姫「いいですよねお父様」
王「姫ちゃん怖いよ」
姫「殴りたくもなりますよ。
――何ですかこの財政は!」
384: 1 ◆xXC7.dNnEA:2012/1/4(水) 22:57:30 ID:RGDdi1MlWM
芸術家「姫様が材料を買わないようおっしゃったとき、最初は苦労しましたよ」
芸術家「作りたいものを作りたいだけ、無心に作ることができない」
芸術家「でもね、それを工夫するのが、途中から楽しく思えてきたんです」
姫「そんなことが……」
芸術家「はい。だから試してみたくなった」
385: 1 ◆xXC7.dNnEA:2012/1/4(水) 22:58:01 ID:RGDdi1MlWM
芸術家「僕はひとりになっても、果たしてやっていけるのか」
芸術家「王様がいなくても、外で暮らしていけるのか」
芸術家「他の、普通の芸術家と同じように、小さな街の片隅で」
386: 1 ◆xXC7.dNnEA:2012/1/4(水) 22:58:28 ID:RGDdi1MlWM
芸術家「……折角、僕のことを認めて頂いて、この城に置いて頂いてるのに」
従者「それでも、行かれるんですか」
芸術家「はい」
姫「……そう、なの」
387: 1 ◆xXC7.dNnEA:2012/1/4(水) 22:59:00 ID:RGDdi1MlWM
姫「お父様は何て?」
芸術家「王様は、応援してくださいました」
従者「良かったじゃないですか」
芸術家「あは、そうですね」
姫「…………」
芸術家「……、姫様」
388: 1 ◆xXC7.dNnEA:2012/1/4(水) 22:59:27 ID:RGDdi1MlWM
芸術家「姫様どうか、お気を落とさないでください」
芸術家「これは僕の我が儘で、姫様は何も悪くないんです」
芸術家「最後にパーティーで作品を作らせて頂けて、とても幸せでした」
芸術家「これからは外で、頑張ってみたいんです」
芸術家「ただ、それだけなんですよ」
389: 1 ◆xXC7.dNnEA:2012/1/4(水) 22:59:56 ID:RGDdi1MlWM
姫「でも……」
芸術家「……僕にとっては喜ばしい門出なんですけど、姫様は祝ってくださらないんですか?」
姫「そんなことは、」
芸術家「姫様」
姫「……そうね」
姫「おめでとう、芸術家さん。新しい場所でも、お元気で」
芸術家「ありがとう、ございます」
390: 1 ◆xXC7.dNnEA:2012/1/5(木) 22:27:40 ID:SclZQjm4pU
従者「勇者さんに芸術家さん」
従者「続けて別れがあったからって、なーに落ち込んでるんですか」
姫「だって……」
従者「逆にうざいですよ」
姫「あんた言葉を選びなさいよ」
391: 1 ◆xXC7.dNnEA:2012/1/5(木) 22:28:10 ID:SclZQjm4pU
姫「だって、私が追い出したようなものだわ」
従者「違うって言ってたじゃないですか」
姫「そういうことじゃない」
姫「……私は、やりすぎていたのかもしれないわ」
従者「間接的リストラ、とでも?」
姫「そこまでかは分からないけれど」
392: 1 ◆xXC7.dNnEA:2012/1/5(木) 22:28:41 ID:SclZQjm4pU
姫「私は本当に、今まで通りでいいのかしら」
姫「必死になりすぎて、変えてはいけないことまで変えてはいないかしら」
従者「いつも周りが、諫めてくれるじゃないですか」
姫「だからこそ、それがないときは分からないでしょう」
従者「……つくづく、真面目ですねえ」
393: 1 ◆xXC7.dNnEA:2012/1/5(木) 22:29:08 ID:SclZQjm4pU
従者「そんな姫様にプレゼントです」スッ
姫「え、何これ手紙?」
従者「勇者さんからですよ」
姫「まじで送ってきやがったわ……」
従者「似た者同士、勇者さんも意外と真面目ですからねえ」
姫「誰が似た者同士よ」
