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三蔵「…岩から尻が生えている」
[8] -25 -50 

1: ヨシュア ◆.frSdr10QQ:2013/6/28(金) 01:13:20 ID:clfaSnFbdM
尻「…はっ!!誰か居るのですか!?」

三蔵「見たところ20代そこらか。いや、肌の張りからすると、17、8かな」

尻「ああ…こんな人里どころか鳥の声さえ聞こえない不毛の地に、とうとう人が…!しかも声から察するに殿方…!」

三蔵「しかし無駄に毛深いな」

尻「ついに…ついにメチャクチャにされちゃうんですね…!この通りすがりの名も知らぬ殿方に性の捌け口にされちゃうんですね私のお尻…!あと毛深いとかヒドイ」

三蔵「うるさい尻だな…いくら仏の教えとはいえ、こんなのも助けるべきなのか…?」

尻「仏の教え…?僧侶さま…なのですか?」

三蔵「うむ。僧だよ。玄奘三蔵。…それにしても毛深いな…特に尻のあ」

尻「やめて!!…こ、これは失礼をしました…!仏に仕えるお方は、そのような煩悩は無いのですね!」

三蔵「いや俺ロリコンだから。女は10歳以下しか認めない」

尻「おい」

三蔵「下の毛とか意味わかんない」

尻「おいこら」


173: ヨシュア ◆.frSdr10QQ:2013/9/11(水) 19:28:35 ID:yNWzRbQuPg





小龍「…人参果アイス、人参果ジュース、人参果まんじゅう…」

沙悟浄「とろける人参果プリン、ちょっぴり大人のビターな人参果ティラミス……選り取りみどりじゃないのさ、姐さん」

八戒「…ほほ……ワンコインで買えちゃうのう」

悟空「おにーさんっ!人参果焼きそばと人参果シェイク!」

店員「はいよっ」

三蔵「スイーツに行かないあたりが悟空だぜ。店員さん、この人参果って」

店員「おっと、お客さん万寿ランドは初めてかい?人参果ってぇのは、ここらの地域に伝わる伝説のフルーツよ!その実を匂うだけでも万年長寿、食えば仙人にだってなれるっつー代物だ!ま、伝説だけどな!」

小龍「…え。ではこの人参果料理は」

店員「あっはは、悪ぃな坊っちゃん、子供に嘘をつけねぇもんなあ。ニセモノだ。でも兄ちゃんが最高の食材を選んで作ってっからよ!ガッカリしねぇで食ってってくれ、な!ほら、これはサービスだ!」

小龍「…ぐるぐる飴を貰いました、悟能様」

八戒「…良かったのう」

悟空「やひほあ、おひひぃお!」

三蔵「あ、うん美味いな人参果焼きそば」

沙悟浄「食べたら観覧車乗ろうよ旦那様」

八戒「…ワシも遊園地モードに入って良いかのう」

小龍「…いや悟能様の用事でしょうに」
174: 名無しさん@読者の声:2013/9/11(水) 21:10:42 ID:HJiOnTdgsw
会話のテンポが良くてこのSS大好きだよー!
175: ヨシュア ◆.frSdr10QQ:2013/9/12(木) 19:46:00 ID:jrYEHBO52g
沙悟浄「んふふふふぅ…♪観覧車、楽しかったねぇ旦那様ぁ♪」

