勇者「あ、あああああなたが魔王ね!!」
魔王「・・・1人でのこのこと殺されに来るとは殊勝な事だ。
ふむ、まさか勇者がこんな歳若い娘とはな・・・ククク」
勇者「う、うるさい!ここで会ったが百年目!世界に平和を取り戻すために
あなたを倒してみせる!」
魔王「いいだろう。倒せるものならしてみるがいい。・・・さぁかかってくるがよい!」
勇者「言われなくとも!てやー!!!」
ズルッ
ドテッ
勇者「ふぎゃっ」
魔王「えっ」
534: ◆Gw31v9ceXw:2012/2/25(土) 03:33:53 ID:g.AV2R2.bU
勇者「もう…帰られ…るんですか…?」
側近「ええ。遊びに来た訳ではありませんし。そろそろお暇しないと」
魔王「…元々、俺は此処に来る予定なんて無かったんだよ。偶々、こうなっただけで。コレ以上居座る必要なんて無い」
勇者「そ、そう、ですか…。そうですよね…」
魔王「それに、あんまりこの村に長居してもお前らが白い眼で見られるだけだぞ」
賢者「その件に関しては心配するな。もう白い眼で見られている」
勇者「胸を張って言う事じゃないと思うの…お兄ちゃん」
535: ◆Gw31v9ceXw:2012/2/25(土) 03:34:14 ID:g.AV2R2.bU
側近「…」
側近「勇者さん。勇者さん」コイコイ
勇者「なんですか、側近さ…わぁ!」グイッ
魔王「?」
側近「付いてきて下さい」ボソッ
勇者「え?」
側近「何だかこの家、熱気が凄いので少し外で涼んできます。心細いので勇者さんにも付いてきて貰いますわ」グイグイ
勇者「わ、わ!」グイグイ
バタンッ
賢者「…」
魔王「殺気やめて」
536: ◆Gw31v9ceXw:2012/2/25(土) 03:34:40 ID:g.AV2R2.bU
−−−
勇者「いたいっ!痛いですっ側近さん!もうっ、どうしたんですか!いきなり!」
側近「…良いですか。耳も目もかっぽじって良く聞いて下さい。見て下さい」
勇者「ん…?」
側近「前に一度、魔王様は先代の魔王に呪いをかけられて今の姿になったと…そう説明した事覚えていますか?」
勇者「!…う、あ、はい」
勇者「…魔王さんは、元人間で…私と同じ、勇者、だった…」
側近「はい、そうです。もう、何百年前のお話ですけどね」
537: ◆Gw31v9ceXw:2012/2/25(土) 03:34:56 ID:g.AV2R2.bU
勇者「それが…どうかしたんですか?まさか、魔王さんの身に何か…」
側近「そういう不吉なお話をしに此処に連れ込んだのではありません。見て貰ったら早いでしょうが、コレを」スッ
勇者「?…これは…本?魔導書?」
側近「はい。さすがの阿呆の勇者さんでも、コレが何なのか分かっていただけで良かったです」
勇者「うぐ…」
勇者「ば、馬鹿にしてますね…」
側近「はい」
勇者「むぅ〜…!」
538: ◆Gw31v9ceXw:2012/2/25(土) 03:35:11 ID:g.AV2R2.bU
側近「そんな事はさて置き、此の魔導書。どうやら、魔王様の呪いと解く方法が記されているみたいなんですね」
勇者「!!ほっ、本当ですか!?」
側近「えぇ。ただ、この解呪出来る人物はそう」チラッ
勇者「?」
側近「勇者さん、貴女だけなんですよ」
勇者「えっ。…ええええ!?」
側近「喧しい」
539: ◆Gw31v9ceXw:2012/2/25(土) 03:35:26 ID:g.AV2R2.bU
勇者「な、何で…私が…!」
側近「さぁ?ただ、魔王を倒せれるのも勇者だけだし。当然の法則なんじゃないんですか?それは分かりません。作った人に聞いて下さい」
勇者「そ、んな無茶苦茶な…」
側近「無茶苦茶で結構。どうして僕が此処まで必死になって、貴女を庇って、貴女の村を脅かそうとした魔物と対峙したと思ってるんです?まさか、自分の為だなんて思っていないでしょうね?」
勇者「…魔王さん、の為ですよね?」
側近「えぇ、そうです。僕はあの方に命救われたようなモノですし。借りがあるんですよね…大きな大きなね。恩を仇で返す気なんて毛頭無いですし。僕に出来る事と言ったらこれくらいですから」
勇者「…」
側近「嫌、と言っても無理矢理にでも解呪させますから」
勇者「脅し、ですよ…それ」
540: ◆Gw31v9ceXw:2012/2/25(土) 03:35:45 ID:g.AV2R2.bU
私は少し、逡巡した。
逡巡する必要なんて無い筈なのに、してしまった。
魔王さんの呪いが解ければ、恐らく、きっと、魔王さんは元の人間の姿に戻れる。
それはとっても喜ばしい事。
でも、魔王さんが人間に戻ったら、魔王城に住んでいる魔物さんや、今目の前に居る側近さん達の存在はどうなるのだろう。…消えて、しまうの?
