尻「…はっ!!誰か居るのですか!?」
三蔵「見たところ20代そこらか。いや、肌の張りからすると、17、8かな」
尻「ああ…こんな人里どころか鳥の声さえ聞こえない不毛の地に、とうとう人が…!しかも声から察するに殿方…!」
三蔵「しかし無駄に毛深いな」
尻「ついに…ついにメチャクチャにされちゃうんですね…!この通りすがりの名も知らぬ殿方に性の捌け口にされちゃうんですね私のお尻…!あと毛深いとかヒドイ」
三蔵「うるさい尻だな…いくら仏の教えとはいえ、こんなのも助けるべきなのか…?」
尻「仏の教え…?僧侶さま…なのですか?」
三蔵「うむ。僧だよ。玄奘三蔵。…それにしても毛深いな…特に尻のあ」
尻「やめて!!…こ、これは失礼をしました…!仏に仕えるお方は、そのような煩悩は無いのですね!」
三蔵「いや俺ロリコンだから。女は10歳以下しか認めない」
尻「おい」
三蔵「下の毛とか意味わかんない」
尻「おいこら」
161: ヨシュア ◆.frSdr10QQ:2013/9/7(土) 18:39:21 ID:Ie5.npZXAs
牛魔王「しかし安心したぜ孫。封印されてた割にゃあ、腕は衰えてねぇみたいだな」
悟空「え、うん、えへへへへ……」
三蔵「お前カッコよく出てきたのに敵と一切目を合わせないのな。カッコ悪いぞ悟空」
悟空「うるさいですよもう!お師匠様もいつまでも尻もちついてないで、離れてて下さいよ!」
三蔵「いや腰が抜けて立てねえんだよ」
悟空「そんな人にカッコ悪いとか言われたくない!」
牛魔王「おうおう、イチャイチャしやがって、くくく」
沙悟浄「そのイチャイチャちょっと待ったぁ!」
八戒「お主まで止めぃ悟浄、ワケがわからんことになる」
小龍「…本当に先生が絡むと、真面目が続きませんね…」
牛魔王「くく、こんな孫も面白ぇな。さて」
狐耳の幼女「……もう行こうよ、パパ」
牛魔王「うお、何だよ来たのかよ」
悟空「……誰?」
三蔵「紹介して欲しい」
沙悟浄「浮気だよ旦那様っ!キィィッ!」
八戒「娘を連れてくるとは、遊覧か何かのつもりかの、牛魔王」
小龍「…我々など遊びついで、とでも言うんですかね」
牛魔王「あ?コイツは俺の女だぜ?」
狐耳の幼女「……牛魔王が第二夫人、玉面公主」
八戒「なんと」
162: ヨシュア ◆.frSdr10QQ:2013/9/7(土) 18:40:56 ID:Ie5.npZXAs
悟空「…お兄ちゃん……相変わらずの守備範囲の広さだね……」
小龍「…先生、何も泣かなくても」
三蔵「だって!だって夫人って!妻って!」
沙悟浄「なんで…!なんでアタイは幼女じゃ無いんだいっ…!」
牛魔王「玉、霊感の奴と遊んでろって言ったじゃねぇかよ。も少し俺にも遊ばせてくれよ」
玉面公主「……やだ。今日は玉と一緒の約束。それにあの魚つまんないから、壊しちゃったし」
四弟子「…!」
牛魔王「くくくくっ!夫の友人を殺すたぁ、流石は玉だぜ!仕方ねぇ孫、今日は仕舞いだ。そうだ玉、お前、コイツらどう見る?」
玉面公主「……三蔵法師は、まだ食べ頃じゃない。魂に不純物が多い」
悟空「つまり心が汚ないと」
三蔵「そーゆー意味だとしたら僧侶として少し反省」
玉面公主「……一番できるのは沙悟浄。動きがまあまあ。次が孫悟空。力は大きいけど使いこなせてない」
沙悟浄「なんか褒められたよ?」
悟空「えー納得いかない」
玉面公主「……玉龍はまだまだ若い。そして」