三蔵「一時間も並んでゆっくり回るだけとか、俺には意味がわからん」

沙悟浄「そんなこと言って、てっぺんまで来たときテンション上がってたじゃないのさ、んふふぅ♪」

三蔵「…まあ、それは。てか悟浄そろそろ腕を離してくれ手の感覚が無くなってきた!」

八戒「楽しそうじゃの、まったく」

沙悟浄「あ、姐さん。ゴメンよ、アタイと旦那様の方は収穫無しだったよぅ♪」

小龍「…まあこの二人で真面目に聞き込みしてるはずないですけどね」

三蔵「誰と組んでも俺に決定権など無かろうに。そっちはなんか掴めたのか?」

八戒「うむ、思うたより地元の者が少のうての。じゃが眉唾でも無さそうじゃ。もう少し調べたいところじゃがな」

三蔵「まあ宿とかも充実してるし、ゆっくりと……で、一応聞くけど悟空は?」

小龍「…ジェットコースターの列に。どうしても乗りたい、と」

八戒「3時間待ちとかじゃったの。流石に時間のムダではないかと止めたのじゃが」

三蔵「子供かアイツは」

沙悟浄「よっぽど觔斗雲の術の方がスピードもスリルも上だろうにねぇ、悟空姐さん」

八戒「言ったがの。『それとこれとは違うの!』だそうじゃ」

小龍「…自由な人ですからね」

三蔵「……そんでそろそろ突っ込むけど、お前らそのネコ耳やらウサギ耳やら風船やら光るウチワやら、なんなの?」

沙悟浄「遊園地に馴染み過ぎだよ二人とも」
176: ヨシュア ◆.frSdr10QQ:2013/9/12(木) 19:47:33 ID:jrYEHBO52g
ネコ耳八戒「…いや、これはの?遊んでたとかじゃ無いのじゃ。本当に」

ウサ耳小龍「…くれるんですよ、周りが。なんかこう、微笑ましいモノを見る顔で」

沙悟浄「あー、端から見たら可愛らしいお子様カップルだもんねぇ、二人」

三蔵「実際は非道君主と冷淡従者なのにな」

八戒「お、なんかそれカッコいいのう」

小龍「…悟能様は非道ではありませんよ。たまにやり過ぎるだけです」

沙悟浄「…たまに?」

三蔵「やり過ぎるっつーかヤり過ぎっつーか。ん?なんだあの人だかり」

八戒「おお?あんな塔、建っとったか?」

沙悟浄「いや、無かったハズだよ。あんなデカイの何処から…なんか傾いてないかい?」

小龍「…揺れてるようにも見えますね。人だかりで根本は見えませんが、何でしょうねあの赤い塔は…」

一同「……………………………」

三蔵「違ぇあれ悟空の如意棒だ!」

八戒「こんな場所で何をおっ立てとるんじゃあの阿呆姉者は!」

沙悟浄「まったくあんな大きくしてどーゆーつもりだい!?」

小龍「…なぜ自分の股間を見たのですか先生」

三蔵「わかってるのに訊くのは良くないな小龍くん」
177: ヨシュア ◆.frSdr10QQ:2013/9/13(金) 15:35:07 ID:f7g/DA//3A
三蔵「ちょっとすんません、すんません」

八戒「ええい、なんという人混みじゃ。煩わしいっ」

沙悟浄「悟空姐さん、トチ狂って如意棒振り回さないでおくれよ……っ!誰だい今アタイの足踏んだのっ!」

小龍「…こんな所で悟空さんが暴れたら、大惨事になりますからね」

三蔵「本気のアイツって山とか壊しちゃうんだろ?アカンアカンそれはアカン」

八戒「ぷへっ!ふぃ、やっと見えた……」



若娘「なになに?演劇かなんか?」

男「すごいなあの娘、あんなでっかいモン持ち上げて」

女「バカね、きっと風船かなんかで、糸とかで吊ってるのよ」


悟空「謝るんなら今のうちですよ!これ以上ふざけたコト言うなら、ペシャンコにしますからね!」

玉面公主「……玉は悪いことしてないもの。貴女に下げる頭なんて、無いわ……」

悟空「むっかぁぁあ!何ですかその態度は!やって良いコトと悪いコトの区別くらい出来ないんですか!」

玉面公主「……無双の大罪人、孫悟空がそれを言う……?」

悟空「私はここまで非道いコトしてないもんっ!」


三蔵「おーい!なにやってんだ悟……お。先日のクールビューティロリ人妻」

沙悟浄「むっ」

小龍「…玉面公主…!」

八戒「……ほう。いくら姉者とは言え、考え無しに臨戦体制にはならんと思うとったが。確かにこの者相手なら、油断は禁物じゃの。じゃが姉者よ、得物はも少し小さくせい。周囲に被害が出るぞい」


