勇者「あ、あああああなたが魔王ね!!」
魔王「・・・1人でのこのこと殺されに来るとは殊勝な事だ。
ふむ、まさか勇者がこんな歳若い娘とはな・・・ククク」
勇者「う、うるさい!ここで会ったが百年目!世界に平和を取り戻すために
あなたを倒してみせる!」
魔王「いいだろう。倒せるものならしてみるがいい。・・・さぁかかってくるがよい!」
勇者「言われなくとも!てやー!!!」
ズルッ
ドテッ
勇者「ふぎゃっ」
魔王「えっ」
453: 名無しさん@読者の声:2012/2/18(土) 11:49:22 ID:Iq/FZsJprc
超絶に面白い・・・だとっ!?
4円
454: ◆Gw31v9ceXw:2012/2/18(土) 23:15:20 ID:g.AV2R2.bU
村人「きゃあああああ!」
村人「ま、魔物だ!」
村人「女、子どもは避難させろ!戦闘力のある者は馳せ参じろ!」
勇者「…え」
勇者「さ、さっきの、魔物が…どうして、村に…?」
455: ◆Gw31v9ceXw:2012/2/18(土) 23:15:38 ID:g.AV2R2.bU
賢者「勇者、お前は家で避難しろ。此処は俺達で何とかするから」
勇者「えっ?そ、そんな、駄目だよ…っ!」
魔法使い「貴女が心配する事なんて何も無いわ。貴女が居ない間も今までこうして村に来る魔物を倒して来たもの」
勇者「い、今まで…」
戦士「村の連中は未だにこの状況に慣れていないみたいだけどな。まぁ任せろよ」
勇者「戦士くんは…怪我、してるじゃないっ…」
456: ◆Gw31v9ceXw:2012/2/18(土) 23:15:52 ID:g.AV2R2.bU
戦士「腕は大丈夫だ。さっき賢者に回復して貰ったばっかりじゃないか。なんだ、見ていなかったのか?」
勇者「見てた、けど…でも」
戦士「そりゃ、確かに感覚は鈍ってるけど、大丈夫だ。動かせない事はない」
賢者「まだ勇者は弱いんだ。勇者に被害が回ったら、それこそ駄目だ」
勇者「…」
魔法使い「ほら、いいから。大人しく家で待ってて」
勇者「そんな、留守番みたいな…」
457: ◆Gw31v9ceXw:2012/2/18(土) 23:16:07 ID:g.AV2R2.bU
・
・
・
魔法使い「送ってきたわ」
賢者「そうか。ありがとう」
戦士「でもさ、アイツには大丈夫っつったけどさ」
魔法使い「あら、怖じ気づいたの?」
戦士「最後まで話聞けよ」
458: ◆Gw31v9ceXw:2012/2/18(土) 23:16:22 ID:g.AV2R2.bU
戦士「あの魔物、かなり強いぜ?さっきも言ったけど、オレでさえ利き腕がやられるくらいだ」
魔法使い「一筋縄ではいかない相手なのは、見たら分かるわよ」
賢者「いざとなったらお前が盾になれよ」
戦士「分かってるっつーの。戦士は戦場で死んでこそだ」
賢者「はは、笑い事じゃないな」
魔法使い「フラグなんて立てて、本当に死ぬつもり?」
戦士「まさか」
459: ◆Gw31v9ceXw:2012/2/18(土) 23:17:02 ID:g.AV2R2.bU
賢者「此処で話し込んでいても仕方が無いな」
魔法使い「えぇ。戦える者は戦場に赴いてこそ」
魔法使い「加勢しましょう」
戦士「相手の強さは並じゃない。気を引き締めて行くぞ」
賢者「リーダー面するな。発情期猿」
戦士「賢者、お前最近オレに対しての風当たりが強くないか?」
460: ◆Gw31v9ceXw:2012/2/18(土) 23:17:26 ID:g.AV2R2.bU
家
勇者「結局、避難って事になっちゃったけど…」
勇者「あぁ、まただ」
勇者「私、みんなに守られてばかりだ」
勇者「駄目だな…駄目だ…」
勇者「私、何もしてない…」
461: ◆Gw31v9ceXw:2012/2/18(土) 23:17:41 ID:g.AV2R2.bU
勇者「今もこうして、自分だけ安全圏で」
勇者「私だけ…傷を負っていない…」
勇者「皆に戦わせてばっかりだ…」
勇者「卑怯だよ…こんなの…」
462: ◆Gw31v9ceXw:2012/2/18(土) 23:17:58 ID:g.AV2R2.bU
勇者「何時まで経っても強くならない…」
勇者「魔王さん達には最後まで迷惑をかけて…」
勇者「魔物が可哀想だからって、ろくに戦おうともしないで…」
勇者「スライムさん達だって、そこら辺りの魔物みたいに狂暴でも獰猛でもなくて、優しいけど」
勇者「普通の人から見たらただの魔物で」
勇者「戦士くんは普通に魔物を倒しただけで」
463: ◆Gw31v9ceXw:2012/2/18(土) 23:18:13 ID:g.AV2R2.bU
勇者「倒した事実は許せないけど…、それでも戦士くんを責めるのは違う…よね」
勇者「…勿論、お兄ちゃんも、魔法使いちゃんも…」
勇者「…分からないな」