小龍「…まあ悟能様の例が有りますから、私より年上なのでしょうね、この方も」
玉面公主「……猪悟能。貴女は弱い」
八戒「………」
玉面公主「……まあ自分でも解ってるだろうけど。ねえパパ、もういいでしょう?」
牛魔王「おう、成る程な。坊さんよ、もっと修行しとけ、今じゃ食っても仕方ねえってよ。…よし、行くか玉。朝まで寝かせねえからな、くくく」
玉面公主「……いやん」
163: ヨシュア ◆.frSdr10QQ:2013/9/7(土) 18:47:23 ID:lg2kHXsfJw
悟空「…か、帰ってくれたぁぁぁぁぁぁあ………!」
三蔵「悟空、地べたに寝るなよ汚ないぞ」
沙悟浄「よほど恐かったんだね、姐さん」
悟空「実は少し漏らしてます」
三蔵「うわぁ近寄るな」
小龍「…悟能様」
八戒「…うむ。お主にも、皆にも説明せねば、の」
悟空「お師匠さまひどくないですか!?助けたのにそんなちょっと漏らしたくらいで!」
三蔵「いやお前よく見たらだいぶいってるじゃねぇか下半身グッショリじゃねぇか!」
沙悟浄「替えのズボンあったかねぇ…」
八戒「……皆、話がある。聞いて欲しい」
悟空「なんですか!幼女のおしっこと私のおしっこの何が違うっていうんですか!」
三蔵「高級シャンパンと出涸らしの番茶くれぇ違ぇよ」
沙悟浄「これが魂の不純物…!いつかアタイが取り除いてあげるからね旦那様…!」
悟空「でも取り除いちゃったら食べられちゃうよねお師匠さま」
三蔵「つまり未来永劫ロリコンでいろ、と」
八戒「おーい。これからワシけっこーシリアスな話するんじゃから纏まれい」
164: ヨシュア ◆.frSdr10QQ:2013/9/8(日) 18:36:39 ID:Ie5.npZXAs
八戒「結論から言うとじゃな。ワシの妖力は、もうゼロに近い」
悟空「…お腹空いてるの?」
沙悟浄「トシかい?」
小龍「……妖力、ですか」
八戒「…まあ、わからんじゃろな」
三蔵「頼むから俺みたいなフツーの人間にも解るように説明してくれ」
八戒「うむ。師匠殿もワシ等の戦闘を見ておるじゃろ?ほれ、姉者が毛で分身を作り出したり、悟浄が幻術を使ったり、じゃ。あれ全て、妖力という力を使うとる。仙力とも言うの。人間が使うところじゃと、法力や気力の様なものじゃ」
三蔵「習った習った。でもその試験、ヤマ張って外したなー」
悟空「よく僧侶になれましたねお師匠さま」
八戒「無論この力は、腕力や脚力…基本的な戦闘能力にも反映される。体力と同じで無限では無いが、まあ栄養を採って一晩ぐっすりと寝れば、回復するモノじゃな」
沙悟浄「……姐さん、つまりどーゆーことだい?」
八戒「じゃから、もうワシにその妖力が無いんじゃよ。ワシは妖力が回復せんのじゃ。先の牛魔王との小競り合いで、ほぼ使いきったからの」
小龍「…何か隠されているとは感じていましたが、妖力が回復しない…?呪いかなにか、受けられたのですか?」
沙悟浄「そんな呪い、聞いたことないねぇ」
八戒「…呪い、か。似たようなモノかもの。小龍、主は天帝に裁かれて、どうなった?姉者、悟浄にも訊こう」
小龍「…どう、と言われましても。ご存知の通り、極刑は免れましたが、下界へと堕とされました」
沙悟浄「アタイもおんなじだね」
悟空「…私は岩の中に封印のオマケ付きだけどね…」
八戒「ほほ、姉者は罪が図抜けておるからの。ワシも姉者程では無いが、天帝も相当お怒りでな。下界に堕とすだけでなく、人間へと転生させられかけたのじゃ」