玉面公主「……お仲間さんが、なにか言ってるわよ……」

悟空「話をそらさないで!やっぱり地面にめり込まないと反省出来ませんか!?」
178: ヨシュア ◆.frSdr10QQ:2013/9/13(金) 15:37:36 ID:f7g/DA//3A
八戒「…おぅい、姉者?」

沙悟浄「頭に血ぃ上って、聞こえちゃいないね。まずいよ、このままバトルし出したら、この前の紅孩児の時みたいに…」

小龍「…最悪、周りの人間たちを安全な場所まで…」

三蔵「あんのトラブルメーカーめ……そもそも何をそんな怒ってんだアイツは。しゃーねぇなあ」

沙悟浄「ちょ!旦那様あぶないよっ!」

八戒「あの今にもはち切れそうな姉者の気。ワシでも容易に近づけんと言うに……師匠殿は大物なのか馬鹿なのか」

小龍「…大物で馬鹿なんじゃないですか?」



悟空「よぉぉしもぉ謝っても許しませんからね…!真っ赤なトマトになってグチャっと」

三蔵「グロいわボケ」

悟空「しっぽっ!?」

三蔵「なにキレてんだお前は。迷惑かけるんじゃありません全く」

悟空「…お、お師匠さま……。だ、だってだって!あの子が!あの子が悪いんですよ!」

三蔵「そうか毛玉オバケとかバカにされたんだな、辛かったな悟空…」

悟空「誰かさんのおかげで免疫が出来ましたんで、それくらいじゃキレませんねぇもう」
179: ヨシュア ◆.frSdr10QQ:2013/9/13(金) 15:38:50 ID:f7g/DA//3A
玉面公主「…………へえ」

八戒「落ち着いてくれたようじゃの」

沙悟浄「さっすが旦那様!」

小龍「…で、コトの起こりは何なんですか?」

悟空「あ、みんなも。いやでも本当にあの子が悪いの!」

玉面公主(……羽虫一匹、肌に触れようものなら弾ける。そんな武威だった。それを一瞬で緩く、弛く。……玄奘三蔵法師……)

悟空「私、もう二時間は並んでるのに!あの子割り込んですぐに乗ろうとしたんだよジェットコースター!」

玉面公主「……玉はここのスポンサーだもの。当然の権利だわ…」

悟空「スポンサーだかスッポンポンだか知らないけど、みんなずっと待ってるんだから!ちゃんと並んで!」

玉面公主「……貧乏人と違って、玉は時間を大切にするタイプだから…」

悟空「やっぱりペシャンコにしてや痛い痛い痛いっ!お師匠さまなんでっ!?」

三蔵「なんでじゃねぇよ下らねぇ!」

八戒「…姉者」

沙悟浄「…姐さんらしいけど、ねぇ」

小龍「…これは流石に」

悟空「なんでっ!?悪いことじゃんっ!なんでみんなそんな冷たい目をっ!?ちょっとお師匠さまの気持ちがわかったコレは辛いよ!」

三蔵「だろう?特に小龍がヤバイだろ?」

悟空「でもちょっとゾクゾクする何かに目覚めそうになる!」
180: 【今回は番外編です】ヨシュア ◆.frSdr10QQ:2013/9/14(土) 20:58:17 ID:LGBzHj3e.c
こんな世界なら。