勇者「森で出会った旅人さんにも戦わせちゃて…私本当駄目だな…」
勇者「…」
464: ◆Gw31v9ceXw:2012/2/18(土) 23:18:44 ID:g.AV2R2.bU
−−−
ザザザザッ
魔王「…?」
魔王「何か今駆けて行ったような…」
魔王「まぁいいか…」
魔王「…っ!」
魔王「この魔力…」
魔王「まさか…」タッ
465: ◆Gw31v9ceXw:2012/2/18(土) 23:19:03 ID:g.AV2R2.bU
・
・
・
側近「ぐっ…殺されなかったのは運が良かったけど」
側近「…去り際に腹を切られるなんて」
側近「あー…あんな鋭い爪で抉られたら流石に痛い…」
側近「僕が人間だったら死んでたな…」
側近「くっそ…いてぇ…」ドクドク…
466: ◆Gw31v9ceXw:2012/2/18(土) 23:20:02 ID:g.AV2R2.bU
ガサッ
ガササッ
側近「…」
スタスタスタスタ…
魔王「…」ピタッ
側近「…?」
側近「あれ、夢でも見てるのかな。走馬灯?」
側近「魔王様が居る」
魔王「夢でも走馬灯でもねぇよ。現実だ」
魔王「そんな所で何へばってるんだよ、馬鹿か?」
467: ◆Gw31v9ceXw:2012/2/19(日) 01:24:01 ID:g.AV2R2.bU
側近「ははは、どうしたんです?そんなフードなんて被って…まさか人間の街にでも行ってたんですか?」
魔王「そのまさかだよ。キングスライムの奴に追い出されてな。側近と一緒に遊んでこいって」
側近「へぇ…生憎、僕は今超絶忙しいので御一緒に遊ぶ事は出来ません」
魔王「見りゃ分かるさ」スッ
側近「手なんて翳して何をする気ですか。言っときますけど、満身創痍ですから今更手を加えたって変わりませんよ」
魔王「ばぁか。何勘違いしてるんだよ。回復してやろうっつの」パアァ…
側近「お人好しめ」
魔王「うるせ」
468: ◆Gw31v9ceXw:2012/2/19(日) 01:24:20 ID:g.AV2R2.bU
魔王「一応、腹の傷は塞いどいた。回復したとは言え、直ぐには動くなよ?暫くは大人しくしてろ」
側近「そうは烏賊の金玉ですよ」
魔王「何この場面でボケかましてるんだよ」
側近「冗談です。…魔王様は見ませんでしたか?駆け抜けていった魔物を」
魔王「…見てはいないな。何かが通り過ぎた気はしたけど」
側近「それでも本当に魔王ですか」
魔王「…振りだよ」
469: ◆Gw31v9ceXw:2012/2/19(日) 01:24:38 ID:g.AV2R2.bU
側近「魔物がですね、2体の馬鹿でかい体躯の魔物が…勇者さんの村に向かって駆けていったんです」
魔王「…あぁ」
側近「早く行かないと、大変です」
魔王「心配なのか…?」
側近「死ぬのはどうでもいいですけど、死なれちゃ困ります。用事が終わっていないんだから」
魔王「は?」
側近「こちらの話です」
470: ◆Gw31v9ceXw:2012/2/19(日) 01:25:44 ID:g.AV2R2.bU
側近「とにかく、計画をあんな魔物に邪魔されちゃ困ります」スクッ
魔王「おい、まさか」
側近「魔物のせいで勇者さんが死んだら元も子もないです。僕は、助けに行きます」
魔王「…お前、今魔力無いじゃんかよ」
側近「…ありますよ」
魔王「それは気配の方だろ。何にどれだけ使ったのか大体は予想付くけど、自分で自分の傷も満足に治せない奴が人を助けるなんて馬鹿な事はするな」
側近「…じゃあ、どうしろって言うんですか」
魔王「俺が行く」
側近「…言うと思ったよ」
471: ◆Gw31v9ceXw:2012/2/19(日) 01:26:03 ID:g.AV2R2.bU
魔王「今、アイツの村に危機が迫っているんだろう?獰猛な魔物のせいで」
側近「…それで、勇者さんが魔物に殺されるかもしれない」
魔王「アイツだけじゃない。罪も無い人間も殺られるかもしれない」
魔王「何でこんな事で死ななきゃならないんだ」
側近「…ははっ、相変わらず甘いなぁ…。アンタ、本当に魔王ですか?」
魔王「魔王だよ。でも」
魔王「勇者でもある」
472: ◆Gw31v9ceXw:2012/2/19(日) 01:32:16 ID:g.AV2R2.bU
側近「馬鹿な行為もこれだけにしてくださいよ。情けない」
魔王「何が情けないものか。人助けは良いぞ」
側近「そう思ってるのはアンタだけかもよ。"魔物"の中では」
魔王「それはどうだろうな」
側近「…足手纏いと言われようと、馬鹿と言われようと僕も付いて行きますからね」
魔王「…そうか」
側近「僕にもやらなければならない事がありますから」
魔王「俺が馬鹿なら、お前は阿呆だな」
側近「何とでも」
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