少女は走る 走る
その白い足は止まる事を知らない
その赤い目は風にぶつかり開け続けていられない
その長い耳は、たった一人の少女の声を捉えようとせわしく揺れる
腰にぶら下げた目覚まし時計の音は、その邪魔をする
辿り着いたのは、とある井戸
その向こうは、彼女の世界
656: 名無しさん@不思議の国:2011/8/6(土) 23:38:23 ID:FAT/SEDfLU
ビル「御理解いただけて何よりです」
女王「えぇ、忠告ありがとう」
女王「分かっているつもりよ
今回の捜索が、不思議の国の運命を左右する事くらい」
ビル「…えぇ」
女王「…失敗すればもうどうしようもない
希望も何も無く、消えゆくのを待つだけ」
女王「この国はまるでハンプティ・ダンプティ」
ビル「……」
女王「それでも私は白兎ちゃんが心配なの」
女王「だって私はその国の女王なんだもの」
657: 名無しさん@不思議の国:2011/8/6(土) 23:47:50 ID:iNLuW6B7Vg
ビル「…その気持ちを、誰一人責める者はいませんよ」
女王「ありがとう。でも、確かに体力の温存が先ね」
女王「下がっていいわ
お昼寝でもしてますから」
ビル「…おやすみなさいませ」スッ
女王「…多分、ビルにはバレてるのでしょうね」
女王「この調子じゃもって後一日…」
女王「アリス…」
658: 名無しさん@読者の声:2011/8/7(日) 00:28:33 ID:uv/VVvGb2Y
C
659: 名無しさん@不思議の国:2011/8/7(日) 11:28:13 ID:kKLv8s9J86
男「何処へ行くったって特にアテもないよね」
山鼠「まぁな」
男「暇だけど歩くのは嫌だね」
山鼠「色々と駄目な発言だな」
男「城の周りの薔薇園迷路でかくれんぼでもする?」
山鼠「却下で」
メイド「あのぅ…」コソコソ
男「あん?」
メイド「ヒイッ!」ビクッ
山鼠「ビビられすぎだろお前」
男「あ、昨夜のメイドさん」
メイド「その、あの…朝ご飯がっ、出来ておりますが…」
660: 名無しさん@不思議の国:2011/8/7(日) 11:36:00 ID:K4ESg4cJk.
男「朝ご飯?」
メイド「は、はい!」
山鼠「ふぅん」
男「了解了解」
メイド「で、では失礼しま…」
男「えっと、場所が分からんのだけど…」
メイド「ひぇ…」
男「案内してくんない?」
メイド「…あうぅ」ビクビク
661: 名無しさん@不思議の国:2011/8/7(日) 12:01:56 ID:0JTMROl5ps
男「ねぇメイドさん」
メイド「は、はい」
男「ここの人達の娯楽って何があるの?」
メイド「娯楽、ですか?」
メイド「それは勿論女王様に仕えてること自体が!
特に女王様の笑顔を見れた日なんかは私めはそれはそれは他のどんな娯楽にも勝る至福の心持ちで…!」
男「いやそういうのはいいから」
メイド「ふぇ…」
662: 名無しさん@読者の声:2011/8/7(日) 18:58:31 ID:mU2kqLTL3A
もう大丈夫なの?
結構なハイペースだから無理しないでねC
あといまさら気づいたけど名前www
663: 名無しさん@不思議の国:2011/8/7(日) 22:06:40 ID:kKLv8s9J86
男「ごっそさん」ケプッ
メイド「あ、お皿持っていきますね」スタコラ
山鼠「さて」
男「結局楽しめそうなものは、この城には無いみたいで」
山鼠「いいよもう。
今までずっと歩いて来たんだ
今日くらい、ゆっくりしてようぜ」
男「何処に行こうかって言ったのお前じゃねぇの」
山鼠「お前が居るんなら何処でもいいさ」
男「お、イケメン発言」
山鼠「お前のそういう鈍感な所が大っ嫌いだ」
664: 名無しさん@不思議の国:2011/8/7(日) 22:22:16 ID:eDhl4PA.B6
男「洋風庭園?」
メイド「は、はい…迷路の薔薇が塀を超えてはえてきたので整えて庭園にしているんです…」
男「へー」
メイド「ゆっくりなさるならお勧めの場所かと…」
男「どうよ」
山鼠「いいんじゃね」
メイド「そ、それでは案内しますね!」
665: 名無しさん@不思議の国:2011/8/7(日) 22:43:02 ID:Guo50azY9o
庭園に置かれたベンチに腰掛け
二人共、特に何をするつもりはありませんでした
高い塀を越えて薔薇を縫い、零れる暖かい陽の光が
それを遮る大きな日傘が落とす影の涼しさが
トランプの庭師がたてる気持ちのいい切断音が
その全てが夢のように心地良く、眠りへと誘いました
