姫「いいですよねお父様」
王「姫ちゃん怖いよ」
姫「殴りたくもなりますよ。
――何ですかこの財政は!」
553: 1 ◆xXC7.dNnEA:2012/6/15(金) 00:09:01 ID:c7b/jBefIw
従者「ともかく、色々な人に聞いて回っているんです。何かありませんか」
舞踏家「そうですね……自分は特に。城に来ることも多くはありませんから」
舞踏家「ああ、でも強いて言うなら、中庭はすごく好きです。いつも綺麗に手入れされてますよね」
姫「ああ、あそこ」
554: 1 ◆xXC7.dNnEA:2012/6/15(金) 00:09:28 ID:c7b/jBefIw
姫「そういえば、舞踏家さん知ってる?中庭の薔薇の花壇はお父様が自ら手入れしているのよ」
舞踏家「え、そうなんですか!」
従者「流石に全部は無理ですからね、そこで妥協してるみたいです」
姫「本当は中庭に巨大迷路を作りたかったみたい」
舞踏家「へえ……」
555: 1 ◆xXC7.dNnEA:2012/6/15(金) 00:09:49 ID:c7b/jBefIw
舞踏家「でも意外です。王様が直接城内のことをしてらしたなんて」
従者「結構多いですよ。ねえ姫様」
姫「そうね、皆知らないだけで割とたくさん……」ハッ
姫「もしかして、こういう裏情報を紹介する感じで説明したら良いのかしら」
従者「裏情報、ですか」
姫「ええ」
556: 1 ◆xXC7.dNnEA:2012/6/15(金) 00:10:15 ID:c7b/jBefIw
姫「例えばお母様は乗馬がお上手とか」
姫「お兄様はピーマンが嫌いとか」
舞踏家「姫様は踊りが苦手でらっしゃる、とか?」
姫「そう!……って、え?」ヒヤッ
557: 1 ◆xXC7.dNnEA:2012/6/15(金) 00:10:41 ID:c7b/jBefIw
舞踏家「せっかく少しだけ上達なさったのに、パーティー以来練習に来てくださいませんよね」ジリッ
姫「それはその、色々忙しくて」ジリッ
舞踏家「少し期間を空けるだけで、定着していない体はすぐに鈍ってしまうんですよ」
姫「あのっ舞踏家さん!私、他の人にも聞かなきゃいけないから!」
従者「逃げるんですか姫様」
姫「いいから行くわよ!舞踏家さんありがとう!じゃあさよならっ」ピュッ
558: 1 ◆xXC7.dNnEA:2012/6/15(金) 00:12:05 ID:c7b/jBefIw
姫「危なかったわ……」
従者「素直に練習しておけば良かったものを」
姫「そうもいかないのよ。全く……」
姫「あら?向こうにいるのは、もしかして」
仕立屋「あ、姫様お久しぶりです!」パアッ
559: 1 ◆xXC7.dNnEA:2012/6/15(金) 00:12:30 ID:c7b/jBefIw
姫「仕立屋さん!来てたのね」
仕立屋「はい、定期採寸の日ですから」
仕立屋「お城の使用人さん達の制服も、うちでお作りしているんですよ」フフン
従者「俺もお世話になってます」
姫「そういえばこいつ使用人だったわね」
従者「忘れてたんですか」
560: 1 ◆xXC7.dNnEA:2012/6/15(金) 00:13:04 ID:c7b/jBefIw
姫「ちょうど良いわ。仕立屋さん、この城に何か見所ってないかしら」
仕立屋「見所、ですか?」
姫「ええ。実はかくかくしかじかという訳で」
仕立屋「かくかくしかじかじゃ分かりませんわ」
従者「使いたかっただけですよね」
561: 1 ◆xXC7.dNnEA:2012/6/15(金) 00:13:25 ID:c7b/jBefIw
仕立屋「私がお勧めするなら、やっぱり何と言っても衣装部屋ですね!」
姫「え?でもあそこ、簡単に言うとクローゼットよ?」
仕立屋「クローゼットで良いんです。広さと中身と種類が凄いですから」
仕立屋「初めてお城にお呼ばれして衣装部屋に入ったとき、私、感動しましたわ」
仕立屋「あんなに色とりどりのお洋服に囲まれたの、生まれて初めてでしたもの……」ポワーン
従者「戻ってきてください」
562: 1 ◆xXC7.dNnEA:2012/6/15(金) 00:13:51 ID:c7b/jBefIw
仕立屋「と、ともかく」コホン
仕立屋「男性は分かりませんけれど、女性には喜ばれるのではないでしょうか」
姫「なるほどね……考える価値はあるかしら」
従者「候補には入れて構いませんね」
姫「ありがとう、仕立屋さん。参考になったわ」
仕立屋「いいえ、また何かありましたら何なりと」
563: 1 ◆xXC7.dNnEA:2012/6/15(金) 00:15:16 ID:yHuRSWudJ.