すべて燃えてしまえば良いと思った。



「その罪、赦すに重く」

「その火、悪に燃ゆる」

「龍の息子は、火の子なり」

「龍の息子は、罪の子なり」


この身体を貫く刃を見よ。この鮮血に染まった刃を見よ。

我が子を刑台に躊躇いなく突き出す親を。
表情すら無い、天人の顔を見よ。

「…お前らなんて、死ねばいい」

牙を剥き出し、眼を見開いて、幾度と知れず口を汚す。


「悪の蛇に、裁きを」

「道を知らぬ罪人に、教えを」


天に裁かれながら、天を信ぜよ。

天に刃を突き立てられ、天を尊べ。

ただただ正しい、正しいだけの世界を見よ。


……クソ食らえだ。
181: 【今回は番外編です】ヨシュア ◆.frSdr10QQ:2013/9/14(土) 21:01:10 ID:LGBzHj3e.c




『まったくじゃの』

…わかりますか。いや、わからないでしょうね。

『お主が怪我をしとることならわかる』

…ほっといてくださいよ。

『放っといたら死ぬじゃろが阿呆。拾ってやった礼くらい言わんかい』

…構いません。捨てていってください。

『拾ったんじゃから、ワシのもんじゃ。返してほしくば、誠意を見せい』

…別に要りませんよ、私なんて。

『ならば返さん。後から返せと喚いても、もう知らんぞい』

………………




『おお、小綺麗にすればなかなかの美少年じゃの』

…私なんかを助けても、なんの利もありませんよ。

『炊事洗濯掃除に遣い走り、これがタダで手に入ったのじゃ。利しか無いわい。ほほ』

…逃げるかもしれませんよ。

『追いかける。主はワシのモノじゃ。ワシの許可無くして何処にもやらぬ』

…なんで、そこまで。

『……拾ったからじゃ。ほっほっほ』




…その小さな主人は、私より悪人で。

…その小さな主人は、私より賢く。

…その小さな主人は、我が儘で。
182: 【今回は番外編です】ヨシュア ◆.frSdr10QQ:2013/9/14(土) 21:03:49 ID:LGBzHj3e.c
『おうい、湯がぬるい。薪を足せい』 

『腹が減った。はよ飯じゃ飯』

『暇じゃからなんか面白い話でも頼む。ええい、無ければ考えい』

『ちょっと笑ってみい。うむ、そうじゃ!』


…私より遥かに、強い人だった。


『…お主を拾うて、どれ程経ったかの』

…さあ、冬は数回来ましたが。

『返さんからの』

…ええ。もう、あげますよ。


…飽きるまで持っていて下さい、悟能様。
183: 【今回は番外編です】ヨシュア ◆.frSdr10QQ:2013/9/14(土) 21:07:51 ID:LGBzHj3e.c









八戒「…と、こうしてワシが小龍を拾ってやったワケじゃ」

悟空「シャオくんかわいそうぅぅぅ…!拾ってくれてありがとう八戒ちゃんっ!」

沙悟浄「刑罰で刺刀を受けるだなんて、結構ハードなコトされてんだねぇ」

三蔵「てかマジで放火犯だったのか小龍」

八戒「うむ。まあ人は見た目では解らぬものよ。虫も殺さんよーな顔をした殺人鬼などそこらに」

小龍「…なに嘘八百吐いてるんですか悟能様」

八戒「ほ。起こしてしまったか」

悟空「えーっ?ウソなの?」

小龍「…なんですか全て燃えろとか情緒不安定ですか。私は天ぷら揚げてて火事を出しちゃっただけですよ」

三蔵「主婦の不注意だ!」

小龍「…まさかあれで家宝まで燃えるわ死罪になりかけるわ、なにがなんだか」

悟空「天界ってこわいよね!常識とか無いもんね!」

沙悟浄「油断出来ないからねぇ。天帝が一番情緒不安定だよホント」
184: 【今回は番外編です】ヨシュア ◆.frSdr10QQ:2013/9/14(土) 21:09:19 ID:LGBzHj3e.c

