ぼくの名前は
さよならいおん
「さよならいおん」
ぼくはそれしか呟けない
149: はりお ◆kd.jynLh5M:2011/11/3(木) 15:09:55 ID:l5Pa902z2Y
リュックが重たい。涙は出ない。心臓がズキズキ痛い。走っても、目的地も帰る場所もないんだ。歩こう。
ひとけのない所へ行こう。
ぼくはそう思ってゆっくり歩いて行った。
150: はりお ◆kd.jynLh5M:2011/11/3(木) 15:10:36 ID:KdRzS59wow
いっぱい歩いて夜になった。ついたのは家も人も街灯もない森の中だった。背の高い木がいっぱいある。真っ暗だけど、ぼくにはなぜか快適に感じた。星がすごくキレイに見えるからかもしれない。
151: はりお ◆kd.jynLh5M:2011/11/3(木) 15:11:07 ID:KdRzS59wow
ぼくは草をいっぱい集めてそこに寝転んだ。1日歩いてお腹がすいた。けどなにも食べたくないからぼくは静かに目を閉じる。
外で眠るのは久しぶりだった。
152: 名無しさん@読者の声:2011/11/3(木) 16:55:22 ID:K0T55gKhrY
(´;ω;)ブワッ
153: はりお ◆kd.jynLh5M:2011/11/3(木) 20:09:10 ID:JGzeeerFDo
目が覚めたのはまだ辺りが暗い時だった。どこからかシクシクと泣き声が聞こえる。怖いけど、ぼくはゆっくり声のする方へと向かった。
声にどんどん近づいていくと土で作られた少し大きめの穴があった。そこからシクシクと聞こえてるようだ。
154: はりお ◆kd.jynLh5M:2011/11/3(木) 20:09:40 ID:JGzeeerFDo
らいおん「…?」
そろーっと中に入る。穴のちょっと奥に真っ白な洋服を着た真っ白で長い耳を持ったうさぎさんがいる。泣いているのはこのひとだ。
ぼくには気づいていないみたい。話しかけようか迷ったけど、何故か話しかけちゃいけない気がした。
155: はりお ◆kd.jynLh5M:2011/11/3(木) 20:10:09 ID:JGzeeerFDo
気づかれないように外に出て、さっきぼくが寝ていた場所に戻る。朝が来たらどこか遠くに行こう。
空が曇っているのか、星がひとつも見えなかった。
156: はりお ◆kd.jynLh5M:2011/11/3(木) 20:10:44 ID:VXxlo6gc.U
目を開けた瞬間飛び込んできたのは真上にきた太陽だった。きっと今はお昼ぐらい。むくりと起き上がって辺りを見回す。ぼくのすぐ隣、今寝ていた所の隣に見慣れたピンクのモヒカン頭のひとがいた。
157: はりお ◆kd.jynLh5M:2011/11/3(木) 20:11:14 ID:JGzeeerFDo
らいおん「!?」
ぼくはバシバシと叩いてすかんくさんを起こす。すかんくさんはゆっくりと体を起こしてアクビをした。
すかんく「おはよ」
らいおん「!」ペコリ
すかんく「お前のあとつけてきたったww」
158: はりお ◆kd.jynLh5M:2011/11/3(木) 20:11:47 ID:VXxlo6gc.U
すかんくさんがニッコリ笑ってから朝飯食おうと言ってぼくのリュックを漁った。中から食べ物を取り出してむしゃむしゃと食べ始めたからぼくも一緒に食べる。
すかんく「これで一緒に旅出来るなww」モグモグ
らいおん「…」コクリ
すかんく「なんか嬉しくなさそうだなw」
らいおん「……」
159: はりお ◆kd.jynLh5M:2011/11/3(木) 20:12:21 ID:VXxlo6gc.U
すかんくさんはハハッと笑った。でもそのあと真剣な顔をしてぼくを見つめた。
すかんく「知りたい?」
らいおん「…?」
すかんく「わにがお前を追い出した理由」
心臓がまたズキリと痛くなった。
160: 名無しさん@読者の声:2011/11/3(木) 20:40:56 ID:K0T55gKhrY
(´;ω;)ブワッブワワッ
161: 名無しさん@読者の声:2011/11/3(木) 22:10:01 ID:C3eyzHWtYU
ありがとうさぎはスルーなのかww
162: はりお ◆kd.jynLh5M:2011/11/3(木) 22:27:48 ID:OQjkwj5YxQ
泣かないでブワッ
>>161
ありがとうさぎは実は…
フヒヒ
163: はりお ◆kd.jynLh5M:2011/11/3(木) 22:28:32 ID:uZn9xXorvI
頷くより先にすかんくさんが話始める。
すかんく「まえにお前から聞いたけど、お前の両親は人間に食べられただろ?」
すかんく「それはまあ言っちゃえばお前にとっては事故な訳だ。」
164: はりお ◆kd.jynLh5M:2011/11/3(木) 22:28:58 ID:uZn9xXorvI
すかんく「ポンデライオンと間違われて食べられてしまった不幸な事故。」
すかんく「だけど、人間には『事故』ではなく『発見』だったんだ。」
すかんく「『ポンデライオンよりも美味しいものを見つけた』っていう発見。」
165: はりお ◆kd.jynLh5M:2011/11/3(木) 22:29:48 ID:uZn9xXorvI
すかんく「人間って怖いよな。イイモノがあればそっちを求める。手にいれたがる。」
すかんく「新しい発見をした人間たちが始めたのは『サヨナライオン族の乱獲』」
すかんく「サヨナライオン族がいるっていう情報が入るとすぐに捕まえに行った。」
166: はりお ◆kd.jynLh5M:2011/11/3(木) 22:30:15 ID:OQjkwj5YxQ
すかんく「だから、お前も危なかった。」
すかんくさんがぼくを指差した。ぼくはすかんくさんの目を見る。いつもより潤っているように見えた。
167: はりお ◆kd.jynLh5M:2011/11/3(木) 22:30:45 ID:uZn9xXorvI
すかんく「両親が食べられたときお前はまだ小さいガキだっただろ?」
すかんく「それでイヌの家に預けられただろ?」
すかんく「小さいガキは長い期間がたてば大きいガキになる。」
すかんく「人間はお前の存在を知っていたんだろ、きっと。それで食べ頃を待っていたんだ。」
168: はりお ◆kd.jynLh5M:2011/11/3(木) 22:31:15 ID:uZn9xXorvI
すかんく「食べ頃になるには時間がかかる。その間には『サヨナライオン族』が美味しいって話も広がる」
すかんく「イヌの家にもその情報が入ったんだろ。」
すかんく「だから追い出したんだよ。見つかったとき、帰る場所があるより、どこにいるかわからないほうが捕まりにくいから。」
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