沙悟浄「え、でも姐さん」
八戒「お前らアレじゃろ、ワシが豚ベースの妖仙じゃと思っとるじゃろ。これはの、転生させられる間、滅茶苦茶に抵抗したらどーゆーワケか、豚の胎内に入り込んでしもうたのじゃ」
悟空「うわあ」
沙悟浄「魂だけで暴れるとか、姐さんらしいねぇ…」
八戒「まあ人じゃろうと豚じゃろうと、そのままではワシはワシで無くなってしまう。必死で肉体情報を持ち越そうとした。で、先の話に戻るがの。なんとか妖仙として転生出来たは良いが、妖力だけは持ち越し『のみ』じゃった。この身体は、新たな力を一切生まぬ」
沙悟浄「…そういうワケかい…」
小龍「…悟能様」
165: ヨシュア ◆.frSdr10QQ:2013/9/8(日) 18:39:30 ID:Ie5.npZXAs
八戒「旅に出るまでは、力を使うほどの敵になど会わんかったからの。………そんな顔をするでない。九歯馬鍬もある、その辺の雑魚ならば……ん?師匠殿と姉者は?」
小龍「………あ、河の方に」
悟空「ねえ飼っていい?飼っていい?」
三蔵「水槽を持ち運ぶワケにもなあ」
八戒「これお主ら。人が真面目に話しとるのに、ちぃとは大人しく聞いてられんのか」
三蔵「いや、なんか水辺でバチャバチャと音がして」
沙悟浄「そういや氷が無くなってるね」
悟空「可愛いの見つけたんだよ!ねえお師匠さま飼いたい飼いたい!」
小龍「……これは……珍しい金魚ですね」
金魚『……金魚とか。そりゃ金魚だけど。好きでこんなんなってるワケじゃないっつの…あーもー嫌だ…ぞろぞろなによ煩い煩い…』
三蔵「この声」
八戒「…霊感大王」
沙悟浄「殺されたんじゃなかったのかい?」
金魚『……あんな狐なんかに殺されるとかあるわけないじゃん頭沸いてんのかなこの人……不意を突かれただけだし油断しただけだし私もともと喧嘩とかバカみたいなコトしないし……』
三蔵「…お前コイツほんとに飼いたい?」
悟空「やっぱ良いや口悪いしジメジメしてるし」
八戒「ほほ、何とか逃げたのか。しかし見たところ、力のほぼ全てを投げ出したようじゃの。音に聞こえた霊感大王も、これまでか」
金魚『……黙れば良いのにチビのくせに上から目線やめてよウザいウザい……あーあ、これじゃ何にも出来ないじゃんプランクトンでも食べながら生きてくしかないじゃん……』
小龍「…少し不憫ですね。まあ人を食らってきた報いですが」
金魚『……同情するならなんとかしてよ口だけで何言ってんのよ帰れよ……ほんと哀れむなら人参果の一つでも持ってきてよそしたら元の妖力だって戻るのに……』
八戒「…!おい霊感大王、その話詳しく」
金魚『……人にモノ訊く態度じゃないよね頭が高いよねまず呼び捨てって』
八戒「姉者、塩焼きと刺身、どちらが良い?」
悟空「あえての天ぷらかな」
金魚『はい話しますカラッと揚げないで』
166: 名無しさん@読者の声:2013/9/8(日) 20:28:54 ID:uCKO46U9Zc
一位おめでたうございます!!
167: 名無しさん@読者の声:2013/9/8(日) 21:54:27 ID:a1Vd159yFg
八戒ちゃんファイト!
っCCCCCCCCCCC
168: 名無しさん@読者の声:2013/9/8(日) 22:32:20 ID:GvDxSQ9qhY
支援私怨紫煙死怨
好きなのどうぞ
169: ヨシュア ◆.frSdr10QQ:2013/9/9(月) 12:47:01 ID:SCU1uCVRO.
