貴方という太陽が、帰ってきてくれたから……」

小龍「……あの、えと」

フローレ「王子………」

小龍(……目を閉じてしまった。どうしたら)

悟空「トイレトイレトイレトイレトイレトイレどこーっっ!!?」バターンッ!!

フローレ「ひっ!?」

悟空「あっシャオく、じゃなかった王子さまっ!!あのごめんトイレどこっ!!?なんか広くてよくわかんなくて、あ、お姫さまも居るっ!!トイレどこトイレっ!!!」

小龍「…御手洗い、どこが近いですかね」

フローレ「…えっ?あ、えっと、そ、備え付けの物がこの部屋には。そ、そこの洗面所の横に」

悟空「あっコレっ!?よかった助かっ……っっっ!!?待って待ってまだダメだよ鎮まれじゃじゃ馬……よし、よし………じゃゴメン借りるっっ!!!」バターンッ!!

フローレ「……な、なに……?」

小龍「…大丈夫ですか、悟く」

悟空「あへぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇえっっ!!!うわぁぁんなにこれなにこれ痛い痛い痛い痛い!!!」

フローレ「ご、ご病気かなにか……?」

小龍「…空気読まない病です。助かりました」

フローレ「え?」

悟空「おほぉぉぉぉぉぉぉぉおおお………ダメだめダメだめ知らないよこんなの斉天大聖史上最強のビッグウェーブだよ……ひぅぅぅううう……!!!」
910: ヨシュア ◆.frSdr10QQ:2014/12/29(月) 10:49:43 ID:zXjItBAtbw


沙悟浄「ふぃ〜♪お先にお湯貰ったよぅ姐さん。なんか湯船にバラの花びらが浮いてたよ!」

八戒「ほ。洒落とるのも、やり過ぎると何ぞ煩わしいのう」

三蔵「てかよく風呂入れるな。覗かれてるんだろ?」

沙悟浄「あん旦那様、妬いてくれてるんだね嬉しいっ♪」

八戒「隠視術は、対象の動きを……悟浄、説明してみせい」

沙悟浄「えっアタイ?こ、こーゆーのの解説は八戒姐さんの役割じゃあ……えっとだね、対象の動きを……こう、イメージって言うか、何をしてるかは把握されるけど、姿そのものを見られてるワケじゃあ……み、みたいな?」

三蔵「はあ」

八戒「三十五点。赤点は免れる程度じゃの」

沙悟浄「ア、アタイ術学だとかはあんま得意じゃ……くっ、悟空姐さんが居ないとアタイが頭悪いポジションに…!」

八戒「ま、そーゆー事じゃ。空気の動き等、細かな変化を術者の脳内に伝える術じゃからして、ワシら程で無ければ見抜かれる事も無い。基本は敵軍全体の動きを見るのに使うモノじゃの。つーかじゃな、そんな鮮明に視られておったら」

三蔵「そっか、トイレにも行けねーな。……まだ戻ってこねーぞあのバカ」

沙悟浄「ちっちゃくなってオムツで良かったのにアタイ」

八戒「こっからドンパチが始まるやもしれん時に、足手纏いを増やす訳にもいかんじゃろが。……ワシは風呂、おあずけかの」

沙悟浄「旦那様、アタイか姐さんから、離れないどくれよ」

三蔵「襲われ慣れるって、けっこう悲しい習慣だよなー。へいへい」

八戒「…ノックは要らんから、ちゃあんとドアを開けて入ってこい。逃げも隠れもせん」

ギィ……

トカゲの化物「……毒ガ効イテネェノハトモカク、気配モ読マレテタカ……!」
911: ヨシュア ◆.frSdr10QQ:2014/12/29(月) 10:51:21 ID:zXjItBAtbw
沙悟浄「うえっ気持ち悪っ!……よし旦那様、ここは八戒姐さんに任せて、アタイと一緒にシャオと合流を」

八戒「うむ、師匠殿はワシの雲に乗れるから助かるのう」

三蔵「これフカフカしてて嫌いじゃない」

沙悟浄「ちょ、え?」

八戒「とりあえず窓から中庭に出るかの、万一の時に逃げやすい。じゃあ悟浄、其奴は任せたぞい」

沙悟浄「えぇぇぇぇそんなぁ!逃げないとか言ったそばからえぇぇぇえ!?」

トカゲの化物「逃ガスカァァア!!消シ炭ニナッチマエ!!」

ゴォォォォォオッッ!!