八戒「…ほほ、まあ戯れじゃ、小龍。この方がカッコいいじゃろ?」

小龍「…まったく……皆さんもう朝になりますよ。少しは寝ないと」

悟空「おお!そだね、朝御飯食べ損ねちゃうもんね!トイレいってこよーっと!」

三蔵「あ、歯ぁ磨いてねーや」

八戒「ワシはひとっ風呂浴びてから寝るかのう」

沙悟浄「シャオ、起こして悪かったねぇ」

小龍「…いえ」

沙悟浄「……ねぇ、あの話。ホントに嘘なのかい?」

小龍「………さあ、どうでしょう」

沙悟浄「…ふふ。お休み、シャオ」

小龍「…おやすみなさい」







…この、知らぬ世界を見よ。

正しくもなく、清くもなく、煤けて汚れた世界を。

しかし、血の通った、この世界を。







外伝『龍と少女』
185: 名無しさん@読者の声:2013/9/14(土) 22:29:15 ID:xI6qAn0DQs
シャオロン君過去編キタ━━( ´∀`),,゚Д゚)・ω・)゚∀゚)^ω^) ̄ー ̄)@∀@)´_ゝ`)゚ー゚)・∀・)゚∋゚)━━!!!!
186: ヨシュア ◆.frSdr10QQ:2013/9/15(日) 21:26:23 ID:GjE.pg6sLA
創作板のイベントだって言うんでお話止めてなんかしました見逃して。

今日は疲れてるんでイベントの更新はこの番外編で見逃して。

台風気を付けてねー。
187: ヨシュア ◆.frSdr10QQ:2013/9/16(月) 14:01:44 ID:dDcXJHxXRg
三蔵「はい皆さんありがとうございましたー!サプライズ演劇、これにて終了とさせて頂きまーす!」

女「すごかったねー!」

男「褐色のねーちゃんの演舞、色っぽかったぜぇ…」

子供「おにーちゃんが竜になったね!ね!」

母親「ねえ、カッコよかったねぇ」




八戒「…なんとか誤魔化せたかの」

悟空「いっぱい拍手貰ったね!楽しかった!」

沙悟浄「姐さん……よくまあそうコロコロと気分が切り替えられるねぇ…」

小龍「…疲れました。私らがここまでする必要があるんですかね」

三蔵「こーでもしなきゃギャラリー散らせなかったろ。みんなお疲れー」

玉面公主「……面白かったわ……」

八戒「なんじゃ、まだ居ったのかお主」

悟空「割り込み子!なんですかまだお説教が足りませんか!」

玉面公主「……三蔵法師…」

三蔵「え?」

沙悟浄「旦那様に近付くな殺すよ餓鬼」

玉面公主「………敵意は無いわ。貴女達のボスは、彼なのでしょう?」

小龍「…何を企んでいるんです」

玉面公主「………これ」

三蔵「…名刺?」
188: ヨシュア ◆.frSdr10QQ:2013/9/16(月) 14:03:34 ID:dDcXJHxXRg
八戒「摩雲カンパニー総帥代理、白面企画(株)代表取締役、玉面公主…」