虎力大仙「…牛魔王様、どうぞ一献」
牛魔王「おう。しかし虎力よ、見ねえ内に随分と女っぷりを上げたじゃねぇか。どうだ今夜?」
鉄扇公主「……ほほほ」
玉面公主「…………」
虎力大仙「ぎゅ、牛魔王様ったらお戯れを、あは、あはははは…(ひぃぃ睨んでる睨んでる奥様方めっちゃ睨んでるぅぅぅう!!!)」
玉面公主「……玉も、おかわり」
羊力大仙「は。畏まりました玉面公主様」
鉄扇公主「…あら。私の杯も、とうに枯れて久しいのですけど」
羊力大仙「…こ、これは…!今直ぐに!失礼をばっ…!」
紅孩児「で、どうされたのですか父上。皆で食事だなんて、珍しい」
牛魔王「なあに、酒は大勢でやった方が美味いだろ?ほら、アレだ、家族団欒ってヤツだ」
紅孩児「ふふふ、似合いませんよ父上。僕はてっきり、何かお叱りを受けるのかと恐々としましたよ」
牛魔王「叱られるようなコトでもしやがったのか?ん?」
紅孩児「さあ、どうでしょうね。ふふ」
玉面公主「……これ、美味しいよパパ。あげる」
鉄扇公主「…玉面さん。その『パパ』というのは止めませんこと?曲がりなりにも天下の平天大聖が第二夫人としては、ちょっと、ねぇ」
玉面公主「……玉はちいさいから。おばさんとは違う」
鉄扇公主「おばっ…!?」
虎力大仙「りょ、料理の追加をお持ちしますねっ!」
羊力大仙「鹿力!わ、我輩も厨房を手伝おうか?」
鹿力大仙「あん?ちょっと待てよ今いー感じでガチョウが焼けるんだからよ。火加減が命だぜ…よし!」
紅孩児「…では父上、僕から父上にお叱りがあるんですがね」
牛魔王「ほぉう?」
紅孩児「止めて下さいよ、横槍は。三蔵法師の件は、僕の預かりでしょう?上にチョコチョコと手を出されては、部下に示しがつきませんよ」
牛魔王「孫のヤロウに挨拶しただけじゃねぇか。義妹に会いに行って何が悪い」
紅孩児「聞けば霊感大王様のお命すら。…まあそれは兎も角、僕に全て任せる約束ですよ?牛魔王は一度下した言すら」
170: ヨシュア ◆.frSdr10QQ:2013/9/9(月) 12:58:57 ID:MKG0EmJtgQ
牛魔王「わーかったわーかった!全く生意気言うようになりやがって!」
玉面公主「……なんか食欲ない」
鉄扇公主「あら、ご気分が優れないの?でしたら無理にここに居なくとも、奥に寝室を御用意させますわよ?」
玉面公主「……誰かさんの香水がきつい。くさい。トイレの芳香剤?」
鉄扇公主「あらあらあら…!それは困った誰かさんですわねぇ…!」
虎力大仙(もー無理!もーっ無理!なにこのギスギスした空間!?紅孩児も牛魔王様になんか突っ掛かってるし!)ヒソヒソ
羊力大仙(我輩、胃に穴が空きそうである!帰りたい!帰りたいぞこれは!)ヒソヒソ
鹿力大仙「おーし!ガチョウがうまぁく焼けたぜ皆!皮はパリパリ肉はジューシー…って、どーしたお前ら、汗がすげぇぞ?」
虎力大仙「……馬鹿は気楽で良いわよね…」
羊力大仙「…その心臓、分けてくれ本当に…」
鹿力大仙「?」
171: ヨシュア ◆.frSdr10QQ:2013/9/10(火) 15:02:33 ID:esaHs83m3Q
虎力大仙「……はぁぁ……つかれた……」
紅孩児「…やあ」
虎力大仙「…紅孩児。奥様方は?」
紅孩児「母上はやっと部屋に戻ってくれたよ。玉面さんも帰った」
虎力大仙「牛魔王様が早々に寝てくれて助かったわね。あんなんで朝までコースとかやられたら堪んないわ」
紅孩児「ふふ、御苦労様。鹿力さんと羊力さんは?」
虎力大仙「…鹿力は『そーいや俺、作ってばっかでなんも食ってねぇ!』とか言ってゴハン食べに。羊力はマジで胃に穴が開いて病院。労災出るんでしょーね?」
紅孩児「なんとも正反対な二人だね……」
虎力大仙「…アンタも随分ゲッソリしてるじゃない。ママの愚痴の相手、きつかったみたいねー」
紅孩児「ふふふ。で、虎力さん、好きな人いるの?鹿力さん?羊力さん?まさかウチの父上?」
虎力大仙「いやなにイキナリその乙女チックな話題、気持ち悪っ!」
紅孩児「良いじゃないの女同士そんな照れないで」
