姫「いいですよねお父様」
王「姫ちゃん怖いよ」
姫「殴りたくもなりますよ。
――何ですかこの財政は!」
585: 1 ◆xXC7.dNnEA:2012/6/15(金) 22:15:43 ID:w/4wt7Bbn.
姫「こちらが図書館前の庭園ですね」
姫「あそこにあるのが、王室で保護していた芸術家が数年前に作ったオブジェで……」
子供1「すげー!何あれおもしれー!」
子供2「行ってみよーぜー!」ダッ
姫「あっ、こら皆待ちなさい!従者!」
従者「やっぱり俺が追いかけるんですね!」ダッ
586: 1 ◆xXC7.dNnEA:2012/6/15(金) 22:17:24 ID:PjcZj3CCeQ
従者「こら!勝手に違う場所に行っちゃいけません!」バタバタ
子供2「追いかけてくるぜー」ケタケタ
子供1「逃げろー!」キャハハハ
従者「くっ……誰が好き好んで子供と鬼ごっこなんて……」ゼェハァ
従者「それにしても疲れる……年か……?」ゼェゼェ
587: 1 ◆xXC7.dNnEA:2012/6/15(金) 22:17:49 ID:PjcZj3CCeQ
子供1「あっちにも何かあるぞー!」
子供2「まじか!どこ……ってうわっ」ドンッ
青年「捕まえた」ガシッ
子供2「やめろー!放せ不審者!」ジタバタ
青年「不審者とは心外だなあ。そっちの君も戻るよ」ヒョイッ
子供1「だ、抱っこすんな!だせえ!降ろせ!」バタバタ
青年「君らが逃げないならね」スタスタ
588: 1 ◆xXC7.dNnEA:2012/6/15(金) 22:18:08 ID:PjcZj3CCeQ
青年「捕まえましたよ、どうぞ」
子供1「捕まったー」ブスッ
子供2「連れ戻されたー」ムスッ
従者「どうも……ありがとうございます」ゼェハァ
青年「従者さんも大変ですね」
従者「ええ、まあ……って、あれ?」
589: 1 ◆xXC7.dNnEA:2012/6/15(金) 22:18:31 ID:PjcZj3CCeQ
従者「もしや、先日のパーティーで姫様と踊ってらした方ですか?」
青年「はい、先日は素敵な催しに参加させて頂きありがとうございました」
従者「それは姫様に……というか、失礼ですがどちらの方ですか」
青年「他国の者です。休みを利用してこの国を訪れたので、この機会に色々と」
従者「はあ……」ジロジロ
590: 1 ◆xXC7.dNnEA:2012/6/15(金) 22:19:02 ID:c7b/jBefIw
青年「……自分の顔に何かついていますか?」
従者「いえ、失礼しました」
従者「ともかく、折角いらしたのですから楽しんでいってください」
従者「彼らにもきちんと言い聞かせますから」
子供1「話終わった?」
従者「終わりましたよ。さあ、戻りましょうか」
591: 1 ◆xXC7.dNnEA:2012/6/15(金) 22:19:24 ID:c7b/jBefIw
姫「――という訳で、この中庭で見学箇所は最後になります」
姫「皆さん、長い間お疲れ様でした」
従者(本当に疲れましたよ……)
従者「では、これより出口までご案内しますので……」
姫「その前に」ニヤリ
従者「は?」
592: 1 ◆xXC7.dNnEA:2012/6/15(金) 22:19:45 ID:c7b/jBefIw
姫「お待ちかねの自由時間です」
従者「聞いてませんよ!?」ガーン
姫「言ってませんもん」シレッ
村人「やったな、どこ行こうか」
町人「こっちの建物行ってみないか?」
姫「皆さん一時間後にここに集まってくださいねー!」
従者「ああもう手に負えない!」
593: 1 ◆xXC7.dNnEA:2012/6/15(金) 22:21:15 ID:PjcZj3CCeQ
ワイワイ ガヤガヤ…
王「従者くんは正しかったねえ、ツアー客に異国の皇太子が紛れ込んでるんだから」
皇子「しかも普通に国王と対峙してますからね。これが暗殺者だったらどうするんでしょうか」
王「まあ、いないだろうけどね。だからこんなでもこの年まで生きてるよ」
皇子「まあ、かなり警戒はされましたけど……」
594: 1 ◆xXC7.dNnEA:2012/6/15(金) 22:21:44 ID:PjcZj3CCeQ
皇子「……平和ですね。俺の国では考えられないくらい」
王「平和は嫌いかい?」
