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姫「殴っていいですか」
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1: ◆xXC7.dNnEA:2011/10/28(金) 22:21:53 ID:SCGnwLC0bk
姫「いいですよねお父様」

王「姫ちゃん怖いよ」

姫「殴りたくもなりますよ。



  ――何ですかこの財政は!」


302: 1
◆xXC7.dNnEA:2011/12/15(木) 22:05:48 ID:zfaQV.HN9M
姫「お疲れ様、私たちの料理も楽しみにしているからね」

料理長「ええ、お任せください」

姫「じゃあまた今度、頑張ってね!」

料理長「姫様もご健闘を!」
303: 1
◆xXC7.dNnEA:2011/12/15(木) 22:06:13 ID:zfaQV.HN9M
従者「……これであらかた見回りましたね」

姫「ええ。後は私たちも準備して、始まりの時間を待つだけよ」

従者「自信の程は?」

姫「できることはやったわ」
304: 1
◆xXC7.dNnEA:2011/12/15(木) 22:06:44 ID:zfaQV.HN9M
姫「城内での開催には費用が掛かりすぎる」

姫「庭園を開放して、開始時間を繰り上げて、照明を減らした」

姫「カーテンやクロスの新調は見送って、装飾も庭園の花で足らす」

姫「見世物は減らすけれど、代わりに私たちが皆さんと話せばいい」

姫「他にも色々、躍りの練習の合間を縫っては無駄を探したわ」

姫「どれだけ費用を削れたか、結果が出るのは今日が終わってから」

姫「――さあ、パーティーの始まりよ」
305: 1
◆xXC7.dNnEA:2011/12/16(金) 22:22:51 ID:IZAkWz/mtQ
王「あれ、もう話していいの?うわー恥ずかしい。じゃあいくよ」

王「えーと、お集まりの皆さん!本日は王子くんの帰還記念のパーティーに来てくれてありがとう!」

王妃「久々の催し事ですし、皆さん思い切りお楽しみくださいね」

王「まあ長々とした話も退屈だろうし、始めちゃっていいかな?」

王妃「まあ、構わないんじゃないかしら」

王「ではパーティーの、始まり始まりー!」
306: 1
◆xXC7.dNnEA:2011/12/16(金) 22:23:18 ID:IZAkWz/mtQ
娘1「あーっ、王子様!」

娘2「ねえどうしましょう、こちらにいらっしゃるわ……!」

王子「皆さんこんにちは。今日は来てくださってありがとうございます」ニコリ

娘1「いえ!ていうか直接お話できるなんて感激です!」キャッキャ

娘2「わ、私もです……!」カアァッ
307: 1
◆xXC7.dNnEA:2011/12/16(金) 22:23:50 ID:IZAkWz/mtQ
王「やほー、みんな元気だった?」ヒョコッ

酒屋「おっ王様じゃん、最近来てくんねえけどどうしたんだ?」

王「勘弁してよお、本当に抜け出すの難しいんだから」

村人「そりゃあ参ったな!」

町人「まあ王様だもんな、仕方ねえ」

宰相(……何このフレンドリーさ)ニコニコ
308: 1
◆xXC7.dNnEA:2011/12/16(金) 22:24:17 ID:IZAkWz/mtQ
貴族「姫様。ご機嫌麗しゅうございます」

姫「こんにちは、楽しんで貰えてるかしら」

貴族「ええ、とても。屋外での開催は久しぶりですから」

貴族「それにしても、何故急に庭園で?」

姫「あ、あはははは……」ギクッ
309: 1
◆xXC7.dNnEA:2011/12/16(金) 22:24:46 ID:IZAkWz/mtQ
姫「……予想以上に疲れるわ」ゲッソリ

従者「頬が引きつってますよ」

姫「こんなに愛想笑いフル活用したの初めてよ」

従者「ああいつも怒鳴ってばかりですもんね」

姫「誰のせいだと」
310: 1
◆xXC7.dNnEA:2011/12/17(土) 23:16:10 ID:/5FRZFy.DE
勇者「姫ー、ご機嫌麗しゅー」

姫「はいはい麗しゅーございますよお陰様で」

勇者「あれ?もう営業スマイルは終わりなんだ?」

従者「休憩中だそうで」

姫「勇者に営業しても仕方ないわよ」
311: 1
◆xXC7.dNnEA:2011/12/17(土) 23:16:45 ID:/5FRZFy.DE
勇者「じゃあさ、休憩中なら芸術家さんの作品見に行かない?姫見てないだろ」