小龍「…本当にこの遊園地の出資者だったんですね…」

悟空「だからって割り込みはダメだよ!お客さんを蔑ろにして」

玉面公主「……貴女には、これ」

悟空「偉い人だったんだねぇ、じゃあしょーがないねぇ♪」

沙悟浄「年間パスひとつで懐柔されないどくれ姐さん!」

三蔵「ロリで人妻で社長かよ。属性多いなアンタ」

玉面公主「……死んだパパの会社よ……まあ玉が大きくしたんだけど。玉、優秀だから」

八戒「ほほ、自尊の強い者は嫌いではないがの。で?こんな物を見せて何のつもりじゃ?」

玉面公主「……だから、ウチで働かない?ショーのスタッフとして。お給金、弾むわよ……?」

沙悟浄「馬鹿言ってんじゃあないよ!敵の下になんて、アタイらを舐めたら痛い目見せるよ!」

小龍「…立場、というものを知らないようですね」

玉面公主「……人参果」

八戒「…っ!」

玉面公主「……欲しいんでしょう?人参果。働きによっては考えてあげるわよ?……都城ひとつより値の張る代物だけど……玉、やさしいから」

沙悟浄「…し、信用できないね!アンタは旦那様を食らおうとしてる牛魔王の」

小龍「………悟浄、さん…!」

沙悟浄「……シャオ…」

八戒「……」
189: ヨシュア ◆.frSdr10QQ:2013/9/16(月) 14:05:53 ID:dDcXJHxXRg
玉面公主「……まあ、そうなるでしょうね………だから、ボスに訊いたのよ。…どう?三蔵法師」

小龍「…先生、罠だとは解っています。いますが、しかし…!」

八戒「小龍、冷静になれい!」

三蔵「うん、やろう」

沙悟浄「旦那様っ!?」

八戒「師匠殿、悟浄の言う通りじゃ。ワシも敵の情けなぞ………」

三蔵「俺はまだ食べれるレベルじゃないんだろ?捕まっちゃったらまた助けてくれ。八戒、悟浄、お前らの考えはわかるけど、小龍が俺に頭下げてんだぞ?断ったら多分、今後の罵倒で消し飛ぶぞ、俺」

小龍「…先生…!」

沙悟浄「…あーもう!わかったよ!でも少しでも危なくなったら暴れるからねアタイは!」

小龍「…ありがとう、ございます……」

八戒「………いや、皆…すまぬ。小龍、すまぬ。感謝する…!」

玉面公主「……美しい情ね。………決まったかしら」

三蔵「おう。キチッと仕事してやる。そしたら約束通り人参果ってやつを寄越せよ。それと」

玉面公主「……それと?」


ガラガラガラガシャァァァァァァアン…!!!


三蔵「…この弁償代、チャラで」

悟空「ケホッ、ケホッ………あれ?故障?」

八戒「ちょ、なにやっとんじゃ姉者!?」

悟空「え、いや、ジェットコースター乗ってたんだけど」

沙悟浄「何をどーしたらジェットコースターが崩壊するんだい!?てかいつの間に乗って!?」

悟空「いや、なんかもっとスピード出ろ出ろ〜って思ってたら、あれ?」

小龍「……路銀の残りでは、払えそうにありませんね」

三蔵「弁償代プラス旅費も下さい」

玉面公主「………考えとくわ……」
190: ヨシュア ◆.frSdr10QQ:2013/9/17(火) 17:45:50 ID:FYaeDtpdPU
小龍「…やあやあ我こそは、天下無双のそんごくう…」