虎力大仙「鹿力と羊力は家族みたいなモノだし、そ、そりゃ牛魔王様はカッコいいけど……じゃないわよ。なにどうしたの大丈夫アンタ?」
紅孩児「母上と玉面さん連続でドロドロとした愚痴を聞かされた身にもなってくれ!もう辛い!ピュアな空気に浸りたい!女の汚い所をもう見たくない!」
虎力大仙「お、おちついて」
紅孩児「父上に絡んでたのも、あの二人と話したく無いからなのに!虎力さんたちは片付けだなんだってすぐに逃げるし!玉面さんはなんか『パパと同じ匂いがする』とかで僕に引っ付いてくるしそれを見てさらに母上は激昂するし!しまいにゃ芭蕉扇持ち出そうとするし館ごと吹き飛ばす気かあの人は!」
虎力大仙「どうどう」
紅孩児「これだから女は…!僕はこんなことなら男で良かった…!ドロドロドロドロと面倒臭い…!」
虎力大仙「ま、まあまあ。紅孩児美人なんだから、そんな勿体無いコト、ね?」
紅孩児「……虎力さん…」
虎力大仙「さて、アタシも全然飲めなかったんだから、付き合いなさいよ。行くわよ」
紅孩児「…やさしい……もしかして虎力さん、僕のこと…!でも僕には悟空が……そうだそれなら二人とも」
虎力大仙「アンタやっぱ牛魔王様の子供だわ」
172: ヨシュア ◆.frSdr10QQ:2013/9/11(水) 19:27:16 ID:yNWzRbQuPg
「万寿ランドへ、ようこそ〜!」
三蔵「……なんだこりゃ」
八戒「……遊園地、じゃの」
小龍「……霊感大王さんの話では、万寿山は五荘観、という寺にあると言ってましたけど…」
悟空「お師匠さま!私あれ!あれ乗りたい!」
沙悟浄「デ、デートの定番…!ゆうえんち…!」
三蔵「うーん、俺もガキの頃ならワクワクもしたろうが、こうも原色でゴテゴテしてると気が引けちまうな。これが大人になるってコトなのか…」
八戒「回転木馬に興じとる幼子をガン見しながら何を言うとるか。しかしこの有り様……霊感大王が嘘を吐いたとは思えぬが、目当ての人参果、何処にあるものやら」
小龍「…お寺は見当たりませんね。奇妙な城やら、可笑しな建物だらけです」
沙悟浄「よし手分けして探そう!姐さん達とシャオはあっち、アタイと旦那様は観覧車を!」
悟空「えー、やっぱりまずはなんか食べたい!えっと…あっ!あのお店!」
三蔵「お前らマジで引っ張り合うの止めろ比喩じゃなく体が裂けるテーマパーク殺人事件になる」
八戒「…お主ら、遊びに来たワケでは無いぞ?」
悟空「違うよ八戒ちゃん、ほらあのお店!売ってるよ、人参果!」
八戒「そう、ワシの力を戻せるはずの人参果を………なんじゃと?」
173: ヨシュア ◆.frSdr10QQ:2013/9/11(水) 19:28:35 ID:yNWzRbQuPg
小龍「…人参果アイス、人参果ジュース、人参果まんじゅう…」
沙悟浄「とろける人参果プリン、ちょっぴり大人のビターな人参果ティラミス……選り取りみどりじゃないのさ、姐さん」
八戒「…ほほ……ワンコインで買えちゃうのう」
悟空「おにーさんっ!人参果焼きそばと人参果シェイク!」
店員「はいよっ」
三蔵「スイーツに行かないあたりが悟空だぜ。店員さん、この人参果って」
店員「おっと、お客さん万寿ランドは初めてかい?人参果ってぇのは、ここらの地域に伝わる伝説のフルーツよ!その実を匂うだけでも万年長寿、食えば仙人にだってなれるっつー代物だ!ま、伝説だけどな!」
小龍「…え。ではこの人参果料理は」
店員「あっはは、悪ぃな坊っちゃん、子供に嘘をつけねぇもんなあ。ニセモノだ。でも兄ちゃんが最高の食材を選んで作ってっからよ!ガッカリしねぇで食ってってくれ、な!ほら、これはサービスだ!」
小龍「…ぐるぐる飴を貰いました、悟能様」
八戒「…良かったのう」
悟空「やひほあ、おひひぃお!」
三蔵「あ、うん美味いな人参果焼きそば」
沙悟浄「食べたら観覧車乗ろうよ旦那様」
八戒「…ワシも遊園地モードに入って良いかのう」
小龍「…いや悟能様の用事でしょうに」
174: 名無しさん@読者の声:2013/9/11(水) 21:10:42 ID:HJiOnTdgsw
会話のテンポが良くてこのSS大好きだよー!