沙悟浄「ちっ……!!」

ブォォォッッ!!!

トカゲの化物「……ッ!!……俺ノ『サラマンドルの炎』ヲ、武器ノ回転デ……!!」

沙悟浄「マッチ棒程度の火に、なぁに大仰な名前付けてんだい恥っずかしい。……ちぇ、恨むよ八戒姐さん」



三蔵「なんだ八戒、まさかお前もトカゲとか苦手なのか?」

八戒「まあワシもなんとかギリギリ、すんでの所で女子じゃから、得意とは言わぬが……ほれ、アレじゃ」

三蔵「うっ……なるほど、中庭にこんなん居たのか。悟浄、こーゆーのダメだもんなあ…」

八戒「な?これならまだトカゲのがマシじゃろ?妹思いの姉に感謝せい悟浄」

巨大ワーム「フシュルルルルル……!!」

八戒「蚯蚓(ミミズ)か蛆虫か……なんかワシの相手って、デカい奴率高いのう」

三蔵「でっけぇミミズ……ふむ、触手プレイか」

八戒「凌辱系は悟浄のが似合うじゃろ」

三蔵「あー俺ロリコンだけどそれは何となくわかる」
912: ヨシュア ◆.frSdr10QQ:2014/12/30(火) 15:03:13 ID:ZXu4OU2kzk



フローレ「とうとう城内にまでコイツらが……クソッ、衛兵は何をして……王子、ワタシの後ろに!」

怪物「キヒヒヒヒヒ……!」

怪物「ゲヘ、ゲヒャヒャヒャ!」

小龍「……敵は複数です、なんとか逃げて、誰かと合流した方が」

フローレ「なんのっ!フローレの剣術の腕、お忘れか……ってお忘れでしょうけど、油断さえしなければこんな奴ら……痛っ!」

小龍「…まだ足の腫れも引いてないでしょう。よっ……と」

フローレ「わわっ!?お、王子っ!?ワタシ重いですよっ!?」

小龍「……流石に戦闘となると、まあまあ読めますね……中庭の東と、北側の三階……悟能様はどちらか……」

フローレ「か、軽々と……王子、逞しくなられて……って、え?あの、ちょっと王子、まさかココ(バルコニー)から飛び降り……?ご、五階ですよココっ!?」

小龍「…喋らないで。舌、噛みますよ。……悟空さん、任せます!」タッ

フローレ「きゃ、きゃぁぁぁぁぁぁあっっ!!?」

怪物「追ェェエエエッッ!!命令ハ生ケ捕リダァ!!」

ドガァァァアンッッ!!!

怪物「キヒャァァアグフッッ!?」

怪物「……ッ!?誰ダ!!」
913: ヨシュア ◆.frSdr10QQ:2014/12/30(火) 15:04:19 ID:ZXu4OU2kzk
悟空「……キミ達みたいな小悪党に、名乗る義理は無いけれど……冥土の土産に教えてあげましょう!」

怪物「ムッ……!」

悟空「東勝神州、傲来国は花果山!その頂より生まれし神仙にして、玄奘三蔵法師が一番弟子!斉天大聖孫悟空とは、私の事ですっ!謝るんなら、今のうちだよっ!!」

ドドーン!!