玉面公主「……もっと元気に。やりなおし」

小龍「…やはり孫悟空役は、悟空さんのが合ってると思うのですが」

玉面公主「……舞台を壊されちゃ敵わないわ。いいじゃない、主人公は男の子の方が映えるわ」

悟空「壊さないよ!私だけ仲間外れ嫌だっ!」

玉面公主「……玉龍役は白馬を用意すれば良いだけだし。子供向けの劇でムダ乳を揺らすのも良くないし」

悟空「すごい怖い目!?」

八戒「…のう、ワシの台詞じゃが、どーしても語尾に『ブヒ』って付けねばならんのか?」

玉面公主「……世間に広まってる猪八戒像は、どんくさくてマヌケでスケベな豚の妖怪だもの……諦めなさい…」

八戒「なんでそんな風に伝わっとるんじゃ!」

沙悟浄「それでもスケベって情報だけは伝わるあたり姐さんだねぇ」

三蔵「で、俺と悟浄が逆なのは?」

玉面公主「……最近の京劇の流行りよ。三蔵法師役は美形の女優が演るものなの」

沙悟浄「美形……!旦那様、聞いた?聞いた?」

三蔵「持ち上げに弱いよなお前も」

玉面公主「……それに沙悟浄って地味で見せ場も無いし、誰でも出来るから」

沙悟浄「なんだってぇ!?」

三蔵「上げられたり下げられたり大変だなお前も」
191: ヨシュア ◆.frSdr10QQ:2013/9/17(火) 17:47:08 ID:FYaeDtpdPU
玉面公主「……子供向けだから、大事なのは殺陣のシーンよ。物語部分は舞台でやるけど、そこは舞台前の広場まで出てきて貰うわ。……孫悟空、貴女はそこでパパ…牛魔王役をやってもらうから。鎧を着込めばクソ乳も隠せるし」

悟空「お、お兄ちゃんの役……てかクソ乳って悪口初めて!なにそれ!」

沙悟浄「…本当に何も企んで無いんだろうね」

玉面公主「……勿論。企んでるのは劇の成功だけよ。……そうそう、殺陣のシーンでは玉が観客に防御結界を掛けておくから。多少本気でやりあってもいいわ。………それじゃ、稽古を続けてて」



沙悟浄「…まったく信用出来ないねぇ……女狐だよ本当」

八戒「何度か殺気を送ってみたがの、眉ひとつ動かさん。あれは強いぞい」

小龍「…無事に終われば良いですが…」

悟空「……クソ乳はひどいよぅ…」

三蔵「でもちょっと楽しんでるだろお前ら」

沙悟浄「い、いやそりゃまあ美形とか言われるとヤル気が出ないでも無いさねムフフゥ…♪」

八戒「台本読んでみたが、猪八戒っておいしい役どころじゃの。台詞も出番も多いしさすがワシじゃ」

小龍「…この京劇の悟空さんの衣装、格好良いなあ、とは……」

悟空「お兄ちゃんのモノマネ本気でいこうと思います」

三蔵「それでこそお前らだ」
192: ヨシュア ◆.frSdr10QQ:2013/9/19(木) 13:07:52 ID:FYaeDtpdPU
三蔵「やー、小龍の孫悟空も板についてきたな。もう一番弟子あの子でいーんじゃないかと思えてきた」

悟空「もともと悟浄ちゃんより兄弟子なんですけどね。無理ですよお師匠さま、『兄さん』って呼べないよ可愛いもん」

玉面公主「……稽古、サボり?」

三蔵「サボりも何もほとんど台詞ねーんだもん沙悟浄」

悟空「私なんて『てきとーに悪い奴やって倒されて』って、これしか書いてないよ台本!紙切れ1枚!差別だよ!」

玉面公主「……それもそうね。三蔵法師、隣、良いかしら」

三蔵「良いけど君が俺に近付くと舞台の上の三蔵法師がメッチャ睨んでくるんだが」

悟空「悟浄ちゃん大丈夫だから私居るから殺気を止めて!乗ってる白馬が怯えてるかわいそう!」

玉面公主「……………」

三蔵「あの、顔が近いです顔が近いです。どうしよう悟空このままだと本能に負けて抱き締めてしまいそうになる!」

悟空「お師匠さま頑張って耐えて!そんなんしたら舞台の上の三蔵法師が爆発しちゃう!白馬今でさえもう汗だくかわいそう!」

玉面公主「………やはり、魂は濁っている。それなのに………」

三蔵「な、なんだよまたレベル鑑定かよ」

悟空「よく耐えたねお師匠さま!魂濁ってるクセに!」

三蔵「……緊箍児?」

悟空「ノー緊箍児。このくらいでやられてたら私のおでこが持たない」

玉面公主「……玄奘三蔵法師……いえ、陳 紅流。貴方は何者……?」

悟空「ちんこ…うりゅー?」

三蔵「そこで切るな!…なんで俺の本名知ってんだよアンタ。喋ってねーぞ俺」

悟空「本名なんてあったのお師匠さま!?」
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名前:
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