白兎「アリス! 私達のアリス!」の番外編的なものでございまする
本編に入れたかったけどサイズオーバーにより断念したチェシャ猫の過去編等
本編の時ほどの更新率は無理ですが、放置するようなら直ぐ削除希望を出しますので、御了承ください
完全に蛇足と自負しておりますので
ひっそりと穏便にsage進行で行きたいと思いますので、どうかよろしくですm(_ _)m
55: 名無しさん@不思議の国:2011/9/14(水) 00:43:07 ID:Nl1BkT2ffc
猫は独り、そのある種横暴な仕組みに希望を見出していました
チェシャ「もしかしたら…」
チェシャ「ボクはこれを機に、何か変われるかも知れないじゃないか」
住民達は一列に並び、城の裏に置かれた裁判所へと流れ込みます
生命の概念の無い空、大地などの景色から「色」が、最初に献上されました
突如として空の青が、野原の緑が消え失せました
56: 名無しさん@不思議の国:2011/9/14(水) 01:02:42 ID:hZatukS3eA
焦る人々 頭を抱える大人達 事の重大さすら分からずはしゃぐ子供達
『次は誰だ?』 『そりゃ勿論』 『我らが女王様じゃないかな』
チェシャ「……」ピクッ
裁判所の中の様子は分かりませんでしたが
猫は一瞬、もの凄い緊張感のようなものに襲われたような
そんな気がしました
チェシャ「…何?」
裁判所の中で、恐らく何かがあった
57: 名無しさん@不思議の国:2011/9/14(水) 01:09:33 ID:3aE7tu1jnQ
女王に下された献上内容は「体」
問題は、それが女王自身の望んでいたものではなかった事
女王「……」
裁判所の中にいた住民達は取り消しを訴えかけますが
女王「……構いませんよ」
裁判長「…申し訳ない…」
女王「アリスにこの体を捧げられるのなら、何も悲しい事などありません」
裁判長「…これは、アリスの意思。受け入れる他、ないのだ…」
女王「でしたら、尚更ですよ…」
58: 名無しさん@不思議の国:2011/9/14(水) 01:18:24 ID:XXyIM9TlNE
女王「じゃ、あなたはどうします?」
ビル「私、ですか…?」
女王は隣に立つ蜥蜴の執事に問います
ビル「…そう、ですね『体温』なんて如何でしょう」
女王「体温?」
ビル「えぇ。陛下が献上なさった御体を、少しでも暖めて差し上げられればと」
女王「…ですって」
裁判長「…許可」
ビル「ありがとうございます」
二人は被告人席を立ちます
惜しみない拍手に送られ、そのまま奥の部屋へ
続くは公爵、その夫人
猫が裁判所に入ったのは、日が暮れ始めた頃でした
59: 名無しさん@不思議の国:2011/9/15(木) 00:06:49 ID:EXtZ5v8wjc
未だに猫は献上を決めかねていました
先程までの期待は少しずつ、焦りへと変わります
その時ちょうど、ドラゴンの番がやってきていたのに気付きました
その大きな体で、裁判所に入る訳にはいかないので
鼻と口を窓から突っ込んで話し始めました
ドラ「僕に必要の無いものをあげればいいの?」
裁判長「あぁ」
ドラ「そっかー。じゃあどうしようかな」
60: 名無しさん@不思議の国:2011/9/15(木) 00:20:07 ID:.P9Ds9FMzQ
ドラ「じゃ、僕は『孤独』が要らない!」
裁判所内は一瞬で静まり返ります
ドラ「……あれ? 僕なにか変な事言ったかな」
裁判長「…構わんよ、許可しよう」
ドラ「ホント!? ありがと!!」
「そんな利己的なものでも許されるのか」と人々がざわつく中
恐らく一番驚いていたのは猫
チェシャ「…凄いや」
チェシャ「なんて素敵な考えなんだろう…!