394: 1 ◆xXC7.dNnEA:2012/1/6(金) 23:43:05 ID:2ho66zkJlw
従者「……では、俺はこれで」
姫「あんた手紙届けに来ただけ?」
従者「いえ、姫様の愚痴を聞きに」
姫「質問に答えただけよ」
従者「……ご自分の発言を振り返ってからおっしゃってください」ハァ
姫「え、何その私が理不尽みたいな」
395: 1 ◆xXC7.dNnEA:2012/1/6(金) 23:43:36 ID:2ho66zkJlw
姫「全く、私だってどうしたら良いのか……」
姫「ううん、考えても仕方ないわ。気分を切り替えましょう」
姫「勇者からの手紙でも読んで……ええと」ガサゴソ
勇者『姫へ(はぁと』
姫「」イラッ
396: 1 ◆xXC7.dNnEA:2012/1/6(金) 23:44:03 ID:2ho66zkJlw
勇者『まず破らずに読んでください』
姫「何で破り捨てようとしてるのわかったのかしら」
姫「まあいいわ、続き続き……」
勇者『俺は今、王都の外れの街まで来ています』
勇者『旅はわりかし順調です。思ってたよりはね』
397: 1 ◆xXC7.dNnEA:2012/1/6(金) 23:44:24 ID:2ho66zkJlw
勇者『旅の仲間もいいやつで、今のところは困ったこともありません』
勇者『俺の目下の心配事は、むしろ姫のことかな?』
姫「……私?」
姫「ていうか、どんな口説き文句よこれ」
姫「ええと、続きは……」
398: 1 ◆xXC7.dNnEA:2012/1/6(金) 23:44:49 ID:2ho66zkJlw
勇者『城の財政を任されて張り切っていた姫だけど、正直ちょっと心配でした』
勇者『姫は昔から、突っ走って頑張りすぎるところがあるから』
勇者『俺も自分のペースで頑張るから、姫もあんまり無理しないでください』
姫「…………、もう」
姫「分かったようなこと、言ってるんじゃないわよ」クスッ
399: 1 ◆xXC7.dNnEA:2012/1/8(日) 00:06:59 ID:2ho66zkJlw
姫「従者ぁ、宰相さんのとこ行くわよ」
従者「おや回復なさいましたか」
姫「回復も何もへこんでないわ。とにかく行くから付き合って頂戴」
従者「構いませんが、一体何をなさるんですか?」
姫「決まってるでしょ、相談よ」
従者「御意」
400: 1 ◆xXC7.dNnEA:2012/1/8(日) 00:07:27 ID:2ho66zkJlw
姫「すみませーん、宰相さん」コンコン
宰相「ああ姫様、ちょうど良かったです」ガチャ
従者「宰相さんも何かあるんですか?」
宰相「いえ、先日のパーティーを含めた収支の、諸々の結果が出ましたのでお伝えしようと」
姫「見るわ!」
401: 1 ◆xXC7.dNnEA:2012/1/8(日) 00:07:52 ID:2ho66zkJlw
宰相「それが、こちらの表ですね」
姫「ええと……うわっ随分減ったわね」
従者「今までどれだけ使ってたんだって話ですよ」
姫「でも足りない。そうでしょう、宰相さん」
宰相「おっしゃる通りです」
402: 1 ◆xXC7.dNnEA:2012/1/8(日) 00:08:16 ID:2ho66zkJlw
宰相「今日はそのことで伺おうと思っていたのですが……」
姫「何かしら」
宰相「ええと、姫様に」チラッ
従者「では、俺は控えておきますね」
宰相「すみません、ありがとうございます」
403: 1 ◆xXC7.dNnEA:2012/1/9(月) 01:15:02 ID:99nh8st8DU
姫「……どうして、私だけ?」
宰相「どうしても姫様の、率直なご意見がお聞きしたくて」
宰相「一年の猶予で払うためには、足りません、まだ」
姫「減らすべきところは減らしているのに」
宰相「ですから、こうなっては収入を増やすしかありません」
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