175: ヨシュア ◆.frSdr10QQ:2013/9/12(木) 19:46:00 ID:jrYEHBO52g
沙悟浄「んふふふふぅ…♪観覧車、楽しかったねぇ旦那様ぁ♪」
三蔵「一時間も並んでゆっくり回るだけとか、俺には意味がわからん」
沙悟浄「そんなこと言って、てっぺんまで来たときテンション上がってたじゃないのさ、んふふぅ♪」
三蔵「…まあ、それは。てか悟浄そろそろ腕を離してくれ手の感覚が無くなってきた!」
八戒「楽しそうじゃの、まったく」
沙悟浄「あ、姐さん。ゴメンよ、アタイと旦那様の方は収穫無しだったよぅ♪」
小龍「…まあこの二人で真面目に聞き込みしてるはずないですけどね」
三蔵「誰と組んでも俺に決定権など無かろうに。そっちはなんか掴めたのか?」
八戒「うむ、思うたより地元の者が少のうての。じゃが眉唾でも無さそうじゃ。もう少し調べたいところじゃがな」
三蔵「まあ宿とかも充実してるし、ゆっくりと……で、一応聞くけど悟空は?」
小龍「…ジェットコースターの列に。どうしても乗りたい、と」
八戒「3時間待ちとかじゃったの。流石に時間のムダではないかと止めたのじゃが」
三蔵「子供かアイツは」
沙悟浄「よっぽど觔斗雲の術の方がスピードもスリルも上だろうにねぇ、悟空姐さん」
八戒「言ったがの。『それとこれとは違うの!』だそうじゃ」
小龍「…自由な人ですからね」
三蔵「……そんでそろそろ突っ込むけど、お前らそのネコ耳やらウサギ耳やら風船やら光るウチワやら、なんなの?」
沙悟浄「遊園地に馴染み過ぎだよ二人とも」
176: ヨシュア ◆.frSdr10QQ:2013/9/12(木) 19:47:33 ID:jrYEHBO52g
ネコ耳八戒「…いや、これはの?遊んでたとかじゃ無いのじゃ。本当に」
ウサ耳小龍「…くれるんですよ、周りが。なんかこう、微笑ましいモノを見る顔で」
沙悟浄「あー、端から見たら可愛らしいお子様カップルだもんねぇ、二人」
三蔵「実際は非道君主と冷淡従者なのにな」
八戒「お、なんかそれカッコいいのう」
小龍「…悟能様は非道ではありませんよ。たまにやり過ぎるだけです」
沙悟浄「…たまに?」
三蔵「やり過ぎるっつーかヤり過ぎっつーか。ん?なんだあの人だかり」
八戒「おお?あんな塔、建っとったか?」
沙悟浄「いや、無かったハズだよ。あんなデカイの何処から…なんか傾いてないかい?」
小龍「…揺れてるようにも見えますね。人だかりで根本は見えませんが、何でしょうねあの赤い塔は…」
一同「……………………………」
三蔵「違ぇあれ悟空の如意棒だ!」
八戒「こんな場所で何をおっ立てとるんじゃあの阿呆姉者は!」
沙悟浄「まったくあんな大きくしてどーゆーつもりだい!?」
小龍「…なぜ自分の股間を見たのですか先生」
三蔵「わかってるのに訊くのは良くないな小龍くん」
177: ヨシュア ◆.frSdr10QQ:2013/9/13(金) 15:35:07 ID:f7g/DA//3A
三蔵「ちょっとすんません、すんません」
八戒「ええい、なんという人混みじゃ。煩わしいっ」
沙悟浄「悟空姐さん、トチ狂って如意棒振り回さないでおくれよ……っ!誰だい今アタイの足踏んだのっ!」
小龍「…こんな所で悟空さんが暴れたら、大惨事になりますからね」
三蔵「本気のアイツって山とか壊しちゃうんだろ?アカンアカンそれはアカン」
八戒「ぷへっ!ふぃ、やっと見えた……」
若娘「なになに?演劇かなんか?」
男「すごいなあの娘、あんなでっかいモン持ち上げて」
女「バカね、きっと風船かなんかで、糸とかで吊ってるのよ」
悟空「謝るんなら今のうちですよ!これ以上ふざけたコト言うなら、ペシャンコにしますからね!」
玉面公主「……玉は悪いことしてないもの。貴女に下げる頭なんて、無いわ……」
悟空「むっかぁぁあ!何ですかその態度は!やって良いコトと悪いコトの区別くらい出来ないんですか!」
玉面公主「……無双の大罪人、孫悟空がそれを言う……?」
悟空「私はここまで非道いコトしてないもんっ!」