何で思いつかなかったんだろ…!」フリフリ
唯一の友達が教えてくれた、とっておきの願い
嬉しくって、尻尾も小躍りしてしまいます
61: 名無しさん@不思議の国:2011/9/15(木) 00:26:33 ID:49xkdw3Uyk
裁判長「…次」
チェシャ「あ、はい!」ピョン
裁判長「チェシャ猫さん、ね…」
自分の名を告げられた途端、何人もの、おおよそ鼠や平和主義者達の憎悪を孕んだ視線が
猫の背中に突き刺さった、ような気がしました
あとの人々はまるで自分になんか全く興味などないような
でももう、それもお仕舞いだ
62: 名無しさん@不思議の国:2011/9/15(木) 00:36:08 ID:3dwiETMrNI
チェシャ「ボクは…ボクはね…!」
ボクはこの他人からの拒絶を、嫌悪を、無関心を。その全てを捨てたいと
そんな猫の訴えを、裁判長の声が遮りました
裁判長「…不許可」
猫「…へ?」
裁判長「チェシャ猫さん、ね
君の献上する物は既に決まっている」
裁判長「君の望むものにはならんだろうが
アリスの意思だ、従って貰う」
チェシャ「……???」
63: 名無しさん@不思議の国:2011/9/15(木) 00:46:38 ID:2RxliD3ePc
意味が分からない
献上する物は自分の必要でないもので構わないと、女王はそう言ったじゃないか
チェシャ「…なに…?…言ってんの…?」
裁判長「…君が献上するのは『存在』だ
君のお陰でアリスはそこに居る事ができる」
裁判長「そしてそれは、とても誇るべきことだと思ってくれ」
何だよ存在って
チェシャ「…何だよ…存在って」
猫は声を絞り出します
64: 名無しさん@不思議の国:2011/9/15(木) 00:58:34 ID:hZatukS3eA
チェシャ「…何だよ…何だよ存在って!」
それを捨てたら今よりもボクは
チェシャ「今よりボクは独りになるじゃないか!!」ガンッ
勝手だ! 残酷だ! あんまりだ!
チェシャ「認めない…! 存在なんかくれてやらない…!!」
誰でもいいんだ 誰でもいいから、ボクを見て
チェシャ「独りに…しないでくれ…」
裁判長「…分かるまで何度も言う。 これはアリスの意思だ」
嗚呼、駄目だ
ちっぽけな自分には、これに刃向かう術は無いんだ
そう気づいて、猫はその場にへたり込んでしまいました
いつの間にか、裁判所はまた静かになっていました
65: 名無しさん@不思議の国:2011/9/15(木) 01:07:15 ID:SreLzOfR6w
「…何時までそこでいる気だ」
「後がつかえているというのに」
罵声
「我らが女王様は体を失うというのに」
「それも直ぐに受け入れたのに、あの猫ときたら」
空っぽの脳味噌に直接ねじ込まれるような
チェシャ「…あ…ぁ…」ガクガク
「そんなに一人が嫌なら戦争へ出向けばいいさ」
「お前の仲間がわんさかいるぞ、種の為働いてくればどうだ」
66: 名無しさん@不思議の国:2011/9/15(木) 01:11:27 ID:2RxliD3ePc
それからの事は、猫はよく覚えて居ません
どこかに連れて行かれ、『存在』を献上し
半ば放り出されるように、裁判所の外へ
チェシャ「……ッ」ベシャ
チェシャ「……流石に」
チェシャ「…流石に酷いんじゃないかな…」ジワァ
チェシャ「う…くぅ…」
チェシャ「ううううううううっ!!!」ポロポロ
67: 名無しさん@読者の声:2011/9/15(木) 19:39:54 ID:c8SUwpix1c
チェシャちゃん…(;ω;)
俺がついてるよ!
つC
68: 名無しさん@読者の声:2011/9/15(木) 23:34:46 ID:a0WZwT0NP.
俺だってついてるよ!
つC
69: 名無しさん@読者の声:2011/9/16(金) 01:24:49 ID:1DXJMNtkDc
じゃあ俺は抱き締める
つC
70: 名無しさん@読者の声:2011/9/16(金) 01:28:20 ID:qIrVN1pmJs
じゃあ俺は恋人になってあげる
つC
71: ◆AlicexxO96:2011/9/17(土) 00:00:23 ID:yQM7sYVCM6
じゃあ自分は嫁ごう
はい、そんな事言ってる場合じゃないですね
すみません凄い忙しい…言い訳乙過ぎますね
忙しいのにスレ立てんじゃねぇ!と言いたい方もいるかもです。最もです
明日、頑張って更新致します
申し訳ない……
72: 名無しさん@読者の声:2011/9/17(土) 00:01:59 ID:j/7oWVUdTU
まったりいこうぜ
つC
73: 名無しさん@読者の声:2011/9/17(土) 03:30:15 ID:/W08sWJM1I
ゆっくり、自分のペースで行こう。
無理はよくないからね。
74: 名無しさん@不思議の国:2011/9/17(土) 22:51:21 ID:.P9Ds9FMzQ
チェシャ「ボクが…」
チェシャ「ボクが何をしたってんだよぉ…!」ブンッ
猫はその振り上げた小さな拳を
そこにはえているだけの、何の罪もない木に叩きつけました
叩きつけようとしました
チェシャ「…う…?」
木の幹に当たったはずのその手に、痛みはありませんでした
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