怪物「…………イヤ誰ダヨダカラ」

怪物「カッカサン?ゲンジョー?」

悟空「あふん名乗りが通じないっ!無名扱いって久しぶりでなんかヘコむよ!」

怪物「ツカ何デコイツ、内股デピクピク震エテンダ?」

怪物「見ルカラニゲッソリシテルシ」

悟空「うるさいなっ!まだ出きってないんだよゴロゴログルグル言ってるんだよ!」

怪物「……ナンカ臭ワネ?」

怪物「アレダ、コイツ、トイレ開ケッパナシダ」

悟空「あっ……。む、むうう、乙女に向かって御不浄の臭いを指摘するとか、失礼だよ最低だよ非道だよ!」

怪物「イヤコレ流シテネーダロ絶対、腐ッタ魚ミテーナ臭イガスル」

怪物「チョ、俺アッチノ窓モ開ケテクルワ。ヒッデーヨコレ、オエッ」

悟空「流したよ!それ以上やめようか泣く!」
914: ヨシュア【年末TVスペシャル特番が年を越すという暴挙】 ◆.frSdr10QQ:2015/1/4(日) 23:01:39 ID:IMo50X/CKw


怪物「グヒャッ…!?」

怪物「ア……ガァ……!!」

怪物「ツ、強…イ……!!」

ドサドサドサッ……

悟空「ふうっ。まったく、お腹は痛いわ大勢に臭い臭い言われるわ……私が何したってのさ……まったく!自分のアレだってのを差し引いても、そんなに臭くは……」

……プ〜ン……

悟空「って臭ぁっ!うぇぇえ臭ぁぁあっ!?な、なにこれ!?何この鼻をゆっくりと壊死させてくれそうな臭い!」

三蔵「うん俺もクサ過ぎてなんかもう頭痛がする。耳の奥から痛みが広がってく臭い」

悟空「お、お師匠さまっ!違うんですよコレ私じゃないです流石にここまでのモノは!」

八戒「……あねひゃれわない、わひりゃ。ひひょーろの、まろ、まろをひめろ」

三蔵「言われんでも閉めるわ。あーキツかった……悟空そっちの窓も閉めて」

悟空「ういうい……で、どしたんですかお師匠さま、その背中の幼女は」

三蔵「抱っこは断固拒否されたんで、仕方なく背負ってる」

悟空「あら珍しいですね、おんぶとは言えお師匠さまに身体を許すなんて」

三蔵「久々に役得です!」

八戒「うるひゃい、らまれ!……うぐ、おぇぇえ……はぁ、はぁ、あぁぁ多少落ち着いた………あのミミズめ、なんちゅう酷い臭いを……!」

三蔵「いやアレを燃やしたお前が悪い」

八戒「斬っても潰しても再生しよるなら焼くしかないでは無いか!クソ……この身体は臭覚が利き過ぎる…!」

悟空「よくわかんないけど、八戒ちゃん豚ベースだもんね、鼻良いもんね」

八戒「難儀じゃ……うっ。この部屋も何ぞ変な臭いが残っとるの、腐った魚介のような」

三蔵「ほんとだ。なにここゴミ捨て場?」

悟空「もうそれやった!もういい!」

三蔵「何の話だよ」
915: 名無しさん@読者の声:2015/1/5(月) 06:36:04 ID:UxR6Hg5gpo
続きキター(・∀・)ー!!
はよはよ
916: ヨシュア ◆.frSdr10QQ:2015/1/5(月) 21:44:09 ID:TpYefkOpa.


ガキィンッ…!!

トカゲの化物「ギィィィッ………何ダコノ女、強ェェエ……!」

沙悟浄「へえぇ、予想以上に頑丈だねぇ。動きはトロいけどさ」

トカゲの化物「仕方ネェナ……身体ニ負担ガ掛カルガ……コォォォォォオオッ!!」

ボボボボボッ!!

沙悟浄「……何だいそりゃ。熱くないのかいアンタ」

トカゲの化物「魔装、『サラマンドルの鱗』……コノ全身ニ纏ッタ業火ハ、鋼鉄スラ溶カスゼェ……!」

沙悟浄「は、そいつは困ったねぇ。アタイの柔肌にゃあ酷な話だよ」

トカゲの化物「余裕ブッコイテラレンノモ、ココマデダ!!地獄ノ抱擁ヲ食ライヤガレ!!」ガバッ!!

沙悟浄「……爬虫類風情が、オイタが過ぎるってもんだ」

スゥッ……

トカゲの化物「……!?消エ……!?」

沙悟浄「……降魔杖よ。沙僧が名において、力を見せよ」

トカゲの化物「……ナッ…!?」
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うpろだ
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