勿論一人は未だ眠る事を許されては居ませんが
今更二人に語る言葉はありません
今はただこの白昼夢のような空間にずっと居られることを望んでいました
そして、夜が来ました
666: 名無しさん@不思議の国:2011/8/7(日) 23:06:27 ID:YROlhhOGxU
男「……ん」
山鼠「起きたか?」
男「…寒っ」
山鼠「今風邪ひいちゃ洒落になんねーぞ」
男「何時間寝てたんだろ」
山鼠「ほぼ一日中だな。流石に暇だったわ」
男「いやぁ、つい気持ちが良くて」
山鼠「……はは」
山鼠「…勿体ねぇ生き方してんなぁ俺」
男「こういう日も人生には必要なんだろ」
山鼠「そんなもんか」
男「そう思わなきゃやってらんねぇよ
部屋に帰るぞ」
山鼠「うん!」
667: 名無しさん@不思議の国:2011/8/7(日) 23:32:57 ID:eDhl4PA.B6
夕食をとり、部屋に戻って就寝
驚く程何も無く、あっと言う間に1日は過ぎて行きました
気づいているのは女王、蜥蜴のビル、チェシャ猫、鼠のお婆さんくらいでしょうか
あとは何も知らないまま、いつものように眠りにつき
いつものように目覚めるのでしょう
明日、不思議の国で起こるであろう事
女王の死。
668: ◆AlicexxO96:2011/8/7(日) 23:41:44 ID:0JTMROl5ps
左肩が痛くて息がしづらい1です
超痛いですw
今週中には終わらします。出来れば最後までのんびりお付き合いください
>>640
頑張りますよ!超頑張ります!
>>641
はい、終盤です
ここまで漕ぎ着けた事が奇跡ですw
最後まで頑張ります
>>642
支援ありがとうございます!
>>645
更新量少なくて申し訳ないです…
支援ありがとうございます
669: 名無しさん@読者の声:2011/8/7(日) 23:44:03 ID:/LtBXiJhto
もう終わっちゃうのかー
楽しみだけど寂しい
つC
670: ◆AlicexxO96:2011/8/7(日) 23:55:50 ID:0JTMROl5ps
>>649
明日中に万全な体調に戻しておきます!頑張りますよー!
>>650
ありがとうございます!
主人公なんて大抵羨ましい奴ばっかりです
>>651
はい!気をつけます!
>>652
皆さんに心配していただいてありがたいし、申し訳ないです
明日から本気出します!w
>>653の初めてをいただきました
光栄です、非常に光栄なことです
>>658
支援ありがとうです
良いIDです
>>662
名前はちょっとした遊び心で御座います
何度か忘れてますがwww
それでは、また明日の夜お会いしましょ
おやすみなさい
671: 名無しさん@読者の声:2011/8/8(月) 03:56:46 ID:lf01jgxnJw
wktkが止まらない!
672: 名無しさん@読者の声:2011/8/8(月) 14:07:12 ID:4dGOVjN9Ag
寂しくなるな…女王…!
ゆっくり休憩をとりながら!
しえん!しえん!
673: 名無しさん@読者の声:2011/8/8(月) 19:01:02 ID:4/t7GnZ5P.
しえん!!
674: 名無しさん@不思議の国:2011/8/8(月) 22:11:10 ID:uz77L901sc
女王「……」
ビル「…陛下」
女王「……なぁに?」
ビル「もう、白兎は帰還の準備を初めている頃ですから」
女王「……あら、やっぱりバレていたのね」
ビル「…三日なんて保つ筈もないでしょう
このままいけば今日の昼にも」
女王「魔力、尽きるでしょうね」
女王「勿論、私の命も」
675: 名無しさん@不思議の国:2011/8/8(月) 22:20:07 ID:R0seOgtGOQ
女王「でもおかしいわ
私が伝えた限界の時刻より幾分早いの」
ビル「えぇ…女王は魔力が尽きる最後の最後まで、アリスの捜索に費やす為の時間を伝えたのでしょうが…」
ビル「白兎が出発する直前に訂正して起きました」
ビル「白兎が帰還し、陛下の最期を看取ることが出来る時間に」
女王「……」
ビル「彼女が陛下の事をどれほど思っているか、知らない訳では無いでしょう?」
ビル「許しませんよ、私も彼女も」
女王「…ふふ。あなたは私の事、なぁんでも知っているのね?」
ビル「…執事ですから」
女王「最高の執事よ、私には勿体無い程のね」
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