姫「いいですよねお父様」
王「姫ちゃん怖いよ」
姫「殴りたくもなりますよ。
――何ですかこの財政は!」
132: 1 ◆xXC7.dNnEA:2011/11/9(水) 18:21:50 ID:wPFCMzneoQ
姫「あんた王国の面目潰す気?」
従者「国が支援するのが通例なんです」
勇者「そうなんだ?」
姫「あの小国はついに勇者ひとり送り出せなくなったなんて噂が立ったら……」ガクブル
勇者「姫、とりあえず落ち着け」
133: 1 ◆xXC7.dNnEA:2011/11/9(水) 18:25:01 ID:wPFCMzneoQ
姫「ともかくお金ないから無理!ごめん、諦めて!」
勇者「分かったけどさあ、どうせひき止めるなら」
勇者「あなたが心配だから!」ウルッ
勇者「くらいは言ってくれても良かったんじゃないの」
姫「誰がそんなこと」
勇者「うん、ごめん俺が悪かった」
134: 1 ◆xXC7.dNnEA:2011/11/10(木) 17:42:31 ID:wPFCMzneoQ
従者「姫様、本来の目的をお忘れではありませんか」
姫「あ、そうそう思い出したわ」
姫「ねえ勇者、資料室の場所知らない?分からなくなっちゃったのよ」
勇者「え、また?」
従者「また、とは?」
姫「要らないこと突っ込むんじゃないわよ」
135: 1 ◆xXC7.dNnEA:2011/11/10(木) 17:45:48 ID:BD5gqboGtA
勇者「この年で方向音痴がまだ治らないなんて、逆に奇跡的だよね」
姫「うるさいわね、さっさと案内してよ」
勇者「わあ横暴、従者さんも大変だねー」
従者「そうですね大変ですねー」
姫「あんたが言うか」
136: 1 ◆xXC7.dNnEA:2011/11/10(木) 17:48:56 ID:/h1J5f9sxg
勇者「資料室は西棟でしょ、行けば分かるから俺もついていこうか」
姫「頼むわ、こいつ使い物にならないのよ」
従者「それほどでも」
姫「突っ込まないわよ」
勇者「それにしても何で東棟の端なんかに来たのさ」
姫「出来れば聞かないでほしいわ」
137: 1 ◆xXC7.dNnEA:2011/11/11(金) 15:35:03 ID:TKQezqcdlg
勇者「……へえ、それで帳簿を」
従者「開催するなら、出来るだけ費用を削らなくてはなりませんから」
勇者「ふーん……?」
姫「何よ、不満そうな顔して」
勇者「俺を送り出すお金はないのに、お兄さんを迎えるお金はあるんだ」
姫「当然よ王族だもの」サラッ
勇者「グサッてきた」
138: 1 ◆xXC7.dNnEA:2011/11/11(金) 15:39:54 ID:vaPRAZHb9M
勇者「あーあ、旅に出る日を夢見て毎日の訓練も欠かさなかったのに」
姫「めんどくさい男ね」
従者「全くです」
勇者「それ従者さんまで言うー?あ、そこの角右だよ」
姫「あら、確かに見覚えがあるわ」
従者「無事到着ですね」
139: 1 ◆xXC7.dNnEA:2011/11/11(金) 15:49:37 ID:cdu7xIBYa.
姫「相変わらずの威圧感ね、ここは」
従者「俺帰っていいですか」
勇者「帰りたくもなるよなあ」
姫「つべこべ言わないで探すわよ」
勇者「俺も?」
姫「もち」
140: 1 ◆xXC7.dNnEA:2011/11/11(金) 16:00:22 ID:QZJczNwe4M
宰相「あれ、姫様もいらしたんですか」
姫「宰相さん!」
勇者「宰相さんお久しぶりです」
宰相「勇者さんも。お会いしない内にすっかりご立派になられて」
勇者「いやあ」
姫「お世辞よ?」
勇者「水差さないでよ!」
141: 1 ◆xXC7.dNnEA:2011/11/11(金) 16:05:16 ID:BD5gqboGtA
姫「舞踏会の費用について、もっと詳しい記録が見たくて来たのよ」
宰相「でしたら一緒ですね」
姫「あら、宰相さんも?」
宰相「いいえ、僕がというよりは……」
王子「なあ宰相、ここの衣装費って」
従者「!」ピクッ
王子「!」ハッ
142: 1 ◆xXC7.dNnEA:2011/11/12(土) 18:28:57 ID:cdu7xIBYa.