三蔵「おーい!なにやってんだ悟……お。先日のクールビューティロリ人妻」
沙悟浄「むっ」
小龍「…玉面公主…!」
八戒「……ほう。いくら姉者とは言え、考え無しに臨戦体制にはならんと思うとったが。確かにこの者相手なら、油断は禁物じゃの。じゃが姉者よ、得物はも少し小さくせい。周囲に被害が出るぞい」
玉面公主「……お仲間さんが、なにか言ってるわよ……」
悟空「話をそらさないで!やっぱり地面にめり込まないと反省出来ませんか!?」
178: ヨシュア ◆.frSdr10QQ:2013/9/13(金) 15:37:36 ID:f7g/DA//3A
八戒「…おぅい、姉者?」
沙悟浄「頭に血ぃ上って、聞こえちゃいないね。まずいよ、このままバトルし出したら、この前の紅孩児の時みたいに…」
小龍「…最悪、周りの人間たちを安全な場所まで…」
三蔵「あんのトラブルメーカーめ……そもそも何をそんな怒ってんだアイツは。しゃーねぇなあ」
沙悟浄「ちょ!旦那様あぶないよっ!」
八戒「あの今にもはち切れそうな姉者の気。ワシでも容易に近づけんと言うに……師匠殿は大物なのか馬鹿なのか」
小龍「…大物で馬鹿なんじゃないですか?」
悟空「よぉぉしもぉ謝っても許しませんからね…!真っ赤なトマトになってグチャっと」
三蔵「グロいわボケ」
悟空「しっぽっ!?」
三蔵「なにキレてんだお前は。迷惑かけるんじゃありません全く」
悟空「…お、お師匠さま……。だ、だってだって!あの子が!あの子が悪いんですよ!」
三蔵「そうか毛玉オバケとかバカにされたんだな、辛かったな悟空…」
悟空「誰かさんのおかげで免疫が出来ましたんで、それくらいじゃキレませんねぇもう」
179: ヨシュア ◆.frSdr10QQ:2013/9/13(金) 15:38:50 ID:f7g/DA//3A
玉面公主「…………へえ」
八戒「落ち着いてくれたようじゃの」
沙悟浄「さっすが旦那様!」
小龍「…で、コトの起こりは何なんですか?」
悟空「あ、みんなも。いやでも本当にあの子が悪いの!」
玉面公主(……羽虫一匹、肌に触れようものなら弾ける。そんな武威だった。それを一瞬で緩く、弛く。……玄奘三蔵法師……)
悟空「私、もう二時間は並んでるのに!あの子割り込んですぐに乗ろうとしたんだよジェットコースター!」
玉面公主「……玉はここのスポンサーだもの。当然の権利だわ…」
悟空「スポンサーだかスッポンポンだか知らないけど、みんなずっと待ってるんだから!ちゃんと並んで!」
玉面公主「……貧乏人と違って、玉は時間を大切にするタイプだから…」
悟空「やっぱりペシャンコにしてや痛い痛い痛いっ!お師匠さまなんでっ!?」
三蔵「なんでじゃねぇよ下らねぇ!」
八戒「…姉者」
沙悟浄「…姐さんらしいけど、ねぇ」
小龍「…これは流石に」
悟空「なんでっ!?悪いことじゃんっ!なんでみんなそんな冷たい目をっ!?ちょっとお師匠さまの気持ちがわかったコレは辛いよ!」
三蔵「だろう?特に小龍がヤバイだろ?」
悟空「でもちょっとゾクゾクする何かに目覚めそうになる!」
180: 【今回は番外編です】ヨシュア ◆.frSdr10QQ:2013/9/14(土) 20:58:17 ID:LGBzHj3e.c
こんな世界なら。
すべて燃えてしまえば良いと思った。
「その罪、赦すに重く」
「その火、悪に燃ゆる」
「龍の息子は、火の子なり」
「龍の息子は、罪の子なり」
この身体を貫く刃を見よ。この鮮血に染まった刃を見よ。
我が子を刑台に躊躇いなく突き出す親を。
表情すら無い、天人の顔を見よ。
「…お前らなんて、死ねばいい」
牙を剥き出し、眼を見開いて、幾度と知れず口を汚す。
「悪の蛇に、裁きを」
「道を知らぬ罪人に、教えを」
天に裁かれながら、天を信ぜよ。
天に刃を突き立てられ、天を尊べ。
ただただ正しい、正しいだけの世界を見よ。
……クソ食らえだ。
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