従者「……と、いう感じで色々話を聞いて回った後、姫様と相談して大体のルートを決めました」
従者「そうなると挿絵や案内図、地図が必要になってくるんですね」
従者「しかし、生憎と俺には絵心と言うものがありませんので」
芸術家「それで、僕のところに来てくださったんですね」ニコリ
564: 1 ◆xXC7.dNnEA:2012/6/15(金) 00:15:41 ID:yHuRSWudJ.
芸術家「あ、すみませんお茶も出さず。今お持ちしますね」ガタッ
従者「いえお気になさらず」
芸術家「いえいえ、少々お待ちを」ズルッ
芸術家「」ベシャッ
芸術家「…………」ガツッ バサバサ
従者「……お気になさらず」
565: 1 ◆xXC7.dNnEA:2012/6/15(金) 00:16:03 ID:yHuRSWudJ.
芸術家「あはは、引っ越してもあまり変わりませんね、お恥ずかしい」ボロッ
従者「逆に安心しましたよ」
芸術家「あ、そうですか?それは良かったです」
芸術家「僕も、意外と普通にやれてるみたいですから」
従者「はあ」
566: 1 ◆xXC7.dNnEA:2012/6/15(金) 00:16:34 ID:yHuRSWudJ.
芸術家「僕が城を出てから、色々なことが変わりました」
芸術家「収入は僅かで、そのお金も生活費に消えてしまう」
芸術家「高額な画材は中々使えなくて、その分技術を磨き工夫を凝らしました」
芸術家「でもね、楽しいんですよ」
芸術家「僕は僕自身の力で生きられている」
567: 1 ◆xXC7.dNnEA:2012/6/15(金) 00:16:55 ID:yHuRSWudJ.
芸術家「ようやく実力を、試すことができました」
従者「……本当に、そうでしょうか」
従者「実力なんて試すまでもなく、証明されていた」
従者「貴方が王様の保護を受けていたのも、貴方の実力で勝ち取った結果です」
従者「城を出る必要なんて、なかったんですよ」
568: 1 ◆xXC7.dNnEA:2012/6/15(金) 00:17:21 ID:yHuRSWudJ.
芸術家「嬉しいことを、言ってくださるんですね」
従者「真実です」
芸術家「……僕はね、運が良かったんです」
芸術家「まだ目立った苦労もしないうちに王様に見初められて、助けて頂けた」
芸術家「僕よりも上手くて苦労している人なんて、まだたくさん」
569: 1 ◆xXC7.dNnEA:2012/6/15(金) 00:17:48 ID:yHuRSWudJ.
従者「……そうですか」
芸術家「ああ、すみません。少しおかしな話になってしまいましたね、あはは」
芸術家「案内図の件、承りました。いつ頃までに仕上げれば良いでしょうか?」
従者「できるだけ早く。数日以内にできますか」
芸術家「ええ、勿論です。ご都合の良いときに取りにいらしてくださいね」
従者「分かりました」
570: 名無しさん@読者の声:2012/6/15(金) 01:28:57 ID:oI.61VwX9o
おかえり!待ってました!
こっそりと支援
571: 1 ◆xXC7.dNnEA:2012/6/15(金) 22:05:55 ID:vmvtnDU2GI
>>570
支援ありがとうございます(´∀`*)
忘れ去られてたらどうしようと思ってましたw
ただいま!
では今日も投下していきますねー
572: 1 ◆xXC7.dNnEA:2012/6/15(金) 22:08:48 ID:c7b/jBefIw
従者「完成しました」
姫「あら素敵」
従者「渾身の力作です。主に芸術家さんの」
姫「待って従者あんた芸術家さんに会ったのっ!?」ガターンッ
従者「それが何か」
姫「何かじゃないわよ!」
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