魔王を倒したら魔物が居なくなるのと同じ原理、消えてしまうんだろうか?
それは、とても、嫌だ。
勇者「私、は…」
側近「…僕らの事なら、心配は要らないよ」
勇者「え…」
それは酷く優しい声だった。
541: ◆Gw31v9ceXw:2012/2/25(土) 03:36:00 ID:g.AV2R2.bU
側近「君の事だろうから、僕ら魔物の存在を心配してくれたのだけれど」
側近「大丈夫。もうみんな覚悟は出来ている。ありがとう」
―突然人が変わったような優しい声。何時も通りの冷たい視線も無い。穏やかな眼をしていた。
―穏やかな眼差しだけじゃない。その眼には強い意志も込められている。
―人が、中身が見えてしまう程、一生懸命なんだ。
側近「酷な願いを頼んでいる事は重々承知だよ。これは僕らの我儘だ」
側近「魔王様の魔力が噴き出す恐れも否めない。魔王様が苦しむ姿は見たくないから。みんなね」
側近「死は恐れない。無も恐れない。本当に怖いのは、大切な人が傷付く時だ」
側近「だから、勇者。受け入れてくれないか。僕達のお願いを」
側近「我儘で、すまない」
542: ◆Gw31v9ceXw:2012/2/25(土) 03:36:17 ID:g.AV2R2.bU
−−−
賢者「…あの2人、何をしに行ったんだろうな」
魔王「…す、涼みに行ったんだろう?」
賢者「に、しては少し遅いと思わないかい?」
魔王「そうか?逆上せてから冷えるまでにはこれくらいの時間が有するんじゃないのか?」
賢者「ってか、そもそもこの家そんなに蒸し暑くなんざねーよ!!!寧ろ涼しいわ!!隙間風が吹いてきて逆に寒いわ!!!」ダンッ
魔王「うっ、うおあ!!!」ビクッ
543: ◆Gw31v9ceXw:2012/2/25(土) 03:36:35 ID:g.AV2R2.bU
賢者「あぁもう、我慢ならん。連れ戻しに行く」スタスタ
魔王「いやいや待て待て。確かにアイツらの様子は不自然だったし、涼みに行くにはあまりにも展開が急だ」
賢者「だろう?だから無理矢理にでも連れ戻す。こんな夜に男女2人きりなんて危ない。妊娠する」
魔王「発想が突飛すぎるぞ!どんだけシスコンなんだよ!…待て、落ち着け、な?茶飲めよ、茶」
賢者「そんな不味い茶は要らん!!」
魔王「アンタの妹が淹れたヤツだぞ!?」
544: 名無しさん@読者の声:2012/2/25(土) 14:53:00 ID:n.c7U/3INQ
CCCCCC
545: 名無しさん@読者の声:2012/2/25(土) 17:50:24 ID:YEKrbKpH2U
4円4円
546: 名無しさん@読者の声:2012/2/25(土) 19:52:47 ID:wmewq2ymjk
支援
547: 名無しさん@読者の声:2012/2/26(日) 19:12:53 ID:0Q/S9R03Ys
しえ〜ん
548: 名無しさん@読者の声:2012/2/26(日) 23:01:50 ID:bad939XkgI
やっと追いついた 支援
549: 名無しさん@読者の声:2012/2/26(日) 23:04:01 ID:ckuIzWtpdw
無駄な改行いりません
550: ◆Gw31v9ceXw:2012/2/26(日) 23:30:52 ID:g.AV2R2.bU
この週で終わるとか言ってすみませんでした。
終わりませんでした。
申し訳ありませんがもう少し時間を頂ければ幸いです。すみません。
551: 名無しさん@読者の声:2012/2/26(日) 23:41:43 ID:wSoY8fgyqA
最後まで付き合いますよ!
支援C
552: 名無しさん@読者の声:2012/2/27(月) 00:40:29 ID:Drdi/RDOBg
追い付いてしまった
支援
553: ◆Gw31v9ceXw:2012/2/27(月) 01:22:36 ID:g.AV2R2.bU
魔王「じ、じゃあ、アレだ。俺が見てきてやるよ。な?だから落ち着けって。アンタは座っとけよ」
賢者「落ち着いているよ。十二分に」
魔王「嘘つくなよ。…この家、涼しいんだろ?頭冷やせよ」
賢者「む…」
魔王「よしよし。じゃあ直ぐに連れてくるから」バタンッ
賢者「…」
賢者「変わった人だ…」ボソッ
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