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さよならいおん「…ありがとうさぎ」
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1: :2011/10/12(水) 18:10:39 ID:DjGow5sBJA
ぼくの名前は
さよならいおん

「さよならいおん」


ぼくはそれしか呟けない




23: :2011/10/12(水) 19:00:17 ID:ldp/oNwss.
男の子「わあ、ごめんね。大丈夫?」

らいおん「!!!」


人間だ。ぼくのお父さんとお母さんを食べた人間だ。真っ暗闇の中、街灯でにこにこした顔が照らされてとても怖い。逃げなきゃ。はやく逃げなきゃぼくもきっと両親のように食べられてしまう。


24: :2011/10/12(水) 19:03:02 ID:ldp/oNwss.
男の子「どうしたの?ふるえてるよ?」

らいおん「!!」


人間の手がのびてきてぼくを撫でた。恐怖のあまり動けない。お母さんとお父さんが食べられてく光景を思い出してしまう。


男の子「きみ、ポンデライオン?」

25: :2011/10/12(水) 19:11:17 ID:DjGow5sBJA
人間の言葉が頭の中で繰り返される。ぼくはポンデライオンじゃない。似てるかもしれないけど全く違うんだ。


らいおん「さ、さよ、さよならいおん…!」

男の子「さよならいおん?なにそれwwwwww」


人間がゲラゲラと笑っている。逃げるなら今がチャンスだ。ぼくはふるえる足に力をいれて一生懸命走った。

26: :2011/10/12(水) 19:35:47 ID:DjGow5sBJA
人間の笑い声がどんどん小さくなっていく。それに比例して安心感が増していく。立ち止まって振り返ってみると誰もいなかった。ぼくは食べられずに済んだんだ。
一気に疲れが襲ってきてペタリとその場に座り込んだ。地面はとっても冷たくて気持ちがいい。



27: :2011/10/12(水) 19:36:35 ID:ldp/oNwss.
ぼくはとうとう一人になったんだと実感した。走った道を振り返っても誰もいない。本当に誰もいないんだ。こんにちわん君も、そのお母さんもお父さんも、いないんだ。
涙が出そうになったのを必死に堪える。


ぼくはこれからどうしよう



28: :2011/10/12(水) 19:37:09 ID:ldp/oNwss.

気持ちが落ち着いてきても何でぼくは捨てられたのか考えようとは思えなくて、これからどうしようということばかり考えた。
ずっと握ってた拳からメモが出てきた。握りしめてたことさえ忘れてたからちょっと驚く。



29: :2011/10/12(水) 19:37:50 ID:DjGow5sBJA

汗でシワシワになったメモを開いてみると、こんにちわん君のお父さんの文字で
『さよならいおんは大事な家族だ』と書かれていた。
じゃあなんでぼくを捨てたの?と思ったぼくの気持ちはもう届かない。でもそれの気持ちを上回るくらい嬉しいと感じた。嬉しいときなんて言うんだっけ。思い出せない。

30: 名無しさん@読者の声:2011/10/12(水) 19:38:43 ID:6BkTiQ0rv.
さよならいおん…(´;ω;`)
31: :2011/10/12(水) 19:51:57 ID:DjGow5sBJA
メモを丁寧に折りたたんでリュックの外ポッケにしまう。これは宝物になりそうだ。
リュックのチャックをジーッと開ける。中には大量のぼくの好きなお菓子と薄い毛布が1枚だけ入っていた。

毛布にくるまって空を見上げた。空がとっても暗くて広い。ひとりじゃ星の綺麗さもよくわからなかった。


32: 名無しさん@読者の声:2011/10/12(水) 19:59:53 ID:y0JEGigchQ
やばい、目から汗が
33: :2011/10/12(水) 20:25:56 ID:F4BvMARXc6
眩しい。そう感じて目を開けると太陽が登りだしていた。薄い毛布にくるまって地べたに寝たせいか体が痛い。のそのそと立ち上がって毛布のホコリをパタパタとはらって丁寧にたたむ。
お菓子の中からビーフジャーキーを取り出して少しだけ食べた。
いつもよりしょっぱい。ぼくはまた泣いていた。

34: :2011/10/12(水) 21:27:39 ID:jxhZHLJ7ek
落ちてくる涙を拭って涙をどうにか止める。
昨日はこんにちわん君の家を出てから走ってばかりいたのに何も飲んでいない。ぼくは公園を探すことにした。
とぼとぼと歩く。足が重くて上がらない。

今気づいたけどここは全く知らない土地だ。ぼくは昨日、どれくらい走ったのだろう。


35: :2011/10/12(水) 21:28:11 ID:QIyxlkKpbI
太陽が完全に登った頃にぼくは公園を見つけた。水道を探して水をがぶがぶと飲む。一息つこうとベンチに座ったら、隣に誰かが座ってきた。


うなぎ「おはようなぎ」

らいおん「…」ペコリ


おはようなぎと呟いたシルクハットを被ったうなぎさんはぼくの顔をチラリと見てまた口を開いた。

36: :2011/10/12(水) 21:28:50 ID:QIyxlkKpbI
うなぎ「手品を見せましょう」


いきなりの事にビックリした。唐突すぎて手品ってなんだっけと思ってしまうほどだ。ぼくは顔を縦にふる。うなぎさんはにっこりと笑ってシルクハットからステッキを取り出した。


うなぎ「ワン、ツー、スリー!」ポンッ


ステッキから花束が出てきてぼくは思わず拍手をする。うなぎさんは花束をプレゼントしてくれた。



37: :2011/10/12(水) 21:29:21 ID:QIyxlkKpbI
うなぎ「朝の散歩は楽しいです」


ベンチから降りて歩いていくうなぎさんの背中に向けてお礼を言おうと思った。でもお礼の言葉が出てこない。思い出せない。ぼくは精一杯大きい声で「さよならいおん!」と言ってみた。うなぎさんはステッキを大きく左右にふってくれた。

38: :2011/10/12(水) 21:29:48 ID:jxhZHLJ7ek
少しでも誰かと一緒に居れたこと、誰かの声が聞けたこと、それが今のぼくにはとても嬉しいことだった。
朝はいろんな人がいる。きっと何かの偶然でこんにちわん君と会えるかもしれない。そんなことを考えていたら昨日の疲れがまだ残っているのかだんだん瞼が落ちてくる。
夜に目が覚めるのは孤独を味わって嫌なのに、ぼくの意識はゆっくりと遠ざかって行った。
39: はりお ◆kd.jynLh5M:2011/10/12(水) 21:43:12 ID:jxhZHLJ7ek
1です。コテと酉をつけてみました。区切りがいいので続きは明日書きます。初スレなのでよくわからんw
支援とカキコと読んでくれてありがとうさぎ!
40: 名無しさん@読者の声:2011/10/12(水) 21:51:11 ID:WM.6ZBGSjg
悔しいがこれは良スレ
持っていってくれ
っC
41: 名無しさん@読者の声:2011/10/12(水) 21:51:37 ID:kmV.oNxA/.
支援だフォイ
42: 名無しさん@読者の声:2011/10/13(木) 00:41:59 ID:8ZziAPt4WU
なんでべらべら喋ってるの?
頭の中では思えても口には出せないとか?
50.30 KBytes

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sage:


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