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姫「殴っていいですか」
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1: ◆xXC7.dNnEA:2011/10/28(金) 22:21:53 ID:SCGnwLC0bk
姫「いいですよねお父様」

王「姫ちゃん怖いよ」

姫「殴りたくもなりますよ。



  ――何ですかこの財政は!」


612: 1 ◆xXC7.dNnEA:2012/6/16(土) 21:52:16 ID:Ton..bW6Ps
王「報告自体は使者でも送っちゃえば大丈夫なんだけど、誠意見せとかないと後々大変だし」

王「父さんが行く訳にはいかないからさ……」チェッ

王妃「当然ですよ」

王妃「猶予貰って無理でしたなんて言いにくいだろうけれど、ごめんなさいね」

王妃「王子くんにお願いしたいのだけれど、大丈夫かしら?」

王子「――はい」
613: 1 ◆xXC7.dNnEA:2012/6/16(土) 21:52:36 ID:Ton..bW6Ps
王子「父上、母上」

王子「その役目、謹んでお受けします」

王「うん。頼んだよ」

王子「はい」

姫「――……、」
614: 1 ◆xXC7.dNnEA:2012/6/16(土) 21:54:02 ID:lcHbkP.jag
姫「納得がいかない」

従者「仕方ないじゃないですか、間に合わなかったんだから」

姫「そうじゃなくて……帝国行きのことよ」

従者「はあ」
615: 1 ◆xXC7.dNnEA:2012/6/16(土) 21:54:24 ID:lcHbkP.jag
姫「薄々感付いてたわ、小手先の節約だけじゃいけないことは」

姫「感付いていたのに、増税もリストラもしないと決めたのは、私」

従者「……王子も同じ決断をしました」

姫「でも、私もそう決めた」
616: 1 ◆xXC7.dNnEA:2012/6/16(土) 21:54:48 ID:lcHbkP.jag
従者「あまり責めるものじゃありませんよ」

姫「責めてないわ」

姫「この結果は私の責任なのよ」

姫「その責任を報告するのに、私が行かないなんておかしい」
617: 1 ◆xXC7.dNnEA:2012/6/16(土) 21:55:10 ID:lcHbkP.jag
従者「……なるほど、帝国行きにご同行なさるつもりですか」

姫「お父様が許してくれたらね」

従者「王位継承者がふたり揃って出払うとか、まずくないですか」

姫「じゃあ聞くけど、継承する王位はこの先あるのかしら?」

従者「それを言っちゃおしまいですよ……」
618: 1 ◆xXC7.dNnEA:2012/6/16(土) 21:55:32 ID:lcHbkP.jag
姫「ちゃんと言えば許してくれるわ」

従者「ご立派です……」ハァ

姫「あんたも行くのよ?」

従者「ええ、勿論」

従者「俺は姫様付きの従者ですから」
619: 1 ◆xXC7.dNnEA:2012/6/16(土) 21:55:52 ID:lcHbkP.jag
姫「という訳で私も行かせてください」

王「やっぱりか……」ハァ

王妃「あら、私の勝ちのようね」ニコリ

姫「と、言うと?」

王妃「姫ちゃんが行くって言い出すか、父さんと賭けてたのよ」

従者「王族が何やってんですか」
620: 1 ◆xXC7.dNnEA:2012/6/16(土) 21:56:13 ID:lcHbkP.jag
姫「じゃあ……」

王妃「ええ。いいわよ、行って」

姫「ありがとうお母様!」

王妃「出発は明後日よ。姫ちゃんをよろしくね、従者くん」

従者「御意」

姫「そうと決まれば準備よ従者!」スタスタ

従者「はいはい御意御意」スタスタ
621: 1 ◆xXC7.dNnEA:2012/6/16(土) 21:57:40 ID:Ton..bW6Ps
王「うん、それにしても」

王「父さんは反対したんだけどな……」

王妃「もう、あなたってば、心配性なんだから」

王「だって姫ちゃんまだ若いし女の子だし」

王妃「でもあなたより頼りになるわ」

王「」
622: 1 ◆xXC7.dNnEA:2012/6/16(土) 21:58:02 ID:Ton..bW6Ps
王妃「まあ、それはともかく大丈夫よ、きっと」

王妃「王子くんや従者くんもいるわ」

王妃「私たちの娘でしょう?」

王「……うん」

王「とにかく、無事を祈ろう」
623: 1 ◆xXC7.dNnEA:2012/6/16(土) 21:58:24 ID:Ton..bW6Ps
姫「そんなこんなで帝国に入りました」

王子「はしょったな」

従者「はしょりましたね」

宰相「いえ今のは必要な省略です」

姫「そうその通り!」キリッ
624: 1 ◆xXC7.dNnEA:2012/6/16(土) 21:58:46 ID:Ton..bW6Ps
王子「宮殿はまだ先なのか?」

宰相「もうすぐです。そろそろ迎えが見える頃かと」

姫「振動でお尻痛い」

従者「馬車ですからねえ」

宰相「もうあと少しの辛抱ですよ」
625: 1 ◆xXC7.dNnEA:2012/6/16(土) 21:59:06 ID:Ton..bW6Ps
姫「そういえば、宰相さんも一緒に来てたのね」

宰相「ええ、細かい事情を把握していたのは僕ですから」

王子「質問に答えられなかったら困るから、俺の付き人も兼ねてくれてる」

宰相「僭越ながら」ペコリ
626: 1 ◆xXC7.dNnEA:2012/6/16(土) 21:59:31 ID:Ton..bW6Ps
姫「宰相さんはきちんとした人だものね」チラッ

従者「そんな目で見ても姫様の付き人は変わりませんよ」

姫「本当にあのお父様の下で頑張ってくれて……!」ウルッ

従者「振っといてスルーですか」
627: 1 ◆xXC7.dNnEA:2012/6/16(土) 21:59:55 ID:Ton..bW6Ps
宰相「いえ、そんなことはありません」

宰相「そもそも、不作くらいで揺らぐような運営を続けてはいけなかったんです」

宰相「僕がもっと強く王様に申し上げていればこんなことには……」

王子「いや、無理だろう」

宰相「うう」
628: 1 ◆xXC7.dNnEA:2012/6/16(土) 22:01:03 ID:PKjewJBY12
姫「ほっほら宰相さん迎えが!」

従者「あ、見えましたね。あれでしょうか」

王子「どれどれ、意外と丁重じゃないか」

従者「借金踏み倒してるのにですか」

王子「邪険にされるよりはいいだろ」

宰相「あれ、あのお方は……」
629: 1 ◆xXC7.dNnEA:2012/6/16(土) 22:01:24 ID:PKjewJBY12
青年「お久しぶりです、姫様」

姫「あなた……もしかしてパーティーのときに」

青年「はい、お相手頂きました者です」ニコリ

宰相「あ!思い出しました」

王子「どうした?」
630: 1 ◆xXC7.dNnEA:2012/6/16(土) 22:01:48 ID:PKjewJBY12
宰相「どこかでお顔を拝見したと思っていましたが」

宰相「咄嗟に出なかったのがお恥ずかしい」

宰相「この大帝国の、皇太子殿だったんですね……」

皇子「…………」ニコリ
631: 1 ◆xXC7.dNnEA:2012/6/16(土) 22:02:07 ID:PKjewJBY12
皇子「皆様、我が帝国へようこそ」

皇子「帝国皇太子として、心より歓迎申し上げます」

姫「皇太子……!」

王子「……お会いできて光栄です」

皇子「ええ、こちらこそ」
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