姫「あー、そんなのあったわねえ」

従者「忘れてたんですか」

姫「だってあれは解決済みだもの……ていうか腰が痛いわ」

勇者「お婆ちゃんみたいなこと言うなって……なあ良いだろ従者さん」

従者「少しでしたら」

姫「えー……」
312: 1
◆xXC7.dNnEA:2011/12/17(土) 23:17:32 ID:/5FRZFy.DE
勇者「よし決まり!行くよ姫!」ズルズル

姫「きゃー助けて拉致られるー」ズルズル

従者「そんなやる気ない声で叫んでも微笑ましいだけですよ」

姫「どこが微笑ましいと」

勇者「西棟前の丘にあったよ!」

従者「行ってらっしゃいませ」
313: 1
◆xXC7.dNnEA:2011/12/18(日) 23:50:39 ID:A1avxOZkx2
勇者「……なあ、姫。西棟のあの木を覚えてる?」

姫「え?小さい頃よく登った、あの大きな木かしら」

勇者「そうそう、少し前に病気で枯れちゃったやつ」

姫「切り倒されちゃったのよね。で、それが?」

勇者「寂しい?」

姫「まあ、それは」

勇者「だから連れてきたんだよ」
314: 1
◆xXC7.dNnEA:2011/12/18(日) 23:51:23 ID:A1avxOZkx2
勇者「絶対見てみるべきだって」

勇者「西棟前の丘の、あの木があった場所にさ」

勇者「あるんだよ、同じ色に染まった、夕暮れ空に溶け込んで」

勇者「ほら、もうすぐ見えてくるよ」

勇者「あかあかと燃えるあの大きな木が」
315: 1
◆xXC7.dNnEA:2011/12/18(日) 23:51:50 ID:A1avxOZkx2
姫「赤い木……?これ、あの木なの?」

勇者「うん、そう」

勇者「芸術家さんがね、切り倒した木を貰って行ったらしいんだ」

勇者「使わせて貰えないか、って」

姫「綺麗……」
316: 1
◆xXC7.dNnEA:2011/12/18(日) 23:52:15 ID:A1avxOZkx2
芸術家「……気に入って頂けたようで、ありがとうございます」ニコニコ

姫「芸術家さん。来ていたの」

芸術家「あはは、やはり皆さんの感想は、僕も気になりますから」

勇者「そっかあ」

芸術家「……結局、部屋にあるものだけではできませんでしたが」

姫「費用無しでしょう、上出来よ」
317: 1
◆xXC7.dNnEA:2011/12/19(月) 23:15:47 ID:4SVeeV6rxk
姫「正直に言うと意外だったわ。いつもはもっと、豪華で派手なものを、こう、どばーんと置いてあったんだもの」

姫「でもこの木は目立たないし、圧倒するような迫力もない。代わりに素朴で優しくて、すごく温かい感じがする」

姫「もしかしたら、お父様の好みには合わないかもしれないわね。でも」

姫「私はすごく、好きだと思うわ」
318: 1
◆xXC7.dNnEA:2011/12/19(月) 23:16:39 ID:4SVeeV6rxk
芸術家「……最高の誉め言葉を、ありがとうございます」

勇者「お、芸術家さん照れてる?」

芸術家「いや、そんなことは!」

姫「あらそんなに嬉しかった?もっと言おうかしら」

芸術家「ひ、姫様ぁ」タジッ
319: 1
◆xXC7.dNnEA:2011/12/19(月) 23:19:24 ID:7l16fIcLfY
芸術家「あ、そうだそうだ。これを見て頂けませんか」

勇者「何これ、この木の葉っぱ?」

姫「何か書いてあるわよ」

芸術家「これはね、紙を加工してできてるんですよ。少しずつ色や形を変えて、針金を仕込んで」

勇者「へえ、本物みたいに作るなあ」

芸術家「あはは、これでも僕、芸術家ですから」
320: 1
◆xXC7.dNnEA:2011/12/19(月) 23:20:08 ID:7l16fIcLfY
芸術家「で、紙ですから、文字が書けますよね」

姫「まあ、書けるわね」

芸術家「ということで、実はね、見に来てくださった皆さんに、願い事を書いて貰ってるんですよ」

勇者「……願い事?」
321: 1
◆xXC7.dNnEA:2011/12/19(月) 23:20:41 ID:7l16fIcLfY
芸術家「東洋にはね、七夕という風習があるらしいんですよ」

芸術家「一年に一度、笹の枝に、紙で作った飾りと、願い事を書いた紙を吊るすと、願いが叶うんです」

姫「面白いわね、それが今日?」

芸術家「いえ」キパッ

姫「えっ」

芸術家「いや、素敵な風習なんでパクってきちゃいました。あはは」
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