従者「これは王子、お久しぶりです」
王子「ああ久々だな、まだこの城に仕えていたのか」
従者「ええ、生憎とそれだけの能力は持ち合わせてございますので」
王子「その能力が正しく使われているかは甚だ疑問だがな」
従者「それはどのような意味で仰っているんでしょうね」
勇者「なにこの空気」
143: 1 ◆xXC7.dNnEA:2011/11/12(土) 18:29:43 ID:cdu7xIBYa.
王子「そのままの意味だが有能な使用人にも分からないほど難解だったか?」
従者「一国の王子が言葉の含みにも気付かれないとは将来が案じられますね」
姫「忘れてたわ、ふたりが折り合い悪かったの……」ハァ
宰相「出会ってしまったものは仕方ありませんね」グッタリ
姫「宰相さん帳簿見せて?」
宰相「はい、過去何年分ほどが御入り用ですか?」
144: 1 ◆xXC7.dNnEA:2011/11/12(土) 18:31:44 ID:TKQezqcdlg
勇者「へー、これが城の財政記録」
姫「あんた部外者なのに何で見てるのよ」
勇者「姫が呼んだんだろ?」
宰相「構いませんよ、政治に深く関わる類のものではありませんので」
勇者「だってさ」
姫「……もう」
145: 1 ◆xXC7.dNnEA:2011/11/12(土) 18:32:15 ID:TKQezqcdlg
姫「客に振る舞う料理代は、この分だと何割か削れそうだわ」
勇者「毎回大量に残ってたよな」
宰相「ええ、かなり」
姫「料理長さんも、もう作りすぎはやめてくれるでしょうね」
宰相「お見事でした」
姫「お世辞はいいのよ」
勇者「鼻の穴膨らんでるけど」
146: 1 ◆xXC7.dNnEA:2011/11/13(日) 08:59:35 ID:wPFCMzneoQ
姫「あとは……装飾費って何に使ったのかしら」
勇者「本当だ、何か特別な飾り付けとかしてたっけ?」
宰相「その時々によって、大きな美術品を置いていたようですね」
姫「ああ、そういえば……」
147: 1 ◆xXC7.dNnEA:2011/11/13(日) 09:03:45 ID:wPFCMzneoQ
姫「お兄様がいた最後の舞踏会では、大きな氷の彫刻が置いてあったわ」
勇者「その前は確か、色とりどりの炎が灯る燭台が大広間中にあって」
宰相「巨大噴水のときもありましたね」
姫「薔薇園に巨大な迷路を作ろうとした時は、完成が間に合わなかったみたいだけど」
勇者「王様半端ねえな」
姫「お父様らしい……」
148: 1 ◆xXC7.dNnEA:2011/11/13(日) 09:11:53 ID:CDn3vnH7O.
姫「やめさせようかしら」
宰相「しかし姫様、それを楽しみに舞踏会へやってくる国民も少なくありません」
勇者「うんうん、確かに綺麗だもんな」
姫「じゃあせめて費用を抑えて……」
勇者「そんなことできんの?」
姫「うーん……」
149: 1 ◆xXC7.dNnEA:2011/11/13(日) 09:18:05 ID:CDn3vnH7O.
宰相「こればかりは、直接聞いてみないと分かりませんね」
姫「そうね、でも誰に?」
宰相「王様が保護している芸術家の方に作らせているそうですが」
勇者「お抱えか、やるなあ」
姫「お父様そんなことまで……」
150: 1 ◆xXC7.dNnEA:2011/11/13(日) 09:28:45 ID:1Mn.ULmtuc
姫「美術品のことは置いておいて、他に何かできることはないかしら」
勇者「さっきお兄さんが何か言ってなかったか?」
宰相「そうでしたね、王子……」
王子「その耳は飾りか?目上の者に敬意を払えないような者が城に仕えるのが解せないと言ったんだが」
従者「ええ、自らの権威を振りかざし敬意を要求するような者に払う敬意は持ち合わせてございませんので」
勇者「だめだこれ」
151: 1 ◆xXC7.dNnEA:2011/11/13(日) 18:23:14 ID:YJIMGSU7Oo
姫「はいはい二人ともそこまでー」
王子「姫、だってこいつ」
従者「大人げないですよ王子」プーッ
王子「お前に言われたくはない」ムカッ
宰相「王子、そろそろ王様がお呼びのお時間ですが……」
王子「ああそうだったな、すぐに行こう」
宰相「すみません、僕達はこれで失礼致しますので」
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