皇子「いいえ。とても尊いことだと思います」
皇子「ただ……それが束の間のものだと思うと」
王「まあねえ」
595: 1 ◆xXC7.dNnEA:2012/6/15(金) 22:22:18 ID:PjcZj3CCeQ
皇子「冷害による小麦の不作……それは我ら帝国でも同じことです」
皇子「父上は焦っている」
皇子「財政を立て直すべきは、貴方の王国だけじゃありません」
王「……分かっているよ」
王「君のところも、他国にお金を貸してる場合じゃないだろうに」
596: 1 ◆xXC7.dNnEA:2012/6/15(金) 22:22:40 ID:PjcZj3CCeQ
王「それにしても、よく遊びに来るね」
王「こっちは嬉しいけど、そんなに抜け出して良いものなのかい?」
皇子「暇ですから。……国のことなんて、何もやらせて貰えない」
王「勉強は?」
皇子「父上は、自分を学者にしたいのでしょうか」
王「そう言われてもねえ」
597: 1 ◆xXC7.dNnEA:2012/6/15(金) 22:23:06 ID:PjcZj3CCeQ
王「言ってみればいいじゃない」
王「国政をやりたいです、って」
皇子「……許されることでしょうか」
王「君のお父さんは厳しいからね……でも、言ってみる価値はあるんじゃない」
皇子「鼻で笑われますよ」
皇子「父上はまだ、これっぽっちも政権を手放す気なんてない」
598: 1 ◆xXC7.dNnEA:2012/6/15(金) 22:23:30 ID:PjcZj3CCeQ
王「……まあ、また嫌になったらおいでよ。話くらいは聞いてあげるからさ」
皇子「恐れ入ります」ペコリ
王「まあ、聞いてあげられるのもあと少しの間だけどね」クスクス
皇子「…………」
599: 1 ◆xXC7.dNnEA:2012/6/15(金) 22:24:25 ID:PjcZj3CCeQ
皇子「……自分には、何もできません」
皇子「申し訳ない……!」
王「いいんだよ。ごめんね、気にしないでくれるかい」
王「元はといえば、全部自分が悪かっただけなんだ」
皇子「…………」
皇子「また、伺います」
王「うん。……またね」
600: 1 ◆xXC7.dNnEA:2012/6/15(金) 22:25:33 ID:PKjewJBY12
従者「あ り え ま せ ん !」バーン
姫「何がよー、あー肩こった」トントン
従者「何がじゃないですよ何ですか自由時間って!」
姫「自由時間のないツアーなんて企画者の自己満よ自己満」
従者「だからって部外者野放しにするとか論外です論外」
601: 1 ◆xXC7.dNnEA:2012/6/15(金) 22:26:29 ID:PKjewJBY12
姫「でも、皆喜んでたでしょ?」
姫「なら十分じゃない」
従者「それは……、まあ、」ハッ
従者「流されませんよそれとこれとは話が違います」
姫「ケツの穴小さい男……」フゥ
従者「一国の姫君がそんな言葉使っちゃいけません!」
602: 1 ◆xXC7.dNnEA:2012/6/15(金) 22:26:58 ID:PKjewJBY12
姫「ともかく、見学ツアーが上手くいったから次も色々やるわよ」
姫「乗馬場と多目的ホールを有料で一般解放、衣装部屋も解放したら需要あるかしら?」
姫「図書館も一部の学者さんには使用料とって使わせていいかもしれないわね」
従者「それ全部王城開放系じゃないですか」
姫「だっていちばん儲かりそうなんだもの!」
従者「学習して下さい!」
603: 1 ◆xXC7.dNnEA:2012/6/15(金) 22:27:32 ID:PKjewJBY12
王妃「姫ちゃん、色々やってるわね」
王「そうだね。でも……」
王「もう、駄目なんだろう?」
宰相「……ええ」
604: 1 ◆xXC7.dNnEA:2012/6/15(金) 22:28:00 ID:PKjewJBY12
宰相「リストラも大規模な増税もなしに収入を増やすなんて不可能です」
宰相「……間に合いません」
王「せめて、期限いっぱいまでは何も言わないでくれないかな」
宰相「はい。仰せの通りに」
宰相「あんなに、頑張ってらっしゃいましたもんね……」
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