ぼくの名前は
さよならいおん
「さよならいおん」
ぼくはそれしか呟けない
171: はりお ◆kd.jynLh5M:2011/11/3(木) 22:32:47 ID:uZn9xXorvI
すかんく「『弟が出来たみたいだったのに』って言ってたぜ」
すかんく「簡単に言うと、わにもイヌ一家も、お前に生きていて欲しいから追い出したんだ」
172: はりお ◆kd.jynLh5M:2011/11/3(木) 22:33:13 ID:OQjkwj5YxQ
わかってくれたか?とすかんくさんが笑う。流せなかった涙が一気に溢れてきて止まらない。みんなぼくのために、ぼくを追い出したんだ。
ぼくはひとりぼっちじゃなかったんだ。初めから。
173: はりお ◆kd.jynLh5M:2011/11/3(木) 22:33:47 ID:uZn9xXorvI
お父さんもお母さんも、こんにちわん君もその家族も、わにさんも、ぼくを思ってくれていたんだ。助けてくれていたんだ。大切にしてくれていたんだ。
ぼくは幸せ者だったんだ。
ふとみんなに会いたいと思った。お礼が言いたい。両親には無理だけど。
174: はりお ◆kd.jynLh5M:2011/11/3(木) 22:34:14 ID:OQjkwj5YxQ
ぼくは地面にガリガリと文字を書いた。相変わらずひらがなばかりの文。
らいおん『おれい いいたい みんなにあって』
すかんく「そっか。お礼の言葉、わかるか?」
らいおん「…」
ぼくは昔からお礼の言葉がわからなかった。正確にいうと思い出せない。何故だかはわからないけど。
175: はりお ◆kd.jynLh5M:2011/11/3(木) 22:35:24 ID:OQjkwj5YxQ
すかんく「じゃあ、もうひとつ。今度は俺の過去の話をしよう。」
すかんく「長いけど、ちゃんと聞けよ?www」
らいおん「!」コクコク
すかんく「俺には2年前まで恋人がいたんだ」
176: 名無しさん@読者の声:2011/11/3(木) 22:50:11 ID:Ams6nMNmjg
追い出す方も辛いよな(´;ω;`)
177: 名無しさん@読者の声:2011/11/3(木) 22:57:20 ID:1mgK1wytf6
久しぶりに本気で泣いている私がいる(´;ω;`)っCCC
178: はりお ◆kd.jynLh5M:2011/11/3(木) 23:09:52 ID:OQjkwj5YxQ
すかんく「ピンク頭で不良みたいな俺を愛してくれていたひとがいた。」
すかんく「ぶっちゃけ、俺、町を追い出された身だし。」
すかんく「俺なんかが恋愛しちゃいけないと思っていた。」
すかんく「でも、惚れちまったんだ。」
179: はりお ◆kd.jynLh5M:2011/11/3(木) 23:10:19 ID:uZn9xXorvI
すかんく「相手の人は俺と付き合っている事を町の皆に隠してたみたいだった。けど、」
すかんく「案の定バレて町を追い出された」
すかんく「その時、俺は出掛けていたから彼女の行方は知らない」
すかんく「彼女を探すために俺は旅をしているんだ」
180: はりお ◆kd.jynLh5M:2011/11/3(木) 23:11:07 ID:uZn9xXorvI
すかんく「もう、会えないかもしれないけど。」
すかんくさんが笑う。なんでそんなに町の人に嫌われていたのか聞きたかったけど、聞かなかった。すかんくさんがまた話し出す。
すかんく「彼女、優しくて温かい性格で俺にはもったいなかったわw」
181: はりお ◆kd.jynLh5M:2011/11/3(木) 23:12:54 ID:OQjkwj5YxQ
すかんく「真っ白で耳長くてバレリーナの格好してて、」
らいおん「……!」
ぼくはもしかしたらそのひとを見たかもしれない。しかもすぐ近くで。すかんくさんがベラベラと話続けている。ぼくは構わずすかんくさんの手をひいて走った。
すかんく「そんで、そいつの口癖が…っつか、手痛いww」
182: はりお ◆kd.jynLh5M:2011/11/3(木) 23:13:25 ID:OQjkwj5YxQ
夜中に来た穴。真っ白なうさぎさんが泣いていた穴。夜中よりも小さい泣き声が聞こえる。
すかんくさんの手をひいてゆっくり中に入る。奥の方にうずくまっている真っ白なうさぎさん。
うさぎ「…ッグス…うぅ…」
すかんく「…!」
183: はりお ◆kd.jynLh5M:2011/11/3(木) 23:14:02 ID:uZn9xXorvI
すかんくさんは目を丸くした。固まっているすかんくさんは初めて見た気がする。
ゆっくりとすかんくさんは近づいていった。うさぎさんは気づいてないようでまだうずくまっている。
すかんくさんがうさぎさんを抱き締めた。『だれ!?』という声が聞こえた。
184: はりお ◆kd.jynLh5M:2011/11/3(木) 23:14:29 ID:uZn9xXorvI
すかんく「俺。」
うさぎ「…!!」
うさぎさんが声を上げて泣いている。すかんくさんも泣いているみたいだ。
うさぎ「…見つけてくれて、ありがと、うさぎ」
185: はりお ◆kd.jynLh5M:2011/11/3(木) 23:14:58 ID:OQjkwj5YxQ
すかんくさんもうさぎさんも泣いている中でぼくは1人で発見をした。『さよならいおん』以外の声がうっすらと出る。色んなショックから解放されたからか、なんだかわからないけど。
ぼくはゆっくりその場を離れた。ぼくは今覚えた言葉をはやく使いたいんだ。
186: 名無しさん@読者の声:2011/11/3(木) 23:15:18 ID:1mgK1wytf6
すかんくさんがイケメンすぎて泣いていますありがとうさぎCCC
187: はりお ◆kd.jynLh5M:2011/11/3(木) 23:15:29 ID:uZn9xXorvI
リュックをしっかり背負って、わにさんの家に向かう。わにさんの家に行ったらわにさんと飽きるほどお喋りがしたい。ぼくがもう少し成長したらわにさんと一緒にこんにちわん君の家に行きたい。でもその前に人間より強くならなきゃ。
188: はりお ◆kd.jynLh5M:2011/11/3(木) 23:17:20 ID:OQjkwj5YxQ
いっぱい歩いてわにさんの家にたどり着いた。疲れてヘトヘトだけど、ぼくはニコニコ笑っていた。
コンコン
わに「どちらさまですか?」
ガチャリ
わに「!!」
わに「さよならいおん…?」
ぼくはわにさんに力一杯抱きついてみる。
らいおん「…ありがとうさぎ」
おわり
189: 名無しさん@読者の声:2011/11/3(木) 23:19:35 ID:89zsSY1y82
泣いた
1乙
190: はりお ◆kd.jynLh5M:2011/11/3(木) 23:49:39 ID:uZn9xXorvI
たくさんの支援ありがとうさぎでした! 俺はおまいらの優しさに泣いちゃうぜ…
完結したら保管庫か削除の依頼だせばいいんですっけ?俺的には保管庫にしたいんだがいい?チラッチラッ
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