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さよならいおん「…ありがとうさぎ」
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1: :2011/10/12(水) 18:10:39 ID:DjGow5sBJA
ぼくの名前は
さよならいおん

「さよならいおん」


ぼくはそれしか呟けない




59: はりお ◆kd.jynLh5M:2011/10/13(木) 21:19:09 ID:7hZUJ7s.K2
ぼくはなんでしゃべれないんだ。もんもんと考えながら夜の道を二人で歩く。ねずみさんは喋りながら。ぼくは頷いたり首を傾げたりしながら。


ねずみ「ここが僕の家!」


ねずみさんの大きな声にハッとして顔をあげる。目の前には二階建ての赤い屋根の一軒家。大きい家に住んでいるんだなあと思った。
60: はりお
◆kd.jynLh5M:2011/10/13(木) 21:19:59 ID:7hZUJ7s.K2
ねずみ「入ろう!」

らいおん「!」コクコク


ねずみさんがドアを勢いよくあける。小さく「ただいま」とねずみさんが言うと奥のほうから赤い眼鏡をかけたねずみさんのお母さんが走ってきた。

61: はりお
◆kd.jynLh5M:2011/10/13(木) 21:21:19 ID:ZcWpf5xQ5g

ねずみ母「おかえりなさい。ママ、心配してたのよ…?」

ねずみ「…ご、ごめんなさい……」


ねずみさんのお母さんがねずみさんを大切そうに抱き締める。優しそうに見えてとっても力強く。

なんだろう、この気持ち。幸せな光景を見てるのにとってもツライ。



62: はりお
◆kd.jynLh5M:2011/10/13(木) 21:21:51 ID:7hZUJ7s.K2
らいおん「さよならいおん」


ぼくは小さく呟いてゆっくりその場を離れようとした。ねずみさんがそれに気づく。


ねずみ「…さよならいおん?」

らいおん「…」コクコク

ねずみ「さよならいおん!またね!」

らいおん「! さよならいおん…!」

63: はりお
◆kd.jynLh5M:2011/10/13(木) 21:23:54 ID:7hZUJ7s.K2
ねずみさんと会話をした。ぼくはちょっと嬉しい。
だけどナゼだかそれ以上にツラくて胸が苦しい。なんでだろう。ねずみさんにはお母さんがいるから?家があるから? わからない。

ひとつだけ確かなのは、ぼくはまた泣きそうだということだ。ぼくはいつから泣き虫になったんだろう。
64: 名無しさん@読者の声:2011/10/14(金) 00:14:28 ID:Rz9dbpSQ4g
紫煙
65: 名無しさん@読者の声:2011/10/14(金) 14:51:16 ID:fKwTipKZmw
しえん
66: はりお
◆kd.jynLh5M:2011/10/14(金) 18:56:17 ID:qtzPYBHBoM
なんでぼくはひとりなの?
お母さん、お父さん、ぼくは今すごくあなた達に会いたいです。


らいおん「さよならいおん…!さよならいおん…!」


お母さんに教えて貰った「さよなら」をいっぱい言ってみる。切ない。寂しい。苦しい。

67: はりお
◆kd.jynLh5M:2011/10/14(金) 18:56:45 ID:qtzPYBHBoM
ぼくはいっぱい泣いた。雲がまったくないはずの空。月がぼやけて見えるのはぼくの涙のせいだ。
ぼくは泣きながら走る。帰る場所もないからデタラメにただただ走った。

行き着いた場所は月明かりしかない真っ暗な池だった。

68: はりお
◆kd.jynLh5M:2011/10/14(金) 18:57:12 ID:qtzPYBHBoM
池の前に柵がある。ぼくはそれを乗り越える。池の真ん中に浮かぶ月に触りたかったから。
こんばんわん君のお父さんがくれた大切なリュックを地面に置いて、ちゃぷんと両足を池にいれる。冷たくて浅い。ちゃぷん、ちゃぷんと歩き続ける。どんどん池が深くなっていく。ぼくが歩くたび、月が揺れていた。

69: はりお
◆kd.jynLh5M:2011/10/14(金) 18:57:59 ID:9OzucEzTfM
わくわくした。でもちょっとだけ怖かった。ぼくの体がどんどん水に浸かっていく。月まであと少しだ。
揺れる月にむかって手を伸ばす。届かない。もう肩の辺りまで水につかっているからとっても寒い。
きっと、もっと水の中を進まなきゃ月には届かないんだ。

70: はりお
◆kd.jynLh5M:2011/10/14(金) 19:00:38 ID:9OzucEzTfM

支援ありがとうさぎです!今日はここまででさよならいおん(・∞・)
71: 名無しさん@読者の声:2011/10/14(金) 22:06:35 ID:cPmNuQJNtE
こんばんわん君って誰さww
支援!
72: 名無しさん@読者の声:2011/10/15(土) 00:00:51 ID:BhTm2YyXGU
暖かくて切ない…
良スレ(´;ω;`)つC
73: 名無しさん@読者の声:2011/10/16(日) 12:26:50 ID:UNNMTvFSy.
支援! 支援!
74: 名無しさん@読者の声:2011/10/17(月) 00:01:54 ID:lyASBkUlbw
はりま☆はりおさん頑張って!
75: はりお
◆kd.jynLh5M:2011/10/17(月) 17:07:52 ID:8CvlVX4ZxU
>>71
>>68 こんばんわん君に気づいて吹いたwwwこんにちわん君ですねw

支援、応援ありがとうさぎ!全レスしたいくらい嬉しい///
ちなみに「はりお」のはりはハリネズミのはりです(・Å・)フシュッ


76: はりお
◆kd.jynLh5M:2011/10/17(月) 17:09:31 ID:8CvlVX4ZxU
ゆっくりゆっくり進んでいく。口に水が入ってきて少し苦しい。

ドンッ

急にぼくの体に鈍い痛みが走った。何かがぼくの体をぐいぐいと押している。どんどん月から離れて陸に近づいていってしまう。もう少しで月に触れたのに。陸に打ち上げられると、ぼくを押していたものがぼくの目の前に立ち上がった。

77: はりお
◆kd.jynLh5M:2011/10/17(月) 17:10:22 ID:pZldxr8Itg
わに「なにをしているんですか!もう少し深かったら溺れ死ぬところですよ!」

らいおん「…?」


意味がわからない。ぼくは月に触ろうと水に入っただけだ。死のうとなんかしていない。口に入ってしまった水をゲホゲホと吐き出した。
78: はりお
◆kd.jynLh5M:2011/10/17(月) 17:11:17 ID:8CvlVX4ZxU
死のうとなんかしていないです。月に触りたかっただけなんです。伝えようがない思いを抱えながらぼくは黙りこむ。どうにか伝えようと月を指差してから水面を指差してみた。

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